日本共産党横浜市議団がお届けするインターネットTV「JCPヨコハマチャンネル」。今回の動画は、2014年7月6日に日本共産党横浜市会議員団が主催して行なわれた「ヨコハマの新市庁舎建設を考えるシンポジウム」のダイジェスト(その1)です。
弁護士の大川でございます。弁護士のというよりも、かながわ市民オンブズマンという市民団体の代表をさせていただいています。私どもの団体自身が原告になって、いま横浜市長を相手取って、新市庁舎整備事業のための公金の支出とか、契約の締結とか、それから資金を調達するための公債の発行とか、そういう一連の財務会計行為をしてはならないという差し止め請求訴訟を、いま進めているところです。
こんなところで発言するほど、実は前々から市庁舎問題に関心をもったり、勉強をしていたわけじゃなくて、実は昨年の3月に市が新市庁舎整備に関する基本構想というのを発表しましたね。それを見て、なんだこりゃというところから問題意識を持ちまして、いってみればにわか勉強みたいなもんです。従って、市の内部から、内部にいらっしゃって、前々からこの問題フォローしてこられた政村委員長の方がむしろ詳しいと思うので、なるべくそちらの経過についてのお話は極力だぶらないようにしていきたいと思います。
私どもの市民団体としてなぜこのことを問題にしたかと言いますと、いま市長は東京オリンピック・パラリンピックの前に新市庁舎を完成させるんだということで、一生懸命準備を進めているんですが、いま現在、想定している予算というのは616億円というんですね。616億円という数字は、みなさんご承知の東京スカイツリー、スカイツリーが650億円なんですよ。だから、スカイツリーに迫る金額であるというふうにいえるだけじゃなくて、616億円というのは、いまそろばんを入れて616億円で、これからオリンピックの準備のために公共工事とか土木工事なんかどんどん進展していきますと、材料が足りない、人手が足りない、そういうことで建築単価がどんどん上がっていくと思うんですね。6年後に完成するまでに本当に616億円で足りるとは思わないんですけど、たとえば616億という数字だけを頭においても、わざわざ1から新市庁舎をつくるよりも、いませっかくある新庁舎、これを増改築すればずっと安く同じ目的を達成するんじゃないんだろうか。そういう税金の無駄遣いを許しちゃいかん、そういう問題提起で、私ども進めているわけです。昨年の市長選挙の時にもこの問題は争点のひとつになりましたけど、まだ十分の市民の間に問題が知られているとは思いませんので、これからも十分に勉強して、来年の市議会議員の選挙の時には、市民の中にやはり問題だという声を広げていきたいというふうに考えております。じゃ、本題に入ります。
いま経過についてはなるべくだぶらないようにすると言って1枚目がいきなり経過なんですが、ちょっとこの赤い数字の年号だけでも一応頭に入れてください。この市庁舎問題というのは、直接的にはですね、約9年前、市庁舎整備審議会が答申したところから一応スタートしているわけですね。その時の答申の中身は、後でも触れますけれども、市庁舎として適当な候補地が3つある。現有地自身もその候補地のひとつである。その3つの中からどれを選ぶかは市長が決めてよろしいという、そういうような結論になっているわけです。この答申を受けたがために、市長の方は、もう議会にいろいろ報告はしますけれども、ここで審議会自身は商工会議所の会長が確か委員長で、審議会代表も理事者の代表も一般の学識経験者も入っている大審議会なんです。たぶん、まだ社会党幹部になってなかった福島瑞穂さんなんかも確か委員だったと思うんですが、その大審議会が3つの候補地をしぼって、その中からどれを選ぶかは市長に白紙委任した、こういう理解なもんですから、あとは議会に対しても要するに報告事項は伝えたんですね。そのあとはいちいち議会の決定権ということを全然想定しないで、ことを運んできたというのが、元々の、そもそもつまずきの原因じゃないかなと思います。
