水道施設の維持管理、点検、保全計画は万全か
岩崎議員:それでは伺っていきますが、まず水道施設の日常の維持管理、老朽化対策、長寿命化、更新・廃止といった内容を含む保全について伺います。委員長、パネルをちょっと使わせてもらいますので、了解願います。
橋脚補強の工事をやっている磯子橋というのがあります。その横に並行して水管を通している橋、水管橋というのだそうですけど、を視察してきました。
これ(写真1)が磯子橋です。これが(写真2)水管橋です。橋の橋脚の様子がこっちの緑の方です。水管橋の橋脚が黄色い方です。
これを拡大しますとこうなります(写真3)。
岸から見てますので、この程度なんですけど、水管橋の橋脚、これですね。これはほぼ補強工事をやっている磯子橋の橋脚と同じです。現状の把握および1月末時点で、保全計画があったのかなかったのか、伺います。
林給水部長:水管橋あるいは橋脚、これにつきましては、管理台帳に基づいて毎年、橋の上から目視による点検をしております。そういう状況で、この磯子橋もやっているということでございます。
それから、本年度から、東日本大震災の教訓ということで、津波の影響、これもありますので、船舶を利用したより間近からの点検も合わせて開始しております。そういう意味で、24年度につきましては、この船舶による調査は市内の水管橋83橋をやってございます。
計画につきましては、先ほど申しましたように、管理台帳に基づいておりますので、管理台帳で毎年やっているということで、そういう意味の管理計画というふうな捉え方をしております。
岩崎議員:全然答えになっていないと思うんですよ。具体的に、磯子の水管橋の保全計画というのは持っていたかどうかということを聞いているんですけど、これはどうなんですか。
林給水部長:具体的には先ほど言いました目視による検視とその点検結果を基に、必要に応じて錆を防ぐ防錆塗装とかあるいは補強工事、それを行うということで、実際に磯子水管橋につきましては昭和60年度に橋脚の補強工事を実施しております。それから平成16年度には水道管等の防錆塗装工事を実施しているというようなことです。そういう意味では、基本的に10年単位の塗装というのが基本なんですが、実際の状況に応じて実施をしているということでございます。
岩崎議員:要するに、一つひとつの保全計画というのは持っていないということになると思います、これは。特に今回のこの水管橋に関してはなかったということだと思うんですね。
現場は見た目でも心配な状況です。これ、大丈夫なのかどうか、まず。
林給水部長:ここは感潮河川といいまして、海の潮の影響がでるということで、見た目フジツボとか着床していますので、かなり傷んでいるように見えますけど、先ほど申しました60年度の補強工事、ここでは既存の橋脚にさらにその外側にコンクリート、鉄筋、それから鋼管で補強しております。そういう意味で、耐震的な問題は、今後また東日本大震災の教訓を受けて再度診断するつもりではおりますけれど、今のところは60年度の補強で大丈夫というふうに考えております。
岩崎議員:補強工事の内容、ちょっと違うんじゃない。見た目にもそんなことはしてないですよ。コンクリートで外から補強なんてされた形跡はありませんから。まあ、いいです。
補強工事をしたっていうことだけど、補強工事から相当のもう25年以上経ってますよね、経っています。だから、補強時点の強度が保たれている保証はありません。この点どうでしょうか。
林給水部長:先ほど申しましたように、東日本大震災の教訓を得まして再度診断をしたいというふうに考えております。その結果に基づいてさらに補強ということもありえると思います。
水管橋の架け替えには1億円以上必要
岩崎議員:再度検証して、必要ならばということのようですが、じゃあ伺いますけど、もし架け替えという事態になったら、どれくらい費用かかるんですか。
林給水部長:補強の場合、東日本大震災の被害を考えますと、また同じ水管橋のかたちで架けますと、津波の影響で橋脚あるいは水管橋、これが壊される可能性がございますので、私どもとしましてはこういうケースは河川の下を通す推進工法を使って、そういう心配がないようにしたいと考えておりますので、こちらの状況ですと1億円からもう少しかかるかなというふうに想像しております。
