地域防災拠点として市民病院の役割は重要
古谷議員:日本共産党の古谷靖彦でございます。日本共産党を代表して、質問いたします。
まずはじめに、本市の防災計画の中での病院経営局の役割についてお伺いします。
3月11日の東日本大震災を受けて、横浜市では震災が起きたときの本市の対応について心配されている市民も大変多いと思います。また実際、首都圏直下型地震も高い確率で起こると予想されております。そんな中で、まず、本市の防災計画の中での病院経営局の役割についてお聞きします。2006年に策定された横浜市防災計画の震災対策編の中では、地域医療救護拠点の機能がいろいろ書かれてありますが、拠点となる市民病院では、災害に備えてどんな訓練されてますでしょうか。市民病院長、お願いいたします。
鬼頭市民病院長:市民病院では、16年度および17年度に大規模地震発生を想定したトリアージ訓練を実施し、20年度には新型インフルエンザへの対応訓練、昨年度は生物化学テロを想定した除染訓練を実施いたしました。引き続き、地震だけではなくさまざまな災害を想定し、災害拠点病院として求められる機能を果たせるよう、トリアージを含めた実践的な訓練を実施していく必要があると考えております。
古谷議員:いま、お答えになったトリアージっていうのは、大変緊急時には重要だというふうに考えます。押し寄せる患者さんを重症度に応じて対応を判断して、優先順位を決めるといったことでありますので。そこで、市民病院さんでは、トリアージできる医師や看護師がどの程度いらっしゃいますか。
堀病院経営局長:救命救急センターの6人の医師が中心になろうかというふうに考えております。
古谷議員:ありがとうございます。
続いて、防災計画の都市災害編の中では、今話題の放射性物質災害に関する事務分掌があり、その中での病院経営局の役割が書かれてあります。「被ばく者に対する救急医療に関すること」、そして「健康相談、健康診断の実施に関すること」とあります。今、港北区の土壌から高い濃度の放射線汚染が見つかり、全市的に今対応しているところだと思います。健康不安を感じていらっしゃる方もいらっしゃると聞いています。そこで、2008年に策定されたこの防災計画、3年たったいま、その放射性物質災害に関する病院経営局の取り組み状況について教えてください。
堀病院経営局長:この防災計画の中では、市立病院の役割ということで、他の災害拠点病院と同様でございます。被ばく者に対する救急医療ということで、仮設救護所でのスクリーニング、一次除染をおえた患者さんのうち、放射性物質による汚染がなく、重篤でない患者さんを受け入れるということになっております。従いまして、通常の救急医療の中で対応が可能というふうに考えています。
それから、健康相談、健康診断の実施については、被ばくのおそれがある住民、それから不安感をもっている住民の方、区役所を中心に開設される臨時相談室と連携しながら、病院の放射線医師等を中心に対応していくという計画の内容になっておりまして、先ほど市民病院長がお答えしましたトリアージ等の訓練等は行っておりますけれども、特別なそれに対する訓練ということはございません。
古谷議員:すいません。通告はしてないですが、放射能災害の治療に関する専門家は市内ではいらっしゃいますか。
堀病院経営局長:市立病院にはございませんで、北里大学病院、それから放射線医医学総合研究所、そこが専門病院ということになろうかと思います。
古谷議員:ありがとうございます。いま、大変、見えない放射能に対して市民のみなさんが大変大きな不安を抱いているといったところで、そんな中この防災計画は先んじて作られたものだというふうに感じております。その役割を果たすことは大変重要だということを申し述べて、次に移りたいと思います。
看護師増やして6床のNICUベッドをフルオープンせよ
次は、続いて、市民病院のNICUについて伺いたいと思います。
先ほどどなたかの答弁の中で、周産期医療の向上は大変重要な課題だというふうに答弁されておりました。都市部における公立病院の役割っていうのは、地域の医療供給体制の中で不足する政策的医療分野を担うことであることはいうまでもありません。その政策医療の重要な一つでもあります周産期医療について伺います。
まず、周産期医療についての今の横浜市の医療ニーズについての認識、あるいはその中での市民病院の役割についての見解を伺います。
鬼頭市民病院長:当院は、地域周産期母子医療センターおよび神奈川県周産期緊急医療システムの中核病院に位置付けられております。産婦人科、小児科などが協力して、24時間365日救急対応を含めた周産期にかかわる比較的高度な医療を提供しております。周産期医療については、運営方針にも掲げているとおり、当院が取りくむべき重要な項目のひとつと考えております。
古谷議員:中核病院だということですが、それでは具体的に市民病院のNICUの運用についてお聞きします。現状は、何床で、稼働率はどのようになっているのでしょうか
鬼頭市民病院長:今運用しておりますのは3床でございます。22年度の病床稼働率は97.4%、1日当たりの入院患者数は2.9人となっております。