その後、10年以上特別な動きはなかったんですが、2008年、その前の年からですね。2007年に当時の中田市長が、いまURが建っている、URといってもわかりにくいですか、都市再生機構、アーバンルネッサンスでURというんですが、自分たちもUR、URって言ってますけども、都市生成機構の持っている土地を買い取りたいということを言い出したのが2007年です。その時は、ここを市庁舎の予定地にするとは言ってないんです。どこに市庁舎を建てるにしろ、仮庁舎なんかをつくるための種地にするとかいろんな使い方があるから、とりあえず手当をするというような触れ込みだったと思います。そこで167億円余りの土地代金を支出してしまいました。その間に蓄えていた市庁舎整備のための基金というのは全部これでからっぽになっちゃったんですね。
からっぽになったために、3つある候補地といっても、MM21の土地は市の土地開発公社が持っている土地ですから、そこに市庁舎をつくるとすれば公社に対して市がお金を払って土地を買いあげなきゃならない。その軍資金がなくなっちゃった。従って、MM21はもう候補地から結果としてはずれちゃったというのが2008年3月のことです。
ちょうどそのころURから土地を買い取るという話が進められているのと平行して、いまの市役所、市庁舎の免振工事、これが50億円かけて進行中でした。2009年4月着工というのは間違いで、2007年の7月に着工して、2009年の4月には完成しております。ちょうど今から5年前ですね。この時に、この免振工事をすればこの市役所、市庁舎はあと50年もつ。だから50億円はけっして高くないということで、免振工事をやって、それが2009年に完成して、現在まで至っているわけですね。
その中で、いまの庁舎の場所で増改築をして新市庁舎を整備するか、それとも2008年にURから買い取った土地、そこに新庁舎を建てるか、どちらがいいか比べてみようという検討作業が2012年度から始まって、2013年3月、つまり去年3月には基本構想が発表されました。
基本構想の中で、もうこのURから買った北仲通南地区につくるんだと、そこを候補地にするんだという1本化の決定が基本構想で打ち出されたもんですから、それをさらに具体化する作業が継続されて、この3月には基本計画というのが発表された。これが大きな流れですね。
ですから、2005年の時点であった候補地というのは、この赤く塗った3つの地区です。北の方から、横浜駅に近いMM21高島地区、これはいまマリノスなんかが練習場にしている所じゃないですかね、それから馬車道、まだこの当時はMM地下鉄線はありませんけども、いまの馬車道駅の周辺の北仲通地区。これは北仲通南地区とは書いてないんです。北仲通の北地区と南地区の両方どちらでもという当時は候補地、検討対象でした。それと、一番下のいまの現在ある港町地区ですね。この3つの中で選択しようじゃないかという答申が1995年の時点にあったわけです。
次、いきます。先ほど先走って言っちゃったんけれども、2008年の一つ前の2007年の4月に、中田市長がURに対して、お宅が持っている北仲通南地区の土地は市が市庁舎移転の候補地として考えている土地だから、協力してくれという申し入れをいたします。これは、経過としてはURの方がぜひ買ってくれと言ったわけじゃなくて、URとしては、これは国交省の認可を得て市街地開発事業を進行しているわけですから、第一期として自分自身の本社ビルが立ち上がって、第二工区に残した大きな土地、1万6500平米位がいま残ってるけども、それは第二期工事として自らやらなきゃならんと。そのためにゼネコンを募集するという作業に入ろうとしていたわけですね。そこを市の方があえて、ちょっと待ったと、それはこっちに売れという申し入れをしたのが2007年でございます。
結局、その土地代金は167億8000万円、土地代だけですね、で売りましょう買いましょうという話がついたんですけれども、二つ大きな条件が付いている。ひとつは、UR自身が国交省から認可を受けてやるはずだった第二期工事の再開発ビル、この建築を市自身が市の費用でやると、そういう条件が付いているわけですね。もうひとつ、その工事が完了するまでは、土地代は全額URは受け取るけれども、横浜市の所有権は発生しない。登記がお預けになるわけじゃなくて、所有権そのものがこないと、こういう内容の契約になっております。それがどういう法的な意味を持つかというのは後ほど言います。とりあえず、こういう2大重大条件を付けて、167億8000万円のお金がほとんど即金で払われました。3月に130億円位かな、それで貯金がからっぽになっちゃったんで、新年度2008年度に30何億追加払いして、とにかくもう契約してから3月以内に全額支払ってますが、この2つの重大な条件を付けられた契約だっていうことが、いま改めて問題にしなきゃならないことです。
