◎実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われました。
岩崎議員:日本共産党を代表して、2016年度横浜市予算の関連質問を行います。
安倍政権の経済成長戦略により貧困と格差が拡大し、国民の6人に1人が貧困ライン以下の生活を強いられ、国土強靭化政策による大型公共事業の強行で、防災対策、公共施設老朽化対策が遅れ、市民生活の安全が脅かされています。
子どもの貧困対策に本腰を入れて取り組め
岩崎議員:暮らしの安心の視点から、まず伺います。
第1に、子どもの貧困対策です。
子どもの貧困対策は、国が子どもの貧困対策の推進に関する法律を策定したのに続き、国会では超党派議連も発足し、国をあげての位置付けになっています。本市は3月にも、子どもの貧困対策計画を策定します。
そこで、横浜市における子どもの貧困の実態及び対策の緊急性について、認識を伺います。
この課題では、本市が本腰をいれるかどうかが問われています。予算案に計上された子どもの貧困対策事業は14事業と聞いています。そのうち、寄り添い型生活支援事業は、対象の生活困窮小・中学生が数千人規模に対して、事業量と予算額は8か所、206人、7,360万円、新年度は1か所増えるだけであります。ひとり親家庭等日常生活支援事業は、対象世帯数が数千世帯に対して、事業量と予算額は延べ410世帯、1,522万円にすぎません。他の事業でも、対象数が数千から数万ありながら、事業量は数十から数百しかありません。今日の子どものおかれた深刻な貧困状態への対策としては、あまりにも貧弱です。事業の対象数に見合った事業量、予算額にすべきと考えます。伺います。
14事業のうち、本市独自の事業は2つしかありません。その1つ、子どもの貧困対策 推進事業は、有識者会議を開催し、施設等退所後児童の調査としていますが、これでは事業目的が不十分です。有識者会議の役割は、会議を構成する支援者の意見を踏まえて、子どもの貧困全般に目を配った検討を行うことと、課題の明確化にあると考えます。見解を伺います。
次に、子ども食堂についてです。
いわゆる「子ども食堂」は、主な食事は学校給食だけ、一人きりで夕食を食べるなど、まともに食事がとれない子どもが増えていることに心を痛めた人たちが、子どもの居場所づくりや地域の支え合いの一環として始めた、市民による自主的な事業です。こうした取り組みは横浜でも始まっています。市長は、わが党の質問に対して、民間の取り組みに感謝をするとともに、「さまざまな担い手との連携をすすめる」と答えておられますが、連携だけでは意味がありません。施設面や財政面等の公的支援を行うことを求めますが、改めて考えを伺います。
次に、子どもの貧困対策としても重要な小児医療費助成事業の拡充です。
小児医療費助成事業を2017年度より小学6年生まで拡大することも選択肢に検討するとしています。問題は、一部負担金の導入を検討することです。負担金が導入されれば、現在、小学3年生まで無料の制度が実質的に有料化されることになります。一部負担金導入は、県下どの自治体も行っていません。一部負担金の導入は、小児医療無料化の目的を損なうことになると思いますが、市長の考えを伺います。
林市長:岩崎議員のご質問にお答え申し上げます。
子どもの貧困対策について、ご質問いただきました。
本市の子どもの貧困の実態や対策の緊急性の認識についてですが、子どもの貧困は本市の調査でも、経済的な困窮に加え、不十分な養育環境や、学習の遅れ、孤立などさまざまな困難と関連していることが明らかになっています。これらの状況は、子どもや家庭の努力だけでは改善することが困難となっているため、社会全体として対策を図るべき課題であると考えています。
横浜市では3月に策定する横浜市子どもの貧困対策に関する計画に基づき、子どもの貧困対策を総合的に推進していきます。
事業の対象者数に見合った事業量や予算額にすべきとのことですが、横浜市子どもの貧困対策に関する計画の初年度である28年度予算においては、ひとり親家庭への支援の拡充や、寄り添い型学習支援の全区展開、生活支援の充実などを図ることにしています。必要な支援がしっかりと届くように、この計画を着実に推進していきます。
有識者会議は、子どもの貧困全体の検討等課題の明確化とすべきとのことですが、実態調査等により、本市の子どもの貧困に関する状況を把握し、課題を明らかにするとともに、有識者からのご意見などを踏まえ、必要な施策を計画としてまとめました。28年度は計画を着実に推進するため、外部の有識者と支援者からなる推進会議を開催します。今後もこうした会議を活用し、計画のPDCAサイクルを確保していきます。
