日本共産党を代表して質問します。
市長公約 出産費用ゼロの実現を
白井議員:初めに、出産費用ゼロの実現についてです。
市長が公約されている3つのゼロのうちの出産費用ゼロに向けて、出産費用調査が行われました。すでに8月から子ども医療費が中学3年生まで完全無料になっているものに続いて、出産費用ゼロについての本格的な検討と言えます。出産費用は分娩取り扱い施設ごとに設定されており、今回の調査では、平均は約55万円、高いところで70万円台のところもあり、分娩件数の9割が基礎的費用は出産育児一時金の50万円を超えた分が負担となっているという結果です。子育て家庭への調査も行われ、経済的な負担感は、収入額によらず高く、最も負担に感じるのが分娩時の入院・分娩費だということが明らかになりました。
支援の仕方として、一律同額の補助では、カバーできないケースが出るため、実質的な出産費用ゼロにはならないと思いますが、どうお考えか伺います。
山中市長:出産費用ゼロの実現についてご質問をいただきました。出産費用ゼロの考え方についてですが、分娩は自由診療であるため分娩取扱施設ごとに料金が設定でき、実際に料金も様々であり同じ基礎的費用と称しても、施設によりばらつきがある、ひらきがあることが分かりました。出産費用ゼロについては、こうした状況を踏まえつつ経済的な負担を軽減し、安心して出産できる環境を整えることが重要だと考えております。
白井議員:東京都港区では、出産費用として81万円を上限として、出産育児一時金の50万円を超えた分を補助しており、ほぼ負担なし、お金の心配なく出産できる仕組みを整えています。こういったことが、出産費用ゼロと考えますが、伺います。
山中市長:基礎的費用について、出産育児一時金を超える分の全額を補助することで、出産費用ゼロとすべきとのことですが、支援方法や内容など本市独自の支援について、本市の今回の調査結果などを踏まえつつ、今後検討を進めてまいります。
白井議員:市内の出生数は2021年度が約2万5,000人、分娩件数は約2万2,600件で、どちらも年々減少しています。費用を心配せず出産できるよう支援することは重要です。現物支給を求めておきます。
気候危機対策は、水素・アンモニアではなく省エネ・再エネに集中を
白井議員:続いて、水素・アンモニア利用ではなく、省エネと再エネに集中した気候危機対策についてです。
「地球沸騰化」といわれるほど、世界の平均気温が史上最高を記録し、温暖化の原因となる温室効果ガス排出量は世界で増え続けており、対策がまったなしです。深刻な気候変動を回避するため1.5℃以下の気温上昇に抑えるパリ協定の目標に合わせるためには、世界全体の温室効果ガス排出を2030年までに半減しなければなりません。世界の多くの国では、2030年代に石炭火力発電の全廃を目標にしており、G7の中でも石炭火力発電の撤退時期を示していないのは日本だけで、既存施設を延命できる水素アンモニアを世界に拡げようとしています。
12月3日、世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク(CANキャン)」は、ドバイで開催されている国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で、岸田文雄首相が1日におこなった首脳級会合での発言に基づき、日本を「本日の化石賞」に選んだと発表しました。授賞理由は、岸田文雄首相が「世界の脱炭素に貢献する」とアピールしながら、石炭火力発電所でアンモニアを混焼する方針を掲げ、石炭火力継続を宣言したためです。CANは、アンモニア混焼方針は実質的な温室効果ガスの排出削減につながらないどころか、日本の脱炭素化の可能性をつぶすとして、環境にやさしいとみせかける「グリーンウォッシュだ」と批判しています。
さらに岸田首相が、アンモニア混焼を東南アジア諸国に売り込む「アジアゼロエミッション共同体」を拡大する意向を明らかにしたことも、東南アジアの国々の再生可能エネルギーへの移行を遅らせると指摘しています。
水素・アンモニアは発電時にCO2を排出しないとされていますが、石炭や天然ガスを燃やして、水素・アンモニアを製造すれば、製造国では大量のCO2を排出しますが、市長の認識について伺います。
