実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
これ以上の雇用破壊を食止める取り組みを
中島議員:日本共産党を代表して、中田市長に質問します。
いま、景気悪化のもとで、大企業が競い合って「派遣切り」「期間工切り」をすすめ、きわめて深刻な社会問題を引き起こしています。そして、雇用不安の拡大が、個人消費、内需を冷え込ませ、景気悪化を加速させています。私は、市政の重要施策のなかで、雇用および職と住まい、暮らしの緊急対策にしぼって質問します。
まず、雇用対策についてです。
この年末・年始に、市民・労働団体によって「年越し派遣村」がつくられ、全国から集まったボランティアの力によって、労働者の命をつなぐ働きをしました。私は、心ばかりの支援金を持って激励にかけつけました。しかし、「派遣村」が支援できたのは、極限の貧困状態に突き落とされた人々のごく一部です。その何十倍の人々が、寒空の下で公園や路上でのホームレス生活を強いられ、その数はやむことなく拡大しています。
なぜこのような急激な雇用破壊が引き起こされたのか。1999年の派遣労働の原則自由化と2004年の製造業への拡大など、労働法制の規制緩和で、「いつでも首切り自由」の非正規労働者を急増させた、まさに「政治災害」と考えますが、市長の認識を伺います。
中田市長:お答え申し上げます。
まず雇用問題についてのご質問をいただきました。
国の施策への対応ということであります。雇用破壊は労働法制の規制緩和による政治災害であるというご見解のもとについての感想、見解はいかがかということでありますけれども、人が作った仕組みから発生をしているという問題意識を私も持ちますので、そういう意味においてはその仕組みというものをまた我々が、我々といってもこれは国がきちんと議論をして決めていくということになるわけですけれども、そうした観点から議論が必要なことであろうというふうには思います。昨年来の金融危機、これに端を発した不況ということによって、企業業績が大幅に悪化をしているということに伴って、非正規労働者の雇用継続ということに影響が出ているということは間違いのないことでありますから、その意味においてはやはり経済そのものがしっかりとまわっていくということが必要であるということも思います。
また、労働者派遣法については、現在国会について改正案について審議がなされているということでありますから、その議論をぜひ、今申し上げたように人から人が作った仕組みで発生している問題ですから、ぜひそれについては効果的な議論というものをしてもらいたいと思います。
中島議員:3月までに、厚労省の調査でも12万5000人、業界団体の試算では製造業だけで40万人の非正規労働者が失職するとされています。その多くが、違法な中途契約解除、偽装請負や3年間の派遣期間制限のがれの「クーリング」などによるもので、本来なら派遣先企業に直接雇用されているはずの不当解雇であることが、国会の質疑でも明らかになっています。
住民のくらしと福祉を守る責務を負う市長として、政府に対し、第一に現行法にもとづく大企業への監督・指導強化、第二に職を失ったすべての人々に住居、生活、再就職の支援、第三に労働者派遣法を1999年の原則自由化以前に戻し、そしてもっとも不安定な登録型派遣の禁止を強く要請すべきです。市長にその意思があるかどうか、答弁を求めます。
中田市長:国への要望ということでありますけれども、雇用政策について、これは基本的にはもちろん国が責任をもって取り組んでもらわなければ困るということになるわけであります。国に対しては、雇い止めとなった非正規雇用者への緊急支援の実施などについて、あるいは経済・雇用対策の円滑な推進に関する要望、こういったものなどを指定都市と連携をして、すでに要望を実施をしてまいりました。本市としましては、市内企業や市民の生活安定に向けて、横浜市緊急経済対策本部を設置いたしまして、様々集中的に対策を進めてきたわけでありますので、国に対する要望方やり、一方では市としてきちっと我々がやるべきことをやるということの、この二つを今行ってきたところであります。