子ども食堂に対する公的支援についてですが、市内でも子どもへの食事の提供を含む居場所づくりなど、地域や企業のみなさまの自発的な取り組みがすでに始まっています。岩崎議員のお話にもございました。子どもや家庭にきめ細やかな支援が届くために、地域等の果たす役割は重要と考えています。このため、計画を推進していく中で、これらの取り組みについての実態を把握し、連携について検討していきます。
小児医療費助成事業の一部負担金の導入ですが、厳しい財政状況ではありますが、29年4月から対象年齢の拡大を図っていきたいと思っています。また、拡大にあたっては、将来に向け持続可能な制度となるよう、一部負担金の導入について検討してまいります。
「老後の暮らしも金次第」にならぬように対策を
岩崎議員:第2に、老後の安心についてです。
介護保険制度をめぐる状況は、担い手不足とお金不足で深刻さを増しています。「老後の暮らしも金次第」の観があります。お金があれば、サービス付き有料老人ホームでも、必要な介護サービスでも、十分受けることができます。
問題は、普通の収入・資産以下で暮らす高齢者にとって、介護サービスを受けることが大変困難であることです。特に、特養ホームは、緊急度が高い場合でも1年程度待たなければ入所できません。在宅サービスも担い手不足が深刻で、事業停止の事業所が生まれています。その上、国は介護保険から要介護1・2はずしを検討すると聞いていますが、とんでもありません。
最近受けた相談では、「商売をしていたが、病気で仕事ができなくなり、収入が激減した。退院後、車いす生活になり、介護なしでは生活できない。特養ホームにはすぐに入れず、お金もないので有料老人ホームはとても無理。どうしたらよいか」という内容でした。生計の中心の人が、要介護になった途端、家族共々途方に暮れることになります。
誰もが安心して介護が受けられるようにとつくられた介護保険制度が、機能不全に陥っています。介護保険制度が機能不全状態に陥っている本市の介護現場の認識、及び利用者の立場に立った制度としていくための考えを伺います。
次に、特別養護老人ホームです。
比較的安く利用できることから、入所希望者は沢山います。本市には、在宅のまま入所を待っている人が4,698人もいます。さらに、入所を希望する潜在的待機者を含めれば、施設整備が決定的に不足しています。第6期計画で、2017年度まで毎年300床増やして1万5,584床を整備するとしていますが、これを達成したとしても、待機者は解消できません。
国はアベノミクスの「新3本の矢」の中で、介護離職ゼロを掲げ、具体策として特養ホームの増設等を打ち出し、国有地の貸し出しも決めています。
本市の実績を2013年度から2015年度でみると、特養ホームの公募に応じた法人が25あったにもかかわらず、増床枠があるため、選定はわずか7法人にとどまりました。
施設整備のための土地があり、手をあげる事業者もいます。条件は整っているではありませんか。あとは、本市の判断一つで、待機者解消の道が開けるのです。整備目標を抜本的に引き上げる必要があります。
そこで、障害になるのが、おおむね12か月以内に入所できる整備水準を維持するとの本市の整備方針です。撤回が必要です。見解を伺います。
次に、未届有料老人ホームです。
特養ホームや入所費が高い有料老人ホーム等に入れない高齢者が急増しています。この状況のもとで、受け皿になっているのが、未届有料老人ホームです。こうした施設が行き場がない高齢者の最後のよりどころになっている実態があります。しかし、この施設はとても薦められるようなものではありません。古い空家を借上げ、若干手を加えて、一定の大きさの空間に、何人も雑魚寝状態など、きわめて劣悪な条件の施設もあります。施設の設置指針はあるものの、行政の指導もチェックも届いていません。
本市における未届有料老人ホームの実態についての認識及び行政のチェックを行き届かせる具体的措置が必要です。考えを伺います。
次に、養護老人ホームです。
老人福祉施設、養護老人ホームは、「65歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由により、居宅において養護を受けることが困難な者を入所させ、養護する施設」と定義されています。これによれば、寿町の簡易宿泊所に代表される、3畳一間、風呂なしという劣悪な条件で生活している多くの高齢者は、養護老人ホームの入所対象者となります。このことは、本来、本市の責任で措置として行うべき要援護者・高齢者を民間に丸投げしていることになるではありませんか。
養護老人ホームは、時代のニーズに対応する重要な施設として、定員増、施設整備等の計画を拡充すべきではないでしょうか。考えを伺います。
林市長:老後の安心について、ご質問いただきました。
