国保料滞納分を分納しているのにいきなり「一括納付しなければ差し押さえ」の通知
岩崎議員:質問に入る前にパネルを1枚途中で使わせていただきますので、許可願います。
福島副委員長:許可します。
岩崎議員:それでは、税外債権回収、国民健康保険料の滞納整理について伺います。
回収困難な国保料滞納の回収業務を区役所から財政局税外債権回収担当課に移管しています。その法的根拠を伺います。
柏崎財政局長:よろしくお願いいたします。
横浜市財政局主税部税務課の職員の兼務に関する規則に基づきまして、財政局長が指定する案件について、財政局税務課の職員が一部の国民健康保険料の滞納整理に従事をするということになってございます。
岩崎議員:22年度監査報告は、国保料滞納の整理について提言しています。その内容を伺います。あわせて、監査報告の提言と国保料滞納整理の方針との関連について説明を求めます。
柏崎財政局長:まず初めに監査報告の関係でございますけれども、平成22年度の定期監査報告では、未収債権の管理につきまして滞納初期段階での取り組み強化や、回収可能性の見極めの推進などに関する提言とともに、債権管理のあるべき姿について、これまでの監査結果も踏まえ、具体的な方向性についても示されているものというふうに認識をしております。
その監査の提言と私どもの財政局の取り組み方針との関係というお尋ねでございますが、監査の提言は報告書にございますように、滞納理由や資力状態を踏まえた回収可能性の見極めを迅速に行い、資力がありながら納付しない方には財産の差し押さえや換価処分の処置を、また支払い困難な方には適正な緩和措置を講じて解決につなげるべきというふうにしており、財政局の整理方針とも軌を一にするものでございます。
岩崎議員:移管された保険料滞納整理業務は、監査報告の提言に沿って行われると理解していいですか。大変大事な点なので、しっかり確認しておきたいんです。
柏崎財政局長:先ほどお答えしましたように、報告書の提言と私どもの方針ということは沿っているものだというふうに思っております。
岩崎議員:それでは事例を紹介しながら伺います。個人情報に関わるので、ここでは、Aさんとしておきます。
Aさんは、昨年9月分納誓約書を区長と取り交わし、その後、毎月4万円の納付をきちんと続けていました。ところが本年7月、一括納付してほしいという市からの事前の話もなく、突然8月2日までに一括納付しなければ差し押さえるとの差し押さえ通知書が届き、びっくりして7月28日、市の担当課に行ったにもかかわらず相談にのってもらえず、再度、期限の前日8月1日に担当課に行き、やっと相談が実現。結果、差し押さえの中断、滞納金の一部を、約100万円ほどのようですけど、減免となりました。私は、ほぼ同様の事例をこのほかに何件も直接聞き、資料も見ています。
そこで聞きます。現在、分納誓約を履行している人は、全市で何人か、伺います。
鷲巣債権回収担当部長:正確な数は国民健康保険については把握してございません。申し訳ございません。
岩崎議員:正確につかんでいない。
まじめに分納している市民の生活がどんなに大変か、当局は本当に分かっているのでしょうか。当局は、誓約書を取っているのですから、Aさんのような方の経済状態は百も承知でなければならないはずです。日々の生活が深刻なところに、前触れもなく差し押さえ通知が送りつけられれば、不安におびえるのは、当然ではないですか。私のこの質問は、差し押さえ通知を送りつけられた人たちの強い憤りを代弁して行っています。
次は、一般論で答えてもらって結構ですが、まじめに分納を続ける人に、なぜ突然差し押さえ通知を送りつけるのですか。誓約書は、区長と取り交わした立派な契約書ではないですか。市の側から契約を一方的に反故にするのは、言語道断です。こんなことは行政のやることじゃありません。見解を伺います。
柏崎財政局長:一般的な、私どもが現在行っております事務の進め方としてご答弁をさせていただきますが、区役所から引き継ぎました滞納者の接触記録などをみまして、財産や所得の状況を把握するとともに、過去の納付状況なども勘案をいたしまして、私どもはその手続きを進めるといいようなやり方でやっております。
また、分納誓約の法的な性格というようなお尋ねがあったかと思いますけれども、納付制約につきましては、申請される方のご判断で今後の納付計画を示していただいているものというふうに受け止めております。従いまして、申し出いただいた内容と事実が異なっている場合には、法律の定めによります手続きというものを進めていくということになるわけでございます。
