◎実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われました。
大貫議員:私は、日本共産党を代表して、林市長に質問します。
アベノミクス至上の行政運営は地方自治の本旨と相反する
まず、市長の政治姿勢について伺います。
市長は、新年度予算案のポイントに、「国が推進する国家戦略特区や地方創生、一億総活躍社会の実現などと連携した施策を推進」することを掲げました。まさに、安倍政権の成長経済戦略・アベノミクスを横浜市として今後も推進するというものです。
予てより市長は、「国の成長経済戦略を現場で具体的に実現するのが基礎自治体としての役割」、さらには「国は政策を掲げ、法や制度を作りますが、それを実行し、成果を市民のみなさまに届けるため、現場で汗を流すのは私たち基礎自治体」とまで述べています。
これらの発言について日本共産党は、地方自治そのものを理解していないものと批判させていただきました。すなわち、憲法第92条が示す地方自治の本旨とは、住民自らが地域のことを考え、自らの手で治めるという住民自治の立場に立ち、地方公共団体が、国の干渉を受けることなく、自らの判断と責任で地域の実情に沿った行政を行うことです。
この立場に立てば、アベノミクス至上の本市の行政運営は、地方自治の本旨と相反すると言わざるを得ませんが、市長の見解を伺います。
林市長:大貫議員のご質問にお答え申し上げます。
市政運営について、ご質問いただきました。
国の動きと連携した施策の推進についてですが、少子高齢化の進展や東京への一極集中など、横浜を取り巻く状況が厳しさを増す中で、将来にわたって市民のみなさまのくらしをお守りしていくため、子ども子育て支援、介護、医療ニーズへの対応、経済の活性などの取り組みを中期4か年計画に基づいて進めております。国家戦略特区や一億総活躍社会の実現などはこうした本市の施策を後押しするものでありまして、国と連動し、取り組みを加速させております。
投資による経済発展についてですが、横浜経済の強化のためには、都心臨海部の再整備や高速道路網の整備などが不可欠です。こうした将来に向けた投資に加え、さまざまな施策を連携することにより、横浜経済の活性化、ひいては税収増につなげてまいります。
投資についての予算計上の考え方ですが、基礎自治体の役割として、子育てや福祉など市民のみなさまのくらしに直結する施策の充実はもちろんのこと、市内経済の活性化や防災上も重要な役割を担う骨格的な都市施設への投資も大切です。今後も施策の推進と財政の健全性の維持をしっかりと両立させながら、横浜の将来を見据えて必要な投資を行っていきます。
大貫先生が先程から大型公共投資のいったいリターンは何だっていうようなご質問がございますけれども、私は、横浜市は非常に他の他都市に比べて道路事情などが遅れていると思うんですね。たとえば、港湾に対する投資もそうなんですけども、これは国の重要な経済成長に対する投資でもあるし、横浜の経済をずっと担ってきた港でございます。しかし、大変残念ですけど、国際コンテナ戦略港湾が、それ以前にスーパー中枢の港湾の政策もございましたけども、極めて中途半端に進んでまいりました。本気になって、今回政府が取り組んで、おかげさまで横浜・川崎港湾株式会社もやっとできたわけでございます。そういう時の背後圏の経済との流通、物流、そういうことをシェアするという意味での道路事情も極めて横浜市は悪いと。ですから、先生は過剰投資というふうにお思いでしょうけども、私は、今、公共投資にかけている、道路とか港湾についてもそうなんですが、大型投資はけっして過剰であるとは思いませんし、先生がご希望なさるというのはわれわれの気持ちすべてでございます。医療とか福祉とか、もうみんながやりたい。そういうことの基本的なものを支えるための投資だというふうに思っておりますので、ちょっとご質問をそれたかもしれませんけど、そういう意味では施策の推進と財政の健全性の維持ということを両立させているという、そういう予算であると申し上げたいと思います。
投資を行うことによる市民生活への影響ですが、中期4か年計画において、子ども子育て支援や福祉・医療の充実など、市民生活の安全安心確保に必要な施策、申し上げたようにしっかり盛り込んでおります。
大型公共工事への「大胆」な投資が過剰でないという根拠は何か
