議会での質問・討論(詳細)
2025年3月25日

■請願討論 大和田あきお議員 3月25日

日本共産党の大和田あきおです。党を代表し委員会での請願不採択に反対し、採択を求め討論します。

  • 初めに、請願第20号 訪問介護の基本報酬をはじめとする介護報酬の引上げを求

める意見書の提出方についてです。

この請願は、介護報酬の引き下げによって、地域に密着した小規模・零細の訪問介護事業所が経営難に直面し、市会として困窮する訪問介護事業所の実態に心を寄せ、訪問介護の基本報酬をはじめとした介護報酬の引き上げを国に求めています。

在宅介護は、老いても住み慣れた自宅で暮らし続けるための要です。現在、ヘルパーの賃金は常勤で全産業平均より月7万円低く、有効求人倍率十数倍の人手不足です。4割の事業所が赤字に陥ったにもかかわらず、昨年4月、基本報酬が2~3%削減されました。

この訪問介護の基本報酬引き下げは、事業所にとって「まさかの引き下げ」でした。横浜市内の訪問介護事業所の管理者の方からは、次のような訴えが寄せられています。「この4月に基本報酬単価が下げられ、事業所収入が大きく落ちました。これまでの収入の利益が半減しています。介護職員の処遇改善加算は、ヘルパーに全額加算されますが、介護事務所の収入とはなりません。これではとても経営が困難です。」というものです。

2024年の全国の介護事業者の倒産や休廃業等が過去最多の784社に達しました。そのうち、訪問介護は529社に達しています。こちらも過去最多です。

原因について、調査結果を発表した東京商工リサーチの方は「以前からコスト高や介護人材不足に加え、報酬のマイナス改定があり、事業継続が難しくなっている」と指摘しています。

神奈川県民主医療機関連合会が県内の訪問介護事業所を対象に行った「基本報酬引き下げに関する調査結果」では、基本報酬引き下げについて約9割が「納得できない」と回答しています。また同調査で、約8割の事業所が困難な経営状況となっていることが明らかとなりました。

これは、国が押し進めている介護保険の給付抑制政策が原因です。2006年3月までは、訪問介護は、1回3時間の生活援助もできました。しかし、政府は給付抑制となる訪問介護の短時間化に乗りだし、徐々に短縮され、2012年の改定では、生活援助の基本部分が60分から45分に短縮されました。その結果、作業効率優先にせざるを得なくなります。訪問介護事業所では、45分を超えて “誠心誠意”応対するとその分の時間の報酬は払われないため、事業所の経営を圧迫しています。

訪問介護を受けている高齢者は、次のように語っています。「ヘルパーさんのおかげで生かしてもらっています。ヘルパーさんがこなくなったら、生きていけないよ」「作業される合間にちょっとしたお話ができることが精神的な癒しになる」などです。

つまり訪問介護とは、単なる「作業」ではなく、ヘルパーさんと要介護者との人間的なつながりでもあります。介護職は、高齢者一人ひとりの存在や価値を尊重し、人間らしさを保ち、自分らしい生き方をできるようにするための魅力ある仕事です。超高齢化社会に向かっているいま、ますます、その社会的な役割、重要さは増すばかりです。

ところが、2015年の改定では、訪問介護を支援するどころか、報酬がすべてマイナス3.5%~4.7%と大幅に引き下げられ、さらに、2024年4月に介護報酬全体が微増しましたが、訪問介護の基本報酬は引き下げられました。

厚生労働省は、基本報酬の引き下げの理由として、訪問介護の利益率が高いことをあげていますが、これは、ヘルパーが効率的に訪問できる集合住宅併設型事業所等の大手事業所が利益率の平均値をあげているためです。それは訪問介護の報酬引き下げの理由にはなりません。

年を重ねても自分らしく暮らせるまちを目指すとした、市の高齢者介護、認知症対策の計画を進める上でも、在宅介護はなくてはならないものです。

常任委員会での議論で、他の会派のみなさんも、「厳しい状況は承知している。訪問介護は報酬だけではなく、人が回らない。」「訪問介護をはじめ、介護に携わる職員の方の処遇というのは大変重要なことだというふうに十分理解をしている。」「訪問介護事業所に対する支援は、喫緊の課題として認識している。」と述べています。問題意識は共通していると考えます。

在宅介護の基盤を存続させるため、「訪問介護の基本報酬をはじめとした介護報酬の引上げを」国に求める請願の採択を求めます。

 

2.次に、請願第21号 従来の健康保険証の発行存続を求める意見書の提出方についてです。

この請願は、国民健康保険は、「国民皆保険」のセーフティーネットを担い、保険者である自治体は、本来保険証の発行責任を負っていることから、世界に誇る医療保険制度を将来にわたって維持存続させるために、従来の健康保険証を存続させることを求めています。

マイナ保険証に対する国民の不安、不信は払しょくされていません。毎日新聞と社会調査研究センターが2024年12月に行った調査では、マイナ保険証への移行に「不安を感じる」が52%で半数を超えています。また、厚生労働省の調査では、2025年2月末までに、マイナ保険証の解除申請は、6万9150件にも上っています。

マイナンバーカードから保険資格を読み取るオンライン資格確認のシステムは、被保険者の異動などのタイムラグで「資格なし」とされる事例など、多くのトラブルが起こっています。患者が10割負担を請求された事例もあり、医療へのアクセス阻害につながりかねません。

また、マイナ受付への対応ができないために、閉院という選択肢を取らざるを得ない医療機関も生まれています。

従来の紙の健康保険証の有効期限が切れた以降、マイナンバーカードを持たない人、マイナ保険証の登録をしていない人には、保険証の代わりとして、資格確認書が申請なしで公布されます。しかし法律では、本来「申請制」で定められています。申請なしで「資格確認書」が交付されるのは「当面の間」とされています。

「資格確認書」は、従来の健康保険証と体裁は全く同じであり、機能も同じです。

ですから、健康保険証を発行すれば、新たに「資格確認書」を発行する必要はありません。

従来の健康保険証の発行存続を求める意見書を国に提出するための請願の採択を求めます。

3.次に、請願第19号 「横浜市の保有する情報の公開に関する条例」についてです。

この請願は、情報公開を請求された機関が、請求を却下するとした判断を行った時に、情報公開を求めた方がその処分に対して、不服を申し立てることができる審査請求について、より公正性のある、住民に寄りそった対応を求めています。

市は、住民の財産である「行政文書」に対する開示請求を保障しています。

具体的には、審査請求をした時に、行政処分の判断をした機関ではなく、処分に関わっていない別の機関を審査の実施機関に選定することや、審査会が不服を申し立てた方の意見陳述を必要としないと判断した際に、その理由を審査請求人に通知することを求めています。

請願の趣旨は、条例の目的である「横浜市が市政に関し市民に説明する責務を全う」し、「公正で民主的な市政を推進」する上で重要であると考えます。採択することを求めます。以上で、討論を終わります。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP