◎実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。党を代表して、本議会に上程されています議案について、順次質問してまいります。
消費税増税で市民生活や景気はどうなる
まず、消費税関連17議案について質問をいたします。
わが党は、国政では「今後の消費税のあり方、社会保障のあり方、財政危機打開の方途で、意見の違いがあっても国民の暮らしと経済を守るために、来年4月からの増税を中止する一点で、各党に共同を呼びかけている」ところです。今回の消費税引き上げについて、第3回定例議会のわが党の大貫団長の「市長は消費税増税に反対すべきだ」と迫ったことに対して、市長は「安倍総理がご判断するものと考えています」と直接答弁を避けられましたが、今回の17事業にもおける消費税転嫁・市民への値上げで、総額で57億円もの増税を押し付けることについて、まさに林市長ご自身が決断されて今回の議案が出されているわけありますが、なぜこんなにも、簡単に右から左へと提案されているのでしょうか。市民生活や市内の景気はそのことによってどう変わるのか、その認識、伺います。
消費税増税後の暮らし向きや経済動向を見極めよ
私たちはもちろん消費税増税には反対ですが、4月からすぐに転嫁をするということを決めてしまうのではなく、市民のみなさんの暮らし向きや経済動向を見極めることも必要だと考えます。例えば、前回の消費税5%へ引き上げられたときに、交通局はそのまま4月には料金転嫁はしませんでした。今回も、この交通局の対応に、拙速に判断せずに、実際の4月からの景気動向がどうなるのかをまずは見極めることをなぜしないのか、伺います。
弱い立場の方に目を向けた施策の具体化を
第3回定例会で市長は、「社会保障改革はもはや待ったなしの状況なので、厳しい環境にある中小企業や社会的に弱い立場の皆様などへの十分な配慮を行った上で、消費税を引き上げることは必要」と答弁をされておられました。また10月1日付の記者会見の中でも、市長は「本当にぜひ国には弱い立場の方に目を向けていただきたい」と話されていました。税金の取り方一つで、人の生き死にが決まります。そんな中で、国に対して低所得者向けの配慮を求めていることは大変いいことだと思います。しかし、林市長が本心でそう考えられているのであれば、国に求めるだけではなく、市として「弱い立場の方に目を向けた施策」を具体化するべきと思いますが、市長の考え、伺います。
特に低所得者については、消費税増税で暮らし全般にわたって苦しくなるわけでありますから、引き上げないだけではなく料金引き下げをするくらいのことを検討しなければ、市長のいう「配慮」にはあたらないと考えますが、いかがでしょうか。
林市長:市民負担増加、中小企業へのマイナスの影響は発生するが・・・
林市長:古谷議員のご質問にご答弁申し上げます。
消費税率等の改正に伴う条例の一部改正と関連議案についてご質問いただきました。
増税分を転嫁することが市民生活や市内景気に与える影響についてですが、今回の税率引き上げにより、市民のみなさまにとって負担が増加することは確かであり、厳しい経営環境にある中小企業にとっても増税による駆け込み需要の反動などマイナスの影響は当然発生すると考えます。従って、経済対策などにより景気の下支えや、簡素な給付措置などによる社会的に弱い立場のみなさまへの配慮などさまざまな角度からの取り組みを着実に実施していくことが必要だと考えています。
消費税転嫁に時期ですが、消費税は最終消費者が負担することを予定した税であり、また国からも公共料金の改定については税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処するという方針が示されています。こうしたことを踏まえて、4月からの料金改正を今回お願いするものです。
弱い立場の方に向けた施策の具体化についてですが、今回の政府の経済対策に中小企業への支援の強化や住民税が非課税の方に対しての現金給付などが盛り込まれましたので、本市としてもこれらの実施に向けて着実に準備を進めていきます。
料金の引き下げなど低所得者への配慮についてですが、消費税は最終消費者が負担することを予定した税であり、また今回の消費税引き上げは今後の社会保障制度を安定的に支えていくために必要なものであることから、ご理解をいただきたいと考えています。
市長は市民生活の実態が見えていない!消費税増税は転嫁するな
(第二質問)
古谷議員:市長、答弁ありがとうございました。ただいま市長の答弁いただきましたが、市民生活の実態がなかなか見えていないのではないかなあという感想をもちました。
消費税関係について再度伺います。総務省の家計調査を見ると、勤労者世帯の可処分所得は前年同期比で1.5%の実質減少、二期連続で減っています。そして、賃金も所定内給与は16か月連続して減少し続けている最中です。そんな中で、賃金は増えていない、賃金が増えていない中で、市長は消費税転嫁を早々となぜ決めてしまうのか。これでは市長が市民生活を本当に苦境に追い込むことになるというふうに思います。転嫁はやめるべきと思いますが、市長の考え、再度伺います。