大貫議員:市長は、「市民福祉を充実させるためにも財源が必要だ。そのためにはまず、法人市民税収入を増やさなければならない」とし、2025年に向けた「未来へのまちづくり戦略」を示し、新市庁舎建設に加えてMICE(マイス)施設や、エキサイトよこはま22など臨海都心部の再整備、高速道路や戦略港湾整備など経済成長のためのインフラ整備に大胆な投資を行っています。
住民福祉の向上のためにも財源確保が重要であることは論を待ちません。しかし、市長がいう大胆な投資が、本当に財源確保として有効なのでしょうか。
常日頃、市長は、民間経営者の出身の目で市政を運営しているとおっしゃっています。古今東西、マーケットの将来予測を間違えて過剰投資をする経営者は、利益を出すどころか投資した資金を回収できず、事業に失敗する場合がほとんどです。企業経営の常識から言えば、アベノミクスの波に乗り、単なる希望的予測によって事業を推し進めることは、本市の財政を歪め、莫大な借金と無用で膨大なインフラ群を残すだけです。許されるものではありません。
市長のおっしゃる大胆な投資が過剰でないという根拠は何なのか、本市の法人市民税収入を増やす保証はあるのか、この際、明確にお示し下さい。
このまま進めば、PFIなどで民間資金の活用を図ったとしても、早晩、大幅に資金ショートする恐れがあります。市長は、その対応策として、受益者負担の拡大、選択と集中の名による福祉予算のカット、さらなる民営化や委託化などを掲げています。それではまさに、大胆な投資が市民生活を圧迫する事態になりかねません。市長の見解を伺います。
林市長:アベノミクスについてです。国民総所得や税収の増加、中小企業倒産件数の減少など、その果実が確実に私は現れていると思います。世界経済の先行きに不透明感もございます。その中で、経済の好循環を生み出していくんだという決意のもとの政策の実現ですね。まさに今、正念場だと思います。世界経済は予測以外のことが起きるところでございますけれども、日本も非常に踏ん張っているわけですね。ですから、私は、先生がおっしゃった国の政策に全部ついていくのかというんじゃなくて、私がやっていることは、今、横浜に必要な経済成長のための投資というのは、本来的に横浜がやらなくちゃいけないこと、それを今、たまたまといったら失礼ですけど、安倍政権になって非常に後押しになっているという意味だと思います。そういうチャンスに乗っからないっていうことはありえないということを、ちょっと私は申し上げたいと思いまして、そういうことをご理解賜りたいと思います。
子どもの貧困対策に「子ども食堂」や奨学金制度の拡充を
大貫議員:そもそも、市長の信奉するアベノミクスの3年間は、いったい何だったのでしょうか。3年間で大企業の経常利益は6割も増え、内部留保は300兆円を超えました。その一方で、国民所得が減り、消費も落ち込み、非正規雇用は初めて労働者の4割を超えました。厚生労働省の国民生活基礎調査では相対的貧困率は16.1%で、6人に1人が貧困ライン以下と、1985年の調査開始以来最悪となっています。社会保障の削減はくらしを直撃し、さらには消費税の8%の増税で2014年度のGDPはマイナスとなりました。
「大企業を応援すれば、やがて国民は潤う」とするトリクルダウン経済論は、貧困と格差の拡大をもたらしました。アベノミクスは完全に破たんしたといわざるを得ません。市長の見解を求めます。
とりわけ、子どもの貧困は深刻です。子どもの貧困率は16.3%、ひとり親家庭の貧困率は2012年の統計では54.6%と、OECD加盟34か国中最悪となりました。横浜市にとっても貧困は他人ごとではありません。市長はその認識をお持ちでしょうか。市政運営上の基本問題です。明確にお答えください。
市長は、十分に食事をとれない子どもたちが本市にどれ位いるのか把握されていらっしゃるでしょうか。2月18日の毎日新聞の報道によれば、生活保護以下の収入で暮らす子育て世帯が過去20年で倍増し、神奈川県の貧困率は11.2%です。いま、貧困家庭の子どもの生活を支えるために緊急に手を打つことこそ、基礎自治体としての役割ではないでしょうか。
市長は、「子どもたちは、次の世代を担う宝です。その未来が、家庭の経済状況によって左右することはあってはなりません」として、実効ある施策で支援が確実に届くよう取り込むと述べられています。しかし、新年度予算に計上された子どもの貧困対策予算108億円は、児童扶養手当105億円を除くと4億円にしかすぎません。
