横浜市脱温暖化行動方針CO-DO30を“絵に描いたもち”にするな
白井議員:日本共産党を代表して質問いたします。
本市の温室効果ガスは、京都議定書の1990年度の基準を、直近の2005年時点のデータで総量で16.3%オーバーしています。予算代表質問で、わが党の団長より2006年に改定された本市の「横浜市温暖化対策地域推進計画」で温室効果ガス6%削減を目標にしていたが、実際には削減どころか大幅に増加した理由を伺ったところ、答弁では「家庭、業務部門からの排出量が増加していることが主な原因であり、人口増加、業務床面積の増加、世帯あたりの電力使用料が増えていることなどによるものと考えられる」とのことでした。
これらは、計画策定時にすでに予測されていたことであり、大幅に増加したことの説明になっていませんでした。達成どころか増えてしまったこのような事態を避ける手立てが、なぜ講じられなかったのでしょうか。計画自体に無理があったのでしょうか、それとも手段が充分でなかったのか、再度伺います。
小松崎環境創造局長:この目標設定ということにつきましては、京都議定書ベースで6%以上削減という水準がございまして、いろいろ設定条件については細かいところは違いますけれども、まずそれをベースに横浜市としても目標設定をしたというところでございます。
それから途中段階で増加をしているわけでございますけれども、これはいま先生から言われましたように、家庭と業務部門からの排出量、これが断トツに増加をしているわけでございまして、このことについて私どもはさらにその先の詳細な理由・原因等について検討、突き詰めていく必要があるわけでございますけれども、数字としては増えていることは間違いないということでございますので、原因ということで聞かれましたので、そういうお答えをしたということでございます。
白井議員:地域推進計画では2010年度までの計画です。目標では、2010年度の一人当たりの温室効果ガスの排出量を、1990年度から6%以上削減し、4.96トンにするというものです。新たに策定されたCO-DO30との関係では、この目標は継続されるのでしょうか。
小松崎局長:既存の地域推進計画、これは2010年を目標年次に設定をして、その目標を達成するために取り組みを定め、私ども引き続きその目標の達成に向けて努力をしているわけでございます。
CO-DO30につきましては、推進計画に掲げられた取り組みをさらに強化・加速するとともに、2025年までに目標を掲げて、中長期的な視点から横浜ならでの新たな取り組みを進めていくというものでございます。
そういうことでございますので、当然ながら私どもは既存の推進計画の中の目標設定ということにつきましても、それを達成するために最大限努力していくということでございます。
白井議員:最近の温室効果ガス排出量を見ると、2003年度をピークに2005年度2006年度と減少に転じているものの、京都議定書の1990年度に比べると、目標に近づくどころか増加しているという厳しい状況にあります。この厳しい状況は、国の対策の遅れにも多いに関連しているものでもありますけれども、現在の国の動向についてはどう認識されているんでしょうか。
小松崎局長:国の動向ということでは、様々な動きがもちろんあるわけでございますけれども、まずは政府として2050年までに50%削減という大きな目標設定をして、今年開かれる北海道洞爺湖サミットにおいても京都議定書以降の地球温暖化対策ということについて議論がなされるというふうに思います。
一方で、私ども自治体としてもこれは国の動きを待っているだけではこの厳しい現実というものを突破できないわけでございますので、CO-DO30の早い段階での設定ということの中で、国をリードするかたちでむしろ自治体としてこの問題に取り組んでいきたいと、そういうかたちで私どもは私どもなりに、国の動向を踏まえつつ動きを早めていると、こういう考え方でございます。
白井議員:CO-DO30の策定に当たっては、真に実効性を伴うものにするためには、推進計画の実施状況についてどのように検証するのか、また検証結果をどのように活かすかが、鍵となります。計画で掲げる目標が達成できなかったのはなぜなのか、行政として何が不足していたのか、どのように検証されているんでしょうか。
小松崎局長:推進計画そのものは2010年までに6%削減ということを掲げているわけでございますので、まだまだこれからがんばってやっていくということでございます。当然ながら、この実施にあたりましては毎年排出量等について検証しながら取り組みを進めているところでございます。
また一方では、地球温暖化を取り巻く状況というのは国際的にも国レベルでも非常にめまぐるしく変化をしておりますので、推進計画では目標年次である2010年以降の温暖化対策についても、国の動向などを踏まえながら検討を行うこととしておりまして、これを踏まえてCO-DO30を策定したという流れでございます。
白井議員:事前の聞き取りでは、この検証というところが不十分と受け止めたんですけれども。これでは、絵に描いたもちなわけです。温室効果ガスを削減するには、実際に排出源にさかのぼって削減することが不可欠となります。横浜市の温室効果ガスの排出源の割合は、家庭が約4割、事業活動が6割と聞いています。この6割にあたる事業活動の企業ごと事業所ごとの自主行動任せでは進みません。実行計画を作るに当たって、行政として何らかの規制が必要と考えます。ぜひ、この仕組みを作るよう要望いたします。
瀬上の森を守るためにもっと踏み込んだ手立てを
続いて、瀬上の森・上郷開発事業の環境アセスメントについて伺います。
事業者が計画している上郷開発事業における環境アセスメントが実施されており、昨年6月に事業者がまとめた環境影響評価書に対し、334名の市民から意見書が寄せられています。これはどのような内容だったんでしょうか。
小松崎局長:内容を分類いたしますと、事業計画に関するもの、自然環境全般の保全に関するもの、景観に関するもの、植物やホタルの保全に関するものなどがございました。その中から主な意見ということでございますけど、ひとつは交差点の渋滞対策を求めるもの、また緑や谷戸景観の保全を求めるもの、そしてより多くの樹木の保全を求めるもの、こういったものが寄せられております。
