2013年1月31日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大貫 憲夫
林文子市長は本日、2013年度横浜市予算案を発表しました。
一般会計は1兆5,369億円(前年度比9%増)、特別会計と企業会計の全会計総計で3兆4,095億円(純計2兆5,829億円)です。9%もの増額は、市土地開発公社の解散に伴う1383億円の市債発行(三セク債)によるものです。市長が一体的に編成したとする、国の大型の補正予算を踏まえた2月補正予算(一般会計)は367億円で、ほぼ全額が公共事業です。その財源として市債を154億円追加発行します。市税収入は7,014億円と、対前年度比で0.9%増,うち法人市民税は548億円、逆に2億円の減です。三セク債を除く市債発行は、前年度比10.3%減の1,191億円を計上、プライマリバランスは176億円の黒字です。
市民の声と運動のひろがりのなかで実現したものとして、学校司書の配置、放課後児童クラブの移転支援、家具転倒防止対策助成、消防団員の処遇改善、密集住宅市街地の防災策拡充などが列挙されますが、どれも議会での党の論戦が実ったものです。
林市長は「厳しい財政状況だからこそ、積極的に投資すべきところには投資し、一方で踏み込んだ見直し」をしたとしていますが、高速環状道路建設や国際コンテナ戦略港湾整備、横浜駅周辺大改造計画などの国が推進をはかる大型開発事業に予算を重点的に配分し、小児医療費の無料化年齢引き上げや中学校給食、住宅リフォーム助成、公契約条例などの切実な市民要求は、前進していません。
●震災・防災対策では、公共建築物等の耐震性向上として前年度比41億円増の141億円計上し、橋梁・歩道橋の耐震化、学校の非構造部材の耐震対策、個人住宅耐震化など新規、拡充化されています。党が対策を力説した横浜駅周辺の津波対策については、検討調査費がつきました。
●子育て支援では、待機児童解消を継続するとして、引き続き保育所整備等をすすめ、認可保育所定員を1525人増とします。児童虐待対策では、区役所での体制が強化されます。
●福祉では、特別養護老人ホーム着工は240床だけで、前年度から40床減です。障がい者の無料乗車券の福祉パスは、年額1200円(20歳未満600円)の有料化を見込んでいます。国保料算定方式変更に伴う低所得層の大幅な保険料引き上げへの恒常的な軽減対策は、賦課割合の変更だけです。激変緩和のための経過措置も2年間にとどまっています。
●中小企業・雇用では、中小企業振興や商店街対策は、メニューは増えていますが、いずれも百万、千万円レベルで、その効果については検証が必要です。中小企業むけの政策的融資の原資となる預託金が2割も削減です。融資抑制が危惧されます。MM21地区等への誘致企業へは、28億円の助成です。
●教育では、児童支援専任教諭70人増、スクールソーシャルワーカー12人配置などいじめ、不登校対策を強化しています。しかし、市独自の少人数学級は実施しません。
●大型開発事業は2月補正と合わせると大幅増額です。高速横浜環状道路建設に205億円、国際コンテナ戦略港湾推進に143億円、「エキサイトよこはま22」に5億円と突出しています。
新市庁舎建設については、基本計画を策定します。
●脱原発、自然エネルギーでは、省エネに偏重し、自然エネルギー対策は、国まかせで、独自の施策展開は極めて不十分です。太陽光システム助成件数を半減させることは後退そのものです。14年3月に「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会」の開催地として創エネの抜本的な拡充が必要です。
日本共産党市議団は、2月1日から始まる予算市会において、不要不急の大型公共事業を見直し、防災、医療充実、子育て支援、まちづくりなど市民の願いを積極的に取り上げ、その実現のために全力をあげます。
特に、土地開発公社の解散に伴う市債の発行、市庁舎建設問題、南本牧ふ頭の4つ目の岸壁整備、高速横浜環状北西線など市財政に大きな負担となる問題には、正面から論戦をいどみ、中止を含む抜本的見直しがされるよう力をつくす所存です。