「鶴見ハローワーク」の閉鎖計画の凍結・延期を政府に求めよ
中島議員:政府への要請では、もう一点伺います。市内には5か所の「ハローワーク」がありますが、そのうちの一つ「鶴見ハローワーク」が、国の「構造改革」の一環で、この3月末に閉鎖される計画です。私は「鶴見ハローワーク」に足を運び、担当職員の話を聞きました。「以前の150~200%の来所者で、こんな時に閉鎖なんて、私個人としては怒りさえ覚える」と訴えられました。私も同感であります。市長として政府に「閉鎖計画の凍結・延期」を緊急に要請すべきではありませんか。所管を伺います。
中田市長:ハローワーク鶴見の統廃合凍結もしくは延期を申し入れるべきということでありますけれども、統合にあたっては、今までのサービス水準が低下することがないように申し入れを行ったところでありまして、現下の雇用情勢を踏まえてさらにその役割を十分に発揮してもらいたいというふうに考えております。国の機関がすでに3月31日に統合するというふうにもう決定をしているようでありますから、そうしたいま申し上げたような要望については今後もやっていきたいというふうに思います。
日産の130人「派遣切り」は企業立地条例認定企業として問題ないか
中島議員:つぎは、無法な「派遣切り」「非正規切り」を食い止め、安定した雇用をめざす本市独自の取組みについてです。
雇用対策法第5条では、「地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と、本市にも雇用施策の責務があります。
日本共産党市会議員団は、大規模な「非正規切り」の動きの中で、昨年12月に、企業に対する雇用維持の働きかけ、市独自の臨時職員等の緊急雇用、市営住宅等の確保など、市長に緊急に申し入れを行ったところです。とりわけ、当時大量の「派遣切り」計画を発表していた日産自動車に対しては、本市「企業立地等促進条例」で約51億円の支援を受けており、「計画」の撤回を強力に要請するよう求めたところであります。本市の経済観光局の担当者がその後日産横浜工場に直接訪問し、局長名で「雇用維持に関するお願い」の文書を手渡し、要請されたことに一定の評価はしますが、日産はこれを無視し、派遣労働者130名全員の解雇を1月に強行しました。
まず、この日産の対応について市長の見解を伺います。あわせて、「雇用機会の拡大」を目的とする本市「企業立地等促進条例」の認定企業として問題はないのか、答弁を求めます。
そして、130名全員の「派遣切り」が、現行の「労働者派遣法」に照らして、派遣先の日産に、直接雇用の責任のがれの違法行為がなかったのか、労働基準監督署や神奈川労働局などに調査等の要請をすべきですが、市長の所感を求めます。
中田市長:つぎに、市の取り組みについてでありますけれども、日産横浜工場の派遣社員削減ということについてでありますけれども、この対応については厳しい経営環境下での企業の判断であるというふうには思いますが、しかしですね、やはりそれぞれ働いている方々にとってはたいへんなことだというふうに思いますので、そういう意味においては今後横浜市としても求人を出すようにも努めてもおりますけれども、社会の中でやはり救済をできるようにしていきたいというふうに思います。
日産の条例認定についてでありますけれども、認定された計画通りに現在のところ投資は進んでおりまして、市内経済の波及や雇用の増加ということなど、条例が期待する成果については達成をされるものというふうに考えております。
国への調査等の要請についてでありますけれども、これは今現時点においてそういう考えはございません。本市としては、離職した非正規労働者などを対象として、緊急雇用対策に取り組んで、できる限りの対応を図っているというところであります。
中島議員:日産横浜工場の他に、本市「企業立地等促進条例」で支援を受けている44件・35社の認定企業に対して、「直接訪問」または「郵送」で雇用維持の要請をされたと聞いています。申し入れた内容、そしてその理由、および今後の「雇用維持」等に向けた本市の対策等について伺います。
