大和田議員:日本共産党の大和田あきおです。党を代表し、市第78号議案「国の総合経済対策を踏まえた令和5年度横浜市一般会計補正予算(第4号)」に賛成の立場から、そして市第48号議案「横浜みどり税条例の一部改正」には反対の立場から、また、請願第53、54、55、56号の委員会不採択に反対の立場から討論いたします。
非課税世帯への7万円緊急支援金は、一刻も早く給付を
「エコハマ」「出産・子育て応援金のギフト化」などは見直しを
はじめに、市第78号議案「国の総合経済対策を踏まえた令和5年度横浜市一般会計補正予算」については、特に影響が大きい住民税非課税世帯に7万円給付する「電気・ガス・食料品等価格高騰 緊急支援給付金 給付事業」の早期支給を求める一点で賛成します。しかし、補正予算案の個々の事案については看過できないものもあり、次の3点については問題を指摘せざるを得ません。
一つは、「エコハマ」事業です。
これは、省エネ家電を購入する際に、購入金額の20%上限3万円相当のポイント還元を行うもので、今年5月の補正予算で20億円が予算化され、8月29日から来年1月31日まで実施しています。今回、この事業を来年6月から半年間、追加実施するとして17億5000万円を新たに予算化するものですが、この事業が開始されてから3か月半が経過しましたが、申請は現在6億円にとどまっており、予算の14億円も使われていないのが実態です。そもそもこの事業に市民のニーズに応えているものなのか疑問です。また、事業費全体の5分の1である4億円が委託費として事業者のもとに入る仕組みです。交付金の使い方として適切なのか疑問が残ります。
実施中の「エコハマ」事業についての振り返りや評価が必要です。それらを行わずに、同様の取り組みを来年6月から追加実施することは、あまりに拙速であると指摘せざるを得ません。
2つ目は、「出産・子育て応援金のギフト化」についてです。
「出産・子育て応援金」制度は、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備に向けて、必要な支援につなぐ伴走型相談支援の充実を図るとともに、妊娠や出産した方に計10万円の経済的支援を行う事業で、国で予算化されたものです。横浜市でも今年4月から国の予算を充てて新しくスタートしたもので、当事者からの評判も高い事業です。
しかし今回、来年度からは現金支給をやめ、同額相当の「ギフト」へ支給方法を変えるという提案です。
理由は、「活用状況を調査したところ出産子育て以外への利用が見られたため」としていますが、アンケートに回答された中で、他への利用はわずか16%でしかありませんし、そもそも支給されたご家庭で、出産を迎える又は出産された母体を健やかに維持するようにどう生かすか、それぞれがそのお考えで自由にできるものが最もふさわしい出産子育て支援ではないでしょうか。国も運用にあたってギフトクーポンは本人の選択にとしています。支援金を受け取ったご家庭で、幅ひろく活用できる現金支給が望まれていると考えます。
3つ目は、物価高騰の中、市民への支援があまりに狭く不十分な点です。
今まで横浜市は、物価高騰などに対して価格転嫁できず、公定価格で事業を行っている診療所などには、支援を行ってきていません。また、中小零細事業者は、この間の物価高、燃油高の影響で、経営を圧迫され、事業を続けられるかどうかの瀬戸際に立たされています。
国の交付金の使い方としては、支援を必要とし、これまでの支援が届いていないところを手当する施策にこそ予算を充てる必要があると感じています。
例えば、同じ国からの交付金の使い方でも、千葉市では、電気、ガス、ガソリン、重油、灯油の経費が合計して月額3万円を超えたら、一律10万円の直接支援を行う「エネルギー価格等高騰対策支援金」制度を実施しています。
また、相模原市は、物価高騰が続く中、子育て世帯を支援する目的で、市立小学校の給食費を来年1月~3月まで期間限定で無償化すると報道されています。
今回の市の補正予算案では、7万円給付以外に、6件の事業がありますが、その中で一番多くの予算を割いているのが、先ほど問題点を指摘した「エコハマ」事業です。物価高騰で最も苦しんでいる層を支える施策に力を入れていただくよう要望します。
また、住民税非課税世帯に7万円給付の時期は、年度末だと聞いていますが、福岡市や名古屋市では給付を1月から開始しようと準備を進めているとのことです。横浜市では、すでに3万円給付を「プッシュ型」で行っており、給付先については十分把握されているのですから、市民の窮状の声に応えて、一刻も早く7万円給付が届くようお願いします。
みどり税の延長は認められない
次に、市第48号議案「横浜みどり税条例の一部改正」についてです。
今、失われた30年ともいわれる経済状況で、実質賃金も年間24万円も目減りし続ける中、健康保険料、介護保険料の負担、その上物価高騰により市民生活も中小企業や小規模事業者も困窮しています。一律に年額900円の負担を求める横浜みどり税のさらなる延長は、市民の理解を得ることはできないと考えます。また、みどり税の延長の必要性として、「これまで約1000ヘクタールの樹林地を保全してきた」との説明がありましたが、しかし、1000ヘクタール守ったとしても、結果としてトータルで500ヘクタール減らしてきました。市民の願いは貴重なみどりを守ってほしいというものだったのではないでしょうか。