次に、私は、消費税はただ負担が増えるからといって反対しているという単純な議論をしているわけではありません。税金の大原則である、応能負担・生計費非課税という税の大原則に反している、最も不公平な、最も不公正な税金であって、その税率を上げることに対して、私たちは反対をしています。結果、富裕層には軽い負担、低所得者には重い負担になってしまうのは明らかであり、格差社会を広げてしまうことになります。その精神が不正義だと言っております。いろいろ言われましたが、結局市長は、本市としては何も手を打っていません。市長は格差が広がっていくことをよしとするのか、それが市長の政治信条なんでしょうか、伺います。
市長:消費税増税は将来の社会保障制度の安定化に必要
林市長:古谷議員のただいまのご質問にお答え申し上げます。
賃金が増えていないなかで、なぜ消費税を転嫁するのかということについてですが、消費税率の引き上げ分は、その全額を社会保障経費に当てることとされておりまして、年金、医療、介護、少子化対策などの充実、安定化に使われることとなります。しかしながら、消費税引き上げ時の景気の腰折れに配慮する必要がありますので、たとえば本年度の税収の上増分など消費税引き上げ分以外の財源を使って今回の政府の経済対策が実施されるものと理解をしています。
次に、格差が広がることを市長はよしとするのかというご質問でございますが、将来の日本の社会保障制度を安定的に支えていくための財源として、世代間の公平性や税収の安定性、経済活動への影響度などを総合的に考慮した結果、消費税が変革されたものと認識をしています。
市民の担税能力を無視した横浜みどり税
古谷議員:次に、市第64議案「横浜みどり税条例の一部改正」についてです。
年金が引き下げられ、医療費負担も増え、来年には消費税増税が待っていたり、そんな中ですべての市民や企業に対して超過課税の継続を今回の議案で強いているわけですが、市民生活の実態がどうなっているかという視点での分析が税制調査会の報告には触れられていません。市財政の観点からの分析に大きく偏って書かれた税制調査会のあり方に問題があると考えますが、市長の所感、伺います。
本条例は、市民の担税能力を無視して、均等割りで一律に税をかけてしまう「税の応能負担の原則」を無視しております。また、今まで欠損法人課税免除によって一定企業の担税能力に応じて対応していた制度も、今回なくなる提案であります。例えば、神奈川県の超過課税であります水源環境保全税は、一律の均等割り分、所得割分があり、担税能力に応じて支払う仕組みになっています。本市のみどり税は、担税能力を無視して一律に税金をかけてしまうやり方について、市長の見解を伺います。
そもそも緑の減少は財政的な問題だけではない
そもそも、市内の緑が減っているのは、買い取り資金などの財政的な問題の制約だけが、緑を保全できなかった原因だとお考えになっているのかどうか、市長の考え、います。
現状で、横浜の緑を減っているのは、地下室マンションにみられたように、不動産・宅地・マンション建設など開発業者が行った大規模な宅地開発を進めたことと、そのことに対して本市が緑を減らさないような有効な手立てを打ちきれなかったことが原因だと思います。一般市民や法人から均等負担をさせるということは、それらの開発業者の責任をあいまいにして、一般市民・法人への負担転嫁としか言えないものであります。開発業者への負担金の導入や建築・開発行政への規制強化などの対策が必要だと考えますが、市長の考え、伺います。
2009年から2012年の4年間で、みどりアップ計画で買い取った105.9ヘクタールの樹林地のうち、43%にも当たる45.5ヘクタールが企業から取得されたた土地であります。その土地が、もし企業の塩漬け状態の土地で実質事業化できないような土地だったとしたら、市がその事業化できないような土地を買い上げて、結果的に企業を救済したことになってしまいます。この間のみどりアップ計画で企業から本市が取得した45ヘクタールはどういう土地であったのか、伺います。
市長:みどりの受益は広く及ぶ⇒均等割で税の負担を
林市長:市第64号議案についてご質問いただきました。
税制調査会のあり方については、税制調査会では市財政の観点からの分析にとどまらず、課税自主権活用の前提条件として、施策の重要性と財政状況、行財政改革の取り組み状況の検証や評価が行われました。また、みどり税の課税手法、納税義務者、市と税率等の税制案について、さらに市民の理解と納得に向けた行財政改革の継続した取り組み、市民が直接参画する市民推進会議についての検討が行われました。このように、税制調査会ではさまざまな観点からの議論を踏まえ、答申を取りまとめていただきました。
納税者に一律に税を課すことの見解については、みどりの保全、創造による受益は市民である個人・法人に広く及んでいることから、みどり税は市民税均等割の超過課税を採用しています。均等割は地域社会の費用を住民が広く負担するという性格を持っているものであり、一定の所得以下の方などを除き、所得の額に如何にかかわらずすべて均等の額によって税の負担を求めるものとされています。
開発事業者への法定外税課税は困難
市内のみどりが減っている原因についてですが、本市では都市の発展や市民生活の向上のために、計画的なまちづくりを進めています。みどりの保全にも力をいれ、バランスをはかりながら取り組んできましたが、みどりは減少してきました。みどりの保全については、土地をお持ちのみなさまにご協力をいただき、緑地保全制度の指定により持ち続けていただくことを基本として、不測の事態での買い取り希望に対応して市が買い取ることにしています。こうした中で、財政的な裏付けのある安心感を土地所有者のみなさまにもっていただくことが重要であり、安定的な財源であるみどり税は大きな役割を果たしています。
