コンビニでのマイナンバーカード機能を使った新たなサービス追加は拙速、
国に運用そのものを中止するよう求めよ
大和田議員:大和田あきおです。日本共産党を代表し、今定例会に上程された議案と委員会で不採択とされた請願1件について討論を行います。
まずはじめに、市第5号議案横浜市印鑑条例の一部改正については、賛成できません。 5月11日よりマイナンバーカードの機能を使って、コンビニのマルチコピー機にスマートフォンをかざすことで住民票などの発行が始まっていますが、更に印鑑証明書の発行を可能とする今条例改定案には多くの問題点があります。
① 従来の健康保険証を廃止してマイナンバーカードによる「オンライン資格確認」に一本化する「マイナンバー法等一括法案」の国会審議の中、マイナンバー制度の信頼性を大きく揺るがすトラブルが相次いで発覚しました。このような状況で、印鑑登録証明を発行する新たな機能を付加することは中止すべきです。
② 現在、システムの運営は事業者任せであるため、横浜市が事業者に対し不備を指摘することができず、事故の検証の結果を鵜呑みにすることになります。横浜市として、事業者任せにしない再発防止策を進めることが必要です。
③ マイナンバーを含む特定個人情報漏えい事故等は、主に区役所で起きていますが、ここ数か月はコンビニでの交付によるものです。個人情報を漏えいさせないという最低限の安全性でさえ確保されていない中で、個人情報の扱いを民間任せにすることについて検証し、見直すことを求めます。
④ これからも、ずさんなシステムを使い続けるのでしょうか。共同通信社が実施した全国世論調査によれば、トラブルが相次ぐマイナンバーカードの活用拡大について、「大いに不安を感じる」「ある程度不安を感じる」という声は、計70%を超えています。この際、横浜市として、マイナンバーカード運用そのものを中止するよう国に対して、要望することを求めます。
物価高騰対策は 市内中小業者に事業を継続できるための補助金・助成金などの直接支援を
大和田議員:次に、市第21号議案 令和5年度横浜市一般会計補正予算(第2号)についてです。 議案に対して、賛成いたします。併せて、いくつかの要望を述べます。
現在の日本は、労働者の賃金が下がり、長期の経済低迷が続く下での物価高騰となり、市民は厳しい生活を強いられています。 この異常な物価高騰の中、今回の補正予算において、非課税世帯への支援が盛り込まれており、この3万円支給を速やかに実施することが求められます。また、学校給食・物資購入のための予算や保育施設・高齢者施設・障害者施設への光熱費や食材費に対する補助も含まれており、多くの市民が求めているものであり歓迎いたします。 しかし、中小企業への支援として、今回の補正予算では『ものづくり成長力強化事業』(グリーンリカバリー設備投資助成事業)がメインとなっています。これは新たな設備を購入する際に補助を受けられるというものでしかなく、これが直接、事業を継続できるための支援になるのかは疑問です。 中小業者の組合である戸塚民主商工会からは、小規模事業者の当面の運転資金を補うために、市として社会福祉協議会の緊急小口資金と同様の補助金や神奈川県月次支援金交付者に対する上乗せ支援金制度の創設を求める声が届いています。 いま必要なのは、原材料の価格高騰を取引先への請求として転嫁できずにいる中小企業・小規模事業者に対して、厳しい状況でも経営を続けていくための補助金及び助成金などではないでしょうか。 設備資金に限定することなく、生業が通常に行える、運転資金を支えることをメインとした支援が必要であり、支援を必要としている市内中小業者に幅広く補助金・助成金が行き渡ることが重要だと考えます。 また、緊急の経済対策として、消費税の減税、そして中小企業や自営業者、フリーランスの方々を苦しめるインボイスの中止を国に求めることも必要です。 事業者やフリーランスの方々から「廃業を考えざるをえない」との悲鳴とともに、導入の中止を求める声が大きくなっています。制度の延期・見直しを求める陳情も出されていますが、市としてこの声を受け止め、国に強く求めていただくことを要望します。 当面の具体的な支援策として、客足が遠のき、売り上げが減少する小売店に対して、かかり続ける固定費の支払いを助ける家賃補助の検討を強く求めます。
