議会での質問・討論(詳細)
2024年2月20日

■現年度議案討論 大和田あきお 2024.2.20

日本共産党を代表し、本定例会に提出されている6つの議案に反対、4つの議案に賛成し、討論いたします。

<反対議案>
企業に多額の助成金を配る「企業立地促進条例」は、企業立地のインセンティブとなっている客観的データがなく、もう延長はやめるべき

はじめに、市第118号議案 横浜市企業立地等促進特定地域等における支援措置に関する条例の一部改正についてです。これは、企業立地にあたって、最大限度額などを変更し、条例適応期間を4年延長するものです。
先の市会本会議で、市長は、企業立地促進条例の助成金について、「立地決定への重要なインセンティブ効果を発揮していると考えられる」と答弁しています。
しかし、2023年の経済産業省の『産業立地政策について』の報告書にある工場新設の『立地選定理由』において、『国・地方自治体の助成』は7番目であり、大きな決め手とは言えないのではないでしょうか。むしろ、『立地選定理由』の1番目である『本社・他の自社工場への近接性』や2番目である『インフラ整備が充実している』、そして市長答弁にもあった『約16万人の研究者や技術者及び、9校の理工系大学を有する豊かな人的資源』がまさに本市の強みであり、助成金などなくても企業立地の促進は十分図れると考えます。その財源をもって市として力をいれるべきは、若者の学びの支援など次世代応援だと考えます。以上のことから、市第118号議案に反対いたします。

横浜市久保山斎場の指定管理の導入で、長年の障害者雇用の受け皿が失われることがあってはならない。障害者雇用を守る手だてを
また、市第120号議案 横浜市斎場条例の一部改正についてです。
これは、市営久保山斎場で新たに指定管理者制度を導入するため、横浜市斎場条例の一部改正をするものです。久保山斎場は、精神障がい者の働く場として、横浜市精神障がい者就労支援事業会が28年にわたり、市からの委託を受けて、清掃・湯茶提供業務を行ってきました。指定管理者制度を導入することによって、障害者雇用が継続的に保障されるのか、また、障害者の働きやすい環境が確保できるのか不明確であり、賛成できません。

首都高速道路の料金徴収期間を延長することは、徴収する料金が、既存道路の補修などに充てられる担保がなく、新規建設費の捻出に回り、延長が繰り返されるずさんな計画
次に、市第131号議案、首都高速道路株式会社が高速道路事業の許可事項を変更することについてです。これは、首都高速の料金徴収期間を2074年まで延長するものです。
そもそも、高速道路の建設の際、事業費の中に更新費用は見込まれておらず、新規建設の総量規制のないまま、料金収入が更新費用に優先的に使われる担保はない仕組みで、今後も一定期間ごとに延長が繰り返されるずさんな計画と言わざるを得ません。本市として同意すべきではありません。

上瀬谷通信施設地区の土地区画整理事業の「雨水調整池」建設は、大規模な土地改変を前提としており、「自然をいかすまちづくり」とはいえない
次に、市第133号議案 旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 相沢川雨水調整池建設工事請負契約の締結についてです。
これは、旧上瀬谷通信施設地区の相沢川流域の雨水を調節する調整池造成の工事請負契約をする議案ですが、なぜ調整池が必要なのかというと、区域内をコンクリートで固めてしまうことから、これまで大地が吸水していた雨水が吸収されずに下流域で水害が発生する恐れがあり、調整池をつくって雨水の流出量を抑制する必要があるからです。つまり、旧上瀬谷通信施設地区の大規模な土地の改変を行うことが前提となっています。
旧上瀬谷通信施設地区における観光・賑わい地区の活用事業を審査する委員会からは「自然環境を活かした土地利用や相沢川周辺の風景の継承を検討する」などの意見もあります。同事業は、自然を生かしたものとは言いがたいことから賛成することはできません。

新本牧ふ頭整備費」は見通しのない大型コンテナ船を見込んだ事業。「横浜駅北西口鶴屋地区事業費」は、市民に恩恵が薄い事業に、巨費が投じられるものであり反対
つぎに、市第145号議案 港湾整備事業費会計補正予算の新本牧ふ頭整備費負担金は、見通しのない大型コンテナ船を見込んだ事業であり、市第150号議案 市街地開発事業費会計補正予算の横浜駅きた西口鶴屋地区事業費は、市民に恩恵が薄い事業に、巨費が投じられる事業であり、共に反対です。

<賛成議案>

第5 期地域福祉保健計画は自助・共助の強調ではなく、公助の役割を明確化し、より良い福祉保険計画となるよう求める
また、市第111号議案 第5期横浜市地域福祉保健計画の策定について賛成します。しかし、その具体化については、自助・共助ではなく、公助の役割発揮が必要だと考えます。
計画案は、地域生活課題について、「日本型雇用慣行の変化により、安定した雇用につけない人が増加している。地域においては、地域付き合いをはじめとする住民同士のつながりが弱くなってきている。」と分析しています。
さらに、現在の人口減少や高齢化の進展に加え、単身世帯の増加などにより、地域で支援の必要な人を支えていく力も脆弱になっています。このような状況に対して、公助を中心とした支援こそが必要であり、地域に求められています。
「断らない相談支援」として市民に寄りそう行政の在り方を模索し、注目が集まりつつある座間市の同計画素案では、基本的視点に、これまでの自助・共助・公助の3つだけでなく、「共助を後押しする公助」をいれた視点を可視化し、公助の役割を明確化して計画を推進するとしています。横浜においても、しっかり公助の役割発揮を求めるものです。

