マイナ保険証は強制できない
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みわ議員:日本共産党のみわ智恵美です。党を代表し今定例会に提出された議案に関連し質問します。
市第23号議案は、横浜市国民健康保険条例の一部改正です。この議案は、国民健康保険証廃止が前提となった改正案です。私が利用している薬局で「患者様へお願い、今年の12月に保険証が原則廃止されます」と表示し、「ご心配無用、薬局をご利用の際にはマイナンバーカードをお持ちください」と待合室のよく見える場所に掲示されています。マイナ保険証を強要はできないはずなのに、持っていなければ保険診療が受けられないかのような誤解が生みだされています。
そもそもマイナンバーカードが任意であることは法律上も明記されていますから、保険者である横浜市は、保険料を払っている方に対して、医療にかかることができるようにすることこそ使命であり、マイナ保険証を強要することはできないと思います。市長の見解を伺います。
山中市長:マイナ保険証は強要できないとされているとのことですが、マイナ保険証を利用するかどうかはご本人の意向によるものと理解しています。マイナ保険証をお持ちでない方については、保険者が交付する資格確認書を医療機関に提示することで、今まで通り保険診療を受けることができます。
みわ議員:本年度版「横浜市国民健康保険ガイドブック」には、「令和6年12月2日から保険証は新規発行しません。代わりに『資格確認書』またはマイナンバーカードと一緒に提示する『資格情報のお知らせ』を交付します。」とあります。
どなたにも紙を送るとのことですが、受け取る市民の側は混乱しないでしょうか。マイナ保険証の顔認証で「本人確認ができません」いう混乱がいまだに続き、7月現在の横浜市におけるマイナ保険証への一体化は54.3%、6月の利用率は13.69%と聞いています。保険証の新規発行廃止まで5か月を切った中で、利用は1割台。先日、林官房長官が現行の健康保険証の廃止期限を見直す可能性に言及したとの報道があり、当然のことだと思いました。国に一元化されているマイナ保険証情報が横浜市に届き、次に、その情報が事務手続きをする区役所に届く仕組みですが、国からの情報がいつ届くかも不明で、しかも10月からはマイナ保険証を辞退することもできるようになります。きわめて複雑で、しかも不完全なシステムに行政機関がほんろうされる事態です。被保険者市民が、安心して医療にアクセスすることができるよう、リスク回避が求められています。
横浜市は国民健康保険の保険者として、それ1枚で医療にかかることができる「資格確認書」を全被保険者に交付すべきではないでしょうか、見解を伺います。
山中市長:被保険者全員に対して資格確認書を交付すべきとのことですが、厚生労働省の通知ではマイナ保険証をお持ちでない方を資格確認書の交付対象としています。マイナ保険証をお持ちの方につきましては、医療機関に設置された認証機で、顔認証やパスワードの入力をご自身で行うことが難しい方などに限り、交付対象とされております。このため現時点では、被保険者全員に資格確認書を交付することは考えておりません。
精神障害者の交通運賃割引の適用について
みわ議員:次に、交第1号議案 横浜市高速鉄道運賃条例及び横浜市乗合自動車乗車料条例の一部改正についてです。精神障害者及びその介護人に対して交通運賃の割引が行われるというもので、長年にわたって精神障害者を身体・知的障害者と同等に交通運賃割引制度の適用を求めて運動を重ねてこられた方々の願いが実現するもので歓迎します。
横浜市では3障害に区別なく健康福祉局の事業として福祉パス制度が実施されてきましたが、精神障害者には同行者の割引が実施されないことで、1人ではなかなか外出できない方にとっては経済的負担がかかり、ひいては精神障害者の社会参加が阻害されてきました。
団体からは「運賃割引の実現は、所得補償の観点からだけでなく、精神障害者のみが制度から除かれている状態が、自分たちの存在が否定されており、尊厳を踏みにじること、偏見差別を助長することにもなる」と訴えられていました。少なくともここ10年、横浜市として3障害の一元化の要望を国へも働きかけているなかで、JRが踏み出したことを契機とするのではなく、公営交通として精神障害者への運賃割引適用を私鉄よりも先んじて導入すべきだったと考えますが、見解を伺います。
三村交通局長:精神障害者割引を先んじて導入すべきだったのではないかとのことですが、お客様からのご要望などをいただいているとともに、首都圏の鉄道事業者における精神障害者への割引導入の動向を踏まえ、市営交通においても割引の対象とすることとしたものでございます。なお市内在住の精神障害者の方には福祉特別乗車券が交付されているため、交付を受けたご本人の方は市営交通に無料でご乗車いただける環境となっておりました。
