議会での質問・討論(詳細)
2023年3月16日

■一般会計予算案 討論 大貫憲夫2023. 3.16

日本共産党を代表し、2023年度一般会計予算案に賛成の立場から討論を行います。

全国の出生数は2022年80万人を下回り、本市においても2年連続して人口が減少しました。本市が都市として未曾有の転換期に突入したとの警鐘が鳴らされています。

2023年度予算案は、昨年12月に決定した中期計画実現に向け、人口減少・少子高齢社会への突入という大きな社会的課題を積極的に奇貨としてとらえ、地に着いた子育て世代への支援拡充を梃に、質の高い豊かな「明日の横浜」実現への第一歩を示す予算案となっています。もちろん、中期計画の着実な実現のためには方法論も含め、解決・改良が求められる様々な課題があるのも事実です。その課題を市民に依拠し議会、行政がそれぞれの役割を果たすことで、新しい市政を進める力になるものと確信をしています。

2023年度予算案は、子育てしたいまち 選ばれるまちづくりを最重要課題と位置づけ、これまでの歴代市長が行ってきた大型開発を進め、都心部整備に軸足を置いた予算の立て方とは、画期をなすものです。

中でも林前市政との違いが明らかです。林前市長は二期目の市長選で、福祉、教育、文化、観光など6分野わたる協定を自民党横浜市連と結んだとの記事が2013年6月18日の新聞で報道されています。当選後「国の経済政策を現場で具体的に実現するのが基礎自治体としての横浜の役割」という持論を打ち出し、「世界で一番企業が活動しやすい国」を掲げたアベ・自公政権の成長戦略の横浜版を推し進め、結果、本市の財政を逼迫させました。典型は2020年東京オリンピックに向けて建設需要が起き、建築資材が高騰する最中、オリンピックに間に合わせるため慌てて新市庁舎整備、高速道路北西線建設や、みなとみらい21地区へのラグジュアリーホテルの誘致などを進め、多額の財源投入、市債の増発の結果、20年度、21年度では臨時財源として減債基金や財政調整基金を取り崩さなければ、予算が組めない事態になりました。

2023年度予算案は、一般会計総額1兆9022億円の4分の1を上回る5485億円を「子育て対策」として計上し、小児医療費の中学3年生までの完全無料化など、子育て世代への直接支援として総額2903億円、新規事業も含め21事業に200億円が増額されています。また、次年度に向けて山中市長が市長選で市民に約束した公約のうち、「出産費ゼロ」「75歳以上の敬老パス自己負担ゼロ」や放課後施策の充実のための調査、日常生活を支える地域交通を実現するための専任チームの立ち上げなど、2024年度以降を見据えた調査・検討の費用として予算に盛り込まれています。

同時に、予算案審議のなかで、深刻な教員の未配置などをはじめとする正規教員不足の解消、不登校児童への抜本的な対応が、早急に必要であることが浮き彫りとなりました。

2026年度からみんなが食べられる中学校給食が、実現することになりました。その実施方法が問題です。日本共産党市議団は小学校と同じ学校調理方式がベストと確信しています。

青葉区では中学校13校中、自校方式と親子方式との組み合わせで12校が学校調理方式として可能で、残りの1校も親となる小学校での食缶置き場問題を解決することにより、全校で小学校と同じような温かな給食が可能です。教室のエアコン設置事業と同様に、出来るところから学校調理方式の給食実施を求めます。そして、すでに他の自治体が実施している給食の無償化へのロードマップが必要です。

大切なのは中期計画推進の財源です。

財源創出のエンジンは横浜経済の振興・発展です。これまで、本市の経済政策は、国家戦略特区をはじめとする国の成長戦略を取り込み、大企業を中心にインフラ整備を行えば、内外から投資が引き起こされ、雇用の拡大・住民の所得の向上が図られ、経済が良くなるとする外発的経済政策を根幹に置き進められてきました。