いま、NPOなど民間が、経済的理由で十分に食事がとれない子どもたちや、ひとり親家庭で孤食状態にある子どもたちの支援のために、「子ども食堂」の開設が各地で始まっています。政令指定都市の堺市は、新年度から食事を無料で提供する「子ども食堂」設置の予算を計上しました。本市においても直営の「子ども食堂」設置を含め、民間とも協力し、生活や学習支援をはじめ、子どもの貧困対策をいっそう強めるべきですが、市長の見解を伺います。
大型公共事業による勝算のない経済成長に未来を託すよりも、確実に本市の未来をつくる力である子どもたちにこそ大胆に投資すべきです。
また、経済格差が子どもの教育格差を生み、貧困の世代間連鎖として大きな問題となっています。生活保護世帯の子どもたちの大学進学率は、全世帯の73%に対し31.7%です。一方、民間調査機関の推計では、貧困状況の子どもたちの進学状況などが改善した場合、生涯所得が2.9兆円増え、国の財政が1.1兆円改善するとしており、政府も国会で同様の調査報告をしています。
貧困の連鎖を断ち切るためにも、市内高校生向けの給付型奨学金の対象と支援金額や横浜市大の授業料減免制度をさらに拡充し、本市としても新たに大学・専門学校の学生のための給付型・無利子の奨学金制度を創設すべきだと考えますが、市長の見解を求めます。
林市長:ひとり親家庭などの子どもの貧困についてですが、子どもの貧困は経済的な困窮に加えまして、不十分な養育環境や社会的孤立などさまざまな困難と関連しております。ひとり親家庭は、不安定な就労や低所得の方も多くて、時間的精神的な余裕がない中で、多くの困難を一度に抱える傾向にあります。そのために、養育が十分できないなど、子どもの育ちに影響を及ぼす場合もございます。そこで、ひとり親が仕事と子育てを両立できるように支援するとともに、子どもへの生活・学習支援を充実させるなど、家庭を支えることが重要だと、私は認識をしています。
子どもの貧困対策について、子どもへの生活や学習支援を民間とも協力し、いっそう強化すべきとのお話ですが、現在もNPO法人等と連携して、子どもの基本的な生活習慣の習得や高校進学に向けた学力向上のための寄り添い型の支援などを進めておりまして、28年度も拡充を図ってまいります。また、市内でも子どもへの食事の提供を含む居場所づくりなど民間の自発的な取り組みも始まっておりまして、大変感謝しております。今後、これらの地域の取り組みについてもしっかりと把握いたしまして、さまざまな担い手との連携を進めてまいります。
市内高校生のための給付型奨学金の対象と支給金額を拡大すべきとのことですが、市内の高校生に対しては、横浜市高等学校奨学金のほかに、就学支援金もあります。さらに26年度から国の制度として、高校生等就学給付金も導入されましたので、教育委員会にはこれらの制度を適切に運用してほしいと考えております。
横浜市立大学の授業料減免制度の拡充についてですが、市大ではこれまでも申請に基づき基準を満たす学生に対して授業料の減免を行っております。今後も経済的理由で就学の機会が損なわれることのないよう、現行制度を的確に運用いただけるものと考えております。
また、大学生等を対象とした奨学金制度の創設についてですが、本市ではひとり親家庭等の子どもについて、大学などでの就学に必要な授業料や入学金の無利子での貸付を行っております。これらの制度を引き続き適切に運用してまいります。
横浜から官製ワーキングプアをなくせ
大貫議員:まさに、アベノミクスによる貧困と格差が国民を苦しめています。国の悪政から住民を守るのが地方自治の精神です。
「隗より始めよ」です。まず、本市から官製ワーキングプアを生み出す要素を排除しなければなりません。本市の正規職員に対する非正規職員の割合は、全体で15%です。中でも、保育、介護、看護などに従事するのは大部分が女性で、これらの分野には非正規職員が多く、賃金も低い状況です。
市立保育所では、たとえば港南台保育園では正規保育士17人に対しアルバイト等の保育士および保育補助員8人、若葉台保育園では正規保育士18人に対してアルバイト等の保育士および保育補助員8人となっています。賃金も、たとえば非正規のアルバイト保育士は時給1,224円で、週30時間計算で月14万7,000万円です。
市長は「『日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市』の実現に向けて、取り組みを加速する」と表明されています。その言葉が事実なら、可能な限り本市非正規職員を正規職員に切り替えるべきですが、市長の見解を伺います。