開発業者への負担金の導入や規制強化についてですが、みどり豊かで住みよいまちづくりを進めるため、一定の開発の際には公園の設置や緑化の義務付けに加え、大規模な樹林地については事業者と協定を結ぶなどにより保全に努めてきました。現行のみどり税導入時には、開発事業者等への法定外税課税の可能性について、法的な側面や課税技術の面などさまざまな観点から検討しましたが、多くの課題があり、導入は困難としました。引き続き、都市に潤いを与えるみどりの十大拠点や身近なみどりの保全・創造と都市の活力につながる魅力ある市街地形成を目指してバランスあるまちづくりに取り組んでいきます。
企業からの樹林地の取得に関するご質問ですが、企業が所有する樹林地で保全の対象となるものにつきましては、すべて働きかけを行い、緑地保全の主旨にご賛同いただきながら、規定の指定による緑地保全を進めてきました。指定地において、転売などによりみどりが失われる恐れがあるような不測の事態が発生した場合や、法律に基づく開発の申し入れに対して、買い取りを行うことで永続的に緑地を補填しています。みどり税も活用しながら、緑地保全制度による指定や買い取りを進めてきたことにより、樹林地の減少傾向が鈍化しており、みどりアップ計画の取り組みは大きな効果があったと考えています。
市街化調整区域の開発規制、土地買取り禁止を
(第二質問)
古谷議員:次に、みどり税について再度伺います。「緑はみんなが享受するから、みんなで等しく負担をするんだ」という理屈が成り立てば、行政サービスなどを含めて全て応益負担がふさわしいということになりかねません。なぜ、みどり税は市民法人の担税能力を無視するのか、明確にお答えください。
みどりアップ計画で買い取った企業の土地についてであります。現在、市街化調整区域などでは特別養護老人ホームなどの規制を行っております。墓地開発のさらなる規制をすれば、調整区域の買い手が実質的にはなくなり、結果的に緑は保全されるはずであります。こういった手立てを講じて調整区域の保全を進めるべきであります。さらに、調整区域の企業用地の買い取りは原則禁止とすべきと思いますが、どうか伺います。以上4問、お願いします。
林市長:なぜみどり税は担税能力を無視するのかということでございますけれども、市民税の均等割は地域社会の費用を住民が広く負担するという性格をもっております。しかし、全く担税力がない方や担税力が著しく薄弱である方について負担を求めることは適当ではないとされ、一定の所得以下の方への非課税制度が設けられておりまして、みどり税も非課税となっております。
最後に、企業の土地の買い取りはやめるべきというお話でございますが、本市では総合的なまちづくりの観点から、みずとみどりの基本計画や都市計画、マスタープランなどを策定しております。開発に対しましてもこのような総合的な方針との整合性を図るとともに、さまざまな制度も活用しながら、適切な土地利用を誘導してまいります。
以上、ご質問にお答え申し上げました。
動物園は指定管理者制度から直営に戻せ
古谷議員:次に、市第75号議案「横浜市動物園条例の一部改正」についてです。
本議案で出されている今回の動物園をはじめ図書館など高度に専門性・継続性が要求される分野については、指定管理期間があることや公募制では仕事の蓄積ができません。また、指定管理期間が定まっているため、有期雇用の労働者を雇い入れざるをえず、せっかく育てた人材でも5年で出て行ってしまうという事例があると聞いています。現行の指定管理制度の中でも、最長で30年と期間を当初の想定より大きく伸ばしたり、また今回のように公募をしないようにするなど対応はされていますが、この際小手先の対応だけでなく、現行の指定管理者制度のあり方を専門性・継続性が担保される方向で、抜本的に見直す必要があると考えますが、市長に見解、伺います。
さらに、本議案については、非公募にはするものの指定期間はあるので、結局同じ問題が先送りになるだけであります。今回の議案の対応では不十分なので、動物園については直営にすべきと思いますが、どうか伺って一回目の質問を終えます。
林市長:市第75号議案についてご質問いただきました。
指定管理者制度を見直すべきとのご意見ですが、特に高度な専門性が求められる施設では優れた人材を確保し、育成していくことが重要です。このため、これまでも指定期間を長期間の指定とするなど、各施設の特性に応じて適切に対応しています。今後も引き続きよりよいサービスが継続的に市民のみなさまに提供されるよう、円滑な制度の運用に努めてまいります。
動物園は直営に戻すべきとのことですが、本市動物園は指定管理者の創意工夫による各種イベントの実施等による利用者サービスの向上や経営努力による経費削減など、民間の能力を活用した指定管理者制度により、効果的、本質的な運営をしています。動物園は専門性が高い施設であり、飼育技術の継承や飼育の継続性、安定性を確保することが重要であり、指定期間や選定方法の工夫などにより、対応しています。なお、国の動向を踏まえ、よりよい管理運営方法について検討してまいります。
以上、古谷議員のご質問にご答弁申し上げました。