その主力政策が、実態的には資本金50億円以上の大企業を対象に、最大50億円の助成金を交付する横浜市企業立地促進条例による企業誘致事業です。

企業誘致そのものは市内企業の事業機会の拡大、技術移転を通じ誘致企業と関連して新たな産業集積等を生み出すことによって、地域循環型経済を発展させることが目的です。本市にとっても大切、且つ必要な事業です。しかし、本市企業立地促進条例による企業誘致の実態は、条例で認定された誘致企業の社外発注率は横浜市外の企業が9割以上を占めています。条例の目的が果たされていません。企業立地促進条例第6期は2024年に終了します。これを機会にこれまでの企業誘致政策の考え方を根本的に変えなくてはなりません。

横浜経済の成長発展の基本は、どれだけ多くの若者が住み、働き、生産年齢人口を確保できるかが勝負です。新たな本市の企業誘致政策は、これまでの助成金による不毛ともいえる都市間競争をやめ、本市の中期計画の基本戦略の子育て支援の政策を実践し、発展させ、生産年齢人口の定着と流入を進めることです。有用な人材と豊富な労働力の確保こそ企業にとって最大の戦力だからです。すなわち、中期計画の基本戦略実現のため「子育てしたいまち、選ばれるまち」づくりを果敢に進め、市民生活の質と都市の向上の好循環につなげ、教育、福祉、医療充実を競い合う都市間、地域間競争よって、全世界から、日本各地から企業を誘致することです。アジアのメインポート横浜、首都圏での地理的条件や交通上の優位性、多くの大学と研究機関の存在、農地県内第一位に代表される環境、そして何よりも376万人の市民とともに、本市の総合力を前面に、胸をはり自信を持ち、シティセールを行うことです。

大きな転換期にある横浜。これからの時代が求めている都市像は拡大成長から質の向上発展です。自公政権による成長経済を推し進めるため、2050年を目途に2015年に決定され多額の市費が投入されてきた都心臨海部再生マスタープランなど行政の継続性という理由で続けられている事業、また今後、実施しようとしている大型開発事業を見直し転換させることが必要です。

2023年度予算案で特に懸念されることは施設等整備費に前年度並みの1985億円を見込み、上瀬谷エリアでの開発事業に傾斜していることです。花博関連の支出に加え、テーマパーク誘致のため周辺道路の新設・拡幅、新たなインターチェンジなど突き進めれば市費負担増は不可避です。今後、直轄事業負担金を含め1000億円の支出が求められる新本牧ふ頭建設は、立ち止まって事業の妥当性・必要性など改めて検証されなければなりません。山下ふ頭開発は将来の市民の財産でもあり、じっくりと最善の方法を考え、三ッ沢公園再整備は都市に残された緑の環境の保全などなど、中期計画の基本戦略「子育てしたいまち」実現の事業に照らし合わせ、必要な財源を確保するためにも、これらの大型開発事業の見直を行い、事業の縮小や延期、中止を決断することが必要です。

最後に平和問題です。単なる米陸軍の物流中継拠点であった横浜港の米軍基地ノース・ドックに突然、280人の常駐部隊が新設されることになりました。昨年12月には新たな「国家安全保障戦略」において「有事も念頭に置いた我が国国内での対応能力の強化 、我が国に直接脅威が及んだ場合も念頭に、有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う」との閣議決定が国会審議もせず行われました。戦後、商業港として平和で豊かな港湾を作り上げた横浜港が、集団的自衛権の下でアメリカが戦端を開いた有事に自動的に組み込まれ、敵基地攻撃の反撃によるミサイル攻撃などで戦場化するリスクは計り知れません。絶対に許されません。市長は昨年12月の本会議で平和主義を貫く市政の重要性と平和を守る防波堤となる地方自治体の役割を強調したわが党の質問に「平和と人権を基調とする市民の安心、安全を守る自治体の長としての役割を果たす」と表明されました。戦争する準備よりも平和の準備が求められています。2023年度、市民とともに戦争を回避し世界平和構築のため積極的なイニシアを発揮されんことを求め、9期36年議員活動してきた私の市長への最後の提案とさせていただき、討論とします。有難うございました。

本会議の発言全文


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