2014年8月25日
横浜市教育委員長 今田忠彦 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 大貫 憲夫
8月1日に開催された教育委員会定例会において、特別支援学校・個別支援学級用教科書、高校教科書、小学校教科書の採択が行われました。
採択された教科書のうち小学校の理科、社会、音楽の教科については教科書取扱審議会の答申と異なった教科書が採択されました。この採択には重大な過誤があります。
過誤の第一は、採択が無記名投票で行われたことです。国、県教委は「開かれた採択」を求めています。教科書の採択は、主権者・国民の教育権にかかわることであり、その方法は、市民への説明責任がはたせ、納得が得られるものでなくてはなりません。無記名投票は、誰がどの教科書に投票されたかは本人しかわからないものです。教育委員の「責任と権限」で採択というならば、どの教科書を選んだのか堂々と市民に公開すべきです。
今回の投票方法については、4年前の方法にならったと聞いていますが、これには説得力がありません。2011年の中学校教科書採択は、市民や市民団体の是正要請があり、記名投票に委員会自らが改めています。この経過について知悉されている貴職の責任が問われています。
過誤の第二は、答申の評価と異なった教科書を理由を示すことなく採択したことです。
社会科は、全観点別評価満点の光村図書ではなく、次点の教育出版が、理科は、観点別評価1位の大日本図書ではなく同率2位の学校図書が、音楽は12項目中11項目が評価された教育出版ではなく7項目しか評価されない教育芸術社がそれぞれ採択されています。
教育委員6人のうち、義務教育の教壇に立った経験のあるのは一人です。教職経験のない教育委員が、教科ごとに子どもにとってふさわしい教科書はどれかを判断すること自体に元々困難があります。それを補うのが審議会です。
審議会答申は、教員の調査員報告をうけて作成されているもので、現場で実際に使う教員の意向が反映されています。教育委員がこれを尊重するのは当然のことです。答申とはちがう教科書を選んだ理由を市民に明示すべきです。理由も明らかにしないまま、しかも無記名投票では、その結果について、学ぶ子どもとその保護者、教える教員、市民の納得と理解は得られないのも当然のことです。
このように、今回の小学校教科書の採決には重大な誤りがあることを指摘せざるをえません。二度と同じことを繰り返してはなりません。このことを踏まえ、今後の教科書採択にあたって、以下のことを強く要望します。
1、採択方法は、無記名投票ではなく、教育委員の説明責任を明確にし、採択の透明性を担保する記名投票とすること。
1、教育委員は教科書取り扱い審議会の答申を尊重すること。
以上