障害者後見的支援制度の周知の徹底を
関議員:日本共産党を代表し、質問いたします。
「将来にわたるあんしん施策」について伺います。
昨年10月から南、保土ヶ谷、都筑、栄の4区で横浜市後見的支援制度がスタートしましたが、その内容が障害者の家族に伝わっていません。
私も何人かに聞いてみたのですが、そのうちの1人から「知らない人がほとんどではないですか。自分に関わるものとも思っていません」と、冷ややかな答えが返ってきました。これでは、あんしん施策の要となる仕組づくりが構築されるはずがありません。障害者の家族への徹底した説明と意見を取り入れた事業の推進が不可欠と思いますが、伺います。
立花健康福祉局長:そういってましたですか。すでに後見的支援制度が始まっている4区では、開始当初に公報よこはまに掲載をして、かつ数十回にわたって区内の施設の家族会などにきめ細かな説明を行ってまいりまして、その都度ご質問や意見をいただいておりますので、いまお聞きしてちょっと意外な感じがいたしました。また、2月24日には本市が主催した横浜市障害者後見的支援制度報告会に200人の方が参加をいただきました。今後も対象区拡大に合わせて、いまおっしゃったようなことがないようにていねいに説明を図るとともに、周知を図るとともに、障害がある方あるいはご家族のご意向をうかがいながら進めていきたいというふうに思います。
関議員:私が紹介したのはこのあんしん施策にかなりかかわってこられた方で、この方は、ご存知だろうと思うんですけれどもね、周りの人っていうことでおっしゃたんだろうと思いますが、これほんとのことです。
報酬を出してでも「あんしんキーパー」の確保を
後見的支援制度は、「あんしんサポーター」や「あんしんマネージャー」という運営法人の職員による障害者本人への訪問活動と、「あんしんキーパー」という地域のボランティアによる見守り活動で、障害者の地域での生活を支える制度だと聞いております。
しかし、危惧されるのは、「あんしんキーパー」の確保です。家族に代わって、考えようによっては365日24時間の見守り活動になり、かなり大変なことです。「1人にたのむのは、3人ぐらいなら安心」、「1人に頼むのはほんとに心苦しい」との障害者の家族の声もあり、多くの「あんしんキーパー」が必要になってきます。そこで、まだ、スタートして日が浅いのですが、4区での「あんしんキーパー」の確保状況と利用希望登録数、また、確保上の課題をどう捉えているのか、合わせて伺います。
立花健康福祉局長:2月末現在は登録予定者を含むあんしんキーパーの数は18人です。それからこの制度に登録をした障害のある方は77人というふうになっております。
また、あんしんキーパーの確保に向けた課題ですけれども、ひとつにはまだ始まったばかりの制度であるということで、地域の方には十分この制度をご存じいただいていなことがあるのかなというふうに考えます。そのため、地域の実情をよく把握している福社協ですとか、あるいは地域ケアプラザと連携をとりながら、民生委員さんや自治会・町内会のみなさまに制度の周知を行いながら、協力を求めていきたいというふうに考えております。
関議員:「あんしんキーパー」に守秘義務はあるのでしょうか、伺います。また、「あんしんキーパー」とのトラブルも考えられますが「あんしんキーパー」に、公的な性格を持たせるのが双方にとって安心との家族の声もあります。一定の報酬を出しても、確保につながると考えますが、伺います。
立花健康福祉局長:守秘義務ですが、登録していただく際に、あんしんキーパーとして知り得た個人の秘密を守るという誓約をいただいております。個人情報の問題については非常に重要であるというふうに考えておりますので、研修等今後もしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
また、地域のあんしんキーパーにはできることをできる範囲で行うということをお願いをしておりますので、現在のところ、おっしゃるような報酬については考えてはおりません。がしかし、あんしんキーパーの負担が重くならないように、なんか困ったことがあった時には障害者支援を専門とする事業実施法人がすぐにフォローできる体制をとっております。
