安くて希望者の多い多床型特養ホームの整備を
河治議員:日本共産党を代表し、質問いたします。
まず、介護保険に関わってです。
特別養護老人ホームの待機者は07年度決算で4,501人、前年度比で536人増え、一層深刻です。待機者の中で「ユニット型の特養は費用が高くて入れない人が多い」と指摘するケアマネージャーもいます。そこで、多床室型とユニット型で、利用者本人が負担する居住費は、1日単位、また月単位でどうか、局長に伺います。
上野健康福祉局長:施設により建設費用が異なるために、居住費も異なるわけですわけですけれども、月平均で申し上げますと、多床室型では1日あたり447円、1と月では1万3,410円、ユニット型では1日あたり2,862円、1と月あたり8万5,860円となっております。
河治議員:ユニット型がはるかに高額になるわけですが、本市は03年度から多床型の整備手法からユニット型に整備を切り替え、07年度には26施設までになっています。ユニット型に限定して進める理由は何か、伺います。
上野健康福祉局長:特別養護老人ホームの整備については、国では個室化を推進しておりまして、ユニット型個室の割合を26年度までに70%以上にすることとしております。本市としましても、入所者のプライバシーの配慮、居住環境の向上を考慮して、15年度着工分からユニット型個室の整備を進めているところです。
河治議員:06年の三位一体の改革で、国は補助金で、ユニット型・多床型で区別しないと聞いています。そう理解してよろしいですか。
上野健康福祉局長:はい、そういうことだと思います。
河治議員:個人のプライバシーの尊重からユニット型のメリットはあるものの、利用者負担が高額です。経済的理由から多床型の希望者が多く、川崎市では多床型の整備を進めると聞いています。そこで、本市においても多床型も含めた整備にすべきと考えますが、副市長の見解を伺います。
佐々木副市長:多床型の整備ということでございますけれども、横浜市全体の入所定員をみてみますと7割がすでに多床型でございまして、先ほど局長がお答えさせていただきましたけれども、ユニット型個室では入所者のプライバシーの配慮ですとかあるいは居住環境の向上を図れるといったメリットもございますので、現時点では整備の必要性は低いというふうに考えております。
河治議員:利用者にかかる負担ははるかにユニット型は高いわけですから、そういうことも含めて検討すべきだというふうに思います。
ところで、旭区で特養整備をめぐり、住民から「施設整備事業者が十分な説明責任も果たさず、強引なやり方は納得いかない」などの相談が私にありました。施設整備にあたっては、近隣住民の理解・納得が整備を円滑に進めることになると思います。トラブルを生まないためにも、事業者への指導が重要と思いますが、局長の見解を伺います。
上野健康福祉局長:特別養護老人ホームについては、開所後も地域と密接な係わりをもつ施設だということから、事業者には地域の方に対して誠意をもって計画を説明するように指導を行っております。今後、整備が円滑に進むように、事業者に対する指導を続けてまいります。
河治議員:ぜひお願いします。
次に、在宅サービスに関わって伺います。サービスの内、福祉用具貸与は、06年度比で計画量を増やしたにもかかわらず、利用者の実績では07年度で減っていますがなぜか、伺います。
上野健康福祉局長:18年4月からの介護保険制度改正が行われまして、軽度の方ですけども、電動ベッドや車椅子のレンタルを利用できなくなったことによるものと考えております。
河治議員:では、居宅介護支援の利用者実績が計画比で85%から78%へと減っているのはなぜか、伺います。
上野健康福祉局長:こちらは、要介護認定者数が計画時の見込み数を下回っていると、その結果であるというふうに思っています。
河治議員:いずれにしろ、利用者そのものは2006年度で66万5,907、2007年度では68万1,723人が、こういう意味では計画比で利用者が減った理由というにはならないと思いますし、再度伺います。
