議会での質問・討論(詳細)
2025年5月28日

NEW!■一般質問 白井まさ子 5月28日

日産自動車に雇用の維持と地域経済を 守るよう働きかけを
白井議員:日本共産党を代表して質問します。
初めに、日産自動車への企業立地促進条例での支援についてです。
横浜に本社を置く日産自動車は、国内外で2万人のリストラ方針を明らかにしています。報道では、横須賀市、平塚市の工場閉鎖、また、本社ビルも売却の方向とされています。日産の社長は県知事や山中市長に「まだなにも決まっていない」と説明したと聞いていますが、5月23日のNHKの日産社長単独インタビューでは、生産拠点や人員削減はやらなければならない、工場削減にあたって検討を進めると、具体的に示されました。本市は、市民雇用の増大を目的とした企業立地促進条例により、日産に対して、本社ビルの立地および横浜工場の更新にあたり、20年前の2005年以降、総額50億円の補助金を支出しています。固定資産税を計画では19.4億円軽減してきました。神奈川県や横須賀市からの支援も含めて、公費支援総額は180億円に上ります。また、本社ビルを貫くペデストリアンデッキの設置で利便が図られるなど、さまざまな公的支援を受けています。その上、内部留保は2025年3月期決算によれば3.4兆円に上っています。このような企業が、安易にリストラを進めることは、あまりに道理がありません。本市として、日産自動車に対して安易なリストラは中止し、労働者の雇用を最優先に守るという視点に立った経営再建策の策定と実行を強く求めるべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:日産自動車への企業立地促進条例支援に関してご質問をいただきました。労働者の雇用継続への手立てをとるべきとのことですが、雇用に関することは個別企業が事業の再構築を進める中で様々な状況を総合的に勘案しながら経営判断するものと承知しております。
市としては神奈川労働局となどとも連携をいたしまして、情報収集に努めながら市民生活と市民経済の安定化を図る観点から適切な対応が素早く取れるよう進めてまいります。

白井議員:市内の日産の関連会社は、1次2次3次以降を含めて800社以上あると聞いています。大量のリストラや工場閉鎖が行われれば、市内経済への影響は計り知れません。
一方で、日産は、下請け企業への支払代金約30億円を不当に減額し、昨年、公正取引委員会から勧告を受けています。そういう下請けいじめのような仕打ちを受け、さらに今回のことで甚大な影響を被るような、日産の経営失敗のツケを払わされるような事態は、あまりに理不尽です。市長として、雇用、関連中小企業、地域経済を守る強い意志をはっきりと示すことが重要と考えます。今回の件は一説にはリーマンショックを超えるかもしれないと言われています。すべての関連企業、関連事業者の雇用維持と地域経済の保護、活性化を最優先とした対策をとるべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:市内の関連企業への手立てを取るべきとのことですが、本市としては過去に大企業が事業を縮小した際に、特別相談窓口を設置したり資金繰り支援を拡充したりしてきております。今回は影響が非常に広範囲に及ぶことが想定されますので、より広域にすなわち県や国などとも連携をしてさらに関連自治体とも連携をいたしまして、取り組みを進めていかなければならないと思います。引き続き状況を見極めながら、市内事業者に寄り添った支援を機動的に実施できるよう検討を進めてまいります。

白井議員:企業立地促進条例の目的は「市民雇用の増大」です。市内の労働力人口が減る中で、税を投入して進める必要はありません。したがって、条例目的は今の時代には合わなくなっています。条例をやめて、その財源は、中小企業支援の強化にこそ使うべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:企業立地促進条例をやめて、中小企業支援を強化すべきとのことですが全国的に生産年齢人口が減少しています。そのような中で本条例を活用して企業誘致を行うことで、横浜に活力をもたらすことができます。働く場所、そして事業機会そしてそこからさらに広がっていく機会が創出されます。それがすなわち市内の経済の活性化なのではないかなと考えております。原材料価格の高騰や人手不足など厳しい経営環境が続いている中小企業の皆様に対しては、新規事業の展開や生産機能の強化に向けた投資への支援を引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。

