実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
介護職員の処遇改善の助成拡充を
関議員:私は、日本共産党を代表し、介護保険・国民健康保険に関わり、中田市長に質問いたします。
10年目を迎える介護保険制度は大きな課題に直面しています。とりわけ、介護現場の人材不足はサービスの後退にもつながり、早急な対策が求められています。
人材不足の原因のひとつは、低い賃金にあるといわれています。
正規職員でも平均月収22万7000円で、全労働者平均の6割という低い水準です。若手の多くは年収200万円以下といわれ、月平均16万円程度で働いています。非正規は介護職員の約4割、訪問介護の8割を占めており、賃金は「登録型」ヘルパーの場合、「直行直帰」の「コマ切れ・駆け足」の働き方を強いられ、月7万円から8万円にしかなりません。
賃金が低いのは介護報酬が低いからということで、国は緊急経済対策として介護報酬を3%あげました。しかし、この程度では「焼け石に水」で、人材確保に結びつかないといわれています。事業所も「4月からの給与アップは無理」との見方をしているようですが、本市において処遇改善への効果をどのようにみているのか、伺います。
中田市長:お答え申し上げます。
まずはじめに、介護保険関係についてのご質問をいただきました。
介護報酬改定による介護職員の処遇改善の効果ということでありますけれども、今回の改定におきましては有資格者や常勤職員、経験年数の長い職員を一定割合以上配置をした場合、介護報酬が増える仕組みとなりました。これによりまして、報酬改定が介護従事者の処遇改善につながるというふうに私たちは期待をしているところであります。
関議員:公費も投入される介護職員の賃金水準が、事業所任せというのも問題です。国は、介護職員の給与について「国家公務員の福祉職俸給表等を参考にすること」とした改善指針を出しており、国の責任としてそれに見合う介護報酬に改善すべきです。そこで、国に対し、介護報酬の抜本的な改善を求める考えはないのか、伺います。
中田市長:国に対する介護報酬の改善要望についてでありますが、本市としましてはこれまで保険料の水準に留意しつつ、介護報酬の見直しを行うということなど、人材確保のための所要の処置を講じるように国に対しては要望してきたところであります。本年4月から介護報酬の3%のプラス改定が行われるということになりますから、その実施状況ということについてまず見極めをしてまいりたいというふうに思っております。
関議員:本市では、特別養護老人ホームに対し、全施設の半数程度で職員1人につき月1万円程度の処遇改善を独自に行っており、一定評価するところです。そこで、処遇改善事業の基準の拡大とともに、東京都千代田区のように、また本市調査でも要望の強い介護職員の住宅手当助成やパート職員確保のための時給引き上げ分の助成や職員のメンタルヘルス等への助成を行う考えはないのか、伺います。
中田市長:特別養護老人ホームの助成対象の基準拡大や増額についてですけれども、本市の特別養護老人ホームにおいては、政策的に入所の必要性の高い重度の要介護者を優先的に受け入れるというふうにしているわけです。そのことから、国の基準を超えた職員の配置が必要となってもおります。このため、特別養護老人ホームを対象に、職員の処遇改善や研修参加のための経費の助成など、これは引き続き行ってまいるようにいたします。
関議員:財団法人「介護労働安定センター」が行った2007年度「事業所における介護労働実態調査」によると、神奈川県は訪問介護員の離職率は13.7%ですが、施設介護職員は30.7%と高く、深刻です。本市においても、離職の状況や理由をきちんと把握し、人材確保にあたる必要があり、独自に調査すべきですが、伺います。
中田市長:ホームヘルパー離職率や離職の理由の把握についてでありますけれども、まず平成19年度の国の調査をみてみますと、神奈川県のホームヘルパーの離職率は13.7%と全国より低くなっております。また、離職の主な理由としては、職場の人間関係、賃金や労働時間などの待遇、家庭の事情等となっております。今後とも高齢化の進展に伴って在宅の介護を担うホームヘルパーの確保・定着、このことはますます重要になるというふうに考えておりますので、事業者団体などとも連携をして、離職の実態等の把握についてはさらに努めてまいるようにいたします。