上野健康福祉局長:居宅介護支援の利用者については、18年度計画では6万5,288人、実績5万5,429人、計画比85%、それが19年度は計画7万3,050に対して実績が5万6810、78%になっているわけですけれども、当然認定者数が計画に対して18年度93.7%、19年度は90.7%ということで減っておりますので、その減り方に応じた減少というふうに理解をしております。
河治議員:次は、介護予防。先ほどもありましたけれども、3期介護保険事業計画では新たに介護予防が重視され、地域支援事業として転倒骨折予防教室や介護予防健康体操など「はつらつシニアプログラム」が実施されましたが、利用者が伸びていません。07年度の計画に対する決算額と参加者の計画に対する実績の比率はそれぞれどうだったか、また実績をどのように分析しているのか、伺います。
上野健康福祉局長:19年度の「はつらつシニアプログラム」は、決算額で4,930万円、予算額1億840万円に対して45.5%、参加者569人で、予算の1,620人に対して35.1%となっております。これは特定高齢者の把握が十分進まなかったことに加えまして、事業参加への動機付けが難しかった、それから身近な場所での参加できるプログラムは結果的に不足をしたなどの理由によるものと考えております。
河治議員:次は、介護保険外のサービスについてに係わってです。我が党は、本市の介護保険サービスを評価しております。引き続き実施を求めるものです。しかし、サービス決算額でみると、03年度から07年度までの推移では全体が減額されています。特に、食事サービス、日常生活用具給付・貸付、在宅重度要介護者家庭援護金、自立支援ホームヘルプ、住環境整備は億単位の減額で、サービスの後退を示していると思いますが、副市長の見解を伺います。
佐々木副市長:介護保険外のサービスについても、財政状況大変厳しい中でありますけれども、それを引き続きやっていこうということで、より支援を必要とする要介護者にサービスの重点化をしたというようなことで、決算額は減少しておりますけれども、必要とする方にそのサービスを届けようということに関しては変わってございません。
河治議員:じゃあ、なぜ制度そのものが在宅で利用できたものが利用できなくなったのか、伺います。
佐々木副市長:たとえばですけれども、食事サービスですと、制度改正を19年度に行い、対象者の見直しをした。具体的にいいますと、要支援の方から原則要介護2以上と、これも原則ですけれども、そういうようなかたちで重点化をした。あるいは訪問の理容サービス、美理容サービスについても同様のような見直しをして、要介護度の高い方を対象として重点化を図ったということでございます。
河治議員:いずれにしろ、利用者自身が利用できないような環境に変わってきているというふうなことでありますし、先ほどのお話にありますように、介護サービスを保証するという点では、ぜひお願いしたいと思います。
第3期介護保険事業で、食事サービス、在宅重度要介護者家庭援護金、日常生活用具給付、紙おむつ貸与、訪問指導を、一般会計から介護保険特別会計に移しました。福祉は、自治体の仕事であり、減らすのはやめ、削減した食事サービスを元に戻す等、サービスを充実させるべきと考えますが、これも副市長に伺います。
佐々木副市長:介護保険制度の地域支援事業に係わるということだと思いますけれども、地域支援事業については保険料のほかに国費や県費の導入ができるわけでございまして、厳しい財政状況の中でサービスを提供しようということですので、特別会計に計上したものでございます。
河治議員:年金受給額が年間18万円以下の人の保険料は普通徴収で、その人たちに保険料未納が発生しています。07年度決算での未納者は何人か、また実際に給付制限措置のペナルティーが発生した件数は何件あったのか、伺います。
上野健康福祉局長:介護保険料の滞納者数ですが、2万5,137人です。支払い方法の変更、償還払いを処置されている被保険者は58人、それから給付割合が9割から7割になる給付額の減額措置されている被保険者、これは87人となっております。
河治議員:保険料未納者の多くは低所得者です。給付制限などの罰則主義では問題は解消しないと思います。保険料の引き下げや減免制度の充実など、きめ細やかな対応で介護サービスを保証する立場こそ求められていると思いますが、副市長の見解を伺います。
