議会での質問・討論(詳細)
2023年2月27日

2023年度予算特別委員会 ■港湾局(大貫憲夫)2月27日(月)

○磯部委員長 次に、大貫憲夫委員の質問を許します。
◆大貫委員 日本共産党の大貫です。  委員長、後でスライドを使います。
○磯部委員長 どうぞお使いください。
◆大貫委員 私は、横浜川崎国際港湾株式会社について伺います。これはYKIPと言うのですが、設立の経緯と会社の概要、それにYKIPと国際コンテナ戦略港湾政策との関係についても伺いたいと思います。それから、そもそも国際コンテナ戦略港湾政策とは一体どういうものなのかも説明してください。
◎中野港湾局長 まず、国際コンテナ戦略港湾でございますが、これは我が国の港湾の国際競争力強化を図る目的で、民間の視点を生かした効率的な港湾運営の実現を目指し、平成23年の港湾法改正により創設された港湾運営会社制度によりまして、平成28年に国、横浜市、川崎市、民間企業の出資により横浜川崎国際港湾株式会社YKIPを設立をいたしました。会社の概要でございますが、資本金は20億円、設立した目的はコンテナターミナル施設の建設、賃貸、管理運営、そして集荷促進事業の実施などでございます。役職員の数は、民間企業の出身の代表取締役社長を含めて役員が8名、職員が28名ということでございます。  この会社がまさに、先ほど申し上げましたとおり民間の視点を生かしてコンテナターミナルの運営をするということで、国際競争力の強化を図るということを担う会社ということの位置づけでございます。


◆大貫委員 具体的に京浜港の国際戦略港湾の計画についても説明してください。
◎中野港湾局長 京浜港国際コンテナ戦略港湾でございますけれども、こちらは平成22年3月に国際コンテナ戦略港湾に京浜港として東京港、川崎港、横浜港3港で応募する際に作成をいたしました計画書の名前が京浜港国際コンテナ戦略港湾ということでございまして、この中身は、国際コンテナ戦略港湾としての目的と位置づけ、大水深コンテナターミナルの確保、実現のための方策や体制について取りまとめたものでございます。


◆大貫委員 その計画では、今お話のあったように東京と横浜と川崎。今回東京は参加しませんでした。その理由についてはいかがでしょうか。
◎中野港湾局長 この会社が設立される1年前の平成27年まで、国と横浜港、川崎港、東京港3港の港湾管理者によりまして統合に向けた協議を進めてまいりましたが、東京都のほうから、東京都は三港連携は維持しつつも、京浜港を取り巻く環境が変化する中、喫緊の課題は輸入港として足元の港湾施設の機能強化、つまり東京都が独自に東京港の機能強化を図り使いやすい港づくりを進めていく必要があるという意向が示されました。そこで、平成28年の港湾運営会社設立の時点で東京港の参画は見送るということとなりました。


◆大貫委員 東京の選択というのは僕は正しいと思うのです。やはり主要港の港湾、全国的に港湾だけれども、港湾というのは、本来、港湾法によれば地方公共団体が管理運営するという立場でしょう。そうしたときに東京が自分のところは自分でやるのだというふうにきちんと打ち出したというのは地方自治の立場から言うとこれは正解ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
◎中野港湾局長 世界の港湾は、1つの港に離れたところに埠頭がございまして、例えば上海港ですと中心部にあるコンテナターミナルから外航に接しているコンテナターミナルまで30キロぐらい距離が離れております。そういった世界的な位置づけからすると、東京港、川崎港と横浜港のこの位置というのは、世界的な視点から見ればほとんど同じ港湾というふうに考えられますから、そういった意味で3港連携して取り組んでいくべきだろうという議論もございました。最近も情報交換などは進めているところですが、やはりいかんせん、東京港は背後地に大きな人口を抱えていて、放っておいても輸入用の貨物が集まってくるということでそれの対応を急ぐということと、横浜、川崎は輸出も含めて国の施策に基づいてコンテナを集めてくるという立場ですから方向性が異なるということで、現在は会社には東京港が参加していないという状況でございます。


