2011年10月31日
横浜市長 林 文子 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 大 貫 憲 夫
施行後11年を経た介護保険制度は、高すぎる保険料・利用者負担、深刻な施設不足、実態を反映しない要介護認定や利用制限額によるサービス制限など様々な問題が噴出しています。また、急速な高齢化に伴い、孤独死や「認認介護」、高齢者虐待など悲惨で深刻な事例も急増しています。
今年6月に国会で成立し、来年度から施行される改定介護保険法は、こうした問題の解決には手をつけず、逆に新たな給付抑制策を盛り込むなど利用者・家族に重大な影響を与えるものと批判されています。
同法は、「地域包括ケア」を目玉とし、その一歩として「介護予防・日常活動支援総合事業」、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」等が制度化されました。しかし、総合事業は、要支援高齢者に介護保険を使わせない危険性をはらみ、定期巡回訪問介護看護サービスは、細切れサービスであり、お年寄りの生活を支える点では不十分と関係者から指摘されています。
改定介護保険法の内容は、市町村が策定する来年4月からの第5期介護保険事業計画(2012年度~2014年度)に盛り込まれることになります。
本市の第5期計画策定に当たっては、国の制度改悪に影響されることなく、高齢者が安心して暮らせることを主眼にする必要があると考えます。
とくに、国が試算しているような保険料の大幅な引き上げは、制度の破たんにもつながるものでもあり、その抑制は不可避の課題となっています。
ついては、第5期計画には、つぎの諸点が反映されるよう要望するものです。
(1)介護保険料と利用料の負担増を回避するために
1)神奈川県財政安定化基金の取り崩しと本市介護給付費準備基金全額の繰り入れを行うこと。
県財政安定化基金の取り崩しに当たっては、県と国の拠出分についても保険料軽減のために市町村に交付するよう国・神奈川県に強く要求すること。
2)国に負担割合の引き上げを求めるとともに、市として一般会計からの繰り入れを行い、介護保険料を引き下げること。
3)低所得者の介護保険料を軽減するために、さらなる多段階化等をはかること。
4)保険料減免制度を大幅に拡充すること。減免分は、一般会計から補填し、他の高齢者の保険料負担としないこと。
5)一般会計繰り入れによる利用料軽減制度を拡充すること。
(2)特別養護老人ホームの待機者解消のために
1)年間300床(H23~26年度)整備という現計画を見直し、整備目標を引き上げること。
2)整備にあたっては、低廉な負担ですむ多床室も行うこと。
(3)人材育成と確保にむけて
1)国の動向如何にかかわらず、市独自に介護職員処遇改善事業を行うこと。
2)ヘルパー2級資格取得支援など、人材育成確保支援事業を充実すること。
(4)介護予防サービスの拡充にむけて
1)要支援1,2の方を介護保険から排除する「総合事業」を導入しないこと。
2)配食サービスや高齢者見守りサービスなど地域支援事業・高齢者施策を拡充すること。
(5)策定過程への住民参加のために
1)改定介護保険法にのっとり、日常生活圏ごと住民要求を把握するとともに、圏域ごとに日常生活圏域部会をつくり、住民参加で計画づくりをすすめること。
2)第5期計画素案の住民説明についても、区ごとではなく、中学校区単位を原則とし、少なくとも、連合町内会単位とすること。
以上