岩崎議員:1億以上かかるということがわかりました。それじゃあ、市が管理する水管橋の総数と、現在の保全状況、どうですか。
林給水部長:現在、水道局で管理してございます水管橋は約290でございます。保全状況につきましては、先ほど申しましたように、毎年目視でその状況をみております。
岩崎議員:そういう状況ですけど、保全の費用、今後かかりますよね。これは、予算上はどのように確保されているんですか。
土井水道局長:水管橋の保全対策は、先程も申しましたように、毎年の点検結果を踏まえて、補強工事として行っているものがございまして、これは収益的支出の修繕費等により対応しております。23年度は7橋で、約1400万円で実施しております。また、更新につきましては、これは先ほど来でてきました年間110キロメートルの老朽化更新・耐震化事業の中で、資本的支出の建設改良費で実施しております。23年度はこういう水管橋は2橋、約2800万円で実施しております。
岩崎議員:予算上は計算されているようですけど、先ほど伺った磯子の水管橋はこの計算の中に入ってないってことですよね。予定がなかったんだから。
林給水部長:予算計上はされておりません。
岩崎議員:いま局長お答えになった予算上の確保の仕方で、水管橋だけでなくて、横浜市水道局全体の保全という概念で考えたら、同じ方式で計上されているとみていいですか。これ、ちょっと確認しておきます。
土井水道局長:老朽管全体、地面の下にある老朽管全体を先ほどの一つは収益的支出の修繕費というかたちで予算化しているものと、更新などにつきましては先ほどの資本的支出の建設改良費というかたちになっておりまして、25年度の予算案で申しますと、両方合わせて水道管についてですが、約180億円の予算を計上しております。
岩崎議員:水道の施設というのは、管だけじゃなくてもっといっぱいありますよね。それ全体もおんなじでいいですか。
土井水道局長:全体につきましては、先ほどの前の先生のご質問にございましたように、基幹施設整備、浄水場の耐震化、配水池の耐震化、これらの基幹施設整備もございます。それらも加えて、総額両方の2項目合わせまして271億円の予算を25年度には計上しております。
老朽化が進む水道施設
岩崎議員:じゃあ、先ほどの水管橋の状態から推察して、横浜市の水道局の歴史は古いですから、水道施設全体で老朽化があちこちで、特に見えない部分が多いということも大きいと思うんですけど、老朽化が進んでいると思いますけど、全体としてどういうふうに認識されてます。
土井水道局長:老朽管の更新・耐震化につきましては、かなり横浜市としては早くから取り組んでおりまして、ほぼ昭和30年代より以前、明治から昭和30年代までの管についてはほぼ、100%とは申しませんが、ほぼすべて更新が終わっております。昨年辺りから、24年度くらいから、昭和40年代、高度経済成長期に敷設された水道管の更新に着手しておりまして、これらがかなりありまして、2400キロ、市内に約2400キロ位の管がございますので、これらをいま年間平準ペースということで、先ほど申しましたような110キロメートルのペースで逐次やっていくというふうに考えております。
岩崎議員:要するに、処置している側から説明すればそうなると思うんです。そうではなくて、いま言ったように見えない部分ていうのはいっぱいあるし、それからいまの水管橋なんていうのはぜんぜん見落としていたわけですよ。だから、そういうことはものすごい施設数あるわけだから、ありうることなんで、別にそのこと責任追求しているわけじゃないんだけど、いまの局長の説明で、老朽化の現状の認識として完璧といっていいんですか。
土井水道局長:完璧かというふうに言われますと、いつ災害がくるかという問題も含めますと非常にお答えにくいところがございますが、管それぞれの耐用年数、管の種類、敷設した時期、それらきちっとデータをとっておりますので、各地域の実情、それも市内各地域でも土の質の条件によって腐食しやすいところやいろいろございまして、それらやれる限りのことは私ども、特に東日本大震災後、改めて体制をつくってやっているところでございます。完璧かといわれるとまだ完璧とはいえませんが、出来る限りのことをやっているということでございます。