岩崎議員:いま一般的な処理方針を伺いましたけど、私が聞いている事例、沢山あるんですけど、いずれもAさんと同じように、その事前の一括納入してほしいという相談はないままやられてますよ。だから、いまの一般的な方針は、あくまでも一般方針ですよ。実態はそうなってないということをはっきりさせておきたいと思います。
わずか8名で1万件を超える複雑で困難な滞納回収業務を担当
次に、なぜこのように画一的、強権的になるのか。国保滞納件数と移管件数、回収担当課の体制と担当の職員数をあわせて伺います。
柏崎財政局長:5月1日に私どもの財政局の税外債権回収担当が引き継ぎを受けたかたちになりました件数は1万飛んで662件でございます。私どもの職員体制でございますけれども、部長が1名、課長が1名、係長が6名、職員2名ということで行っております。
岩崎議員:そうしますと、わずか8名の体制で1万件を超える、複雑、困難な案件をやっているわけです。どうしてこんな体制で、ていねいにやれるんですか、これ。担当の職員は、強度のストレスを伴う激務だと思われます。身体を壊して長期に休んでいる人がいるとも聞いています。社会保険、社会保障の仕事を、税や債権の回収を担当する部署にやらせること自体が問題だと思います。認識を伺います。
柏崎財政局長:業務量の点でございますけれども、ご心配をいただいたわけでございますが、私ども、区役所の保険年金課がこの業務に関しては従来全面的に担当していたわけでございます。現在のところ、各区役所の保険年金課の担当者1人当たりの受け持ち件数も約1200件という状況になってございます。先ほどの先生ご指摘の私どもの体制でのあれを按分いたしますと、1人あたり1300件程度ということでございますので、そういう意味ではそれほど大きく違っていない中で、私どもは新たな任務としてしっかり取り組んでいかなきゃならないという状況だというふうには思っております。
岩崎議員:いまの答弁、ちょっと問題だと思うんですよね。こんなややこしい話ね、1300件1人が担当してどうやってやるんですか。ちょっとやり方教えてください。
柏崎財政局長:私どもの今回の引き継ぎの基本的な考え方でございますけれども、今回の私どものセクションができましたのは一応時限的な組織というふうになっております。いままで区役所で行ってまいりました滞納整理の中でなかなか困難であるというような案件について、先ほどご答弁させていただいたように1万600件を引き継いだわけでございますけれども、その部分につきまして、私どもは2年間でその滞納整理という観点で整理を促進してまいりたいというふうに考えておりますので、先ほどの受け持ち件数というのはある意味では2年間での私たちのミッションというふうになっているところでございます。
岩崎議員:副市長によく聞いておいてほしいんですけど、実際にそんなことができるのかどうか、よく検証してほしいと思うんですよ。だから、たいへんな事態が次々と相談に来られるわけですよ。これが実態なんですよ。それが粛々とできてますなんていうことを認識しているようじゃ全然だめですよ、これは。局長の仕事として、そんなやり方じゃだめですよ、これは。
ていねいな説明、わかりやすく親切なお知らせというが実際は
次に、監査報告では、特別な事情により納付困難な滞納者に対しては、救済制度があることを分かりやすく親切な説明と広報をするように求めています。
私の知った事例ではいずれも、財政局の担当課に行って初めて、この制度があることを知ったと言っています。こんな不親切で乱暴な扱いはありません。先ほどの前触れもなくやっていることとあわせて、これも当局のやり方なんですか。
柏崎財政局長:基本的な部分は健康福祉局で行っているわけでございますけれども、いまご承知のように私どもが毎年保険料の額通知というものを送らせていただいておりますが、それとあわせてパンフレットなどにも保険料の減免などについても考え方あるいはそのどういう手続きでということについても記載をさせていただいております。また、そのあとの私どもの先ほどご答弁させていただいた法的な手続きを進めていく過程におきましてもご相談いただきたい、あるいはこういうかたちの制度があるというようなご案内もさせていただいております。
さらに、ご来庁いただいた場合につきましても、当然同じような内容についてご説明させていただくとともに、また滞納を抱えている市民の方がたいへん厳しい状況、たとえば多重債務というような厳しい状況にあるような場合につきましては、必要に応じて総合法律支援法に基づく法テラスというようなもののご紹介ご案内をさせていただくなど、私どもも精一杯やらせていただいているつもりでございます。
岩崎議員:いまの答弁、いっぱい問題あると思うんだけど、2つだけ言います。ていねいに説明しているって言いましたけど、さっきの事例の中にあるように、一括納入を事前に説明して、あるいは相談してどうするかということやったのはないんですよ、実際。やってないんですよ。これどうするんですか。そんなの、いまの答弁とぜんぜん違うじゃないですか。