はい、次、いきます。ちょうどURと市との交渉が行われている最中に、先ほど言ったように、いまの行政棟の免振工事が進行するわけです。2007年の7月に始まって、土地を買った時期を挟んで2009年の4月には完成するわけですね。これはちょっと図面見づらいですけれども、いまの行政棟の建物をいわば地盤から浮かして、その間にゴムのような緩衝材を挟みまして、地盤自身がどんなに揺れても建物そのものにはその揺れが原則としてひびかないというか、非常に時間差をおいてゆっくり影響すると。従って建物自身は倒れるような、倒れたり壊れたりするような激しい短時間の動きにつながらない。それが免振ということですけど。これをやる時に、先ほど申しましたように、50億円かかりましたけれども、50年は使えるということが議会で当局の方が説明しております。
次、いきます。そういうことがあった後に、昨年度、一昨年度から、どちらがいいか、いまのところを活用するのがいいのか、URから買い取った北仲通南地区の方を使うのか検討しようということがあって、細かく分けるとA、B、C、D4つ案はあるわけです。全部北仲通南地区に行こうという案と、港町地区、いまの地区をやると、それもB案というのは先ほど免振工事をした庁舎はそのまま使うという案。それから、C案は港町地区でやるんだけれども、免振工事をやったいまの庁舎は壊しちゃって更地の状態から大きな庁舎をつくるというのがC案。それから両方使おうと、せっかく免振工事したんだから港町地区の庁舎も分庁舎として使って、それとは別に北仲通の方に大きなものを建てよう。A、B、C、Dとあるんですけども、話がややこしくなりますから、CとDは一応おいといて、A案とB案というのが一応比較に値するものだというふうに考えます。というのは、B案が市当局の計算でも一番安い案なんですね。
次。いずれにしましても、新庁舎、どれ位のボリュームのものをつくるのかということについて検討する過程で、それぞれの機能にどの程度の面積を割り振るのかという議論がされているんですが、現在の庁舎が6万7000平米位ある。それに対して新庁舎は10万から12万平米位のものをつくろうという前提で議論が進んだわけです。それを前提にして、次いきます。
2つの候補地の優劣を比較しているわけですね。北仲通南地区の方は容積率の最高限度は1800%あると。現有地の方は800%。これは、都市計画を変更すればいくらでも上がありうるわけですけど、いまのところ800%であると。高さ制限も31メートルまでということになっていると。一方、北仲通南地区は190メートルまでOKだと。こういう違いがあるよということが、これ基本構想の中に説明されております。現有地はみなさんご承知でしょうけど、URの建っている建物の隣の北仲通南地区っていうのは、桜木町のすぐそばで、これはワシントンホテルかな、大岡川をはさんで反対側の土地で、この場所です。
次に写真が出てきます。これは、いまパソコンを操作している近藤弁護士が自分でカメラ持って撮りに行ったんですが、左はいまの庁舎ですね。これは昭和34年、1959年にできているんですね。これは私事ですけど、1959年、私が高校出た年で、当時いまみたいにJRの根岸線てのは通ってませんから関内の駅ありません。庁舎のすぐわきが大岡川でした。ですからそれからもう55年経つわけですね。ですが、いま写っている建物が免振工事であと50年はりっぱに使えるというお墨付きの建物です。
右側に大きく映っているのが、その土地の売主であるURの本社ビルです。その手前、大岡川との間に、こっちから撮っちゃうとあんまり大きく見えないんですけど、の土地がいま市が考えている建築予定地ということになります。