みどり税が導入されてから15年間、明らかになったことは、現状の緑化・公園設置の義務付けや樹林地保全の事業者協定では緑の喪失を止められないということです。これからの「環境の時代」にふさわしいものは、厳格な規制の範囲内での開発であると考えます。従来と同じ枠内での施策ならば、これまで同様、緑を守ることはできないでしょう。税制調査会答申にも「緑地の減少要因としては」「依然として宅地開発による市内の緑の減少が続いていると言える」と示されています。宅地開発をどうやって規制するのか、そこにこそ知恵と工夫を凝らすことが必要なのではないでしょうか。
横浜の緑が減っている最大の要因である開発行為を野放しにしたままで、市民には超過課税で緑地を買い取るというスキームを続けても、当初から目的として掲げ続けている「緑の減少に歯止めをかけ総量の維持」は一度も達成できませんでした。このやり方自体が破綻しているのではないかと思います。惰性で超過課税を続けることに市民理解が得られるはずがありません。貴重な緑を守り、増やすことを、市の最重要施策と位置付け、一般財源でしっかり予算をつけることが重要と考えます。よって、今議案のみどり税の延長には強く反対します。
市民の声に応えて請願採択を
最後に、請願についてです。次の請願は、委員会では不採択となりましたが、内容はどれも市民の切実な願いであり、ぜひともこの本会議場では、党派を超えて採択していただくことをお願いします。
まず、請願第53号「帯状疱疹ワクチン接種費用の補助について」です。
帯状疱疹は、特に高齢者にとって重大な影響を及ぼす可能性がある疾患です。帯状疱疹の発症率は50歳を超えると急激に上昇し、80歳までに3人に1人が罹患すると言われています。症状が改善した後も1割程度の患者では帯状疱疹後神経痛として疼痛が残り、日常生活に支障をきたすこともあります。これを防ぐ有効な手段としてワクチン接種が推奨されています。ワクチンの公的補助は、全国で204の自治体で帯状疱疹予防ワクチンの公的助成が導入されています。神奈川県内においても、海老名市、清川村、松田町、箱根町、愛川町、南足柄市などで助成が広がっていますが、横浜市ではワクチン接種への助成を行っていません。ワクチン接種の費用は高額であり、横浜市で接種を受けることに困難が生じています。
自民党の神奈川選出の国会議員も、公明党横浜市議団のみなさんも、帯状疱疹ワクチンの定期接種化や財源措置を掲げられています。
すべての市民が公平にワクチン接種を受けられるようにと願う本請願は趣旨には多くの議員が賛同できるものなのではないでしょうか。ぜひ採択をお願いします。
次に、請願第54号「少人数学級の前進で、子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願」についてです。本請願は、市独自の予算をつけて35人以下学級の早期実現と教員未配置問題の解消をはかること、小・中・高の全学年で20人学級を目指して県・国に強く働きかけること、フリースクールに通う不登校のこどもたちに、十分な学びのための予算処置と、居場所づくりを求めています。
子どもの個人の尊厳を尊重した、子どもの声にていねいに応える教育でこそ、子どもたちは豊かに育ちます。一人ひとりに目が届く教育条件を整えていくことは政治の責任だと考えます。本請願の採択を呼びかけます。
次に、請願第55号「子どもたちの健やかな育ちを保障する横浜の保育・子育て支援施策の拡充を求める請願」についてです。
請願項目は、補助金の増額と、保育料が無償化となっていない、0歳児・1歳児・2歳児の保育料の大幅軽減、75 年もの間改善されていない 4・5 歳児の保育士配置基準の改善、保育現場の看護職員・事務職員・栄養士・調理員の正規化と増員のための予算措置、保育所等で働く職員が働き続けられる賃金と労働環境の保障などを求めています。保育の拡充は子育て世代を支える重要な施策です。現場から上がっている課題の改善はまったなしです。保育現場の声に応えて、本請願の採択を求めます。
請願第56号は、「中学校給食に煙草の吸殻混入事件の徹底調査を求める請願」についてです。
10月5日、民間工場で中学校給食の食材であるジャガイモを調理している鍋から、タバコの吸い殻が発見されました。市教育委員会の調査では、詳細な報告がなく、また異物混入の経緯も明らかにできませんでした。
日本共産党は、緊急に市教育委員会に原因に対する再度の調査を求め、事業者に責任を果たすよう申し入れを行いました。しかし、市教育委員会はその原因を未解明のままにしました。その後、本定例会に市民団体から徹底調査を求める本請願が出され、常任委員会審査の中で、保健所による立ち入り調査の報告書に、同一銘柄の喫煙者の存在が記載されているとの事実が明らかになり、これまでの方針を一転し、原因を再調査すると表明しました。深刻なのは、これらの問題が常任委員会や議会には、一度も提起されていなかったことです。市民からの請願がなければ、この問題点が明らかになりませんでした。
今後は、2度とこのような事態が起こらぬよう、調査結果の詳細と再発防止策の公表を行うべきではないでしょうか。
議会の多くのみなさんのご賛同をお願い申し上げます。
最後に、11月30日、横浜市会において、「ガザ地区における平和の早期実現を求める決議」を全会一致で上げ、人道的停戦を求めました。しかし、いまもイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ市民への無差別攻撃が続いています。武力では平和な世界を築くことはできません。ガザ地区での早期の人道的停戦を願い、横浜市会においても、市民とともに平和を求める声を上げ、ともに力を合わせましょう。
以上で討論を終わります。