介護保険制度についてですが、高齢者介護の問題を社会全体で支え合うために創設され、以来サービスの利用者は創設時の3倍を超えるなど、高齢者の暮らしを支える社会保障制度の中核として機能していると考えております。高齢者の状況やニーズに応じて、在宅サービスや地域密着型サービスなどさまざまなメニューが用意されているほか、特別養護老人ホームの入所等では低所得者の負担軽減も実施しています。
特別養護老人ホーム整備の方針についてですが、第5期計画以降、特別養護老人ホームの平均入所待ち期間は概ね12か月を維持しており、第6期計画期間中の整備数についてはすでに整備中のため変更は困難です。今後は、第7期計画に向けて、介護保険財政への影響なども考慮しつつ、さらにこのたび国からご提案をいただいた国有地活用も視野にいれまして、必要となる整備数を検討してまいります。
未届け有料老人ホームについてですが、行政の目が行き届かないことにより適切な運営が行われない恐れがあるため、施設を把握し、指導を行うことが重要と考えています。そのために、有料老人ホームの指導指針の緩和や関係局の連携した働きかけにより、届け出を促進するとともに、28年度は人員体制を強化し、効果的な指導を実施してまいります。
養護老人ホームの定員につきましては、待機者や市外の施設への入所者等も考慮し、30年度末までに既存施設の建て替えによりまして、現在の入所者数より100人多い500程度の定員を確保します。そのため、28年2月に開所しました野庭風の丘の整備で40人、戸塚区名瀬に新たな養護老人ホームを整備することでさらに60人の受け入れ枠の増を図ります。現行の整備計画以降の整備については今後の課題と考えております。
防災対策予算を後退させるな
岩崎議員:ここからは、くらしの安全の視点から伺っていきます。
間もなく東日本大震災から5年目になります。あらためて防災・減災対策の重要性について、伺っていきます。
減災対策・災害の未然防止、つまり災害への備えは、よこはま地震防災市民憲章の行動指針のトップに位置付けた重要な課題です。ところが、予算書を見ると、災害の未然防止対策に係る事業費が大きく後退しています。
家具転倒防止対策助成事業と感震ブレーカー等設置推進事業は、それぞれ対象数が10万、34万と万単位の大きさです。ところが、事業規模はそれぞれ200件、400件に過ぎません。そのうえ、もともと少ない予算が減額されています。防災・減災普及啓発事業の予算額は、2,700万円から1,057万円へと大幅減額で、危機対応力の強化に要する経費全体が軒並み減額であります。
防災学習に参加した方から、「感震ブレーカーを設置したいが、補助制度はあるか」と聞かれたので、「区役所で申し込んでください」と対応しました。この方は、区役所に行って聞いたところ、「申請受け付けは締め切られました。来年度、早めに来てください」とのことです。そこで、「大事なことなので、近所の人にも知らせたいのでチラシがほしい」と言うと、今度は「チラシはもう残っていません。コピーなら」ということで、コピーをもらってきました。これでは、感震ブレーカー設置が大事と言っているだけで、対策は大後退ではないでしょうか。
災害の未然防止に係わる事業については、位置付けにふさわしく予算の拡充が必要です。また、家具転倒防止や感震ブレーカー設置事業などは、申請数が予算の規模を超過した場合でも、追加予算で対応すべきであります。考えを伺います。
災害に強いまちづくりでは、建築局予算の耐震対策等の推進にある6つの事業合計額が、前年比約1.3億円の減となっています。道路局予算では、橋の耐震補強事業費で当局が計画する必要額を大幅に下回る額が計上されています。
防災・減災対策に対する当局の姿勢が、「喉(のど)元過ぎれば熱さを忘れる」状態にあるのではないかと心配です。首都圏直下型大地震が切迫しているといわれる今、対策の手をゆるめる時ではありません。
災害の未然防止に係わる事業費の多くが減額・後退の予算案になっています。防災・減災の見地で各施策をチェックする危機管理監・危機管理室の機能は、どうなっているのでしょうか。備えに係わる多くの事業費が減額になっていることに対する認識を伺います。
わが党は、横浜駅周辺地区が海水面下に大きな地下街がある極めて災害リスクの高い地区であることを、たびたび指摘してきました。この宿命的ともいえる災害リスクにどう対応するのかという質問に、市長は現地調査と検証をプロ集団でしっかりとやらせていただく旨の答弁をされています。しかし、現地調査や災害リスクへの対策が適確に具体化されているようには見えません。一方、リーディングプロジェクトと位置付ける駅ビル再整備だけは、こうした足元の災害リスクを十分把握しないまま、始まっています。