次、いきましょう。それで、A案B案って言いましたけど、A案というのは北仲通南地区、いま写った写真の右側の空地に建てるという案です。じゃあ、いまの庁舎、港町地区はどうするんだというと、基本構想の段階では、行政棟は残して、賃貸に回すということを説明してました。それから、市議会、市会が入っている方は解体撤去すると、そこにその土地が更地になると。この土地を貸すと地代が取れると。そういうメリットもあるんだとみたいなことを説明してたんですが、今年の3月の基本計画ではもうこういうことは全然言っていません。むしろその更地にした後の関内駅周辺の利用計画というものを考えるべきだという議論に移っちゃってますね。
次、いきましょう。北仲通南地区で約6000人の市の職員が入る庁舎を新築する。31階建ての建物になります。容積率いっぱいに建てると、この時点の認識では、2万平米ほど余ると。6000人の職員が入っても2万平米分余るから、これは民間に貸してそこからの家賃も収入として考えられるみたいな説明をしておりました。この時試算された建築費は603億円ですね。先ほど申しましたようにいまは616億円というふうに金額が膨らんで、しかも面積小さくなっていますけど、それは後の話です。いずれにしてもA案は建築費が603億円かかる計画です。
次、いきます。それからB案はですね、現在免振工事が終わった庁舎ですけど、いろいろITなんかに対応するために改修が必要という部分はあるんでしょうね。現庁舎は改修しますと。それから、市会棟は解体して、そこにいまの行政棟より大きな新庁舎を建てると。併せて、JRの反対側に、いまもう危険なんで使用が停止になっている教育文化センターがありますけど、それを壊した跡地にも新庁舎を建てると。結局、同じ港町界隈ですけども、3本立てになるわけですね。それは新庁舎として使うんだけど。
ここで突然不思議な話が出てくるんですが、新庁舎として使うのは全部港町の中で整備されるんだけど、それとは別に、URと2008年にその土地の売買契約を結んだ時に、URが本来やるべきであった再開発ビルを市に責任で建てなきゃいけない。この建てる建物は、北仲通南地区の建てる建物は仮庁舎として利用すると。で、港町地区の本庁舎が出来上がったら、みんなぞろぞろとこちらに移転すると。残った仮庁舎の方は、これは民間に貸すなり何なりすると。こういうややこしい話なんですね。港町地区に単に新庁舎を建てるというだけじゃなくて、URとの約束があるから、北仲通の方へも建てなきゃいけないということで。
次、お願いします。それから、B案の方はさっき説明しました。これは時間がないんで飛ばしましょう。
それで、事業スケジュールの点で、北仲通に建ててそれをそのまんま市庁舎として使うんだったら、前後8年あれば足りるよというのが上のスケジュール表ですね。下は、港町地区現有地で庁舎を建てると、まずは北仲通で同じビルを建てるために、これを仮庁舎を建てる建築を先行して、それが終わってからみんなそこへ仮庁舎として職員が入居するので、いまの場所の建て替え工事が始まるよと。前後12年かかるよと。期間の点でも8年か12年か。その位期間がかかるんで、北仲通の方が有利であるというのが基本構想の中での説明です。
その次です。費用的にも、いま期間が9年13年と4年の違いがある。それだけじゃなくて、費用的にも北仲通案の方が優れている。なぜならば、北仲通に建てるのは603億円、そのビルを1本建てればいい。ところがいまの港町地区を使うのは、そこで建てるビルそのものは、庁舎そのものは398億円で足りるけれども、もう一個その仮庁舎を建てる費用がかかります。それが1100億円かかります。
なんで603億円じゃなくて1100億円なのか、話ややこしくなりますが、市庁舎として使う建物は地方債の発行が許されますね。政府が借り上げたりして金利が安いです。ところがいずれ仮庁舎として使うだけで、民間に使わせちゃうようなビルだったらば、地方債の発行が許されないから、金利が高いお金を使わなきゃならない。そういうことで、長い目でみるとこれだけ金がかかるんだと。
だから、1本のビルを603億円で建てるのか、2か所に建てて1500億円かかる事業をやるのか、どっちが得かバカでもわかるでしょってのが市の説明なんです。だから、これはもう市庁舎は北仲通で建てることの方が、費用が安い、期間も短い、いいことづくめであるというのが基本構想の説明です。