関議員:局長もご存じだと思うんですけれども、子どもたちの登下校を支援する学援隊がございますね。これも登録が多いんだけれども、だんだん行動への参加が減っているっていうことも私聞いているんです。ボランティアっていうのは、気軽でね、また望ましいという、趣旨として、思いますけれども、継続しない側面ももっているんじゃないかなと思うんですね。後見的支援制度ですから、これは制度ですから、しかも、最も地域っていう底辺で支えるね、大事な役割を果たす人たちだろうと思いますので、そこがもうぐらぐらしているような状況だと、これはもううまくいかないと思いますので、ぜひ実効あるものになるようにするための検討、そのひとつに報酬といったわけですけれども、ぜひ考えていただきたいというふうに要望をしておきます。
できるところから障害者の「緊急時ホットライン」の実施を
障害者の親から要望の強い「緊急時ホットライン」は進んでいないようですけれども、障害者の家族から「行政のやる気が全くみえない。やれるところからでも進めるべきだ」という、実施を求める強い声があります。早急に応えるべきと考えますけれども、どうでしょうか。
立花健康福祉局長:緊急時ホットライン事業は24時間365日相談を受けて対応するということを基本的な考え方としている事業でございます。事業実施に向けて内部で検討してまいりましたけれども、身体、知的、および精神障害のそれぞれの障害特性によって、緊急時に求められる支援が異なると、それぞれの特性に応じた支援モデルづくりが必要であるということがわかりました。ご指摘のとおり、やや遅れております。それを踏まえまして、23年度は事業の実施に向けて、各障害特性に応じた具体的な事業内容、事業規模、および既存の関連する事業との連携を引き続き検討してまいりたいというふうに思います。
関議員:ぜひ、できるところだけでも実施にふみきるようにお願いしたいんですけれども、その気はないんでしょうか。
立花健康福祉局長:できればそういうふうにしたいと思っておりますので、精力的に検討してまいりたいと思います。
関議員:ぜひ、できればではなくて、ぜひやっていただきたいと思います。
精神障害者の家族のための「学ぶ場」を増やして
精神障害者の家族支援なんですが、「緊急滞在場所」、これが1か所確保できたというふうに聞いております。わが党としても要望してきたことなので、これ本当に評価したいと思うんですが、ただ当事者なんかに聞きますと、これで解決したわけではないと。またそのまま家に帰っても、同じことが繰り返されるっていうことで、家族の方への研修は非常に大事なんだということで、そういった点もふまえて、「家族の学ぶ場」の設置をされたようなんですけれども、どのように取り組んでいくのか、またこの場所を広げていく、そういう考えで今回取り組まれているのか、あわせて伺います。
立花健康福祉局長:精神障害者家族支援事業の「学ぶ場」ですけれども、参加者と同じ立場である精神障害者の家族で研修を終了したという方が講師となりまして、5日間にわたって実施をいたします。参加者には教材を使用しながら精神障害者本人への対応の仕方や、家族としての心情・経験などを共有することで、正しい知識を学んでいただきます。22年度は年度後半から事業開始したということもありまして、1回の実施でしたけれども、23年度につきましては3回の実施を予定しております。
関議員:これ、全国初ということでで、非常に先進的な取り組みなんですが、ぜひ増やしていただきたいなというふうに強く要望しておきます。
在宅障害者手当の廃止時の相当額18億3000万円に対し、新年度は17億2000万円と1億1000万円減額になっています。2年目にしてこれでは、先行き不安です。
将来にわたるあんしん施策の着実な推進のために、十分な予算の確保が必要と思うんですけれども、これは大場副市長に伺います。
大場副市長:いまお話のとおり、在宅心身障害者手当の転換として、みなさんの大きな期待のもとでつくられた事業であること、十分これは認識をしております。今後順次拡大予定の事業もありますので、それらをしっかり進めていくことがみなさんの期待に応えていくことになると思います。
急増している国保料滞納による差し押さえ
関議員:次に、国民健康保険事業に関わって伺います。
2005年の厚労省通知「収納対策緊急プラン策定等について」以後、本市においても2005年度に対し2009年度は、滞納保険料による差し押さえ件数や処分金額が急増しています。それぞれの推移を伺います。
青木生活福祉部長:21年度の差し押さえ件数は2475件、処分金額は17億7100万円で、17年度の891件、6億9500万円と比較して、件数は2.78倍、処分金額は2.55倍となっています。
関議員:差し押さえでの債権の内訳は、預金、給与、生命保険等ですが、いずれも件数が増加しています。特に、預金の差し押さえ件数が2005年度の173件が、2009年度は1021件と約6倍になっていますが、2009年度に急増している理由は何か、伺います。