ヘルパーの労働環境改善支援を
関議員:新年度、市はヘルパー1000人増加のため、資格取得に向け受講料補助をしますが、東京都のように受講中の生活支援の考えはないのか、伺います。
また、ホームヘルパーの離職の理由として、利用者に寄り添った介護が制限され、働きがいがないというのがあげられています。そこで、事業所支援として意欲や働きがいを持てる労働環境の改善を加えるべきですが、伺います。
中田市長:ヘルパー1000人の就労の見通しについてでありますが、今回の助成は福祉施設等への就業を条件としていますが、現在においても福祉施設等からの求人は依然として多いわけでありまして、そういう意味では人材難という状態が続いています。また、不況下でヘルパーの受講を希望される方も一方では増加をしているということも聞いております。実施にあたっては、養成機関や事業所と十分連携を図るということによって、1000人の就業の実現をしてまいりたいというふうに我々は考えております。
また、受講中の方への生活支援については、日中働きながら資格を取得できるようにしていくために、昼間のコースのほかに夜間であるとかあるいは土曜日など様々な受講コースを設定するということによって、便宜を図って対応するようにします。
ホームヘルパーが意欲や働き甲斐を持てる労働環境の改善への支援ということですが、事業所の管理者を対象に職務に応じた給与や処遇のあり方、人材育成の取り組みということなどをテーマとした研修を実施をいたしまして、ホームヘルパーが意欲と誇りをもって働き続けられるように、環境の改善に向けた支援を行ってまいります。さらに、今後介護の需要がますます拡大をするということは、先の答弁でも申し上げてきたことであります。その意味においては、介護の重要性についても、これは市民にもっともっと理解をしてもらう、そうした啓発もしていかなければいけないと思いますし、介護の仕事のイメージアップであるとかあるいはやりがい、こういったことをどんどん若い人たちとか、もちろん若くなくても結構なんですけれども、介護の分野、こういった分野に関心を持っている人たちにもっと情報として我々も出して、そして介護に対する社会的評価というものを高めていく、こうした取り組みについても進めてまいりたいと存じます。
一般財源の繰り入れなどで介護保険料の引き下げを
関議員:介護保険料の負担増も大きな課題です。見直しで基準月額が4500円の見込みで、350円上がる予定です。介護保険給付費準備基金の全額取崩し等で保険料抑制を図ったことは評価するところですが、年金が頼りの高齢者にとっては値上げは大きな負担です。特に、対象者全体の6割を占める第4段階にあたる本人非課税、世帯課税から第7段階の合計所得250万未満の人は厳しいと考えます。そこで、体力向上・口腔ケア・ボランティアポイント事業等の介護予防をはじめ、老人福祉法に位置付けるべき包括支援センターなどの地域支援事業は、本来自治体として行い、介護保険ではなく一般財源に移し、保険料を抑制する考えはないか、伺います。
中田市長:地域支援事業を介護保険から切り離すべきということでありますけれども、地域支援事業、これは要介護、要支援状態となることを予防するとともに、要介護状態となった場合でも可能な限り自立した日常生活を営むように支援をする事業であります。そういう意味では、やはりこの事業がしっかりと効果を持っていけば、当然介護保険のサービス料というものも減るわけですし、それはただサービスが減ることを喜ぶのではなくて、健康な人が増えた結果サービスが、健康といいますか介護が必要じゃないという方が増えた結果としてサービスが減るということ、これは社会としてはある意味では望ましいということになるわけですから、その意味において介護保険事業とは密接な関係にあって、一体的に運営するということが望ましいというふうに考えております。