次、いきます。ところが同じ基本構想の中で、地盤としてどっちが安定しているのかというのは、これは正直に書かれているんですが、真っ赤なところは液状化の危険が非常に高いところですね。いろんなタイプの地震がありますけど、北仲通南地区てのは、いま考えられているどんな地震が来てもまっかっかの地区です。液状化危険度の高い地区です。港町地区は、ぎりぎりですけどもオレンジ色で、その真っ赤なゾーンからちょっとまのがれて、基本構想でも液状化する可能性があるということなんですね。だから、こういう点では明らかに現有地の方が有利なんですけれども、先ほどいったお金が安いよ、期間が短いよという理屈で、北仲通に決めましたっていう話になるわけです。
次、いきます。これは、北仲通にどういうものを建てるか、去年から今年にかけてだいぶプランニングが進みまして、まだこれで確定ってわけじゃないでしょうけども、こんなものを建てましょうという話が進んでます。
次、いきます。これもまだ確定的なものではありませんけども、いまのURの本社ビルよりも高いビルを建てて、その間をつなぐ低層棟の議会が入るというような構図になっております。
これが603億ではなくて616億円かかることになったんですが、それは前提として、昨年の段階では平米あたりの建築単価を35万円というふうに試算したんですが、この間15%位上がっているということで、平米40万円ということで計算し直しました。そうすると、600億をそんなに大きくは超えられないんで、面積の方を減らしました。16万4000平米の延べ床面積をつくるはずだったのが、4と6が逆になって14万6000平米位のものになる。2万平米、民間に貸して家賃を稼ぐってのがふっとんじゃったんですね。616億円で、市の職員、市庁舎100%市庁舎として使うという計画に変わりました。
次、いきます。規模も縮小したと。時間がないんでここ、飛ばします。
この間、基本構想の段階では8年かけて9年目に入居するというプランだったんですが、昨年の秋になって、オリンピックが東京にくるということの情報を受けて、林市長は東京オリンピックの前にぜひとも新庁舎を完成させたいと、2年計画を繰り上げるということを打ち出しました。ですから、今年を入れて6年間の間に一切がっさいをやっちゃう。
どこが違うかというと、普通は大きな建物を建築する時はまず基本設計、実施設計と2段階あるんですが、設計図を確定して、これもう設計専門の業者を入札でもって選んで、設計させて、固まった設計図に基づいてゼネコンに入札をさせて、工事請負契約を結ぶというのが普通なんですが、期間が短くなるので、2段階はやれないと、設計も施工も同じ業者に請け負わせるということになりました。そのために、設計施工一括請負契約を結ぶ前に、どういう点をポイントにして設計したらいいかというその発注条件を決めるためにまた専門家を雇うという、こういうややこしい話になっているんですが、とにかく来年はその発注条件を固めて、来年中に設計施工一括請負契約を発注するというスケジュールですね。それで進めるということを、いま市が考えています。
次、いきます。いま市が考えているのは、新市庁舎を整備した場合としない場合と、費用はどこで償えるようになるか。いまは借り上げ庁舎が非常に多いですから、年間20億円位家賃かかっている。どこの家庭でもあるようですが、賃貸の住宅はいくら家賃払っても自分のものにならない。賃貸よりは銀行からローンを借りてもマイホームを持った方が得よとみたいな話があるで、それと同じことやっているんですが。賃貸をやめて全部6000人がひとつの庁舎に入る。いまの基本計画では、48年後、48年後というのはいまから48年じゃないですよ。庁舎が完成してから48年後には賃貸よりはやっぱりマイホーム持ってよかったねというふうになります。48年経ったらもと取れますと、こういう計画なんですね。
次、いきます。この前提が、いま言ったように、建築単価が上がりました。それからスケジュールを短くしました。48年経過すれば、現在のように借り上げ庁舎の地代を払ってる状態と比べれば、ちょうど持っててよかったねということになります。こういうのが市の説明なんですが。