青木生活福祉部長:区の保険年金課と税務課との連携強化によりまして、滞納者情報の共有化ですとか、滞納整理のノウハウの向上が図られまして、財産調査件数が増加いたしました。その結果、差し押さえの対象となる多くの預金が確認できたため、差し押さえ件数が大幅に増加いたしました。
関議員:差し押さえによる債権回収の実態がマスコミでも報道され、生活必需品まで持ち去る場面もありましたが、国税徴収法によると、生活費の差し押さえはできないとなっています。年金など振り込みによって預金に入ってしまった場合は、どうなるのか、それとも生活費として差し押さえから除外されるのか、伺います。また、自動車等の動産はどうなるのか伺います。
立花健康福祉局長:年金が振り込まれている預金口座を差し押さえる場合は、法令上は預金残高全額を差し押さえることができるようですけれども、滞納者の個々の生活状況を考慮しまして、生活費相当額を除くといったような対応はとってございます。また、現在のところ国民健康保険料については、自動車等の動産の差し押さえの実績はございません。
関議員:いづれにしても、今のところ生活費はかろうじて認められるようですけれども、医療費等は認められておりません。その点だけでも差し押さえは、私どもは極力避けるべきだっていうふうに考えています。そこで、窓口での滞納相談段階で生活保護の申請を案内するなど、差し押さえに至らない解消策を今より強化すべきと考えますが、具体的に伺います。
立花健康福祉局長:納付相談ですとか、財産調査等を通じて、生活状況を確認する際に、収入が著しく低下している世帯については、減免等によりまして、きめ細かい対応ととっております。ただ、生活に困窮していて、どうしても生活保護が必要だと思われる方に対しては、保護課の相談につなげるといったように、区役所の内部での連携を図っております。
関議員:ぜひ、保護課の連携にっていうふうなことでうかがっているんですけれども、局長その実態っていうのは具体的にどの程度把握されているのか、ちょっとお聞かせいただけますか。
立花健康福祉局長:実態といいますか、生活保護の開始に伴って、数字でちょっとご説明したいと思うんですが、生活保護の開始に伴って国民健康保険をやめた世帯は平成21年度で5752世帯あるんですね。前年度にくらべて約67%も増加しております。こういう実態がひとつあります。ですから、区の保険年金課に対しては窓口相談の時に財産調査を通じて個々の滞納者の保険料負担能力に応じたきめ細かい対応を行うように引き続き指導を一方ではしていきたいというふうに思っております。
関議員:いまの数字が全部窓口の相談のものとは思えないんですけれども、要するに差し押さえに至っちゃいけないっていう立場で、窓口での相談をぜひ強めていただきたいなというふうに思います。
資格証明書でも緊急時に医療が受けられることの周知徹底を
先日の本会議で市長は、資格証明書でも緊急に医療を受ける必要があり、医療費全額の支払いが困難であるとの申し出があった場合には、区役所の判断により、短期の保険証を交付するなど、柔軟に対応していると答弁されています。なぜ、区役所の判断にとどめているのか。「あくまで医療が優先」というならば、市の判断として資格証明書等に明記するなど、この点での改めての改善の検討を求め、局長に伺います。
立花健康福祉局長:緊急に医療を受ける必要があって、医療費全額の支払いが困難であるという申し出があった場合の資格証明書の解除については、これまで納付相談ですとか折衝にあたりまして、納付者の生活や財産の状況を把握している区の判断によることが一番適切だというふうに考えております。状況に応じた柔軟な判断ができると思いますね。資格証明書には、受診時に3割の自己負担で受診できるということを明記することはできませんけれども、緊急に医療を受ける必要がある場合ですとか、あるいは保険給付を受ける方法については、資格証明書を交付する時に同時にチラシを入れているんですけれども、その中にわかりやすくお知らせをしていきたいというふうに思います。
関議員:周知をお願いしたいんですけれどもね。先ほどの区役所の判断、これはやはり実務だから、実際にはそこだろうと思うんですけれども、でもやはりここに市の市政が問われるんですね。その点もう一度お答えください。
立花健康福祉局長:市の市政としては基本的には、10割納付ですね。ということが基本的なんです。ただ、それが難しい方はどうするのかというお尋ねですから、その場合は柔軟に判断をする必要があるだろうということで、区の判断によるというふうに申し上げたのでございます。