栄区区民意識調査で横浜高速環状南線推進の誘導をねらった意図的な質問
岩崎議員:個性ある区づくり推進費について伺います。
まず、区づくり推進費の設置目的は何か、伺います。
林区政支援部長:個性ある区づくり推進費でございますが、区の機能強化の一環として、平成6年度に創設されました。その目的は、局が配布していた縦割りの予算の弊害をなくして区役所の自主性を高めること、地域的、個別的、緊急的ニーズに迅速かつ柔軟に対応することなどとなっており、各区役所において編成、執行する予算でございます。
岩崎議員:22年度栄区民意識調査の財源とその額を伺います。
林区政支援部長:個性ある区づくり推進費は、自主企画事業費から支出しております。自主事業費における意識調査は149万7000円余でございます。
岩崎議員:そうしますと、栄区民意識調査というのは区長の責任で行われたと確認していいですか。
谷内市民局長:区民意識調査は、区政推進のため、必要を判断して、個性ある区づくり推進費で実施しているものでございまして、質問項目を含めた実施内容につきましては、各区長が責任をもって行っているものでございます。
岩崎議員:この区民意識調査「問13」について、栄区長に直接聞きたいところですが、参加されていません。大変残念です。
この調査は、「区民意識やニーズを把握し、今後の区政運営の基礎資料として活かす」ことを目的にしています。にもかかわらず、問13は、「南線は国の圏央道としての役割の他、環状4号線の混雑緩和などが期待されています。あなたは横浜環状南線に何を期待しますか」となっていて、合意形成と事業の推進をねらった文脈になっています。
それには背景があります。平成21年11月、国交省事業評価監視委員会が、「事業を進めるにあたっては、住民の理解を得ることが不可欠であり、合意形成に向けて、一層の努力をしていくこと」と意見をまとめたことがあります。
しかし、南線の事業主体は国です。「地元合意を図る努力」を国に求めているのであって、区長ではありません。国の事業を推進することや、区の事業でない事業の地元合意を図る努力などは、区役所の事務分掌規則では求めていません。
さらに、問13は奇妙な設問です。横環が通る他の区には類似の項目はありません。栄区でも21年度以前にはこの項目は一度もありません。22年度に、区政推進課の指示で、急遽、栄区だけに登場します。国交省に頼まれて設問したのかと勘繰りたくなるようなものであります。
調査結果概要版は、間違った集計結果を掲載しています。なぜならば、パーセントの計算方法を間違っているからです。さらに大問題は、この間違った結果を根拠に、事業推進の議会答弁をしていることです。
南線は、意見の分かれる事業です。公正であるべき行政が賛否を問えば、区民のなかに対立を生みます。実際、地元では「沿線住民のエゴだ」と、賛否両者が口論する場面もあります。区民の間に対立をつくる事態に、区長は責任を負えるのでしょうか。
結論的にいえば、22年度の栄区民意識調査の問13は、区役所の事務分掌規則からの逸脱、区づくり推進費の目的及び区民意識調査の目的からの逸脱があると思います。結果として、予算の目的外使用が疑われます。つまり、流用です。
以上、栄区長と直接議論ができないので、私の見解を述べました。
そこで、別の角度から局長に伺います。
区の仕事は、事務分掌規則や各事業の目的に沿って行われられなければなりません。区民意識調査の実施をするのであれば、目的にあるように、区民意識を公正に把握し、区政の推進の基礎資料として活かすというこの基本を厳格に守る必要があるんじゃないかと思います。どうでしょうか。
谷内市民局長:区で行っている業務といっても、実際には区民のみなさまの生活に結びつくもの、ある意味すべてということがいえるわけでございまして、たとえば私も原宿の立体交差については国土交通省の方にも何度も早期実現をお願いしたりしたこともございます。そういう意味で、国が行っている事業といっても区民のみなさんの生活に直接結び付くもの、また、区として方向性をある程度見極める必要があるものについては、一般論として区民意識調査のなかに含めることはそれほど不自然ではないというふうに思います。