◆大貫委員 その点で言えば、確かに世界で見れば地理的にはそうかもしれませんけれども、港湾法の考え方というのはやはり地方公共団体に港湾の管理と運営を置いて、そしてその上で、大体横浜でもなぜあるかと言えば、横浜のまちづくりと港湾というのは一体化しているわけだから、そう考えると当然港湾の運営とか管理というのは都市計画上からいっても地方自治体が関わってくるというのは、これは当然だというふうに思うのです。  その点で言えば、この点で私が言っているように地方自治体として横浜が主体的に横浜港を管理運営していくという態度を貫くということが大事ではないかと思うのですが、いかがですか。
◎中野港湾局長 港湾法は戦後つくられた法律でございまして、やはり委員がおっしゃるとおり地方自治が非常に基本となった、主体で考えるという法律になっております。そういった意味では、委員がおっしゃるとおり、例えば財政的な負担も含めてそうなのですが、地方公共団体ごとに考えていくというのも一つの考え方であろうかと思います。一方では、やはりコンテナの輸送の効率化が世界中で進んでおりまして、そういった意味では港湾の統合による効率化もある意味議論していくべきことが必要だろうと思っております。


◆大貫委員 確かに港湾のコンテナの点だけで言えばそういうことを言えるかもしれないのですが、やはり港湾の主体性が大事だということを私は言いたい。地方自治の立場を貫くという意味で言うと、YKIPができたことによって本当に横浜港の港湾、特に国際コンテナターミナルの運営自体がこれはもうYKIPによって動かされてしまうという状況になったときに、横浜市よりも国の関与がそこに強調されるようになってしまうということは大変問題があるというふうに思うのです。そういう事態になりませんか。
◎中野港湾局長 委員の御質問は、まさに横浜港におけるコンテナ施策が国の考え方で決まってしまうのではないかということでございますけれども、まず、港湾法によりまして、横浜川崎国際港湾株式会社が実施するコンテナターミナルの整備については横浜港の港湾計画に整合することが条件になっております。そして港湾計画につきましては、港湾管理者である横浜市が整備を検討し、横浜市の港湾審議会で審議するということになっておりますから、まず港湾計画については横浜市が主体でやっていくということでございます。さらに、ほぼ毎年のように港湾運営会社の運営計画の変更がございますが、こちらについても港湾管理者である横浜市の同意が必要でございます。  そしてさらに、YKIP、横浜川崎国際港湾株式会社の出資比率は国が50%、横浜市が47.25%となっておりまして、会社法上、国単独での意思決定ができないことになっておりますし、さらに重要な特別決議が必要となる重要な意思決定には本市の同意が必要になります。また、取締役5人のうち2人が本市の職員でありまして、民間出身の社長に加えて、本市職員の副社長、そして私、港湾局長の3人で定期的な会議を行っておりまして、実質的には会社の意思決定に横浜市港湾局としても参画をしているという状況でございます。


◆大貫委員 私は思うのです。一番最初に重要なことを言っていました。港湾計画は横浜でつくるのだから大丈夫だと言っていますけれども、結局、港湾計画を横浜でつくったとしても、最終的には国土交通省の認証が要るのでしょう。国土交通省がノーと言えば動かないのです。そうしたときに考えれば、YKIPのやることについてはやはり国の意思が働けば港湾計画だって変えられるということではないですか。
◎中野港湾局長 確かに委員がおっしゃるとおり、港湾計画については横浜市が提案をし横浜市の港湾審議会で議決をすると。さらに、港湾計画の全面改定や国直轄事業で整備する施設の変更につきましては、国の交通政策審議会の港湾分科会というところで審議を経て、国の審査を経て決定する形になっております。また、軽易な変更についても、横浜市の港湾審議会の審議を経て、国が審査をした上で決定するということになっておりますから、確かに広域で港湾というのは機能する施設でもありますし、国の審査が通らなければ決定することができないという状況は確かにそういうことでございますが、提案するのはあくまでも横浜市ということですから、そういう意味では横浜市の考え方が反映されるものと思っております。


