依存症、環境悪化、人口減少・・・弊害多いカジノ
日本共産党横浜市議団は8月24~26日、このほどカジノの弊害を調査する目的で韓国を訪れました。
韓国には17のカジノがありますが、自国民が入場できるのはカンウォンランドだけです。同カジノは、ソウルから車で3~4時間の山間の寒村にあり、2000年にオープンした公設の施設です。
カジノがあるホテルには、コンベンション施設としで大小の会議室を複数あります。また周囲には、ゴルフ場やスキー場があり、さらに新しい施設の建設も始まろうとしていて、統合リゾートを目指しています。
入場制限あってもギャンブル相談は年に1万件超
同カジノでは、自国民に対して1か月に15日までの入場制限を設け、2か月連続15日入場した客にはカウンセリングを義務づけています。のカジノ出入口の真向かいにギャンブル依存症管理センターがあり、本人とその家族のためのカウンセリングや治療相談の他、依存症の予防のための広報活動などを行っています。
同センターのカン・スングン事務局長によれば、同センターの役割は健全なゲームを促すために、カジノ中毒の緩和と治療支援。2014年度の相談件数は1万1720件で、賭博によって莫大な借金を負い、家族崩壊、離婚、自殺に至る例もあるとのことです。パク・ソンジェ常務は、どんな対策をとってもカジノの副作用はあるため、よく考えてカジノをつくった方がよいと述べました。
犯罪増加、環境悪化
次いで訪れた地元のまちづくり団体「財団法人3・3事業会」では、カジノができてからの地元の変化についてお聞きしました。カジノだけでなく、ホテル、ゴルフ場、スキー場などの関連施設で雇用はあるものの、労働者の賃金水準は炭鉱時代の三分の一に減少。人口も最高時の六分の一に減り、カジノができてからも減り続けています。
犯罪率は、2005年度の調査では全国平均の約3倍。特に青少年犯罪が増え、窃盗、詐欺、強盗が多く、自殺も多いということです。当初無制限だった入場について、地元の人たちには月1回しか入れない制限をかけなければいけないほどの弊害が広がっています。
ヨ・ポンギュ事務局長は、炭鉱の閉鎖で受け入れざるを得なかったカジノだが、犯罪の増加、教育環境の悪化、所得格差の増大など、予想以上の弊害がおきていると述べました。
質屋、安ホテル、ATM
カンウォンランド周辺の街であるテベとサブには、質屋の赤い看板が軒を連ね、カジノ客が泊まる安いホテルが立ち並んでいました。
カジノの入場料は7500ウォン(日本円で約800円)です(外国人は無料)。カジノ場内外にATMの機械が並び、お金を下ろす人々が列をなしていました。カジノに興じる人々はごく普通の庶民という服装の人がほとんどで、学生らしい若い人の姿も目立ちました。
国をあげてギャンブル対策
ソウルでは、韓国ギャンブル問題センターを訪問。同センターは、カジノ、競馬、競輪などの7つの公営ギャンブルのほか、あらゆるギャンブルの相談にのっています。韓国にある11か所の地域センターと25か所の民間相談所と連携し、ギャンブル中毒の予防、治療、研究も行っています。
韓国では、ギャンブル産業の売り上げの0.35%を中毒治療に当てることが法的に義務付けられており、同センターの運営費もこの中から出されています。中毒患者の個人負担はありません。なお、欧米ではカジノの売り上げの1~3%がギャンブル依存症対策に当てられているということです。
同センターのリー・カンジャ院長は、カジノや競馬による中毒患者が多いが、最近は青少年のインターネット賭博が増えており、それらの予防に力を入れていると語りました。
予想以上に大きい弊害
調査に参加した古谷やすひこ横浜市議は、「予想していた以上にカジノの弊害が大きいことがわかった。カジノを横浜に誘致させないために、さらに力をそそぎたい」と述べています。その他、あらき由美子とかわじ民夫の両市議の他、オブザーバーとして鳥畑与一静岡大学教授などが参加しました。
党横浜市議団ではこの調査についての報告会を、9月17日午後2時から、横浜市役所内で開催します。
また、調査報告書はこちら「韓国カジノ問題調査視察報告書」をご覧ください。
報告会のご案内はこちらをご覧ください。