中学校給食は可能な所から学校調理へ
白井議員:次に、中学校給食についてです。
2026年4月から始まる全員制の中学校給食は歓迎します。これまで注文制デリバリー方式で実施している中学校給食は、おかずを急冷して提供しており、自校調理方式でできたてを温かいまま食べる小学校給食に比べて、残食率がけた違いに多くなっています。2023年度は主菜・副菜では中学校給食の方が小学校の4倍以上の残食率です。提供しても必要な栄養摂取ができていない実態があります。全員喫食となった時にこの残食率でいくと、1日の残食量は、副菜の野菜類は4トン、主菜の肉類は0.6トンとなります。大量の食品ロスを出してしまいます。遠方の民間工場で調理し、配送時間がかかってしまうデリバリー方式の大きな弱点です。先日、日本共産党横浜市議団は、大阪市を視察してきました。大阪市は当初、デリバリー方式で実施していましたが、事業者との5年契約が終了するごとに、計画的に準備し、主に小学校で調理する親子方式に変更したということです。本市は来年から民間大規模工場と5つの民間工場で調理しますが、民間工場の事業者との契約期間は5年で、食数全体の65%となっています。教育委員会のこれまでの試算で、半数以上の学校は学校調理が可能とされています。小学校のような学校調理を、できる学校から実施する方針を立て、計画的に進めていくよう提案します。見解を伺います。
山中市長:中学校給食についてご質問をいただきました。計画的段階的に学校調理方式への切り替えを進めるべきとのことでありますが、以前も申し上げましたが仮に自校、親子方式で実施する場合は、30年以上かかります。この間は全員給食の実施が困難になります。本市では市会の皆様のご理解をいただいて、デリバリー方式で来年4月からいよいよ開始となります。また現在国が進めている給食の無償化に対しても、来年から始まる全員給食でスムーズに対応ができるというふうに考えています。

白井議員:全国的に学校給食費無償化の流れに向かっています。全国一律で無償化が実施されれば、自治体ごとの違いは給食の中身だけになり、その内容が問われることになります。全国では有機農産物やその加工品を学校給食に取り入れるより良い学校給食を目指す動きがあります。地産地消、地球環境、食料自給率などへの関心につながる取り組みが報告されています。こういったより良い学校給食を目指す動きをどう認識されているのでしょうか、また、横浜でのより良い給食をどう進めていくのか、伺います。
山中市長:中学校給食の質の向上についてですが、先ほどの答弁で申し上げましたが新しい給食を保護者の皆様に先行試食いただきまして、約92%の方から高い評価をいただくことができました。しかしながらこの結果に甘んじることなく、100%を目指してですね、今後も引き続き工夫と改善を重ねていきたいというふうに考えております。

新たな地域交通「おでかけシャトル」の周知と利用しやすい運賃設定を
白井議員:次は、みんなのおでかけ交通についてです。 
4月から、新たな地域公共交通、みんなのお出かけ交通事業「おでかけシャトル」が導入されました。これまでの地域交通サポート事業では運賃収入だけでは採算の見通しが立たないことから、実施地域はひろがっていませんでしたが、新たな事業に期待が寄せられています。
4月に南区三春台などの地区で住民が立ち上げた「おおたループバス」に試乗してみました。運賃は300円で、乗り合わせた高齢の方は大変喜んでいました。先週から市役所のホームページでのお知らせが南区のホームページから開けるようにはなりましたが、周知不足を心配する声を聞いています。8月から実証運行が予定されている鶴見区馬場などの地区、また、市役所・区役所から路線の提案があった港北区大曽根地区でも、地域住民にお知らせが届かないまま具体化が進んでいることを心配する声があります。事業の仕組みとしては、住民と事業者が利用促進活動するという役割分担となっており、広報が地域任せとなっていますが、行政の協力なしには全住民への周知は難しいところです。市役所・区役所が広報に協力することが必要と考えますが、どうでしょうか。
山中市長:みんなのお出かけ交通についてご質問をいただきました。市が広報に協力することが必要とのことですが、地域交通を持続可能なものとしていくために、地域の皆様が愛着を持って自分たちの乗り物と思っていただくことが大切だというふうに思います。まず地域の皆様が主体的に広報かつ周知を行っていただく必要があろうかと思いますし、そして市としてもそうした取り組みをしっかりと支援をして、地域で走らせている交通なんだと、そういった気持ちを醸成していくことに注力したいというふうに思います。市区のウェブサイトあるいは、SNSなどももちろん活用してまいりたいというふうに思います。