山中市長:水素は生産時に大量の二酸化炭素炭素CO2を排出するとのご指摘ですが、水素には製造時にCO2を排出するいわゆるグレー水素また、CO2を排出しないグリーン水素、そしてCO2を貯蔵するCCS、(カーボンキャプチャーストレージ)を組み合わせたブルー水素があります。
国が目指している水素社会は、将来的に主流となるグリーン水素および、ブルー水素前提としており、水素の利用はCO2の削減につながるものであると考えております。
白井議員:本市は、横浜港で海外から水素・アンモニア等を大量輸入して、貯蔵し、利活用を行う「カーボンニュートラルポート」の形成を行うとしていますが、こういう取り組みこそ、日本政府が化石賞を贈られた内容そのものではないかと思いますが、市長の見解を伺います。
山中市長:カーボンニュートラルポートは、化石賞の内容を具体化するものだとのご指摘ですが、国のエネルギー基本計画では再エネの主力電源化や、火力発電の脱炭素化を進め、化石電源の比率を下げていくことを取り組み方針としています。本市は国の動きや技術の革新と合わせ、火力発電の脱炭素化である水素等の混焼、CO2の回収・再利用等によるCO2排出量の削減の取り組みを進め、臨海部全体での脱炭素化を進めていきます。
白井議員:横浜市では、今年7月8月の平均気温が過去10年間で最も高かったと発表されています。2021年度の横浜市域の温室効果ガス排出量は1715万トンCO2で、2013年度比では約21%の減少となっているものの、前年度比では約3.7%増加しています。本市がやるべきは、温室効果ガス排出量が増えている現状を直視し、なかなか進められていない省エネと再エネの普及促進に全力を挙げることです。そのためには、国の施策に引きずられることなく、50%削減目標の逆算スケジュールを立て、施策としては公共施設への太陽光発電設備の100%設置の前倒し、次世代の太陽光発電(ペロブスカイト太陽電池)の実用化検証や、一定規模以上の新築・増設建築物への太陽光発電設備の設置の義務付けと補助、一般家庭への補助金の復活、市内事業者の再エネへの切り替の促進、住宅や学校の断熱化などによる省エネ促進、東北地方などとの再エネ広域連携強化など、大都市横浜に求められていることは山ほどあります。
横浜市が署名した「世界気候エネルギー首長誓約」の第一には、「持続可能なエネルギー(エネルギーの地産地消など)を推進」が掲げられています。誓約に沿った施策の推進が求められています。
世界の2030年までに石炭火力発電の全廃という流れを受け止めて、横浜市の気候危機対策は火力発電の延命策である水素・アンモニア利用でなく、省エネの徹底と再エネの普及促進にこそ予算と人を集中するべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:水素をアンモニアの活用ではなく、省エネと再エネの促進に集中すべきとのことですが、脱炭素化を進め将来世代により良い環境を引き継いでいくことが私達の責務です。そこで将来も見据えた次世代エネルギーの利活用や、省エネと再エネの普及に向けて脱炭素イノベーションの創出、脱炭素のまちづくりを実践する脱炭素先行地域の取り組み、脱炭素ライフスタイルの浸透など、横浜のポテンシャルを生かした取り組みを市民や事業者の皆様と共に進め、カーボンニュートラルの実現を目指していきます。
国際園芸博覧会は過大計画の見直しを
白井議員:次に、2027年国際園芸博覧会の見直しについてです。
国家的プロジェクトとして2027年3月開催予定の国際園芸博覧会まで1200日を切り、グリーンエキスポと呼んで周知キャンペーンが行われています。
園芸博開催の2年前、2025年4月開催予定の大阪・関西万博は開催まで500日を切り、チケット販売が始まっています。11月には会場建設費が物価上昇で1850億円から2350億円へと2回目の増額が示されました。資材高騰や人手不足で工事契約が進まず参加国が取りやめる事態で、建設を間に合わせるための残業時間規制撤廃で過酷労働となるなど問題山積の上、カジノIRに道を開く万博だと日本共産党は中止を求めています。
横浜園芸博においては、博覧会協会による2023年1月公表の資金計画では、整備費について320億円を見込み、国・地方自治体・民間がそれぞれ3分の1ずつの負担で、地方の107億円のうち、本市負担は80億円程度とされていますが、2年前の積算です。