岩崎議員:完璧とはいえないということなので、今後老朽化、それから災害っていう問題もありますよね、思わぬ事故もあります。などにより、想定外の大規模修理・改修・更新、場合によっては被害補償等ということもおこってくるんじゃないかと思われます。そういう点で、今後こういうことがある程度想定されると思うんですけど、このへんの認識はどうなんですか。
土井水道局長:それらにつきましては、過去から先生おっしゃったとおりで、事故とか災害とかこれまでも経験しておりますので、それらについては予算的対応も、それから現場事務所としての対応も出来る限りのことはやっているつもりでございます。まだまだ足りない部分もあると思いますが、今後もやって行きたいというふうに思っております。
頻繁に起こりうる想定外の事故など対応する費用はどうするか
岩崎議員:いまのお話、全体を伺っていると、将来、想定外の事態がかなりの頻度で起こりうるということになると思うんです。そうしますと、建設改良費等の保全にかかわる費用が大きく膨らむことが想定されますけど、費用的にはそういうことある程度考えられますよね。どうですか。
土井水道局長:前のご質問でも答えましたが、中長期という中では水道料金収入が少しずつ、これは水の節水社会の普及で減ってきているところがございまして、それに合わせて運営コストなどの削減もやってきております。それと、いま先生おっしゃったような施設整備の需要もございます。これらをしっかり勘案して、何とか現在の料金水準の中でしっかり仕事をこなしていくということで、やって行きたいというふうに考えております。
岩崎議員:震災などの災害なども想定すると、そういう問題についてはかなりの額が予想外に出る場合がありますよね。そうした時に財源の確保の仕方っていうのは、どういうことになるんですか。
竹内経営部長:毎年度の決算で、純利益が出た場合、そういった将来の建設改良に向けて建設改良積立金というかたちで積み立てております。
岩崎議員:もっと莫大な費用が必要という事態がきたらどうするんですか。
土井水道局長:大震災というようなことでございましょうか。これにつきましては、私ども、日本水道協会、水道事業全体からいいますと、収支を自立的に経営していくという中でございますので、これははっきり言いまして要望事項でございますが、現在国の方に補助金も含めて震災などの大きな災害の時の措置などは、日本水道協会全体として要望活動を続けているところでございます。
岩崎議員:あまり時間がないんで先に進みますが。
つまり、そういう時には国費を期待すること、ひとつは企業債の発行で対応すること、あとは一般会計からの繰り入れ、大きく組み立てればこういうことになろうかとお聞きしました。そうすると、さらにどうするかというと、水道料金の値上げっていうのも当然この中には含まれてくるわけで、いまの状況から考えれば、市民生活の実態とか経済状況を考えれば、料金値上げなど全く考えられないわけで、これは我々は反対しますけど。そういう工夫になってくると思うんです。
水道局まかせではなく市全体としての支援策を
そこで、副市長にちょっと聞きますけど、水道施設の保全については、いまずっと話をしたように、局まかせでは対応できない事態というのは、これ当然起こってくると思うんですよ。そういうことも想定して、市としての支援策っていうのをどういうふうに考えられますか。
大場副市長:水道局中心に必要な財源、いろいろな手法あるいは可能性を追求をしていくと、まずはそういうことだと思います。
岩崎議員:そういう局まかせの姿勢だけではなかなかいかないというふうに私は思うんです。本市の予算編成の中で、やっぱり大規模施設整備偏重の考え方になっていると思うんです。ここを変えないとだめだと思います。新設整備を抑制して、既存施設の維持保全に選択と集中という点でいえば力を集中すべきでないか。こういうふうに思うんですけど、副市長の見解、どうですか。
大場副市長:必要な施設の保全もしっかりやらなければいけないし、また将来に向けての投資もきちんとしていかなければいけないというふうに考えます。