また、補正予算では、畜産業者への支援は盛り込まれていますが、農家への支援がありません。JAでは、農家に対する肥料や燃料などの生産資材への支援を行っていますが、決して十分とは言えず、このJAの支援策に上乗せするなどの支援が必要だと考えます。
さらに、学校給食費の支払いが、子育て世帯の重い負担となっています。全国では小学校中学校とも給食費を無償化する自治体が広がっています。国の検討を待たず、学校給食費の無償化は待ったなしの課題として横浜市での検討が必要です。 以上の点を、市民の暮らしへの物価高騰対策として、要望いたします。
米軍横浜ノース・ドックへの新部隊配備の撤回、早期全面返還求める請願は採択を
大和田議員:そして次に、請願7号 「横浜港ノース・ドックへの『米軍揚陸艇部隊』配備撤回を求める意見書提出についての請願」の不採択に反対します。 この請願項目の一つ目は、横浜港への米軍揚陸艇部隊配備の撤回を求める意見書を政府に提出すること。二つ目に、横浜ノース・ドックの早期全面返還を求める意見書を政府に提出することを求めています。 請願の審査が行われた5月30日の政策・総務・財政委員会で、日本共産党は「ノース・ドックへの新部隊配備は、基地機能の強化であり、米軍基地の恒久化につながるもので、横浜市の市是である早期全面返還とは相いれないし、横浜市会としても早期全面返還を求めているではないでしょうか。だとすれば国の動向ではなく市民の代弁をすることを求めて、あらためて本請願に採択を呼びかけます」と呼びかけましたが、国の立場を代弁した自民党・公明党・維新の会の反対で委員会採決で不採択とされました。
ノース・ドックは、横浜港の瑞穂ふ頭にある港湾施設で約52万平方メートルの広さがあります。1945年に完成し、1946年に米軍が接収しました。これまで米軍の物資陸揚げ拠点で、2002年から米陸軍が船舶を搬入しはじめたとのことですが、神奈川県と横浜市、市議会は繰り返し、早期返還を求める要望書を防衛省や外務省などに提出してきました。 しかし、今年1月11日、日米の外務・防衛担当閣僚の会議が開催され、日米両政府は1月12日、横浜市に事前調整なく、横浜港のノース・ドックに米軍の揚陸艇部隊を配備すると決定しました。
政府は「南西諸島を含む所要の場所に迅速に部隊や物資を展開可能」となったと説明しています。 これにより市民が知らない間に、横浜ノース・ドックは、台湾、沖縄、南西諸島などに米軍の部隊や武器弾薬などを搬送するなど、米軍の出撃基地化が進められています。 さらに、5月25日、横浜ノース・ドックに米軍の輸送機CV22オスプレイ3機が飛来したとみられます。横浜市に、米軍や国からの事前連絡もなく飛来したことは重大です。 オスプレイは、日本国内の航空法の要件を満たさない「違法」状態の機体であると指摘されており、安全性の確認がとれない、本来、日本の空を飛んではいけないものです。 これらは、憲法の定める地方自治の否定であり、決して認めることはできません。 横浜市会として、市民の命と暮らしを守るために、戦争の危機を高める「横浜港への米軍揚陸艇部隊の配備」を撤回し、「ノース・ドックの早期返還を求める意見書」を政府に提出し、市内米軍基地の早期全面返還という市是を、断固として貫くという意思表示を行うべきです。
改めて、政党・会派の枠を超え、この請願に対する議員みなさまのご賛同をお願いいたします。
税金は軍事費ではなく、市民の暮らし支える施策に充ててこそ
大和田議員:最後に、政府は安全保障3文書を閣議決定し、軍事費を2倍化し、5年間で43兆円とする軍備拡大・大増税の計画を進めています。現在、日本の軍事費は世界で第9位ですが、軍事費2倍化で世界第3位となり、軍事大国になります。一方、日本の教育予算は、OECD諸国37ヵ国で
第36位、社会保障予算は、OECD諸国34ヵ国で20位となっており、日本の教育と社会保障は世界で非常に遅れた後進国となっています。 税金は、軍事費ではなく、市民の命と暮らしを守る施策に使ってほしいという市民の声は日を追うごとに大きくなっています。 市民の命と暮らしを守るために、軍備拡大ではなく、労働者の賃金を引き上げ、社会保障の充実によって、市民の懐を温め、消費を促すなど経済の好循環を生み出していくのが健全な社会です。日本共産党は、引き続きこの視点で、市政課題への具体的な改善提案を行っていきます。 以上のことを表明し、討論を終わります。