横浜駅周辺地区の宿命的ともいえる海水面下の地下街という災害リスクに対する対策をどのように行うのか、再三伺っていますが、改めて伺います。
林市長:防災減災対策について、ご質問いただきました。
感震ブレーカーなどの設置補助申請件数が予定件数を超えた場合の対応ですが、28年度の感震ブレーカーの補助につきましては、個人を対象とした分電盤タイプの補助に合わせて、面的に普及させるため自治会町内会を単位とした単位タイプの補助を実施します。それぞれの補助枠に対し、申請件数が予定件数を超えた場合につきましては、これら全体予算の中でできるだけ設置していただけるよう柔軟に対応してまいります。
災害への備えに関する予算についてですが、27年度に実施しました南区、金沢区庁舎の防災行政用無線施設工事など、大きな事業の終了によって、危機管理予算は減額となりました。一方、まちの不燃化推進事業や崖地の防災対策など、特に対応が急がれる事業は予算を増額し、着実に取り組みを進めていきます。中期4か年計画では、災害に強い人づくり地域づくりを基本政策として位置付けておりまして、今後もしっかり取り組んでまいります。
横浜駅周辺の浸水リスクに対する考え方ですが、まちづくりの検討の中で、災害リスクの低減を図ることが重要であると考えております。浸水対策は雨水幹線の整備や将来的な地盤の嵩上げなどが必要ですが、当面の対策として、開発ビル内の雨水貯留などを行い、治水安全度の向上を図っています。また、安全に避難できる体制を確保することが重要でありまして、津波避難マップの作成や避難訓練を行っております。今後も、民間を含めた各施設管理者と連携しながら、災害に強いまちづくりを進めていきます。
(第二質問)
岩崎議員:2点、再質問です。
横浜駅周辺地区の災害リスク対策、五番街附近の川沿いに、透明のアクリル板が護岸の嵩上げに代わるものとして設置されています。これで、豪雨や高潮、津波などから浸水を防げるのでしょうか。築40年超の護岸の耐震性は保障されていません。いつ壊れても不思議ではありません。現場に立った視点で、もう一度お答え下さい。
林市長:岩崎議員のご質問にお答え申し上げます。
最初のご質問でございますが、神奈川県による護岸の安全性のチェック、本市職員による地下街入り口等の止水板の有無の調査、施設所有者による施設の安全性の確認を行っておりますので、護岸については順次県において改修してまいります。
公共施設の老朽化対策は待ったなし
岩崎議員:第4に、公共施設の老朽化対策です。
国は、老朽化対策について、直ちに着手しないと致命的事態を招くと警鐘乱打しています。本市においても公共施設の老朽化対策は、喫緊の課題です。ところが、本市は、財政が厳しいことを理由に、必要な対策を先送りしています。
学校施設は、築40年超が全体の半分あることもあって、シャッター危害防止装置未設置で児童が大けがをする事故も発生しています。教育長が「老朽化が進み、建て替えを早期に検討の必要がある」と、先日の本会議で答弁されている状況です。
戸塚区の事例をあげてみます。戸塚駅東口ぺデストリアンデッキの腐食が進み、亀裂、排水管詰まり等で雨漏りが大変ひどいです。JRを越える人道跨線橋の雨水排水管が腐食して破損、線路上に落下しないように針金でつるしています。等々、あちこちで老朽化による問題が発生しています。
公共施設の「老朽化」対策が遅れていることについてどう認識されているのか、伺います。
公共施設管理基本計画によれば、公共施設の建替えを含まない保全・更新費は、年平均850億円必要とされています。これに対して予算は、2014年度640億円、2015年度710億円、2016年度640億円です。過去5年間、毎年約200億円程度の不足が続き、現時点で先送り金額は累計すると1,000億円程になっています。
当局は、点検の強化、長寿命化の工夫など、やりくりで必要額は確保していると説明しますが、予算書は数字のやり繰りでつじつまを合わせることができますが、老朽化の進む現場は待ってくれません。保全の取り組みの先送りを続ければ、近い将来、施設の崩壊等の深刻な事故が避けられません。
高速道路を筆頭に大型公共事業偏重の予算配分を見直して、老朽化対策の財源を計画通り確保することが喫緊の課題です。見解を伺います。
保全・更新の取り組みの進捗管理が適切ではありません。公共施設管理基本方針は、財政局の所管と聞いていますが、保全・更新の取り組みが財政面だけでとらえられているように見えます。財政と老朽化の現場の両方から総合的に捉えた進捗管理が必要です。見解を伺います。
林市長:公共施設の老朽化対策について、ご質問いただきました。
現状認識ですが、本市の公共施設の多くは整備後30年以上経過しておりまして、安全の確保と継続的なサービス提供のため、計画的効率的な保全更新が必要です。公共施設管理基本方針に基づき、橋梁や公園、学校といった施設毎の点検や優先順位の考え方に関する保全更新計画の策定を行いながら、着実に取り組みを進めております。