◆大貫委員 そこがやはり一番心配しているところなのです。大体港湾法ができた理由というのは、戦後、戦前と違った港の問題になったわけでしょう。戦前の港湾の在り方と戦後の港湾の在り方の違いについて説明してくれませんか。
◎中野港湾局長 戦前は港湾管理者というのが存在しておらなくて、港湾を横断的に調整する役割を果たす官庁もなかったという状況でありまして、例えば新港ふ頭は税関のほうで整備をしておりまして、これは税関が管理をしている。場所によっては神奈川県が整備したところがあって、それは神奈川県が管理する。さらに内務省、今の国土交通省が整備した部分は国土交通省が管理するというばらばらなそれぞれの港湾の所管がそれぞれ港湾に関わっていたということでございますが、戦後、欧米のいわゆる港湾管理者の概念が導入されまして港湾管理者というのが横浜市になったということでございます。


◆大貫委員 戦争があった、軍港以外についても戦争で港湾が使われた。大体戦前の港湾というのは国の造営物として言われていて、国の役人の判断でその辺が動いていたということなのです。つまり、国のいわゆる統制下で行われていた。戦後は、それではいけないからやはり地方自治体、先ほど言ったように地方自治を大事にするということで地方自治体に移った。そのことを考えると、今回のYKIP、国際コンテナ戦略港湾による管理運営が株式会社に移るということは、まさに戦前に回帰する港湾の在り方になってしまうと言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
◎中野港湾局長 世界の港湾の施策につきましては、中国もお隣の韓国もそうなのですが、国として港湾整備や港湾の運営に取り組んでいるというのが近隣の港湾の特色でありまして、やはり400メートル近い非常に大型なコンテナ船が入ってくる施設の整備を行うというのはなかなか横浜市だけでは難しいということでございまして、国としても関与する必要があるということから港湾法が改正されてこのような仕組みができたということでございます。


◆大貫委員 今おっしゃっていたことはまさに外国は外国で、私が言っているのはまさに法律のことで、なぜそういう法律になったかという話を聞いて、使い勝手の話ではないのです。だから、港湾というのはやはり民主的に運営される、地方自治体が管理していく、これが一番求められたのが港湾法の精神ではないか。今回の2014年の港湾法の改正というのは、国際コンテナ株式会社を認めることによって元に戻してしまうのではないかと。国の関与を強めてしまうのではないかということを心配しているのです。そのときに横浜は、港湾計画を横浜がつくるのだから心配ないと言っていても結局は最終的には国が承認をするわけだから、国の思うとおり関与というのはやはり拭えないわけです。それからもう一つ、会社が、国が50%の横浜が47.25%だけれども、これは完全に言えば、株は国が半分以上は持っているわけだから。しかも考えてみると、いわゆるポートオーソリティーという考え方があるでしょう。要するに半民半官で、ヨーロッパなどはそれで運営していくと。横浜は半民半官という状況ではないのです。だから、そう考えると非常にこれからの横浜港の運営というのは国が関与してくる、そこの危険性があるのだというふうに思います。それで、私が心配しているのは、この間、昨年の12月に安保3文書が出たでしょう。安保3文書の中を見ますと、これはそのうちの国家安全保障戦略。この中に今後は港湾を使っていくのだというふうに書いてあるのですけれども、これはどのように書いてあるか、説明してください。
◎中野港湾局長 令和4年、昨年末の12月16日に閣議決定をされました国家安全保障戦略の中で、我が国が優先する戦略的なアプローチという項目がありまして、その一つに、有事も念頭に置いた我が国国内での対応能力の強化としてという項目がございます。「自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する。あわせて、有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う。これらの取組は、地方公共団体、住民等の協力を得つつ、推進する。」と、このように記載をされております。


◆大貫委員 このように安保3文書の中の国家安全保障戦略の中でうたっていると。これは閣議決定されたのです。閣議決定を勝手にやったのですけれども、そのことは置いておいて、政府がこれはもうやらざるを得ない、やるというふうに言ったときに、このとおり横浜港がその対象になる、これだって可能性はもちろんあるわけです。そのときにYKIPというようないわゆる国のやることを推進する会社が、しかも株の大部分は国が持っている。そういう会社が横浜港をコンテナ関係は全部牛耳っていると言ってはおかしいけれども、扱っているというふうに考えると、非常にこれは横浜港にとって安全の面で不安になってくるのですけれどもが、いかがでしょうか。
◎中野港湾局長 YKIPが管理している国有岸壁、国有港湾施設につきましては、国とYKIPとの間の貸付契約に基づいて運営をしております。したがって、有事の際も両者間で調整が行われて、そのときの状況において最も適切な判断が出されるものと考えております。


