みわ議員:みわ智恵美です。日本共産党を代表し質問いたします。質問の前に一言申しあげます。横浜市会はパレスチナガザ地区での人道危機改善に向けて、「人道目的の即時停戦及び人質の即時解放」などの決議を全会一致であげました。ところが、イスラエルによる学校などへの無差別爆撃が再開されています。政府は、横浜市会はじめ各地であげられている決議を受け、国際社会に向かって、こどもたちの命を奪うな、一刻も早く停戦をと強く働きかけるよう求めます。
横浜みどり税の延長は止めよ
それでは質問に入ります。市第48号議案「横浜みどり税条例の一部改正」についてです。2009年の横浜みどり税導入にあたっての議論では、賛成の会派から「苦渋の決断」との言葉が出されていました。それは何よりも、2008年9月のリーマンショック後、大勢の若者が仕事も家も失うという大不況の中で、新たな超過課税を市民に強いることに相当の無理があったということです。
その無理を押して実施した超過課税で緑の減少に歯止めをかけることができたのか。
「否」です。5年経過した2014年の市長報告は「目標達成できませんでした」です。特別の税負担をお願いするのですからと賛成会派からも「税負担に対してきわめて高い政策効果を発揮する政策の構想力と実現力が求められる」との指摘がされました。ではさらに5年経過した2019年に出された横浜市の緑被率調査結果はどうだったでしょう。結果は、今回の税制調査会の答申に示されていますが、「2014年から2019年にかけて緑地が417ha減少しそのうち樹林地が102haであった」とあります。横浜市において横浜みどりアップ計画で、本市緑地の減少傾向に歯どめをかけ、将来の横浜の緑を保全創造するための政策が必要だということに日本共産党として異論はありません。しかし、横浜市が進めている事業は、その方針から外れているものが多いのではないでしょうか。
市内有数の花見の場所である桜山があり自然豊かな環境の三ツ沢公園の姿を激変させる「再整備基本構想(案)」。
根岸線山手駅を降りると見事な桜山が見えていた中区の立野小学校敷地の斜面地崖の桜は、すっかり切り倒されてしまいました。また、グリーンエキスポと言いながら大規模な緑の喪失を止められない上瀬谷米軍跡地の区画整理事業など、緑を守る姿勢そのものが問われているのが横浜市の現状です。これで、引き続き今後5年間、個人市民税の超過課税を強いることの納得が得られるでしょうか。今、失われた30年ともいわれる経済状況で実質賃金も目減りし続ける中健康保険料、介護保険料の負担が重く、その上物価高騰により市民生活も中小・小規模事業者も困窮するなか、
大規模開発業者への負担を求める検討もなく、市民の所得に関係なく、一律に年額900円のみどり税負担を求める横浜みどり税のさらなる延長は、到底市民の理解を得ることはできないと考えますが、どうか伺います。
山中市長:緑が減少している中で、超過課税の延長は市民理解が得られないとのことですが、計画の開始以降、約1000ヘクタールの樹林地を保全してまいりました。これは計画前と比較して3倍のスピードの樹林地の保全であります。このような取り組みの結果、緑の減少に歯止めをかけ豊かな緑が守られております。
また市民意見の募集では、取り組みの財源の一部を税負担することにつきましても約7割の市民の皆様から肯定的な回答をいただいており、多くの市民の皆様に一定のご理解をいただいているものと考えております。
みわ議員:私は、2018年の横浜みどり税の一部改正の時にも質問に立ちました。それは、横浜市が、開発を抑制するべき市街化調整区域を開発することができる市街化区域に変更できる権限を移管されたときでした。その権限を持った途端、これまで守っていた貴重な緑が残されている大規模な緑地である栄区上郷猿田地区を開発できる市街化区域にしてしまうという愚策を決断したことを厳しく指摘しました。民間の土地開発を規制することもなく、緑の破壊がとまるはずがありません。
税制調査会答申にも「緑地の減少要因としては」「依然として宅地開発による市内の緑の減少が続いていると言える」と示しています。緑地の減少要因である宅地開発にこそ手を打つべきではないでしょうか。市長の見解を求めます。
山中市長:緑を減少させる宅地開発にこそ手を打つべきではないかとのことですが、宅地開発等におきましては法令に基づき緑化や公園の設置の義務付けに加えまして、樹林地の保全について事業者と協定を結ぶなどして、開発等の機会を捉え緑の保全と創出に努めております。引き続き、まとまりのある緑の保全や身近な緑の創出と都市の活力につながる魅力ある市街地の形成を目指して、バランスのあるまちづくりに取り組んでまいります。