昨年の第4回定例会でわが党は、指定管理者制度の問題点を指摘しました。指定管理者制度では1期が5年間などと指定管理期間が決まっており、期間終了後は改めて次の指定管理者が決められるため、事業者は職員を有期の非正規雇用とせざるを得ません。つまり、この制度自身が、不安定雇用による貧困と格差を生み出しています。しかし、市長は、この問題については民間と民間、民・民の問題として「われ感せず」の態度を決められてきました。
指定管理者の仕事は本市の事業であり、当然、市には発注者としての責任があります。元々市の直営であったところは直営に戻すなどの抜本的見直しや、指定管理などの事業を行う受託事業や公共工事で働く労働者の賃金と労働条件を改善するために、公契約条例の制定が必要です。
公契約条例については、先ほど今野議員より公契約条例制定を求める質問がありました。市長は、これまでと同じ、後ろ向きの答弁でありました。市長は公契約条例の有効性を理解されていないのか、私はそう思います。
同条例は、千葉県野田市で最初に制定され、県内では川崎市、相模原市、厚木市で制定されています。公契約条例は公共工事従事者だけに適用されるものではありません。本市の公(おおやけ)に関わる仕事に関わるすべての人たちに適用されます。
すでにアメリカではリビングウェッジとして実施されているように、公契約条例で事実上、市内の最低賃金を押し上げることも可能です。労働者を守り、本市経済を活性化させるためにも、また本市の事業によって貧困と格差を助長させないためにも、本市でも公契約条例制定を急がなければなりません。改めて、市長の見解を伺います。
林市長:非正規職員を正規職員に切り替えるべきとのことですが、これまでも各区局で事務事業を実施する際には、どのような執行体制がもっとも効果的かつ効率的であるかという観点から、いわゆる正規職員を配置するか嘱託員等とするかを慎重に検討してきました。28年度は、正規職員を配置すべきと判断すべきと判断したものについて、本市全体で27年度と比較して70人の増員を行います。今後も、厳しい財政状況などを踏まえて、各業務の状況を把握しながら必要な人員を配置してまいります。
公契約条例の制定についてですが、本市契約に従事する労働者の労働条件の確保は重要ですので、本市では、低価格競争対策や社会保険未加入対策などに積極的に取り組んでいます。公契約条例に関しては、労働者の労働条件は労使間での自主的な決定が原則との国の見解を始め、さまざまなご意見がありますので、引き続き国の動向を注視するとともに、他都市の取り組み等の研究を行ってまいります。
アベノミクスは横浜の景気回復に貢献したか
大貫議員:アベノミクスは、横浜の景気回復に貢献したでしょうか。この点について、まず市長に伺います。
市内経済を取り巻く状況について本市経済局は、「本市の景況・経営動向調査によると市内中小企業は必ずしも回復の実感が行き渡っていない状況にあり、先行きに不透明感が出ている」としています。本市の景気を回復させるためには、幻想でしかないトリクルダウン経済のおこぼれを待っていられません。中でも市内事業所の82%を占める、従業員が製造業で20名以下、商業・サービスで5名以下の小規模企業に対する支援が急がれます。
政府は2014年6月、小規模企業が地域の経済の担い手、雇用の創出・維持に大きな役割を果たしていることに着目し、事業の持続的発展を図る施策を、国や地方公共団体が連携・協力して講じるよう求めた小規模企業振興基本法を制定しました。同法は、地方公共団体にも小規模企業の振興について「区域の諸条件に応じた」施策の策定とその施策の実施の責務を課しています。
横浜市として、早急に同法に基づき、小規模企業の実態を調査し、地域循環型経済における小規模企業の存在意義や役割を明らかにすることが必要ですが、市長の見解を求めます。
2014年4月に強行された消費税の8%への税率アップと、アベノミクスによる円安に伴う物価上昇は、市民生活と中小企業の営業を直撃し、消費購買力を劇的に低下させました。安倍自公政権は来年4月に消費税率を10%に引き上げるとしています。市内のすべての事業者の営業と、そして市民の生活を守るために、消費税率の再引き上げに反対し、当面5%に引き下げるよう、横浜市として強力に国に申し入れをすべきです。その意思をお示しください。
林市長:横浜経済の振興について、ご質問いただきました。