関議員:もともと介護費用の50%を負担していた国費が、制度開始と同時に25%に、「三位一体改革」で22.8%にまで引き下げられていることが問題で、しかも国は、一般会計からの繰り入れによる保険料減免はだめと厳しく自治体を指導していますが、介護保険は地方自治法の「自治事務」で、法的拘束力はありません。国庫負担割合の引き上げを強く国に求めるとともに、一般財源を繰り入れ、保険料の軽減を図ることも必要と思いますが、見解を伺います。
中田市長:介護保険事業に係る公費負担のあり方でありますけれども、これまでも国の負担のうち、高齢化率や所得の状況などによって算定をされる調整交付金の見直しについて要望をしてまいりました。また、保険料軽減のため、市町村の一般財源を繰り入れるということは、介護保険制度の趣旨にかんがみ、これは適当ではないというふうに考えております。
要介護認定見直しに対する対応は
関議員:要介護認定の新方式は、調査項目も大幅に削減され、利用者から聞き取り調査をする際の「認定調査員テキスト」が変更されました。重度の寝たきりについて、「移動・移乗」の項目で「介助自体が発生しない」として「自立」と判定されるなど、コンピューターの一次判定で利用者の生活実態を反映しない軽度の判定がでる危険性が高くなっています。要介護認定の見直しについてどう受け止めているのか、また、軽度に変更された場合の対応はどうなるのか、伺います。
中田市長:要介護認定の見直しでありますけれども、平成21年度から要介護認定の際に使用する一次判定のコンピューターソフトが最新の調査データに基づき変更される予定になっております。要介護認定、これは従来通り保険、医療、福祉の専門家からなる介護認定審査会において、主治医の意見書などを加味した二次判定を行って出すわけでありますが、実態に即した認定が実施をされるものというふうに考えております。なお、認定が軽度に変更されたという場合は、申請者にていねいに説明をして理解を求めていきたいと考えております。
滞納者を増やさないためにも国保料の引き下げを
関議員:つぎに、国民健康保険について伺います。
新年度の国民健康保険料は、全世帯で前年度を上回り、特に年金所得125万円、180万円の65歳以上の1人世帯は、それぞれ9万4000円から10万2450円へ、13万580円から14万3430円へと引き上げられ、介護保険料等の負担も重なり、保険料を「払いたくても払えない」事態を招きかねません。この所得層の国保料滞納者は、2007年度で滞納者全体の44%を占め、滞納構成比率も高く、しかもその比率が増加傾向にあることです。滞納者を増やさないためにも保険料の引き下げが必要ですが、見解を伺います。
一般会計からの一人当たりの繰入額は、2004年度から2007年度では、予算額では2万3984円から2万1429円に、決算額では3万565円から2万4074円と推移しています。予算時の繰り入れは保険料に跳ね返りますから、予算での繰り入れを多くすれば、保険料抑制になります。この立場で、市費の繰り入れを増額すべきですが、伺います。
中田市長:つぎに、国民健康保険についてのご質問をいただきました。
保険料の引き下げということでありますが、本市は大変厳しい財政状況であるということはもう何度も申し上げてきていることですけれども、毎年多額の市費繰り入れによる保険料負担の軽減というものを、それでも図るように努力をしてまいりました。納付が困難という方には、本市独自基準による保険料の減免というものも行っているところであります。
市費繰り入れの増額についてありますけれども、これはいまもお答えをしたとおり、本市においては毎年多額の市費をすでに繰り入れて制度を支えるということをやってきているわけであります。平成21年度予算においても、総額で252億円の計上をしております。そのうち被保険者の保険料負担緩和のために、20年度を4億円上回る約87億円の繰り入れをしている、そうした予算案として提出をさせていただいているわけでありますので、ご審議をいただきたいと思います。
特別な事情の有無がはっきりするまで資格証は発行するな
関議員:資格証も2001年度以降、発行数は2万2000から3万5000の間を増減し、その解消は大きな課題です。厚生労働省が昨年12月、資格証の交付について通知を出しています。重要なのは、資格証の交付について、機械的な運用でなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で交付するよう厳しく指導していることです。
