議会での質問・討論(詳細)
2022年12月23日

■討論 かわじ民夫 2022.12.23

中期計画原案は全体的に評価できるが、中学校給食の実施方式をデリバリーで長期に固定化することには賛同できない

かわじ議員:日本共産党のかわじ民夫です。党を代表し討論します。

最初は、市第59号議案 横浜市中期計画2022~2025の策定についてです。先ほど本議案について修正動議を出しましたが、私たちが本議案に賛成できないのは唯一、デリバリー給食を長期にわたって固定化することに同意できないからです。

これまで歴代の市長が進めてきたまちづくりは大型開発・経済最優先の計画でした。今回提案されている中期計画は、子育てしやすいまち 次世代を共に育むまちヨコハマを基本戦略に位置づけ、誰もが安心して子育てができるまちを最優先にしたもので、これまでにない新しい市政の方向性を示すものとして、大いに評価し歓迎するものです。

全ての子どもたちに給食を提供することは、保護者や市民運動団体が半世紀以上にわたって求めてきたものであり、そこへの踏み出しは画期的なものです。市長が選挙で掲げられた中学校給食の全員実施という公約を現行の選択制のデリバリー給食を最適、最善と主張される方たちに屈することなく、貫かれたことは本当に称賛したいと思います。それだけに、デリバリー方式の固定化はやはり残念でなりません。

小児医療費無料化については、中学校3年生まで一部負担金を無くすることと、所得制限を撤廃することは子育て世代への直接支援であり、市民からも喜ばれることです。先日お会いした若いママさんは、「我が家には中学2年の息子がいますが、所得が僅かに基準を超えたことから、この制度が利用できませんでしたが、所得制限の撤廃は大歓迎です。河治さんありがとうございます。」とお礼を言われる等、評価歓迎する声が多く聴かれます。

本市が中学三年までの小児医療費助成を完全無料化する方針を出したことで、神奈川県をはじめ川崎市で対象年齢の拡大、座間市、大和市では中学3年まで所得制限なしで拡大、厚木市、海老名市、逗子市では高校3年まで所得制限なしで拡大と報道されています。私たちは、県が就学前までから小学校6年生まで対象を広げることは、本市への財政支援が増えることになり、本市でも18歳まで広げる条件が備わったと言えます。早期の実現を願うものです。

出産費用においても政府方針として出産育児一時金が42万円から50万円に増額との報道です。市長は「東京都の公立病院における出産費用の平均値が56万円以上となっておりますので、東京に近い横浜市においても出産育児一時金では賄うことができない。本市として実態把握に向けた調査を行う必要があると考えており、出産育児一時金の地域加算制度の構築について今後も要望してまいります」との答弁です。調査待ちではなく、公約通りに出産費用ゼロにむけて市独自の上乗せ措置を願うものです。

敬老パス75歳以上の自己負担ゼロについての市長の答弁は「計画期間の4カ年の中で、中期計画に掲げた指標の達成に向け着実に進めたい」との答弁でした。中期計画のなかの財政見通しでそのための費用として80億円を見込んでいるわけですからぜひ進めてもらいたいと思います。

以上述べてきましたが、私たちは山中市長のもと、市民的立場に立った新しい方向性については更に進むよう応援をするものです。そして不足・不十分な点については、積極的に指摘し、提案・要望していくものです。

個人情報保護に関する条例改正は、個人情報保護にとってメリットはなく賛成できない

かわじ議員:次は個人情報に関する条例、市第61号議案 横浜市個人情報保護に関する条例の全部改正、市第62号議案 横浜市行政手続きにおける個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に関する条例の一部改正、及び市第64号議案 横浜市の保有する情報の公開に関する条例の一部改正についてです。

条例案は、国のデジタル関連法の一環として、個人保護法が改定され、個人情報の保護制度が全国的に共通ルールとして適用されることとなったため、本市の条例を全部、改定しようとするものです。デジタル関連法案は、行政が個人情報を集積し、そのデーターを企業などに開放して「利活用」しやすい仕組みにすることを優先し、個人情報保護をないがしろにするものです。行政が保有する個人情報を、本人同意もなく、目的外利用し、外部提供して、企業の利益につなげようというのです。 そうしたことから、「個人情報の保護はこれまでの『条例に基づく事務』から『法に基づく事務』になり、『横浜市における個人情報の取扱いに関する総合的なルール』から『法が条例に委任している事務などを定める補足的な位置付け』にその性質が変わり、個人情報保護にとってメリットはなく、賛成できません。

条例による個人情報の更なる保護が法により規制される中であっても、情報漏洩などのリスクが危惧されます。個人情報の保護は行政に課せられた責務です。そうしたことから個人情報が流失しないよう、運用面においては横浜市の英知を結集して対応されることを願うものです。