中田市長:条例認定企業への雇用維持要請の理由と内容についてでありますけれども、経済状況の悪化に伴って雇用環境も当然ですが急激に悪化をしているわけでありまして、緊急的な対策が必要というふうに判断をしまして、昨年末に認定企業に対しても雇用維持の配慮を求めたいという要請を行ったものであります。
今後の対策についてでありますけれども、条例においては認定企業に対して毎年報告を義務付けておりますので、その中で計画の進捗について確認を行うとともに、雇用維持について必要な働きかけを行ってまいりたいと思います。
「派遣村」で250人が生活保護で救済は「命綱」
中島議員:つぎの質問は、生活保護事業についてです。
「年越し派遣村」実行委員会が主催した「やっぱり必要! 派遣法抜本改正・派遣村からの大逆襲」の集会において、自殺寸前で「派遣村」に助けられた男性が発言をしました。「みなさん方の支援で私は生活保護を受けることができ、アパートも決まりました。今後は困っている人がいたら、私が声をかけ、勇気づけられる人間になりたい」とのべ、暖かい拍手に包まれました。派遣村への避難者約500人のうち250人を超える人々が生活保護の申請をし、数日のうちにアパートの居住を含む保護決定がされ、まさに「命綱」としての役割を発揮しました。市長は、「派遣村」で生活保護事業が果たした役割についてどう評価されますか。
中田市長:つぎに、生活保護事業についてのご質問いただきました。
「派遣村」での生活保護の適用についてということでありますけれども、年末年始に大勢の方から生活保護の申請が同時に行われたことや、体育館などの一時的な宿泊施設の使用期限が目前に迫っていたなどの緊急的な事態に対応したものというふうに考えています。これらの事態に区だけでなく東京都も応援体制を組み、通常の資産調査などを行わずに保護の決定がなされたものというふうに聞いていますけれども、これ、ある意味ではきわめて例外的な対応だろうというふうに思います。
不法な「申請拒否」はあってはならない
中島議員:私は、「特別扱い」でもなんでもなく、生活保護法が本来予定する当然の内容だと評価しています。しかし、本市窓口での対応について、私がいくつか耳にしたことですが、申請に行ったら「扶養義務者の援助」「65歳までは稼動年齢」あるいは「持ち家の処分」などで受付けてもらえなかったという声です。最近は聞かれなくなり、改善が図られていると思いますが、確認をしておきます。これらの対応は、生活保護法に照らして、いずれも「申請拒否」にはならない理由であり、あってはならないことだと思いますが、見解を求めます。
中田市長:生活保護の申請についてでありますけれども、生活保護の相談があった場合には、ケースワーカーが相談者の生活状況を伺うとともに、生活保護制度の趣旨や受給要件というものを説明をしまして、その上で申請の意思を確認し、手続きを進めております。申請の意思ある方に対しましては、申請書を交付するように、各区の生活保護相談窓口にもこれはしっかりと伝えてあるところでございます。
居住地がなくても生活保護の適用を
中島議員:生活保護の適正運用についてですが、「居住地のない者について、『現在地』を所管する福祉事務所が保護責任」、「保護費でアパートや家財道具を確保」、あるいは「申請から14日以内、急迫状況にあるときは迅速に保護決定」等について、「法」に基づき、適正かつ効果的な生活保護行政の実施を求めますが、お答えください。
中田市長:居住地がない場合の生活保護の実施についてですが、相談に訪れた区の福祉保健センターにおいて、相談者の健康や生活状況を考慮をした上、施設入所や居住先の確保に協力をして、生活保護の決定・実施を行っております。
生活保護課の増員を
中島議員:市内の生活保護世帯は1月末現在約3万8700で、昨年同期比より1200世帯増えています。先日、鶴見区役所の様子を見て来ました。生活保護相談件数は、11月222件、12月240件、1月347件と増大しており、忙しく働く職員の姿を見てきました。今後、窓口相談だけでなく、保護世帯の増加も想定されるなかで、保護課職員の増員等その対応を伺います。