それから、わかりやすく親切なお知らせをするというんだけど、これが書かれたのは22年度の監査報告ですよ。それをもっとわかりやすくしなさいっていうのをそのまま使っているじゃないですか。あんなちっちゃい字で書いて、誰が見るんですか。ちょっと答えてください。
柏崎財政局長:繰り返しになりますけれども、最初にご送付する納付書、あるいはその督促状、それから催告書等々、さまざまなかたちで私どもから文書をお送りさせていただくというようなことがあるわけでございますけれども、その場合にそれぞれの段階で納付が困難な場合にはご連絡いただくような記載ということをさせていただいているところでございます。また、連絡をいただいた場合には、財産や収入の状況、あるいは他に負債があるのかというようなことなどにつきましてもお聞きをし、先ほど申し上げたように多重債務というような場合には先ほどご答弁させていただいたような対応をとらせていただいております。
それから記載のていねいさというようなことに関しては、監査からのご指摘もいただいておりますし、本日先生からのご指摘もいただきましたので、所管をしております健康福祉局に伝えたいというふうに思っております。
岩崎議員:そういうふうに言われてから指摘の通り直しますっていってんじゃだめなんですよ、こんなことは。なんで減免の相談できますと、そういう制度ありますっていうことをもっと大きく全被保険者にちゃんと伝えないんですか。それをぜひやってくださいよ。みんな困っているから払えてないんじゃないですか。どうですか。
柏崎財政局長:確かに、こういう制度ご説明し、また間違いがないようにご説明するにあたっては、どうしても難しいご説明になったりする場面もあろうかと思います。そういう意味で努力をしていくということについては、この件に限らず、私どもしっかりやっていかなきゃならないというふうに思っております。
明文化されていない国保料滞納者の区から財政局への移管基準
岩崎議員:次に、10万を超す国保料滞納者の中から、移管すべき対象者が抽出されていると聞いています。抽出し、移管する際の基準は何か伺います。また、その基準は明文化されているかどうかも聞きます。
柏崎財政局長:今回の移管にあたりまして、私ども税外債権回収担当では、健康福祉局が作成をいたしました高所得世帯、あるいはすでに市外転出等によりまして国民健康保険の資格を喪失した世帯等のリストの中から、区において抽出したものを対象として、私どもが引き継いで現在事務を進めているところでございます。それを示した文書というようなお尋ねでございますけれども、健康福祉局が一定の基準で作成した滞納世帯リストを各区役所に送付をし、それを受けて区が提出したものということでございます。
岩崎議員:区の保険のところの判断のようですから、ちょっとこれは副市長に聞きます。この基準はちゃんと公明正大にはっきりと文書になっているんですか。ちょっと言ってください。
大場副市長:平成23年の2月に、区に対して、抽出の基準を示した文書で区毎の滞納世帯の一覧のデータ等をお伝えをしてございます。
岩崎議員:副市長ね、正確に答えてほしいんですよ。その指示を出した文書じゃないんです。基準なんです。どういう基準で抽出するのかっていうその基準はどうなっているんですかって聞いているんです。
柏崎財政局長:いま副市長からご答弁させていただきましたように、この23年の2月の健康福祉局からの各区の保険年金課長宛の依頼文書というふうになっておりまして、ここには前年の総所得金額、あるいは前年総所得金額の中で、先ほどご答弁させていただいた市外転出とか社会保険に加入したことによって資格を喪失した方ですとか、それからさらに滞納金額というようなものをリストとしてお渡しをし、それぞれの区のご判断の中で、その中から基本的には上位のものをお選びするというようなかたちで選定しているというふうに、私どもは受け止めております。
岩崎議員:そんなんぜんぜんだめですよ。それは状況なんですよ。基準なんです、基準。何か月滞納しているとか、いくら滞納額があるとか、そういうことをちゃんと客観的に言わなかったらだめじゃないですか。この基準あるんですか。
柏崎財政局長:確かに一定の基準で線を引いて私どもが引き継ぐというお考えも、委員のご指摘のようにあるかとは思いますけれども、ただこの件につきましては、基本的には私ども横浜市全体で考えた時には、区役所でもこの滞納整理という業務は現在も行っております。財政局でも行っておるわけでございまして、その中で、各区のそれぞれのこれまでの折衝の状況ですとか、そのデータには現れないものもいろいろ勘案しながら、判断されたものというふうに思っております。