岩崎議員:局長のいまの答弁、ちょっとフェアじゃないと思いますよ。私は栄区長と議論するということを前提に言っているわけですよ。だけどそれはできなかったんです。これはあとで問題にしますけど。だから私が1人でしゃべっちゃったわけですよ。議論をしていないのに、答えだけ栄区の問題を引っ張り出してくるというのは、きいてもいないことを言っているということになりますよ、これは。だから、いまの答弁部分は撤回してもらいたいな。これ、要するに、分掌に入っていないものはやらなくてもいいでしょってきいているだけなんです。イエスかノーで答えられるんじゃないですか。役所の文書ですよ、私が言っているのは。
谷内市民局長:それでは訂正いたします。分掌にいろいろ決まっているなかでは、いま区役所の分掌っていうのは全部私記憶しておりませんけれども、区民の生活に関するものであれば入っているというふうに考えます。
岩崎議員:その、国の事業とかなんとかごちゃごちゃ説明していただきましたけれども、あの分はちょっと撤回してください。そうじゃないとちょっと議論にならないと思います。委員長お願いします。
谷内市民局長:最初の私の答弁の趣旨は、区の仕事としてどうなのかというお尋ねだというふうに判断をいたしましたので、たとえば横環の問題とかっていうことではなくて、あくまでも原宿の立体交差やなんかみたいに国の事業であっても、区が深く実現を要望しているものについて区が関わっていくことはありうるので、一般論として国の事業であっても関心を持つことはあるんではないかというふうにお答えしたつもりでして、決して横環についてどうこうということは、私は多分一言も言っていないと思いますが。
岩崎議員:はい、わかりました。それじゃ、それでいいですけど。じゃ改めて、区民意識調査をやる場合は、自分らで決めた意識調査の目的がありますよね、いま私が読み上げたものです。それに沿ってやるんでしょっていうことを聞いてるわけです。これ、イエスかノーで答えられるでしょ。
谷内市民局長:たとえば具体的事案ですけども、一般的にはそうだと思います。
岩崎議員:この項の最後に、副市長にちょっとお願いします。伺います。
私は、今回の質問準備で「区づくり推進費は区長権限の範疇であり、局は答えられない」と言われてしまいました。これ、由々しき問題だと思うんですよ。
戸塚区の選出である私は、栄区の区づくり推進費の決算を審査できないっていうことになるんです、これ。これでは、事実上、区づくり推進費はブラックボックスにおかれますよ。区づくり推進費は、市民の税金です。議会が制約なく審査できて当然じゃないですか。
そこで、区づくり推進費について、ひとつは、議員がすべての区の審査ができると、そういうふうに扱うべきだと思いますが、この点がひとつ。もうひとつは、区づくり推進費については、計画立案から執行に至るまで、市民の参加と公開にすべきだと思いますが、この2点、副市長の考えを伺います。
大場副市長:区づくり推進費の中味の問題は、区長の責任のもとで、区の個性に応じて執行するわけですが、議会審議という場であれば、この場でいろいろご意見をいただくことになろうと思います。
岩崎議員:よろしくお願いします。
『市民に寄り添う市政』実現に向けて区長権限が行使できる財源や体制の裏づけを
それでは、続けて区役所のあり方について、戸塚区長に伺います。
戸塚区には、長年の懸案がたくさんあります。例えば、戸塚駅東口広場の不便さが20年以上も続いています。戸塚小学校正門前の交差点の安全対策も同じ課題が7年も8年も要望として出されます。交通困難地域の足の確保、東戸塚駅の安全対策や混雑緩和対策の問題、これ以上にも困難な問題がたくさんあると思います。
戸塚区の懸案について、区長は全体としてどのように認識されているか、伺います。
葛西戸塚区長:区内の課題につきましては、適宜関係局と連携の上対応しておりますが、本市の予算措置が必要な場合には地域ニーズ反映システムを活用しましても、財政状況や全市的にみた場合の優先状況などから予算化が困難となることもございます。