白井議員:11月に審査会が出した答申の内容は、「都市計画提案等の手続きの過程においてはより一層の環境に配慮した事業計画とすること」、そして「環境保全措置の具体化及び実施にあたっては市民との連携が特に重要であることから、設計、工事中、供用時の各段階における市民参画を積極的に推進すること」「市民との連携は可能な限り早い時期から進めるとともに、充分な期間を確保すること」、このようにうたっております。これは、事業計画の見直しを求め、さらに事業を進めるに当たっては住民合意ともいえるものを求めていると受け取れます。これを受けて市長が事業者に審査書を提出していますけれども、この審査書の内容は、審査会の答申内容そのもので、なんら市長意見が加えられていません。審査会の答申と市長審査書の関係はどうなっているんでしょうか。
小松崎局長:審査会答申というものは、それぞれの部門の専門家の方が市民の意見も勘案しながら科学的な知見に基づいて審議を重ねた結果をまとめたものでございます。市長審査書は、この答申を受けてそれを尊重し、答申で指摘された事項を市長の意見としたものでございます。
白井議員:そもそも市長は、審査書を作成するに当たり、審査会に諮問して審査会の答申を受けて、市長意見を事業者に述べることが出来るわけですけれども、市長意見を加えていません。緑を残すべきだという市民の願いや希望に応えるためにも、また環境行動都市横浜市としても、審査書が答申内容そのままで良しとすることなく、これにふさわしい市長意見を事業者に述べるべきでした。なぜそうしなかったのか、伺います。
小松崎局長:今回の審査会からの答申をみますと、先ほど先生の方からいみじくもご指摘があった通り、さらなる事業者に対する環境保全配慮を求めること、それからいろんな分野での市民参画をこれから確保していく、こういったふたつの提案がなされているわけでございまして、市長としましてもこの非常に価値のある提案・答申というものを尊重して、それがそのまんま横浜市の審査書として使ったということでございます。
白井議員:今後都市計画手続きが進められるうえで、このままでは事業者任せになってしまいます。審査会の答申や市民意見は何のためのものだったのか、わからなくなってしまいます。市長審査書どおり事業者が行動するのか、チェックし監視するのが行政の役割です。それが市民に対する行政の責任です。事業者は、事業者利益が優先されるわけですから、踏みこんだ指導が出来るよう、局として仕組みを作るべきと考えますが、どうでしょうか。
小松崎局長:この市長審査書でございますけれども、事業者のほかに当該事業について許認可権を有する私どもの関連部署にも送付をいたしまして、環境への配慮を要請しております。これは、横浜市環境影響評価条例の中で定められていることでもございます。今後事業が実施される際には、当局自身も含めましてこれら所管の部署が関わることになりますので、事業者に対して適切な対応が図られるものと考えております。
市民意見を取り入れて公園遊具の整備を進めよ
白井議員:続いて、公園遊具のリニューアルについて伺います。
今年度、中区と南区の公園で倒れた遊具で怪我をした事故を受け、本市では遊具の点検が行われました。その中で幸いに怪我はなかったにしても、危険なまま放置されていた遊具の数と対応について伺います。
小松崎局長:事故を受けまして、昨年の7月8月にかけまして市内2358公園のすべての遊具、1万1049機につきまして緊急総点検を実施したところでございます。その結果、1944機に劣化等が認められたために、速やかに使用禁止措置を講じました。
その上の対応でございますけれども、まず継続して使用することが困難と判断をいたしました949機につきましては、11月の上旬までにすべて撤去をいたしました。
それから補修が必要と判断された891機につきましては、12月末までに補修を完了して利用を再開をいたしました。
さらに精密な点検が必要だというふうに判断されました104機につきましては、1月末に点検を完了いたしまして、3月末までに必要な補修等を実施していくかたちになっております。
白井議員:危険な状態となっていた遊具はあったのでしょうか。
小松崎局長:そのような状態がありましたので、使用禁止、それから撤去、補修をしたわけでございます。
白井議員:港北区のある遊び場では、大型木製遊具が撤去され、他にはないために、砂場だけがある状態になっております。普段遊んでいる親子の間では事情説明が届かなかったようなんですけれども、マンション建設がうわさにのぼっており、遊び場がなくなるのではという不安が広がっているわけなんです。市内全体で撤去された公園遊具はこのまま撤去されたままなのでしょうか。
小松崎局長:平成20年度予算の中で、私どもの局のひとつの目玉事業として、撤去したあとの遊具につきましては今後3か年程度をかけまして、それぞれの撤去後の公園について新しい遊具を作っていくというかたちを予算計上させていただいているということでございます。
白井議員:撤去された公園遊具を新しいものに再設置するにあたっては、今までどおりのものがいいのか、それとも別のものに取り替た方がいいのかなど、市民意見が反映されるべきですなんですけれども、この市民意見が反映される仕組みづくりについては、どのように取り組むのでしょうか。
小松崎局長:これも20年度の予算の中で、新たな安全管理の仕組みづくりということで提案をさせていただいているわけでございまして、具体的には公園愛護会であるとか、地域の公園利用者のみなさま、あるいは施設管理者、そして設計者まで含めまして、話し合いの場を設けまして、新しい遊具の選定だけではなくて、そもそも再設置の是非であるとかつけたあとの利用管理のルールなども含めまして、様々なご意見をいただきながら遊具の設置を進めていきたいというふうに思っております。それをモデル事業として実施をしていくということでございます。
白井議員:市民意見を取り入れて遊具の整備を進めるように要望をいたしまして、終わります。