アベノミクスの横浜経済への影響についてですが、26年の横浜の観光客数は3,452万人、観光消費額は2,771億円で、共に過去最高の更新をしておりまして、平成22年度にくらべれば1.5倍位にはなっているはずです。27年の主要ホテルの稼働率も実に年平均88.1%となっておりまして、これは観光業界からみるともう驚くべき数字だということを、私、先日言われました。ですから、お断りしているホテルも多いということなんですね。有効求人倍率は大幅に改善いたしまして、市内企業の倒産件数も減少しています。直近の日銀横浜支店の金融経済概況でも、神奈川県の景気は緩やかに回復しているといっております。今後とも、市内企業のみなさまに景気回復を実感していただけるよう、きめ細かな支援や企業誘致など多角的な経済活性化策に力を注いでまいります。
もちろん、議員の先生方とご一緒に経済政策を議論して、市が独自でがんばっていると、市自体ががんばっているということがありますけれども、やはりタイミングとしては安倍政権の政策が非常にうまくマッチしているというか、そういうことを申し上げたいと思います。
それから、小規模企業への具体的な施策です。これは、大変横浜市にとって、最も力を入れているところでございます。横浜市景況経営動向調査や支援策の説明やご要望をお聞きする現場訪問、支援事業など、機会を積極的に活用して、小規模企業のみなさまからも直接声をお聞きするように努めております。横浜市ではこれまでも、横浜市中小企業振興基本条例を踏まえて、小規模企業の持続的発展に向けた取り組みを進めてきましたけれども、28年度予算案においては小規模企業向けの制度融資における利率の引き下げ、事業承継への支援、商店の魅力アップにつながる事業を強化するなど、きめ細かく取り組んでいます。今後とも、小規模企業の事業の継続発展をしっかりとお支えしてまいります。
消費税率引き上げの申し入れについてですが、消費税は24年8月の法改正によりまして、引き上げ分の全額を社会保障の充実・安定化に充てることとされております。今後、高齢化が進む中、福祉、保険、医療サービスに対するニーズは増大が見込まれて、若い世代の夢や希望につながる子ども・子育てなどの取り組みを充実していくことが本当に大きな課題でありますし、必要でございます。そうした社会保障施策の財源として、横浜市でも有効に活用しております。
アベノミクス「新3本の矢」実現の市施策は
大貫議員:安倍首相は昨年9月、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新3本の矢」を打ち出し、「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」現実実現を打ち出しています。
この中で、希望出生率と介護離職については、本市の中期計画で最大の課題として少子高齢化対策を掲げていることから、本市自身の解決課題でもあります。
旧3本の矢は、労働者派遣法改悪で若者の労働・経済環境をさらに悪化させましたが、これでどうやって結婚や子育てをしろというのでしょうか。
今、介護の現場では、介護報酬が引き下げられたことによって、介護職員の処遇改善に結びつかず、その結果、介護職員の離職が進み、介護施設が閉鎖する事態も生まれています。これでは、親の介護で離職する人をなくすどころか、介護サービスそのものを受けられなくなってしまいます。
市長は、国の政策を実行するのが基礎自治体の責務とおっしゃっています。国の政策である希望出生率1.8と介護離職ゼロを実現するために、本市は新年度予算に新たに何を計上したのか、伺います。アベノミクスの下請けで大型公共工事には多額な予算を付け、新3本の矢に基づく少子高齢化対策にはほとんど予算を付けないとなると、市長の言動の信憑性が疑われてしまいます。それとも、新3本の矢は夏の参議院選挙に向けての安倍首相の単なるパフォーマンスと市長も考えていらっしゃるのでしょうか。明確にお答えください。
林市長:アベノミクス新3本の矢について、ご質問いただきました。
希望出生率や介護離職への対策についてですが、28年度予算においては、これまで力を入れてきた待機児童対策や放課後児童対策など子ども子育て支援、ワーク・ライフ・バランスや、働き方改革を推し進める女性活躍支援、さらには地域ケアプラザを核とした横浜型地域包括ケアシステムなどに、必要な予算を盛り込んでおります。
