私は、日本共産党を代表して19件の議案に反対の立場から討論いたします。
年間約1000万円もの税金を使う市長特別秘書は不要
まず、市第134号議案「横浜市特別職の秘書の職の指定等に関する条例の制定」についてです。この条例は、市長が、公務・政務を問わず、様々な機会やネットワークを効果的に活用することで、重要施策の実現や円滑な市政運営を確保するため、地方公務員法に規定されている特別秘書を設置するとしています。定数は一人で任期は一年ですが再任は可能、報酬は年間800万円で課長補佐相当というものです。 特別秘書業務の内容については、政治的行事や会議に関する日程調整や随行、政党や政治団体などからの情報収集とあります。そこで昨年度の市長の政務に関する日程一覧を見るとその件数は97件で、現行の一般職秘書が同席できない明白に政治的行事と判断できるものはわずか10件でした。当局が政務とする日程のほとんどが一般職秘書で対応できるもので、現在2人いる秘書が夕方から夜遅くまで拘束されるというのであれば、一般職秘書を増やせばよく、10件については自分で個人秘書を採用すれば済むことです。わざわざ特別秘書を増やして対応することではありません。また、税金で対応することについて市民理解が得られるとは思えません。 政令市における状況では、仙台市・さいたま市・大阪市・岡山市と条例制定はしていますが、現在一人も特別秘書を置いていません。その理由は、仙台市・岡山市は「コンセプトが明確化されていない。市長が必要だと判断していない」、さいたま市は「政治活動にあたる政務は市長の後援会の方で対応している」ということでした。 また、今回提案された特別秘書の報酬額の800万円については、なぜ課長補佐相当にしたのか、その根拠が明確ではありません。それこそお手盛りで決めた額であり、社会保障費の負担分を加えると年間約1000万円にもなり、納得がいきません。これらの理由から反対をいたします。
地域の保育園の質を規定する市立保育園の民間移管はもうやめよ
次に、市第142号議案、民間移管に伴う保育所の廃止についてです。今回の議案は、公立保育園である港南区の笹下保育園、旭区の中尾保育園を2015年の4月1日から廃止するものです。 これまでに横浜市は、2004年から今年度までに36園もの公立保育園を民間移管し、125園あった公立保育園を今年度末で90園まで減らしています。民間移管をする理由として、保育時間の延長、土曜日の給食の提供、3歳児以上児への主食の提供、一時保育の実施など、保護者の多様なニーズに応えるためとしています。しかしこれらの多様なニーズについては現在公立園でも実施してきていることから、この点での民間移管をする理由は、全くあてはまりません。 2012年9月にこれまで行った民間移管の検証結果報告によると、民間移管によって、施設設備・保育環境の改善の点ではこれまで9園で増改築が行われ、245人の定員増が行われたとしています。しかし、この増改築によって、公立保育園の時には66人定員が100人定員で34人も増えたという瀬谷保育園は、定員増になる前と比較して児童一人あたりの園庭の面積はもともとの土地に建て替えたため狭まっています。これは、保育の質の低下です。子ども達が自由に遊びまわれる広い園庭が民間移管前にはあったのに、定員増により子ども達の成長・発達を阻害していることは看過できません。結局、民間移管によって犠牲になっているのは子どもたちです。 成長・発達が著しい時期の子どもたちを保育する環境整備については、公立だからこそ施設設備をはじめベテランの保育士がそろっているなどの条件が整っているのです。それらを保護者が望んで公立保育園を選択したからこそ、公立保育園民営化の違法性を訴えた最高裁判決では、保護者の選択権を認め、横浜市の民間移管の拙速な方法による違法性を認めたのです。 また、検証結果報告に、移管後の保護者からの意見として「若い先生が多くなったように思う」「先生からの報告、保護者とのコミュニケーションが減ったように思う」という気になる意見があったとあります。この意見からは、移管後、保育士が定着するのが難しいこと、また保護者と信頼関係を築くのにも時間がかかることが窺えます。 移管に応募する法人としては、ベテランの保育士を揃えることが難しく、引き継ぎ期間も伸びたことから、ますます移管に応募する法人が大幅に増える傾向にないと市は分析をしています。これらの理由から、民間移管はこれ以上する必要はありません。 民間保育所が、法人設立の精神に基づいて特色のある保育を行い、その利用者に責任をもって運営されています。それに対して、横浜市が公立保育園を運営することは、すべての家庭に対する子育て支援を視野に入れて、障害のある子どもや、貧富の格差、家庭での困難を抱えた子どもたちを積極的に受け入れ、丁寧な保育をすることができるのです。