みわ議員:今回の全国的な精神障害者の1種での割引適用で、SuicaやPASMOなどICカード化が実用となると伺っています。しかしまだ2種は対応となっていない交通機関もあるために、2種の方々のICカード化は進みません。利便性向上へのさらなる工夫が求められています。横浜市交通局は、他に先駆けて精神障害者の2種も同様の運賃割引適用を実行されることについて障害者の方々と共に喜びたいと思います。ただ、今のままでは、2種の方は窓口での手帳提示で割引という事態で、相変わらず煩雑です。
横浜市交通局は一般社団法人日本地下鉄協会の理事であり、神奈川県バス協会の一員ですから、2種への適用が他私鉄などにも拡大するようイニシアチブをとり、ICカード化の推進をすすめるべきと考えますが、どうか伺います。
三村交通局長:第二種への適用を他の私鉄にも拡大しICカード化の推進を進めるべきとのことですが、あらゆる方々にご利用いただきやすい交通機関を目指すことは大変重要なことだと思います。日本地下鉄協会、神奈川県バス協会の理事としてといったお話もございましたけれども、割引の適用範囲につきましては各事業者それぞれの経営判断によるものとなります。なお市営バス、地下鉄のみをご利用になるお客様に対しましては、第二種の方に対しても割引の定期券をICカードで発行しております。
社会福祉施設、児童福祉施設等の物価高騰対策支援について
みわ議員:次に、市第50号議案令和6年度横浜市一般会計補正予算についてです。
最初に、社会福祉施設等物価高騰対策支援事業及び児童福祉施設等物価高騰対策支援事業について伺います。今回の補正は、各種施設の実績から算出した光熱費等及び食材費相当額に、物価高騰の影響を乗じた額の2分の1を単価として支給するものです。現下の物価高騰は収まらず、6月から始まった猛暑、7,8月の酷暑で、どの施設も電気代・水道料金に苦しめられています。しかし、社会福祉施設や児童福祉施設は、公定価格で運営されていますので、物価高にも猛暑の中での光熱費の負担増があってもこれを利用者に求めることはできません。
横浜市は、県の補正予算に合わせての実施だけでなく、現場の声にこたえて、6月以降の光熱費についても支援を継続すべきと考えますがどうか伺います。
山中市長:社会福祉施設児童福祉施設等物価高等対策支援事業について、6月以降も光熱費の支援を継続すべきとのことですが、今回の事業は県が実施している福祉施設等に対する物価高騰対策支援事業を主に活用しており、県の対象期間の考え方等を踏まえて、支援を5月までとしました。支援の継続については、今後の国や県の動向、または施設の運営状況等を見極めた上で総合的に判断してまいります。
みわ議員:また、公定価格で事業運営されている中でなぜ、医療現場が外されているのでしょうか。公定価格で苦しんでいる現場に寄り添い、支援を拡充するべきです。医療機関に対しても支援を実施すべきと考えますがどうか伺います。
今回の物価高騰対策支援事業は公定価格で運営されているところに対してのもので、公定価格での運営ではなく、コメの値上がりに苦しむ子ども食堂などは対象でないことが気がかりです。
山中市長:医療機関に対しても支援を実施すべきとのことですが、医療機関については令和6年度診療報酬改定において物価高騰や賃金の上昇の影響なども考慮をなされており、一定程度必要な対応が図られたものと考えております。今後も医療機関の経営安定化のために国に対して必要な働きかけを行ってまいります。
新型コロナのワクチン接種事業について
みわ議員:次に、新型コロナウイルスワクチン接種事業についてです。今回の接種対象は、65歳以上の方と、60歳以上65歳未満で、一定の障害を有する方とのことです。
今後、インフルエンザの流行とも重なってきますので、重症化を防ぐためにも、医療のひっ迫を防ぐためにも必要事業だと思います。それでも、3,000円の負担は重いと思います。海老名市では、自己負担額は無料です。横浜市でもその検討はされたのでしょうか。
政令市横並びで安心されているのではないでしょうか。また、問題は高齢者だけでいいのかという点です。