大阪・関西万博が物価・資材高騰で会場建設費が膨らんでいることを見れば、同様に、園芸博の整備費も増加するのは必至です。積算時点から2年たっている現時点で、資材高騰などによりどれほど増加しているとみているのか、また、本市負担はどうなっているのか、伺います。
山中市長:グリーンエキスポ2027についてご質問をいただきました。現時点での建設費の増額見込みと、そのうち本市が負担する額ですが会場建設費については、国・地方自治体・民間で3分の1ずつを負担することとなっており、今年1月に博覧会協会が策定した基本計画を前提として、物価高騰等の状況やコスト抑制策等も含めて開催主体である、協会が整備内容を精査しているところであります。
白井議員:記者会見で市長は、縮減を協会が検討していると言われていますが、会場設計など全体の見直しも含んでいるのかどうか、協会副会長である市長に伺います。
山中市長:会場設計など全体を見直すべきとのことですが。物価高騰などの状況やコスト抑制を図りつつ、適正な整備水準となるよう博覧会協会において整備内容を検討しているところであります。
白井議員:次に運営費についてです。大阪万博の状況をみますと、人件費の高騰などで、当初想定の809億円を1000億円超に引き上げる方向と報道されています。大阪万博の運営費の膨らみを見れば、本市の園芸博の運営費も膨らむことは必至ではないでしょうか。
現在、協会により示されている運営費は360億円で、これは2021年3月に本市が示した額と変わらず、2023年1月の協会策定の計画でも額は変わらず、コロナ禍の経験でも、SDGS推進がさけばれる現状でも、一切の見直しは行われず、360億円は変わっていません。
協会が示している運営費の財源は、チケット収入・物販収入・企業の寄付で賄うとされて、本市が負担する仕組みにはなっていないと聞いています。運営費に充てる収入不足、いわゆる赤字の場合はどうでしょう。国は赤字になっても補填しないと聞いています。大阪万博では国も大阪府市も公費負担することはないと発言したと報道を聞いています。横浜園芸博でも、運営費が赤字になった際に、国と同様に本市が補てんすることはないのですね、見解を伺います。
山中市長:運営費が赤字となった場合の市の負担ですが、そのようなことにならないよう市民の皆様をはじめ国内外の皆様に多く来場をいただけるような魅力と感動あふれる、グリーンエキスポに向けてしっかりと準備を進めていきます。
白井議員:また、園芸博会場へのアクセスは、瀬谷駅、三ツ境駅など周辺の4つの駅からのシャトルバス、空港や横浜駅からの直行バス、貸し切りバス、自家用車などで、会場周辺道路の渋滞対策として、東名高速道路から新たなインターチェンジ、相鉄線をアンダーパスする瀬谷地内線など新たに通す道路、八王子街道の拡幅、上川井インターチェンジ出口の拡幅、交差点の立体化など、大規模な工事が計画され、園芸博後のテーマパーク客のアクセスも含めた大型道路工事となるため、市議団が現地で説明を受けた際には、園芸博の計画がこのままでは、周辺道路整備費についても本市負担で巨費が投じられるであろうと実感しました。
これまで、有料入場者数を1,000万人と見込んだのは、過去の博覧会の実績を基に運営費360億円を賄うのに必要な人数を算定した、首都圏の後背人口などから適正な規模だと聞いてきましたが、有料入場者数1000万人目標を現実的な数字に減らさない限り、整備費も、運営費も、道路整備費等の本市の負担増加は避けられないのではないでしょうか。規模を見直すことなく突き進むことは、本市が赤字補てんした横浜開国博Y150の二の舞いは避けられません。園芸博の入場者数をなぜ見直さないのか、市長の見解を伺います。
山中市長:有料入場者数の目標を見直すべきとのことですが、博覧会の規模と開催期間等を前提にし、地域ごとの居住人口開催地までの距離交通アクセスの状況などを総合的に考慮した数理推計モデルに基づいて算定を行っております。
また海外からの来場者数とも考慮いたしまして、需要予測を行った結果です。適切な計画であると考えております。
白井議員:2022年に開催された、オランダのアルメーレ国際園芸博では、入場者数200万人目標を、途中で68万人に引き下げ、実際には68万5,000人の参加でした。今の世界の情勢に見合った規模の縮小を改めて提案いたします。