予算配分の見直しについてですが、これまでも公共施設の老朽化対策、道路の改良など、市民生活の安心安全につながる身近な施設の整備について、優先度の高い施策と位置付け、しっかりと取り組んでいます。また、横浜環状道路などは、市内経済の活性化を支える機能を果たすとともに、防災上も重要な役割を担っていくものです。横浜の将来を見据え、必要なところにはしっかりと投資していくことが大切であると考えております。
保全更新の取り組みの進捗管理ですが、公共施設の保全更新に関する総合調整を財政と現場、両方の視点を踏まえ、推進できるよう、23年度に公共施設事業調整室を財政局に設置いたしました。昨年3月には、本市が保有する全ての施設を対象とした公共施設管理基本方針を策定し、全市的な方向性を示すとともに、確実な点検と的確な診断の結果により、毎年度の予算を確保し、保全更新にしっかり取り組んでいます。
上郷開発は中止させて緑を買い取れ
岩崎議員:次に、線引き見直しと上郷開発です。
線引き見直しで、約637ヘクタールが調整区域から市街化区域に変更され、その中で緑地・農地が約55ヘクタール改変・破壊されます。市街化の拡大は、国の国土利用計画、全市のマスタープランに反するものです。線引き見直しで、開発が考えられる地区として、上郷地区が唯一、対象にあげられています。上郷開発の計画面積は約10ヘクタール、スタジアムの約10倍という大規模な緑地・農地が改変されることになります。
みどり税を徴収する一方で、緑を大規模に破壊する上郷開発を容認することは、緑地保全を求める11万超の署名に込めた市民の願いを裏切ることになります。東急建設など一部地権者の声だけ聞く態度ではありませんか。
横浜市が、みどり税を財源にみどりアップ計画を推進していることと、貴重な緑を大規模に改変する上郷開発を容認することとの政策的な矛盾をどのように説明されるのか、伺います。市長が、唯一、上郷地区を開発が考えられる地区とした理由と根拠を伺います。
上郷地区開発計画の都市計画決定手続きを中止し、緑の保全、みどりアップ計画推進のために、当該土地を市が買い取ることが最善と考えます。市長の見解を伺います。
林市長:上郷開発について、ご質問いただきました。
緑の保全を進めている中で上郷開発を認めることについてですが、栄区の上郷猿田地区については、平成26年1月に提案を受けて以降、さまざまな観点から慎重に検討を行ってきました。その結果、地区の将来を見据えつつ、緑地保全とのバランスがとれた提案であると判断し、都市計画の手続きを進めています。
市街化編入が考えられる区域の理由と根拠ですが、上郷猿田地区の都市計画提案は、周辺市街地との一体性の強化が図られ、将来を見据え、バランスに配慮した計画になっています。市街化区域への編入にあたっては、地区計画などを活用しつつ、土地所有者等による地域特性を踏まえた魅力あるまちづくりが期待されることから、市街化区域への編入が考えられる区域として、現在、都市計画の手続きを進めています。
緑の保全のために、市が土地を買い取るべきというご提案についてですが、本市としてできるだけ多くの緑地が保全されることが望ましいと考え、地権者のみなさまに働きかけを行ってきました。その結果、地権者のみなさまのご意向やご事情を踏まえ、最大限緑を保全した計画となっておりまして、引き続き都市計画の手続きを進めてまいります。
以上、岩崎議員のご質問にご答弁申し上げました。
(第二質問)
岩崎議員:上郷開発についてです。高齢化、人口減少の対策が求められているところに、新たに市街地がなぜ必要なのか、市長ご自身の見解を伺います。
林市長:それから2点目でございますが、私は市街地編入が考えられる区域の理由と根拠についてのご質問だと思いますが、私自身もこの上郷猿田地区の都市計画提案というのは、私自身が市長になってから長い間議論もされておりますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたように、周辺市街地との一体性の強化が図られて、将来を見据えたバランスに配慮した計画となっている、市街地への都市の緑化保全にも努めておりますし、将来のまちの発展、高齢化することによる利便性についても、ここには回答があると考えておりますので、私は、これは正しい判断であるというふうに申し上げたいと思います。
以上、ご答弁申し上げました。
岩崎議員:わが党は、大型開発から暮らし重点に予算を転換することを求めて、組み替え案を本議会に提案します。市民の暮らしを守る施策の拡充を図るために、全力を尽くす決意を表明して質問とします。