子育てで悩む保護者の声をじっくりと時間をかけて聞き、アドバイスができるのは、ベテランの保育士がいるからこそです。その点を市として評価するべきです。公立保育園の数を減らすことは、子育てで不安を抱える保護者をはじめ丁寧な対応を必要としている子どもたちの行き場を奪うことにもなります。 市は、民間移管の今後の方向性として、2014年度から2016年度までは現在と同様の2年6か月の準備期間で民間移管を継続し、年2園ずつの移管をします。そして、2017年度以降は2014年度公表予定の「市立保育所を活用した保育資源ネットワークの構築事業」の検証結果を踏まえて、事業の方向性を検討していくとしています。 公立保育所で行っている事業が市の保育の水準として民間園にも示され、保育士の給与をはじめとする補助金交付の基準にされています。公立保育園がこのように地域の保育の質を規定するものであることを認識しているのであれば、これ以上公立保育園を減らすことは、一度踏みとどまって考え直すべきです。
市内景気にも影響する市職員給与減額には反対
市第164号議案、一般会計補正予算ほか165号・166号・167号・168号・169号・170号・172号・173号・177号・178号・179号・水第9号・水第10号・交第11号・交第12号・病第4号についてです。 これらは、昨年7月から今年の3月まで国家公務員給与減額を平均7.8%したのに合わせて市職員の給与を減額補正するものです。 市職員の給与を削減することについては、国が地方交付税減額をするなど、その対応をめぐって問題だと指摘してきました。また市職員の給与を減額することにより、市内景気にも影響することから、今回の対応については賛成できません。 消費税引き上げ対策は臨時給付金だけでは不十分 一般会計の補正予算では、消費税率引き上げに伴う対策は、国の実施する臨時福祉給付金と子育て世帯臨時給付金のみで、本市独自の対策が一つもなく、例えば、水の使用量が多い保育園、病院等への水道料金減免制度を拡充するなど、市民生活への影響を最小限に食い止める本市独自の対策を行うよう提案しましたが、市長はこの点について検討したのかどうかもお答えになりませんでした。国の実施する臨時福祉給付金と子育て世帯臨時給付金のたった1回の、しかも申告しなければ受け取れない給付金では、これからずっと負担増になることへの対策としては非常に不十分であり、納得いきません。
特区関連施策ではなく中小企業支援策を推進せよ
特区関連施策の推進に7.7億円計上していますが、特区関連施策の推進で市内の経済対策に寄与しているとはいえません。特区関連施策の推進ではなく市内中小企業支援策が必要との質問に、中小企業の支援については、26年度当初予算において制度融資における消費税対応資金の創設、新技術・新製品開発設備投資への支援など充実を図っていると市長は答弁しています。しかし、市長が充実を図っているという経済局予算505億円の大半は金融対策費で占められ、それを除くとわずか80億円です。市内企業の99%を占める中小企業に対し、これで支援が図られると言える額ではありません。
雨漏りする学校体育館、学校特別営繕費こそ増額を
大型公共事業への偏重を見直すべきとの質問に対し、市長は「建物の耐震化や老朽化対策、道路の改良など、市民生活の安全安心につながる身近な施設の整備については、これまでも優先度の高い施策として位置づけ、しっかり取り組んできている」とお答えになりました。 ところが、実情は違います。1月に私の地元、南区の南吉田小学校で地域主催の餅つき大会があった際、実行委員長から「体育館の雨漏りがひどいので何とかしてほしい」と挨拶で言われました。そこで、私は副校長先生に案内していただき、現状を見てきました。雨の降る方向によって水が漏り、床にはそのしみが大きく何か所も残っていました。ひどい時には、雑巾やモップで何度も水を吸わないと、歩くこともままならないということでした。 副校長先生はこの実情を何度も教育委員会に伝えています。私も直接施設課へ実情を聞きました。結局は、予算があるので順番待ちだということです。 体育館は、地元の方たちの避難場所として使うことにもなっていることから、国の言いなりで補正予算が付いた高速横浜環状道路や港湾施設などを優先させるのではなく、防災上も重要な役割を担う学校特別営繕費こそ大幅に増やし、すぐに対応すべきです。
大型公共事業偏重の予算配分は見直しを
これらの点で、補正予算の使い方そのものを、大型公共事業に偏重する従来型の予算配分は見直し、老朽化対策、防災・減災対策など、地方自治体の本旨である住民の命と暮らしを守る補正予算に切り替えることを再度述べて、私の討論を終わります。