白井議員:鶴見区馬場などの地区で8月から実証運行するデマンド型バスは運賃500円とされていますが、大勢乗ってもらうには運賃がもっと安くないと難しいといった声が出ています。補助金交付はあっても、収支率は1年ごとに引き上がっていき、1年目終了時で点25%以上、2年で35%、3年で50%、本格運行では50%以上となっており、達成には高いハードルです。利用を呼び掛けるには、市民目線に立った利用しやすい運賃設定が重要と考えます。見解を伺います。
山中市長:利用しやすい運賃設定が必要とのことですが、運賃の設定にあたっては多くの方に利用していただく必要があるという視点と多くの方に利用していただくという視点と一定の収支率の達成が見込めるという視点の両面のバランスが求められます。今年度からは交通空白地における本格運行の経費を補助対象といたしましたので、より利用しやすい運賃設定も可能になったというふうに考えております。

不登校の児童生徒の健康診断の促進を
白井議員:次は、不登校児童・生徒の健康診断についてです。
本市では、小中学校合わせて1万人近くの児童・生徒が不登校で、毎年増え続けています。学校が子どもの実状に合わなくなってきたことを考える必要があります。子どもの権利を尊重し、子どもも親も安心できる支援が求められます。現行では学校内で健康診断が行われており、2024年度は、全児童・生徒のうち小学校の内科、歯科、中学校の内科、歯科、それぞれ5000人近くが未受診です。保護者から、不登校の児童・生徒の健康診断が学校外の医療機関でも受けられるようにとの要望が長年出されています。大阪府吹田市では健康診断未受診は学校外の医療機関で受けられる仕組みがつくられており、本市教育委員会は「他市の実施を調査・検討する」としていましたが、議会への請願は退けられました。議会が足を止めていますが、子どもの成長は待ってくれません。教育委員会として、早急に、不登校の児童生徒の健康診断が学校外の医療機関で受けられるようにすべきと考えます。見解を伺います。
下田教育長:不登校児童生徒の健康診断についてご質問いただきました。早急に学校外の医療機関で受けられるようにすべきとのことですが、実施にあたっては受診対象者への周知、受診後の個人情報の管理、医療機関側の受け入れ体制の構築など課題がいくつかあります。他都市の事例も参考にしながら、本市の規模に合った具体的な手法について研究をしております。持続可能になるよう医師会や、歯科医師会学校現場と協議をし、取り組んでまいります。

関内駅前、民間タワービル建設に多額の公金投入は認められない
白井議員:次は、関内駅前再開発についてです。
関内駅前の2棟の民間タワービルのうちの1つが、港町地区事業で4月に事業計画が本市により認可されました。北口地区事業は事業認可の手続き中です。この再開発事業の公費補助金の総額は今回の事業計画では300億円とされ、1年前に示されていた209億円から4割も膨らんでいます。しかし、議会へ諮られたのは、公費補助金の年度予算案であり、300億円にまで膨らんだ補助金総額については諮られていません。大きく膨らむ補助金総額を議会に諮らなかったことは問題と考えますが、見解を伺います。
平原副市長:補助金総額の議会への測り方についてですが、都市再開発法に基づく事業計画は、施工区域や設計の概要補助金を含めた資金計画等の内容を本市が審査して認可するものと定められております。再開発事業を推進するにあたって必要となる補助金については、内容や金額を精査した上で毎年度議会におはかりし適切に執行してまいります。

白井議員:当該地区は、オフィスビルの老朽化、道路の狭あいなどの防災上の課題がありますが、課題解消で得られる利益の大半は、民間事業者のものになります。このような民間の開発事業は民間資金で行うのが当然です。公費補助金投入はあくまでできる規定であり、東京都千代田区では補助金なしの再開発事業が成り立っています。関内駅前再開発は、高さ制限及び容積率の規制緩和で優遇している上、できる規定にすぎないのに300億円の公費補助金でさらにデベロッパーを優遇するものです。本市の財政状況から投入しないという判断をすることは可能となっています。関内駅前再開発において大幅に膨らんだ公費補助金投入は、抜本的な見直しを求めます。見解を伺って、終わります。
山中市長:関内駅前再開発についてご質問をいただきました。補助金の投入を見直すべきとのことですが、本事業では駅前の道路空間や交通広場周辺への回遊性を高める歩行者デッキなど、駅前にふさわしい機能を整備していきます。併せて老朽化した建物の更新も行います。またグローバルな企業本社や、いわば集客施設などですね都市の魅力を高める機能が集積することになります。それによって就業者や来外者が増加いたします。将来への投資という視点も踏まえて経済の活性化街のにぎわいの創出。こういったことも市としての使命でありますので、そういったことに必要な支援を引き続き行ってまいります。


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