岩崎議員:なかなか基準をはっきりさせないっていうようですけど、この移管ということは、滞納者の人生を左右するほど重大な問題なんですよ。差し押さえかけられた途端に自分の人生真っ暗になっちゃうんだから。そうでしょ。超重要な、これは財政局が引き受けたものだっていうけども、重要な行政行為なんですよ。これを文書にしないで、適当な物差しで50人選べと、こんなばかな話ありますか。これはもう絶対基準をはっきりさせて、公明正大、公平にやらなきゃだめですよ。これ、副市長どうですか。
大場副市長:さっき、局長からも申し上げたとおり、これについてはいままで区の保険年金課で取り組んできたことでありますので、これまでと同様に所管部署が案件によって異なることはありますけれども、納付資力に基づいて適切な判断をしていくということを徹底していきたいと思います。
岩崎議員:その適切な判断を文書にします、しません。どっちなんですか。
柏崎財政局長:私どもの仕事の進め方ということに関しては、これは私ども職員の研修ということも大事ですし、それから市民のみなさま方への接し方ということにもつながってまいりますので、そういう意味では、中で我々の仕事の進め方はしっかり文書化をして研修などに取り組んでいるところでございます。
岩崎議員:副市長にお願いしておきますけど、これはどうも健康福祉局の方でやらないとそういう基準はつくれないんじゃないかと、いまの話聞いててわかるんで、局をまたがりますので、ぜひ、これはやっぱり基準ははっきりさせないと市民の目からみて、その「移管」とかそれから「差し押さえ」というのが妥当なものなのかどうかってのはわからないでしょ、これは。だから絶対つくってください、これ要望しておきますけど、よろしくお願いします。
市民のくらしと健康を守るという立場で親身な滞納整理業務を
ここから先は、副市長に聞いていきます。保険料滞納整理業務を福祉局から財政局に移管したことは、社会保障の領域の業務を税や債権の回収という領域に移したことです。別の言い方をすると、福祉の仕事を税務課にやらせるようなものです。課題の質が変わるから、事例のような問題が次々生まれるんです。監査委員会の報告は、そのことが分かっていて、移管を重大なことと捉えて、監査報告書は極めて注意深く書いてますよ、そういうふうに提言を出しています。監査報告は、3月18日付で議会に報告されたものです。提言をどのように副市長、受け止めているか、伺います。
大場副市長:まず監査の報告書、これはもうきちんと我々受け止めていきたいと思います。先ほど局長がお話したこととだぶりますけれども、今回とにかく財政局に引き継いだ案件については、高額の滞納など優先順位の高いものについては納めている方々との公平性をぜひ確保していきたいということと、残念ながら多額な500億を超える未納、未収案件ありますので、特に国保財政の健全化を目指すと、こういう視点から取り組みをさせていただいたものであります。これからもしっかりやらせていただきたいと思います。
岩崎議員:改めて確認しますけど、副市長、当局は監査報告の提言に沿って仕事をするというふうに、努力をするってこと、確認していいですか。
大場副市長:監査報告のご意見を十分踏まえて我々は取り組みをすべきものを選択をしていきたいと思います。
岩崎議員:それじゃもう時間もありませんので、ひとつひとつやっていられないんですけど。ずっといま議論してきたように、問題になるケースがいっぱいあったと思うんですよ。これはやっぱり監査報告が示す方向にそって、やっぱりまずいのは是正しないとだめだと思うんです。だから、この点、いま副市長聞いていいただいていたから、どういうことが是正しなきゃならんことかっていうことはわかると思うんで、ぜひ是正をしてほしいと思うんです。いまの段階で、これは検討した方がいいなっていうものが、気が付いたらちょっと言ってください、具体的に。
大場副市長:いろいろ今日お話しいただいたことは十分に私も頭にとめさせていただいて、また健康福祉局にも伝えていきたいと思います。先ほどお話ししたとおり、納付の力のある方にはぜひこれはきちんとお納めをいただき、納付資力のない方についてはいろいろなご相談に応じて適切な対応をぜひ図っていきたいと思います。
岩崎議員:国保法の77条は、「保険者、市長は、特別の事情がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる」となっているんです。だから、市長にはたいへんな判断基準が幅広く持たされているんですよ。だから、ぜひこれを活用して、やっぱり市民のくらしと健康を守るという立場でがんばってほしいと思うんです。よろしくお願いします。おわります。