 

第9 期高齢者福祉計画など3 計画について、介護人材の確保対策の推進・誰でも利用しやすい特別養護老人ホームの基盤を・低所得者への保険料減免制度の拡充を求める
市第113号議案 第9期横浜市 高齢者保健福祉計画 介護保険事業計画 認知症施策推進計画の策定について賛成します。その具体化については、以下の3点を強く求めます。
1番目は、介護人材の確保対策の推進です。介護労働者の賃金引上げと待遇改善を行い、人材確保によって介護サービスが確実に提供される体制づくりに市が責任を持つことです。人権の担い手である介護労働者自身の人間らしい生活が保障されなければ、笑顔で他者の権利を守ることができません。
本市が計画で掲げた目標を達成する上で、要となるのが介護人材の確保です。ここにどれだけ力を入れるか、市独自の手を打てるかに、目標達成の成否はかかっています。
先進的な介護人材確保対策の取組みをまとめた、厚生労働省の2020年度「介護人材の確保・資質の向上に向けた市町村の取組促進に関する調査研究事業」を見ると、東京都武蔵野市や大阪府堺市では、2025年に、全体でどれだけの介護人材が必要で、今のまま行けば何人が不足するのかという数値、確保すべき介護人材数について、推計・公表をしたことで、関係者間で問題意識が共有され、取り組みの必要性について共通認識をつくったことが前進につながったと紹介されています。
新潟県新潟市では、介護人材確保対策協議会を設置して、関係者が力を合わせ、介護人材確保に取り組む仕組みを導入しています。本市でも、確保すべき介護人材数の推計を行い、特別な体制を組み、危機感と目標達成の重要性を共通認識にする取り組みを要望します。
2番目に、生活保護利用世帯を含む低所得者も利用しやすい特別養護老人ホームの基盤整備です。
低所得の要介護者にとって、比較的低額で入居できる特別養護老人ホームは安心できる第2の家、終の棲家であり、行政の責任で基盤整備の計画を策定し、居住の保障を行う必要があります。
3番目に、低所得者への保険料減免制度の拡充です。
介護保険制度は、「応能負担原則」に基づき、高齢者の所得に合わせた支払い可能な額に設定することが求められます。市民税非課税者からは徴収しないことや年金からの天引き、未納者滞納者に対する制裁措置を廃止するなど、減免制度の拡充が必要だと考えます。

婦人相談員の交通費などに関する条例改正を機に、非正規雇用になっている女性福祉相談員の正規化を。女性福祉相談員は、国家資格レベルの専門性が求められる業務
次に、市第124号議案 横浜市婦人相談員の費用弁償条例の廃止についてです。
これは、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の制定に伴い、従前の法律・条例で規定されていた条例を廃止するものであり、賛成します。しかし、ここには到底看過できない問題があります。それは、女性福祉相談員の雇用条件が非正規雇用にあることです。
新法では、各自治体は、「困難な問題を抱える女性について、その発見に努め、その立場に立って相談に応じ、及び専門的技術に基づいて必要な援助を行う職務に従事する職員」を配置し、その任用にあたっては「その職務を行うのに必要な能力及び専門的な知識経験を有する人材の登用に特に配慮しなければならない」とされています。国家資格を要する方を雇用の要件とするなど、高い専門性を求めています。雇用期限1年とする会計年度の任用で良いはずがありません。
1956年(昭和31年)制定の旧売春防止法第35条の4項には「婦人相談員は非常勤とする」とありましたが、2016年(平成28年)にはこの項は削除されました。当時の厚労省は、「婦人相談員の非常勤規定を削除し、常勤職員とすることを可能とすることで、婦人相談員のモチベーションの向上を通じて、相談・指導等の質と量の充実を図ることとした。」としています。旧法のしかも削除された条項を持ち出して「非常勤で良し」とするなどあってはなりません。人権尊重の新法にふさわしい、女性相談員の処遇改善がその役割からも必要です。無期雇用・正規雇用とし、法に責任を持つ国に対して女性福祉相談員の処遇改善を要望しつつ、横浜市が率先して取り組むよう強く求めます。

補正予算に関わって、特別支援学校等の性犯罪防止のためのカメラやパーテーション等設置の助成に賛成するが、人権を守り性犯罪を根絶するために、施設職員の大幅増が不可欠
市第141号議案 令和5年度横浜市一般会計補正予算(第5号)の「国補正等に連動した対策の児童福祉施設等における、こどもの人権を守るための環境整備事業および特別支援学校改修事業についてです。
これは、認可保育所や障害児通所支援事業所をはじめとする児童福祉施設等や特別支援学校に対し、性被害防止対策にかかる環境整備を実施するとして、1施設あたり10万円を支給するというものです。環境整備として具体的に示されているのは、パーテーション、簡易扉、簡易更衣室、カメラ、人感センサーなどの設置です。そのこと自体に反対するものではありませんが、性被害を根本的に無くしていくには、今回の対策だけでは、不十分だと考えます。
重要な対策としては、職員の処遇改善を行い、職員を大幅に増やし配置を厚くするなど、労働環境の改善が不可欠であると考えます。それは施設で働く人が大事にされてこそ、施設の利用者の人権も大切にされると考えるからです。
同時に、性被害防止対策等で重要なことは、子どもたちの声をつぶやきも含め、丁寧に寄り添い受け止めていくことであり、そのためにも職員体制の拡充が必要です。
以上を要望し、市第141号議案に賛成し討論を終わります。

 

 


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