また、ご指摘のバス路線交通問題や、東戸塚駅ホームの混雑緩和等、事業者の協力が不可欠な課題につきましては、局と連携の上、事業者への申し入れ等を行っておりますが、時間を有する案件が多い状況でございます。
このように、すぐに対応が可能なものとそうでないものがございますけれども、区が中心となりまして関係局・関係機関に働きかけるなど粘り強く対応していくことが必要だというふうに考えております。
岩崎議員:それでは、戸塚駅の東口の問題について、ちょっと具体的に伺います。
区長は十分承知されていると思うんですけど、ひとつ、車椅子の方が地下鉄を利用してホームに降り立ったというのを想定して、東口からタクシーを利用しようと思ったら、どういう経路はたどるか、その内容、ちょっとお話しいただけますか。
葛西戸塚区長:私も毎日通勤で地下鉄を利用しておりますので、その状況については承知をいたしております。地下鉄のホームから改札階、改札から1階から地上、地上からペデストリアンデッキ、さらにペデストリアンデッキから地上のタクシー乗り場ということで、エレベーターを4回乗り継いでいかなければならないという状況になっております。
岩崎議員:この東口の不便さを解決してほしいという声は、再開発の完成以来20年以上続いています。再開発事務所にこのことを持ち込むと、「事業は完了しています。管理は土木です」とこう言います。土木事務所に持ち込みますと、「完成した施設の管理が役目です」と。区役所に持っていくと、「所管局の事業となるので対応は難しい」。だいたいこういう対応なんですよね。こういうことで堂々巡りが20年続いているわけです。役所の中ではこれで済むのかもしれませんけど、区民は不便を長期に強いられるんです。
そこで、区における総合行政の推進に関する規則第4条4項には、「区長は、区の区域内にある公の施設について、区民の利便を十分に図る措置を取るように、当該施設の管理者等に対し、必要な指示をするものとする」とあります。区長の方でもなかなか大変だと思うんで、いろいろ苦労されていると思うんですけど、この規則に照らすと、戸塚区役所の役割が十分果たせているとは思えません。なぜこうなるのか、またどうしたらよいのか、これは日頃困っておられると思いますので、率直に区長の意見を言ってみてください。
葛西戸塚区長:現場の第一線におります区長は、当該区における市政の代表者として、区民のみなさまから寄せられる課題について、総合調整力を発揮をし、解決に向けた取り組みを率先して行っていくべきであるというふうに認識をしております。
ただ一方で、地域課題の解決には、地域のみなさま方の考えが利害を超えてひとつになるということも大事であるというふうに実感をしております。現に地域のみなさまが一丸となって解決にあたり、通学路の整備につながったような事例もございます。今後も地域の様々な立場のみなさまのご意見を数多く伺って、地域課題の解決に努めていきたいというふうに考えております。
岩崎議員:じゃこの項でも副市長に最後に伺います。こういう状況は戸塚区だけでなく、市内全区にあるんじゃないかと思われます。
市長は、「市民の気持ちに寄り添う市政」とか、「区役所は市民にとって一番身近で重要な窓口」と言っておられます。しかし、現場では、これがリップサービスに終わっているんじゃないかというのが実感です。区長権限を規則に明記しているだけにしないで、権限が行使できるように、財源や体制、これはマンパワーだと思うんですけど、の裏づけを与える必要があると思うんですけど、副市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
大場副市長:各区、いろんな事例でそれぞれ区長がリーダーシップをとって、各局との調整等も進めている事例もあると思います。ぜひまたそういう点がきちんと発揮できるように、環境整備をまたしっかりと整えていきたいというふうに思います。
岩崎議員:終わります。