ここでちょっと話が脱線しちゃうとなんなんですが、横浜市というのはちょうど東京オリンピックの頃に人口のピークを迎えて、あとだんだん下がっていくわけですね。50年も経ったらおそらく300万人きるんじゃないか。ちょうど80年代のバブル期以前の状態に戻るんじゃないかという推計がされています。そういうことまで入れると、48年後っていうのはそんな大きな庁舎を持っていること自身が無駄になるということが言えるんじゃないんだろうか。それから、48年も経ったら、もう次の新新庁舎をつくらなきゃならんと、老朽化するという問題も出てきます。ですから、48年経ったらもとが取れるなんていうのは、もとが取れる話じゃないんじゃないかというふうに、私なんか思います。
次、いきます。その話は別の方からも出ると思うんですが。市の事業計画の法的な問題点、これは大きく分けて2つあるんですけども。北仲通にビルを1本建てれば603億円で足ります。港町地区だと、港町地区の整備費用そのものと、それから北仲通に結局ビルを建てる、2本、2か所建てることになって、北仲通の方がお得ですという理屈自身が、これがうそです。
次、いきます。これを言うためには、URとの契約でしばられるんだと、どっちみち北仲通には600億円規模のビルを建てる義務があるんだという前提にたてると、2本建てるよりは1本でという理屈が通るわけですが、仮に、URとの契約が無効だと、法律的に効力がない、URとの契約にしばられる必要ないというふうに考えれば、単純に398億と603億、616億でもいいですけど、400億円前後と600億円前後の比較論になるわけです。そうすると、地方財政法にも明確な条文がありますけれども、地方公共団体は必要最小限のお金しか払っちゃいかんという条文に反するわけですね。
次、いきます。なぜURとの契約が無効かというと、2つの点で地方自治法違反があるわけです。ひとつはURさんのやるべき事業を市が600億円規模の事業を肩代わりして引き受ける。それを契約するのは市長ですけども、そういう契約を結ぶ時は議会の方で予算措置をしてなきゃいけない。当年度の予算と違って、将来年度の予算ですから、債務負担行為というんですけど、債務負担行為というのも予算上の一部です。それだけの契約をする予算措置は引き受けるよということを議会が議決してなきゃいけない。その議決はないんです。土地そのものを買うことについては議会で議決がありますけど、その土地の上に600億円からの建物を建てる責任を引き受けてよろしいということについては、議会の議決は全くありません。
この議決は、追っかけて、ああ忘れてた、いまからじゃあそういうことを議会の議決を取りましょうといってもだめなんです。補正予算をつくることになりますから。補正予算というのは当該年度を過ぎたらもうできないんですね。いまからあわてて議会の議決をとろうとしてもできません。
それから、これは当時としては工事費がいくらかかるか、何百何十億という具体的な数字が出てなかった。出てなくてもいいんです。それに必要な予算措置はしますという文言で書けばいいわけですね。そういうこともやってない。つまり、議会の予算議決の裏打ちの全くない契約だっていう点で、地方自治法214条に違反する。これが第1点です。
それから、次に、先ほどもみなさん不思議に思われたでしょうけども、168億円を全部100%払いきっちゃってるんですが、所有権はその時点ではこない。上物を建てた時じゃなきゃ代金の対価としての所有権を引き渡しませんよと言っている。これは普通の契約ではないんですね。普通、売買契約は同時に請求権というのがあって、お金を払う時は所有権の引き渡しを受けますよ。これは同時履行ですよというのが原則なんです。議会が同時履行の請求権というものを放棄してよろしい、そういう権利放棄の議決というのを議会がしてればまた適法になるわけですけど、この議決はないわけです。168億円のお金を払います、よろしいというふうに議決されているだけで、金を払うんだけれども所有権はお預けになるんだということで結構です、権利は放棄しますという議決はないんですね。
その2つの点で、URと中田市長が2008年に結んだ土地譲渡契約というのは無効だと。無効だということは、168億円は向こうに一応現金いってますけれど、不当利得ですから、これもう返せということは言えるわけですね。ですから、URとの契約は無効ですから、それにしばられる必要はないどころか、URにわたっちゃっている168億円を取り返せると、こういうのが正しいだというのが法的な解釈です。