今年5月にはクラスターが発生した医療機関があったときいています。新型コロナ感染症の蔓延時、国を挙げて、医療現場の皆さんに感謝し、支援を行ってきました。医療現場の皆さんは集団での会食をしない、県境を越えた移動はしない、家族との会食も別々にするなど、多くのことを犠牲にし、市民の命を守ることに全力で向き合っていただいてきました。医療現場では、あまりの大変さに離職者も続出し、残った方々への負担も大きくそれでも懸命に、現場を守ってこられました。ところが、昨年の2類から5類への変更で、あらゆる支援が打ち切られています。それでも新型コロナ感染症が別物になったわけではないなかで、医療現場は相変わらずの、コロナ対応を実行せざるを得ないのです。医療現場の方々にはワクチン接種が推奨されてきました。にもかかわらず、5類になったら突然自己負担では、病院も診療所も大変な負担で対応できません。検査も治療薬も高価なものとなって、コロナがうたがわれる患者さんも負担の重さから忌避される例も多々あります。そんな中で、医療現場での感染が広がり、医療資源がなくなれば事態はなお一層深刻です。介護や保育の現場でも同様ではないでしょか。
医療・介護・保育などのエッセンシャルワーカーのワクチン接種にも希望者には補助を出すべきと考えますが、どうか伺います。
山中市長:エッセンシャルワーカーの接種希望者に対しても補助を出すべきとのことですが、今回の定期接種は予防接種法のB類疾病として実施され、個人の重症化予防を主な目的としています。そのため定期接種の対象者は、政令により重症化リスクの高い高齢者等とされています。本市としては、こうした国の方針に基づいて定期接種を進めていきます。
介護ロボットを介護施設に導入することに関して
みわ議員:次に介護サービス提供体制の整備促進等に対する補助について伺います。
この議案は、県の補正予算に合わせ、市内の介護施設等が大規模改修時に介護ロボットやICTを導入する際にかかる費用等を新たに助成するとともに、介護サービス提供体制の促進等にかかる費用への助成を増額するものです。
党議員団として、介護ロボットやICT導入は必要なことで大いに進めるべきと考えますが、問題なのは、特定施設「介護付き有料老人ホーム」における介護ロボットやICTの導入が「人員配置基準の特例的な柔軟化」によって、人員削減ができるとしたことです。
本来は介護職員の負担軽減によって、利用者に対するより丁寧な対応ができるためのものとすべきです。
今回の補助事業を進めるにあたって、介護ロボットやICT導入による「人員配置基準の特例的な柔軟化」は認めるべきではないと考えますが、どうか伺います。
山中市長:介護サービス提供体制の整備促進等に対する補助について特定施設における介護ロボット等の導入による人員配置基準の特例的な柔軟化は認めるべきではないとのことですが、柔軟化の適用には、介護ロボットの導入や職員の役割分担の見直し等がケアの質の確保や職員の負担軽減につながっているとデータで客観的に確認されることが必要です。このため人員配置基準の特例的な柔軟化は、介護職員の負担化にはつながらないと考えています。なお定期的な実施指導等において、柔軟化に取り組む施設の状況をしっかりと確認してまいります。
子育て世帯向けの省エネ住宅推進事業について
みわ議員:最後に住宅施策推進事業について伺います。
この事業は、子育て世帯等を対象とした最高レベルの断熱性能及び再生可能エネルギー設備を備えた省エネ住宅への住み替え補助について、補助件数を追加して実施するものです。人気の事業で、昨年も補正を組み、今年も応募にこたえて拡大されたことは評価します。しかし、さらにもっと要望があるのではないでしょうか。
CO2削減に個人として寄与できることでもあり、良い事業ですので、さらに拡大するためにも、さらなる補助件数の拡大と、補助額の拡大を実施すべきと考えますがどうか伺います。
山中市長:住宅施策推進事業についてさらなる補助件数の拡大と補助額の拡大を実施するべきとのことですが、今年度は補助件数の拡充と合わせて、再エネ設備を備えた住宅への住み替えに対して補助額を増大し、最大150万円にしたところ大変好評をいただいております。こうした状況を踏まえ、今回の補正により補助件数をさらに拡充するものであります。今後も多くの市民の皆様が活用できるよう周知を図りながら、制度の利用を促進していきます。
みわ議員:また、今年の事業は太陽光パネルと充電器設置にも補助金が出されることとなり私たちが求めてきたもので歓迎します。
既存住宅の省エネ化に対する国の施策は承知していますが、CO2削減に大きく寄与できる施策として推進するためにも、住み替えだけでなく、全ての世代の住宅リノベーションに補助を拡大することに取り組むことが必要と考えます。市長の見解を伺いまして、質問を終わります。
山中市長:全ての世代の住宅リノベーションに補助を拡大するべきとのことですが、国ではすでに全ての世代を対象として高性能な窓への改修に対して最大200万円を補助する先進的窓リノベ事業などを行っており、市内でも相当数活用されると聞いています。こうした制度を一人でも多くの市民の皆様がご活用できるようわかりやすく情報提供をしてまいります。