みわ議員:また、答申から見えてくるのは、これまでに位置付けていた、みどり税の役割が終わったということです。
まとまりのある樹林地の保全・活用については、緑地保全制度による指定の拡大・市による買取りという、みどりアップ計画とみどり税のこれまでのあり方を示す「3つの柱」の比率の大きな変化があるからです。これまでの3期間を振り返ると、「柱1」は緑地保全制度による指定・市による買取や、樹林地の維持管理の取り組みで、みどりアップ計画の根幹であり、横浜みどり税にとっても根幹の使い道でした。
第1期では買取りなどは予算全体の8割を占めていましたが、直前の第3期では、7割です。またみどり税の使途では7割だった買取りが3期では5割に落ち込み、一方で「柱2」の農の守りや「柱3」の街中の緑の創出・育成に約5割が充てられています。みどりアップ計画における、これまでの守るべき緑の面積の目標である「緑地保全制度による樹林地指定目標」が、第1期で1、119haだったものが第3期では300haと4分の一となり、そして今回示された次期目標はわずか180haです。
現在、大規模な未指定樹林地は減少し、1カ所当たりの指定面積の小規模化が進んでいます。緑地を買い取って守るとして、特別の税金徴取で進める事業ではすでになくなっているという潮目を認識して、緑を守る事後湯は一般財源で賄うこととし、超過課税の延長は取りやめることを求めます。市長の見解を伺います。
山中市長:緑地保全制度による指定面積が減少しているため、超過課税を止めるべきとのことですが、保全すべき樹林地がまだ多く残っていること、また買取については、これまでと同程度の発生が見込まれ、適切な維持管理も合わせて実施する必要があることから、引き続き安定的な財源が必要であると考えております。
住民税非課税世帯への物価高騰緊急支援給付金は、一刻も早く給付を
みわ議員:次は、市第78号議案「国の総合経済対策を踏まえた令和5年度横浜市一般会計補正予算(第4号)」についてです。
まず最初に「電気・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金給付事業」についてです。7万円の給付金は一刻も早く届けるということはできないのでしょうか。
子どもの学習支援や食糧支援を行っている認定NPO「キッズドア」が12月5日厚生労働省で会見し、同団体が支援する子育て困窮世帯のアンケート結果を公表しました。
99%の家庭で昨年と比べ家計が厳しくなったと答え、物価高で生活困窮が一層進んでいることが分かりました。アンケートに寄せられた声には「お肉・野菜・調味料などいろいろ物が値上がりし、買えないものが多すぎる。
子どもに食べさせるために自分の食べる分を減らしている」「学用品のリコーダーや体操服、習字道具も買ってあげられず、恥をかいてしまうので学校に行けなくなった」など、21%の家庭で子どもが不登校又は不登校ぎみだと回答しているというのです。これらの声がとどいているのでしょう、昨日政府が経済対策で低所得世帯向けに実施する給付金で、
18歳以下の子ども一人当たり5万円を上乗せする方向で調整していることが報道されています。これは当然の措置で早急に決断していただきたいものですが、いま、私たちの事務所にも「何とか7万円の給付年内に受け取れないのか」との声が届いています。市長、プッシュ型での支給で、届ける先についてはすでに把握されているのですから、これらの窮状を訴える声に応えて一刻も早く届くように取り組むべきと考えますがどうか伺います。
山中市長:電力・ガス・食料品と価格高騰緊急支援給付金を一刻も早く給付すべきとのことですが、今回の支給にあたりましては、前回の支給データを活用することができる方につきましては、申請を不要とするプッシュ型の支給を行い、迅速に給付金をお届けいたします。
レシ活事業の振り返りや評価をせずに、「エコハマ」事業の追加は拙速
みわ議員:次に、省エネ家電購入促進事業「エコハマ」について伺います。前回の補正での取り組みは、20億円を予算化し現在6億余円の還元申請で、あまり使われていない実態です。また、委託費4億円という事業費全体の5分の一が委託事業者のもとに入るという事業です。事業の振り返りや評価が必要ではないでしょうか。ここで、次なる同様の取り組みを行うのは拙速と考えますがどうか伺います。
山中市長:第2弾のエコハマに進むことは拙速ではないかとのことですが、現在のエコハマについては、年末商戦などによる利用増が見込まれ、また利用者アンケートでは7割以上が、省エネ性能が高い製品の購入のきっかけになったと回答をいただくなど電気代の軽減および、CO2の削減につながっております。こうした状況を踏まえまして、国の補正予算において省エネ家電の購入支援が交付金の推奨事業として示されたこの機を捉えて、第2弾を実施することといたしました。