次、いきます。裁判上の議論というのは、非常に枠がはめられてまして、616億円もかけて、北仲通に市庁舎を建てるよりも、もっと安い方法があればそっちを選択するべきなんだと、そういう同じ目的、6000人の職員を一カ所に集めるという目的そのものは与えられた前提として、その目的を実現するためにはもっと安い方法があるのにこれをやるのはいかん。そういう議論にしかすぎないわけですけれども。
もっと市民の間で問題にすべきことはたくさんあると思います。時間の関係で全部ははしょりますけども。
やはり、一番、私申し上げたいのは、なんでこの時期に600億円もの公共事業をやるのかな。オリンピック後じゃ待てないのかなという疑問です。市の方の説明はですね、先ほど言ったように、来年度中に設計施工一括契約で発注するんで、あとはもう受けたゼネコンの責任になるんだから、そんな高くはならない。オリンピックに迫ってから金額が決まる訳じゃなくて、増える金額は来年決まるんだからいいんだってなこと言っているんですね。
ところが、ご承知のように、オリンピックの施設そのものを準備するために東京都は、去年東京都が責任を持って支出する金額は1581億円で足りると言ったのが、もう一回そろばんはじいてみたら、そんなもんじゃ足りない。3800億円位になっちまうと。東京都はオリンピックのために4000億円貯金持ってますけど、もう貯金はたいても間に合うかどうかわからん事態になったと。だもんですから、この間IOCの委員が来た時に、もう少しコンパクトな施設に見直すことをお許しいただけませんかという交渉に入っているわけですね。去年と今年の間で、1580億円が3800億円になるかもしれないというぐらい、オリンピック前の建築物価っていうのは上がっているわけです。616億円であがるなんてみている方がよっぽど甘いと思います。
それから、市自身が余計な金を出すことになるかどうかは別として、いまはまだ東日本大震災の復興事業そのものが全然進んでないわけですよね。この3月3日に被害にあった市町村の首長さんのアンケートが出てましたけど、7割位の首長の方がですね、ここでオリンピックになるために、要するに東北の復興が遅れる、そのことを一番心配しているって言ってるわけです。この時期に大型公共事業を始めるっていうことは、単にその経費がかかって損だということだけじゃなくて、東北の被災地を本当に泣かせる話じゃないか。それもやはりちゃんと考えていただかなきゃ困るというのが一番言いたいところです。
そのことは、次の最後に神奈川新聞にも出てましたね。前のめりの横浜市と。なぜ急ぐかということを神奈川新聞も言ってますけど、その通りだと思います。
最後に、一言だけ、私の方で進めている裁判の現状を一言だけ申し上げますと、市長の方はどう言って反論しているかというと、北仲通を選ぶことがこれこれこういう理由で合理性があるんですっていうことの議論に入ってないんです。入ってなくて、やたら門前払いを請求している。なぜかっていうと、私どもの請求がこの新市庁舎整備のための契約とか公金の支出とかそういう財務会計行為をいっさいしちゃいかんという包括的なものですから、包括的な差し止め請求そのものは許されないんだと。いちいちどういう契約がいかんとか、どういう条件の公債発行がいかんとか、そういうふうに特定した上でなければ、まだ住民訴訟は時期尚早だと。時期尚早論というものを振りかざして、中身に入るのを拒んでいるというのが現状です。
そこで、私どもは裁判所に対して、そういうくだらない逃げ口上は許さないで、中身に入った議論をするようにという訴訟指揮、中間議決といいますけども、そういう訴訟指揮に関わる裁判所の判決をしてくれということを、いま請求してます。おそらく今月中には、じゃそういう方向で裁判所の見解を示しましょうという意思表明があって、夏休み明けにはここに対して、中身に入って対応するようにという判決が出るはずです。
言いましたように、裁判所でできる議論というのは限られているわけですね。法律上の議論に限られます。しかし、この市庁舎をこの時期に大金を払ってやるということのばかばかしさっていうか、東北の人たちに対する本当に罪づくりな話っていうのは、もっと裁判所の論点を広げて、市民の間でぜひ議論していただきたいと思います。
ちょっと長くなっちゃいましたけども、私の報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。