新3本の矢についてですが、出生率1.8%や介護離職ゼロなどの高い目標を掲げたことは、日本社会の構造的な課題でございます少子高齢化に正面から向き合う安倍首相の強い意志の現れだと私は考えます。これらは、子育てや女性活躍支援、高齢者施策の充実など横浜市がすでに力を注いでいる施策を国レベルで協力に後押ししていただけるものと期待をしております。
国際社会の平和と積極的平和主義は相容れない
大貫議員:最後は、平和の問題です。
先ほど「横浜市国際戦略」が議決されました。わが党は、地方自治体の国際戦略は、交流・友好・平和を高く掲げ、海外諸都市との互恵平等の関係を築くことを目標にすべきであり、経済成長のための戦略ではなく、国際平和に貢献するという高い見地での見直しを主張し、議決に反対しました。
2007年に策定された「横浜市海外都市との都市間交流の指針」では、「もはや国際社会全体の平和や繁栄と切り離して、一都市あるいは一国が単独で平和や繁栄を享受することは、困難な状況となっている」とし、国際平和こそが都市間交流の基本中の基本としています。全くその通りです。国際局の基本理念は、互恵平等な都市間交流の発展で国際平和を構築することだと考えますが、改めて市長の見解を伺います。
安倍首相は積極的平和主義を掲げ、平和の名のもとに自衛隊を海外に出すことに血道をあげています。世界の歴史は、戦争は平和をもたらすことなく、憎しみの連鎖を生み出すことを証明しています。本市の国際戦略が都市間の交流で国際社会の平和や繁栄を作り上げようとするものであるならば、安倍首相のいう武力による積極平和主義とは相容れないものと考えますが、市長の見解を伺います。
太平洋戦争で2,000万のアジアの人々の命を奪った日本が戦後、世界に貿易立国として受け入れられた背景には、二度と戦争はしない、そのための武力は持たないことを明記した憲法第9条があります。都市間交流にあたって、憲法第9条を何よりも大切にしなければならないと考えますが、市長の見解を求めます。
昨年9月、安倍政権は、歴代の元内閣法制長官や多くの憲法学者が憲法違反と批判している安保法制を、国民の轟々(ごうごう)たる反対の声を無視して、成立させました。戦後初めて、自衛隊が海外で人を殺し殺される危険が迫っています。さらに、安倍首相は夏の参議院選挙の争点に憲法改定を掲げようとしています。
国会では、野党5党が共同して安保法制・戦争法廃止法案を提出し、国政選挙においても協力することを合意しています。
いまこそ、市民の命とくらしを守る責務を担う市長として、そして世界の平和に貢献するために、憲法改悪に反対し、同時に安保法制・戦争法廃止を国に求めるべきです。市長の見解を伺って、私の代表質問とします。
林市長:平和問題について、ご質問いただきました。
互恵平等な都市間交流の発展こそが国際平和を構築することを基本理念とすべきとのことですが、先ほど議決いただきました「横浜市国際戦略」では、世界とともに成長する横浜という理念を掲げております。今後も海外諸都市との連携を深めまして、互いに価値を高め、課題の解決に向き合う自治体外交を推進してまいります。
本市の国際戦略と積極的平和主義が相容れないとのお話ですが、25年12月に閣議決定された国家安全保障戦略では、基本理念として国際協調主義に基づく積極的平和主義が掲げられています。こうした中、本市は都市間連携や国際協力に積極的に取り組むことによって、世界とともに成長する横浜を実現し、国際社会の平和と発展に貢献していきます。
憲法改正についてですが、引き続き国民的議論がなされるものと、私は考えております。また、法の廃止を国に求めるべきとのご意見でございますが、そうしたことは考えておりません。以上、ご答弁申し上げました。
大型公共工事だけではなく足元の経済をしっかりさせよ
大貫議員:答弁、ありがとうございました。答弁のほとんどは納得いくものではありません。
具体的には、この後の予算特別委員会で論議させていただきますけども、たとえば、アベノミクスが横浜経済にどういう効果を示したのかという問題では、市長は観光業界がすごいんだと、こういうふうにおっしゃってましたね。驚いているというふうにおっしゃいましたけども、それならばなぜ、横浜市の経済局が言っているように、本市の景気動向経済動向によると、市内中小企業必ずしも回復の実感が行き渡っていない、不透明感が出ている、こういうふうに言っているわけですよ。一部には、そういうところに影響するかもしれませんけども、横浜の経済全体には反映していないということを言っているじゃありませんか。この点について、お答えください。