そこで、資格証の交付については、広島市のように、少なくとも対象者に会い、特別の事情の有無がはっきりするまで資格証を発行すべきでないと考えますが、伺います。
中田市長:資格証明書交付の考え方についてですけれども、資格証明書は加入者間の負担の公平性、これを確保していくという観点から、滞納者との接触の機会を確保し、自発的な保険料納付を促進するためのものであります。そういう意味では、催告や事前の警告を行っても納付相談に応じないということなど、納付の誠意がないという世帯に対して、やむを得ず交付をしているというのが実態でございます。
関議員:わが党国会議員への政府答弁書で、被保険者が病気の場合、医療費の一時払いが困難と世帯主が申請すれば、子どもに限らず短期証を発行できるとしています。本市においても同様に対応すべきと思いますが、伺います。
中田市長:医療が必要な方への対応ということでありますが、従来から納付できない特別の事情があることが確認できたという場合には、私どもも資格証明書を解除し短期被保険者証を交付するなど、必要な対応は図っております。引き続き、個々の世帯の状況ということはそれぞれみんな違いますから、それに応じてきめ細かな対応というものを努めてまいるつもりであります。
無保険状態の小・中学生世帯全員に3月下旬に保険証郵送
関議員:子どもの無保険を解消する法改正がされ、4月から施行されます。資格証が交付されている小・中学生の世帯に対して確実に保険証が届くよう、郵送すべきと考えますが、伺います。また、保険証は世帯に1枚とするのが国の考え方と聞いていますが、子どもだけでなく、世帯全員に保険証を交付する考えはないのか、見解を伺います。
中田市長:今回の法改正に伴う小中学生への被保険者証の交付方法についてでありますが、3月下旬に対象者全員に郵送による交付を予定をしております。
また、子ども以外への対応についてですが、保険料を滞納している当事者である保護者については、これは先ほども申し上げましたが、加入者間の負担の公平性、これも確保していくのは保険制度にとってきわめて重要でありますから、そういう意味で資格証明書を交付することによって接触の機会の確保に努めるということが必要であると考えております。
月途中で後期高齢医療に移行しても不利益にならないように
関議員:後期高齢者医療制度の施行により、制度の不備から、国民健康保険に関わる問題が指摘されていました。年度途中で制度に移行する人の年度内の特定健診は国保で受けられるのか。また、月半ばで制度に移行する人の高額療養費の扱いはどうなるのかといった問題です。国が検討したと聞いていますが、市としてどのような扱いになるのか伺って、質問を終ります。
中田市長:年度途中で国民健康保険から後期高齢者医療に移行した方の特定健診や高額療養費の取り扱いについてですけれども、まず特定健診については本年4月に施行予定の国の制度改正に合わせて75歳の誕生日までは、本市の国民健康保険で特定健診を受けられるように対応してまいります。また、月の途中で後期高齢者医療に移行した方の高額療養費でありますけれども、こちらは制度の移行によって本人の不利益にならないように、本年1月に国が制度を改正しましたので、この趣旨に沿って本市国保においてもすでに対応しているところでございます。
以上、答弁申し上げます。
第二質問
関議員:資格証明書にかかわって、特に被保険者が病気の場合で、申し出があった世帯に対する短期証の発行ということにかかわって、もう一度確認をしたいのですが、この場合は、通常の保険料滞納の場合と違うと思うんですよね。明らかに、病気の場合は命にかかわりますからね。それで、これまでもやっていますというんですけれども、やはり状況を聞いてというようなことになっておりますが、病気の場合には特別の事情に準ずるということで発行するということではないということなんでしょうか。発行すべきだと考えるんだけれども、その点をもう一度説明をしていただきたいと思います。
中田市長:先ほど申し上げたようにですね、それぞれの事情というのはもちろん違いますから、いまおっしゃっていただいた件も含めて、きめ細かい対応というのを本市としてやっていくということをしてまいるように努めます。