◆大貫委員 もう一つ、平素と書いてあります。平素はどうですか。
◎中野港湾局長 港湾法は港湾の適正な管理と運営を図ることを目的とした法律であるということで、平成16年の国民保護法の国会での答弁を調べましたところ、例えば岸壁の水深を上回るような大型船の船舶の入港や混雑をしている港に長期間船舶を停泊させることなどにより港湾の適正な利用が妨げられる場合など、港湾の適正な管理運営を図る観点から合理的な理由がある場合は拒むことができると国会のほうでされておりますが、こういった平素からのルールづくりがどのようなものになるのか、具体的に示された段階で判断する必要があると考えております。


◆大貫委員 おっしゃっていることは、今後、要するにこの場合は自衛隊だとか米軍も含めて横浜港を使用するということは、これはノーとは言えない。絶対駄目とは言えない、相談してやればいいのだという。今まではそういうふうに言えば、横浜港に自衛隊の艦船が来たときにはちゃんと許可を得てやってきたわけです。しかし、それに対して横浜の港湾局としても、国がそういう状況の中で安保3文書に基づいてこの考え方でやったときにノーと言えない状況になってしまっているのが今度の今のYKIPの状況だと。YKIPがそこに存在する一番大きな問題だというふうになってくると思うのです。そこら辺について言えば、私は、この大きな問題というのは、まさに安保3文書をきちんと、横浜としては話合いのときにはこれに応じないという態度を取るのが大事だと思うのですが、いかがですか。
◎中野港湾局長 この文書もそうでございますけれども、国民保護法に関連した有事法案の一つとしては、やはり地方公共団体の長に政府が意見を聞くということになっております。このような国民保護法などが適用されるような有事では、岸壁や荷さばき地などの港湾施設の使用を求められる場合にはまさに事態が緊迫している状況でありまして、そのときの状況に応じて最も適切な判断を行うことになると考えております。


◆大貫委員 僕は1つ、ノース・ドックに新たな部隊ができました。このことについてもやはり非常に大きな問題があると思うのです。港湾の関係で言えば、航路の一番先端のところにノース・ドックがあるわけだから、もし平時でも有事でも米軍が使うとなったときに、まさにいろいろな意味で混乱が起きると思うのです。そういったことを考えたとき、非常に大きな今のそれと相まって国際コンテナターミナル株式会社の存在が大きな役割を果たして、横浜全体が本当に危険な状況になってしまうと思うのです。ノース・ドックに新しい部隊ができたことによって今後の運用が変わってきて、横浜港の航路だとか、横浜港湾を使う意味での変化があるのかないのか、それについて質問します。
◎中野港湾局長 航路など、ほかの船舶に与える影響などについては私どものほうに特に情報は入っておりません。


◆大貫委員 先ほど言った有事のときなどはどうなのですか。
◎中野港湾局長 有事のときには地方公共団体のほうに政府は意見を聞くということになっておりますが、まさにこの法律に書かれておりますけれども、国民の生命、身体もしくは財産の保護、武力攻撃の排除を図るために特に必要があると認める場合で緊急を要すると認められる場合には、最終的には内閣総理大臣が国土交通大臣を指揮して特定の者の優先的な港湾施設の使用に係る許可等を行うことになっているということでございます。


◆大貫委員 まさにきな臭くなったというのが非常に感じるのです。先ほど私が言っていたように、横浜港というか、港湾法の戦後の考え方が本当に崩されるきっかけになったのがこの国際コンテナ戦略港湾であって、そして、その上でそれがYKIPとして横浜に存在をしていて、YKIPと同時に横浜港のノース・ドックが新たな部隊の拠点になってくるというふうになったとき、横浜が非常に大きな不安な状況になったときに、私は、この間市長が国民の平和のためには頑張るのだという答弁をされていました。そういった意味では、こういう今の時期に港湾としては、まさに国ではこういう今動きがある中でやはり横浜港としてそれはノーという態度をどこでもきちんと国にも言わなければいけないと思います。  以上です。


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