それから、大型公共工事に対する投資の問題、必要なものはやらなきゃいけません。当たり前の話です。だけど、それに偏ってはだめだと私は思っているんですね。特に、今アベノミクスの第2の矢でやっている大型公共工事を進めていくという国の政策を横浜市はそれに乗っていると言ってますけども、結果として、たとえば高速道路、あと何十年も経って、本当にそれが必要なのか、さらにはそういったことを考えますと、いろんなルートが出来たとしても、さらには横浜の足元の経済がどうなっているかわかりませんね。足元の経済をきちっとしないで、ただ将来のことばっかり言ってたんじゃ、これはもう話になりません。やはり、何よりも大切なのは、今の足元の経済どうするか。そうじゃないでしょうか。そのためには、中小企業、99.6%の中小企業が、ここでの法人市民税をどうやって広げていくかというのが、これが今、横浜でやられるべきことじゃないでしょうか。
同時に、たとえば中期計画でいえば、まさに横浜の課題として、インフラの、横浜の今あるインフラの公共施設の老朽化っていうのは非常に大きな問題になっているわけですよ。この問題の仕事をするのは中小企業の仕事ですよ。ここにお金をきちっと出して、中小企業の仕事をする。こういうことも片方できちっとすることが大事で、これをないがしろにしちゃいけないというふうに思いますが、市長の見解を求めます。
文化・芸術の香る横浜に
最後に、私は市長が1期目の頃、横浜を文化、芸術輝くまちにしたいと言われたと思います。私もそうだと思ってます。しかし、やられていることは、横浜経済最優先にまちづくりをしている、ここに大きな問題があると思うんですよ。ですから、市長、やはり文化の香る、芸術の香る横浜にしましょうよ。そのことが、横浜の経済、さらには横浜の文化を高め、そして、国際都市として多くの方々を横浜に呼びつける、呼びこむ力にもなります。子どもたちに本物を紹介する、そしてお年寄りには希望をプレゼントする。こういう意味での文化をきちっと横浜に根付かせる。このことをきちっとやることによって、横浜の未来、これをつくろうではありませんか。ご意見、伺います。以上です。
林市長:大貫議員のご質問にお答え申し上げます。
ちょっと私の説明不足でございました。先ほど、観光業界の方がすごいねとおっしゃったのは、ホテルの稼働率なんですね。ちょうど私が就任直後は確か75%前後だったんですが、今88%という。これはすごい成長だということを申し上げていて。ただし、99%の横浜の市内の中小企業は厳しいということはすごく認識をしておりますから、そういうことに力を入れた予算をおつけしているということは申し上げたいんです。
それから、足元経済をなんとかしなくちゃいけないじゃないかと申し上げておりますけど、足元経済をなんとかしたいということはずっとわれわれやっておりまして、そのために横浜市の法人税が本当に、ちょっと政令都市の中でも大変少ない。一部国税化されてしまいましたけど、最大いった時640億なんですね、年間。大阪市がだいたいその倍でございます。東京都は1兆5,000億近いということでございます。東京の隣でこれだけ法人税が少ない。しかし、個人の市民税が多いから安定しているというのは、これはちょっと違うわけで、法人税だって入ってこなければどうにもなりません。収支不足がすごいですね。ですから、企業誘致一生懸命やって、そういう方たちが横浜市内中小企業とつながっていく、そこでいろいろなビジネスが生まれることを目指して、そういう意味で、ひとつの理由として、大企業を誘致しているということでやっているわけです。一番大事にしているのは、横浜市内の経済です。ですから、ほとんどいろんな公共事業についても、道路とかなんとか、できるだけ横浜市内の中小企業振興基本条例に基づいてやってるのはごらんいただいているんではないかと。私がこんなに熱くなってちゃいけないんですけど、すいません。
それから、文化観光事業ですね。これはご承知のように、私は力を入れておりまして、文化芸術アクション事業というのもやっております。これは、今一番、文部科学省にも評価されておりますけども、プロの人達を、プロのアーチストを学校に送り込んで、教室とか体育館でいろんな実技をやってもらって、非常に子どもたちが成長しています。そこは、議会のご理解もあって、そちらの方にもお金をかけております。以上でございます。ご答弁申し上げました。