物価高騰への支援は市内中小企業・診療所に
みわ議員:横浜市として取り組むにあたって、補正予算の多くが国の税金で賄われるもので、限られた貴重な財源ですから、今、誰がどう困っているのかに注視して振り向けるべきと考えます。
まずは物価高などを転嫁できない公定価格で事業を行っているところとして、診療所などには横浜市としてはこの間支援を行ってきていません。また、中小零細事業者は、この間事業を続けられるかどうかの瀬戸際に多くは立たされているのではないでしょうか。
千葉市では、市内の事業者で、電気、ガス、ガソリン、重油、灯油の経費が合計して月額3万円を超えたら、一律10万円の直接支援を行う「千葉市・エネルギー価格等高騰対策支援金」制度を実施しています。
エコハマ事業のような委託された1事業者が、多額の委託費を受け取るようなやり方ではなく、中小企業振興基本条例に基づいて、横浜経済を支え、これからも支えてくれる事業者の今の苦境にこそ支援が必要ではないでしょうか。市長もご存じだと思いますが、横浜市内には若い方が経営する多くの美容院があります。この間うかがうと、電気代や材料費の値上げを施術の価格には簡単に転嫁できなくて大変だと話されます。
国の推奨事業メニューにある中小企業等に対するエネルギー価格高騰対策支援や人材確保、診療所への物価高騰対策など、物価高騰などの影響を受けている方々への支援を行うべきと考えますが市長の見解を伺います。
山中市長:物価高騰の影響を受け困っている方への対策を進めるべきとのことですが、これまでの補正では国の臨時交付金を有効に活用して物価高騰の影響を受けている市民や事業者の皆様を支援すべく、低所得者世帯への現金給付や社会福祉施設等への支援を年間を通じて実施してきました。今回の補正におきましても、財源が限られる中で低所得者低所得世帯への追加の給付や、商店街振興などを早期に効果が現れるものを実施いたしまして物価高騰への対策を進めてまいります。
出産子育て応援給付金は「ギフト化」せず現金給付の継続を
みわ議員:日本共産党は、全ての方々への物価対策・経済対策として消費税の廃止を目指しつつ、緊急に5%への減税を提案していますが、市としても政府に引き下げを求めるよう要望します。
最後に、子育て応援サイト事業の「子育て応援サイト・アプリ」に、新たな付加を検討している「出産・子育て応援金のギフト化」について伺います。
「出産・子育て応援金」制度は昨年度4月より始まったばかりですが、妊娠の届も出生届も現金5万円のインセンティブの効果が出ているのか、まことに速やかであり、面談もうまくいっていると現場である区役所からの評価は高いところです。
しかし、総合的な評価など実施されていないのに、現金支給をギフト・クーポン支給に変更するのは拙速だと考えますがどうか伺います。
山中市長:出産子育て応援給付金のギフトへの変更は拙速ではないかとのことですが、国は事業開始当初から安心して出産と子育てができるよう、必要な支援が確実に妊婦と子育て家庭に行き届くギフトによる支給を推奨しております。また経済的な負担軽減のための応援金については、活用状況を調査したところ出産子育て以外への利用が見られたため、事業の趣旨に沿ってご利用いただけるようギフト支給に変更をするものであります。
みわ議員:子育て世代に喜ばれている現金での支援をギフト・クーポン化という、行政が考えたメニューしか利用できないやり方に変更する必要はありません。ギフト・クーポン化で潤うのはいったい誰でしょうか。
5万円支給されたご家庭で、出産を迎える又は出産された母体を健やかに維持するようにどう生かそうかと、それぞれがお考えになることができるのが最もふさわしい出産子育て支援ではないでしょうか。
ギフト支給への変更で使い道を限定することはこれまでの取り組みを台無しにする懸念があります。支援金を受け取ったご家庭で、幅ひろく活用できる現金支給にするべきと考えますがどうか伺いまして、第一回目の質問を終わります。
山中市長:子育て世帯が使いやすい現金給付を行うべきとのことですが、国は妊婦や子育て家庭に必要な支援が確実に届き、出産や子育てに限定して活用がなされるようギフトでの支給を推奨しております。ギフト化にあたりましては、市民の皆様のニーズに応えられるものとするとともに、現在国が議論している事業の制度化の動向を踏まえまして本市としての、具体的な手法を検討してまいります。