佐々木副市長:保険料を納付いただけない事情がある方に対しては、区役所にみえて、具体的にいいますと、分割納付ですとかあるいは保険料の減免ですとか、そういった相談をお受けしているところでございます。今後とも保険料の納付に向けたきめ細かな対応に努めてまいりたいというふうに思います。
ホームレスから脱した人が
再びホームレスに戻らないよう手厚い支援を
河治議員:次はホームレスの自立支援対策についてです。
まず、ホームレス自立支援対策施設の「はまかぜ」の役割は何か、事業内容を含めて具体的に述べてください。
上野健康福祉局長:ホームレスに対しての一時的な宿泊場所を提供するとともに、生活に関する相談、健康相談、就労支援等を行いまして、その自立を支援をいたします。高齢や障がいなどにより、保護を必要とする方については、各福祉保健センターと連絡を取り合いまして、生活保護など他の制度につなげております。
河治議員:「はまかぜ」にいて、それから仕事に就いたものの長続きできず、結局再びまた路上生活者や「はまかぜ」に戻る人も多いと聞いています。自立するには今の支援事業だけでは不十分であり、集団宿舎生活を離れた後の個人で生活管理ができる力をつける訓練が必要です。そこで、「はまかぜ」と連携した個人生活の訓練も自立支援事業に組み入れた方が、ホームレス自立支援につながると思いますが、局長の見解を伺います。
上野健康福祉局長:生活訓練が必要される方も当然入所されるわけですけれども、そういった入所者の状況に応じて支援方針が「はまかぜ」では個別に定めて支援を行っているところです。そういうなかで、たとえば「はまかぜ」だけでなくて保護施設、更正施設、生活保護の厚生施設が必要だということになれば、関係機関に連携を取り合って施策につなげているということになっているということでございます。
河治議員:個人の力ということなんですけれども、中村川寮は河川敷等にブルーシートを張って生活している“小屋掛け”といわれる就労意欲を持つ人たちの定住型ホームレス支援施設ときいています。中村川寮がホームレスの個人生活の訓練支援施設として「はまかぜ」と連携し、ホームレス支援事業を拡充されることを要望しておきます。
次に、巡回相談指導事業の目的と役割について伺います。
上野健康福祉局長:市内のホームレスを対象としまして、滞在場所を巡回しまして、継続的な相談活動を行っております。その方たちの抱える問題を把握しているわけですけれども、その後「はまかぜ」への入所など必要な支援を受けられるように、福祉保健センター等につないでいっております。
河治議員:現在、市内に「はまかぜ」までたどりつけない約650人のホームレスがいると聞いています。公園や公共建築物、河川など様々なところで生活しているホームレスの中には、知的障がい者や精神障がい者も含まれているとのことです。そこで、巡回相談指導事業の実施前に比べ、効果はどうだったのか、伺います。
上野健康福祉局長:ホームレス滞在場所を正確に把握をできるようにもなっておりますし、市内全体の状況がより明確になっております。ホームレスに対して継続的に声をおかけすることによりまして、信頼関係も築かれておりまして、その結果「はまかぜ」などへの入所につながるなど、施設利用の実績も着実に伸びているということです。
河治議員:実は私、「はまかぜ」にいって話もきいてきたんですけれども、ホームレスの自立支援には一層きめ細やかな指導と掌握、こうしたことが重要だと思います。指導・支援の蓄積が指導員をつくるわけで、「はまかぜ」への入所にもこれがつながればいいと思いますし、また、障がい者などが施設に入る。そのためにも、指導のケース記録などが重要であり、そうしたことを保障しうる指導員体制の強化が重要だと思いますが、いかがでしょうか。
上野健康福祉局長:巡回相談については、19年度体制を充実したところでございまして、ホームレスに陥った方を早い段階で施策につなげていくということが重要だと考えておりまして、そういったことについてはこれからも取り組んでいきたいと思います。
河治議員:引き続きホームレスの人たちが安心できるように。終わります。