中田市長:各区の生活保護担当職員の配置ですけれども、被保護世帯数の状況等に応じた本市の職員配置基準によって、配置をするようにしております。従って、今後もその被保護世帯数の状況というものをよくよく私たちとしてはとらえて、それに対して適正な配置というものを引き続き行ってまいります。
ホームレス自立支援施設「はまかぜ」等の積極的な活用・拡充を
中島議員:つぎは、ホームレス自立支援施設「はまかぜ」定員226人およびホームレス緊急一時宿泊施設の「中村川寮」定員30人の拡充についてです。両施設の運営費は2分の1の国費補助があり、本市負担はそれぞれ年間約1億8000円と4300万円で運営されています。とりわけ「はまかぜ」は緊急入所だけでなく、就労支援をかね、貴重な役割を発揮しています。職を奪われ、住居を失うホームレスの拡大のなかで、「この横浜で1人もホームレスを放置しない」の意気込みで、両施設の積極的な活用と拡充が求められていますが、見解を求めます。
中田市長:ホームレス自立支援施設などについてのご質問をいただきました。ホームレス自立支援施設などの活用についてでありますけれども、各区の福祉保健センターの窓口相談や巡回相談事業というものを通じて、施設の利用については積極的に進めております。言及いただいた自立支援施設の「はまかぜ」のほか、身の回りの荷物が多い場合などは緊急一時宿泊施設の「中村川寮」の利用を勧めるということなどをいたしておりまして、いずれも心砕いての対応をするようにいたしております。
自立支援施設等の整備・拡充についてでありますが、ホームレス数の状況、こういったものを見ながら、その必要性ということについては見極める必要があろうかと思います。
急小口資金の迅速な貸付を
中島議員:つぎは、失業者の再就職等を支援する「緊急小口貸付資金」の拡充についてです。現在ある神奈川県社会福祉協議会の所管する各区社会福祉協議会を通じての「緊急小口資金」がありますが、申請してから一週間以上もかかり、緊急対応にはそぐわないのが実態です。急迫事態に対応できるよう改善すべきではないでしょうか。また、この改善が図られるまでの間、本市独自での「緊急小口資金」貸付を行うべきだと思いますが、いかがですか。
中田市長:つぎに緊急小口資金についてのご質問をいただきました。緊急小口資金の迅速な貸付の実施についてでありますけれども、各区の社会福祉協議会で申請を受けたあとに、事業の実施主体である神奈川県社会福祉協議会へ直接申請書類を送付するということなどを行っておりまして、これまでも速やかな事務処理に努めてまいったところであります。今後とも国や県とは十分連携をしまして、資金を必要とする方により迅速に貸付を行われるように、県社会福祉協議会に働きかけをしてまいります。
また、本市独自の制度の創設についてですけれども、生活保護や生活福祉資金貸付制度など、現行制度の円滑な運用を図るということで、今後も対応してまいりたいと思います。
緊急対策として土日も相談窓口の開設を
中島議員:最後に、相談窓口の拡充についてです。「派遣切り」などで職と住まいを失った人たちへの緊急対策として、生活保護、緊急一時宿泊、あるいは緊急小口資金等で、土曜日・日曜日にも対応できる総合的な相談窓口の設置などの拡充を図るべきですが、市長の答弁を求めて、日本共産党を代表しての質問を終わります。
中田市長:いわゆる「派遣切り」等への対応についてのご質問をいただきました。土日の総合相談窓口の開設についてでありますけれども、昨年来派遣労働者を中心に、解雇や雇用期間満了による雇い止めというのが急増しているというのは、ニュースなどで私も把握をしているところであります。そういう意味においては本市においても緊急雇用対策として臨時職員の緊急雇用を募集するということを行いましたし、また市営住宅の緊急一時使用等の対応ということも図っているところであります。相談窓口については、現状の開庁時間帯で対応が図られているというふうに考えておりますけれども、今後の状況などを注視をしてまいりたいというふうに思います。
以上、答弁申し上げます。