2022年9月7日
横浜市長 山中竹春 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 荒木由美子
2020年2月17日の地方情報誌に「リーグ戦が開幕するサッカーJ1に13年ぶりに復帰した横浜FCのホーム・ニッパツ三ツ沢球技場。球技場の屋根の新設を求める声に、林文子市長が前向きな姿勢をみせている」と掲載されていました。この情報の通りだとすれば、前市長の『鶴の一声』で、局内で屋根設置にむけての検討が始まり、2021年度の予算書には「三ツ沢公園球技場の改修に向けた検討等を進めます」と記され、今年度も全く同じ表現で記されています。しかし、今年6月「既存の球技場も活かしながら新たな球技場の建設について検討を進めます」と、新球技場建設案が突如浮上してきました。
三ツ沢公園は、サッカーだけでなく、陸上競技やテニスも楽しめる公園で、ランニングコースもあり、市民にとって気軽にスポーツに触れることができる施設です。公園内には小さい滝や小川が流れ、その先には池があります。丘陵地を活かした公園で、起伏があり階段が多く、その階段の脇には多くの木々が植えられ、心地いい風が流れて都会の喧騒を忘れさせてくれる場所で、平日でも多くの市民が利用し、市民に愛されている公園です。
今回の意見募集のリーフでは、公園の北東側に新競技場建設予定地として配置イメージ図が描かれています。三ツ沢公園内での新球技場建設構想について、多岐にわたる問題点を2点に絞り指摘させていただき、党市議団の意見とします。
(1)この新たな球技場建設予定地とされている所には、青少年野外活動センター、自由広場、テニスコートとあり、これらの市民利用施設が廃止されることになります。また、補助陸上競技場がなくなれば、陸上競技場の本来の機能発揮が損なわれてしまいます。代替施設となれば、公園敷地内では敷地が限られ縮小されての設置となることが予想できます。また、桜山は小高い丘となっており、花見の名所となっています。この桜の存続も危ぶまれています。既存樹木は、移植とありますが、樹齢を重ねた巨木も多く容易でないことは否めません。移植できたとしても立ち枯れも危惧されるところです。多くの樹木を伐採しなければ建設が不可能なことから、自然破壊につながることは必至です。当該エリアでの建設は、市が三ツ沢公園の再整備の『目的』に掲げる「スポーツのできる公園の充実」「花と緑の充実による公園の魅力向上」に明らかに反しています。
(2)「新たな利用ニーズも十分な対応ができていません」ということを新球技場建設の理由として挙げていますが、どういうニーズがどれくらいあるのかデータが全く示されていません。これでは新球技場建設についての是非を論じることができません。「ご意見を寄せてと言われても、出しようがない」という批判が党市議団に寄せられました。
今回の意見募集で、市民やスポーツ業界から三ツ沢公園内での新球技場建設を求める意見を集計すると聞いていますが、プロスポーツはビジネス・事業活動の側面を有していることから、新しい球技場を公が整備することとなれば、市民とプロスポーツファンの熱い支持と共感が必要です。しかし、少なくとも私たちはその息吹を感じられません。そして、三ツ沢公園以外で新球技場を計画する場合は、球技場を使用するプロスポーツ会社・関連する親企業が建設に全面的に責任を負うことも当然のことです。こうした諸条件・環境が整っていない中での当新球技場構想は、無謀です。新たな球技場については、ゼロベースから市民参加で検討することを求めます。