古谷議員:大変高い稼働率で、ニーズも高いというとこだと思うんですが、実際にNICU用のベッドそのものはいくつありますか。また、何床置けるスペースがありますか。
鬼頭市民病院長:NICUとして整備した病室には6床のベッドがあります。このうち現在診療報酬上NICUとして届け出をしておる病床が3床です。その他の病床については一般の病床として運用しております。
古谷議員:6床のNICUベッドがあるということですが、この市民病院のNICUをフルオープンさせるにあたって、何が課題だと思いますか。
鬼頭市民病院長:一般病床として運用している3床を診療報酬上の施設基準を満たすNICUとして運用するためには、看護師をさらに手厚く配置する必要がございます。
古谷議員:看護師の問題だということだということがわかりました。いま、高齢者出産が増えて、ハイリスク出産、大変増えている中で、周産期医療の体制の中でも、市民病院さんの役割ていうのは大変大きいというふうに感じております。その市民病院のNICUが3床しか活用されていない。もっと正確にいうと、6床あるけれども看護師の体制が不足しているために、3床分しか算定できないといった状態は、公けの政策医療を担うべき市民病院の役割としては、なかなかまだ役割果たし切れていないんじゃないかというところだと思いますし、また、実際ベットを買っているわけですから、その機器の有効活用という点からも、問題じゃないかというふうに考えます。
また、お隣の川崎市では、積極的に周産期医療を政策的を打ち出している中で、本市の姿勢として、この問題どう対応していくのかということを、副市長に伺います。
大場副市長:周産期救急取り扱う医療機関や専用の病床が不足をしております。中期4か年計画でも、産科周産期救急医療の充実を図っていうこととしてございます。その中で、産科拠点病院の整備やNICUの整備を行う病院に対する病床の優先配分など、周産期救急患者の受け入れ態勢の強化に努めていきたいと考えています。
古谷議員:はい、ぜひ積極的に進めていただきたいと要望して、次に進みます。
ニーズ高い緩和ケア病棟20床すべてのオープンを
続いて、緩和ケア病棟についてお聞きします。
いま、がんに罹患する方が大変増えて、緩和ケア病棟の病床稼働率も高いというふうに聞いております。入りたいと待っている患者さんが大変多いというところですが、緩和ケア病棟のニーズについて、局長の見解、伺います。
堀病院経営局長:22年度の利用状況は、病床稼働率が97.2%、1日当たりの入院患者数が9.7人というふうになっております。こういったことから、緩和ケアに対する市民のニーズが非常に高いということで、早期に病棟を全床稼働する必要があるんではないかというふうに認識しております。
古谷議員:はい、少し重なるんですが、現状での市民病院の緩和ケア病棟の運営の実態について、教えてください。
鬼頭市民病院長:今、局長がいったとおり、病床の稼働率が97.2%、1日当たりの入院患者数が9.7人となっております。
古谷議員:20床のスペースがある状態の中で、大変ニーズも高い、病床稼働率も高いということですから、早くオープンしてほしいというところが準備されているところだと思うんですが、フルオープンできなかった理由は何でしょうか?
鬼頭市民病院長:緩和ケアの専門医や看護師の確保が課題となっていることから、確保に努めてきたところでございます。
古谷議員:ここでも看護師の不足といったところが大きな問題だということなんですが、その緩和ケア病棟をオープンするにあたって、20床オープンしてほしいという一方で、もうい一方はフルオープンとなると現状は10床で稼働していますから、運用しているわけですから、20床というわけになるわけですから、受け入れるスタッフにとっては対応する患者さんが倍というふうになるわけで、その患者さんにとって安心できる緩和ケア医療を提供するためにも、日中も夜間も安心できる万全の体制で患者さんを受け入れてほしいと思いますが、院長の決意をお願いいたします。
鬼頭市民病院長:まず専門の医師に関しましては、いまのところ3人が確保できております。それから看護師が一番問題なんですが、これは同規模の緩和ケア病棟を有する他の病院の体制等を参考に、適切な体制を整えていきたいと考えております。
古谷議員:わかりました。よろしくお願いいたします。
いま、毎月毎月、看護師確保にがんばっておられるのはよく存じております。毎月募集をかけているということも聞いております。21年から22年度には38人の看護師が増えて、救急医療センターをオープンさせているといった実績もあるということですから、がんばればできるといった課題かなというふうに常に思いますので、ぜひ優先順位を上げてこの問題解決していただきたいですし、この横浜市の市民病院として、政策医療に責任をもつ立場で、NICUと緩和ケア病棟、フルオープンさせていただき、市民の要望に応えていただきたいと要望いたしまして、質問を終えたいと思います。