市の地球温暖化対策実行計画は、国を上回るCO2削減目標の設定を評価し、再エネ・省エネの更なる促進、再エネのポテンシャルが高い地方との連携強化を求めて賛成

かわじ議員:市第58号議案 横浜市地球温暖化対策実行計画の策定については賛成するものです。

今、豪雨や大水害が連続する異常気象のもと、温暖化対策は喫緊の課題となっています。11月6日から20日まで、エジプトで開かれた国連気候変動枠組条約27回締約国会議(COP27)では排出削減について前回のCOP26を上回る決定が出されなかったことに対し、各国で活動している環境保護団体や若者から、落胆の声が上がっていました。その一方で、途上国が強く求めた気候変動による損失と被害に対する「基金」の設立を合意しました。

こうした中で日本政府はCOP27に岸田首相が参加することもなく、また、世界の削減基準より低いにもかかわらず、西村環境相は「すでに1.5度目標に整合した削減目標を策定した」と述べるだけで、具体策も示さないことに、批判が広がりました。

政府が2013年比で、2030年までに温室効果ガスの削減目標を46%としたことに対し、本市は国以上の50%削減を目標にしました。この点が賛成する最大の理由です。

しかし、計画は、CO2削減の大半を原発の再稼働に依拠しているという重大な問題点を抱えていることを指摘せざるをえません。そもそも原発の再稼働は国民の同意が得られていません。今以上の原発再稼働の見通しは全く不透明です。2013年度比50%削減という目標を達成するには、計画以上の再エネ導入・省エネ推進が不可欠です。そのためには計画以上の目標値の上乗せ は必須であることを声を大にして叫ぶものです。

再生可能エネルギーのポテンシャルが電気消費量に対して低い本市にとって、東北地方等の市町村との「再生可能エネルギーに関する連携協定」を推進することがとりわけ重要です。更に本市の市民力を発揮することが目標達成にとって極めて重要です。G30で培った市民と行政の協力・信頼関係を温暖化対策でも発揮してほしいと思います。

党市議団は一昨日(12月21日)、東北大学院環境科学研究所教授の明日香壽川さんをお招きして「気候危機打開の取り組みは 雇用が増え経済もよくなる」とする、オンラインシンポジウムを開催しました。横浜市の脱炭素対策は、大きな経済効果につながると報告されました。2030年50%削減した場合、省エネ再エネ設備投資、省エネによる光熱費削減分を他の投資や消費にできること、地元再エネ売電または自家消費の利益分を他の投資や消費にできること、光熱費削減のエネルギー産業などの負の効果等、詳細について講演され、全体では年間の平均投資額が149億円増え、生産誘発額が334億円増え、市内雇用創出が10841人増えるとのことです。また、環境運動団体等からは本市の削減目標をもっと大きく設定してほしいとの声も聞こえてきます。そのためにも、現行計画にとどまらず、支援の拡充を求めるものです。

子どもたちの健やかな成長願う請願は採択を

かわじ議員:次は委員会で不採択となった請願についてです。

請願第7号は、請願者、横浜保育問題協議会15808人からのものであり、

子どもたちの健やかな育ちを保障する横浜の保育・子育て支援施策の拡充を求めるもので、保育施設への補助金の増額、保育料の軽減、保育士の配置基準及び賃金の改善、職員の正規化や増員など、保育環境の改善、保育予算の拡充、保育政策の充実を挙げています。

保育施設は子どもの成長・発達と、保護者の就労など社会参加を保障するもので、社会的役割を担うものです。3年近くに及ぶコロナ禍の中であっても開所が求められ、その役割はますます大きくなっています。

全国で送迎バスへの置き去りや不適切な保育の実態が相次いで明らかになりました。その背景には保育士の人員不足や業務過多による現場の余裕のなさが指摘されています。保育士一人当たりで見てよい子どもの数が定められている国の配置基準は、4・5歳児に至っては74年間も変わらないままです。これでは子どもの安全は守られないとして、子どもの人権を尊重する保育ができるよう「子どもたちにもう一人保育士を」の運動が広がっています。

21日に政府は、保育現場の負担軽減を図る狙いで、保育士を通常より手厚く配置した保育所に対する補助金の拡充を決めたことが報道されています。本市の中期計画での子育て支援拡充の基本戦略に沿えば、当然採択すべきものです。

次の請願第8号は、請願者、新日本婦人の会神奈川県本部 他33団体、6264人からのもので、少人数学級の前進で、子どもたちに行き届いた教育を求めるものです。

国の35人学級は、2022年度では小学校3年生までとなっており、学年進行で小学校6年生まで拡大していくとされていますが、20人台が当たり前の欧米諸国と比べればまだまだ課題学級です。本格的な少人数学級は、子ども全員が主体的に参加するなど授業のありかたを改善させることになるもので、学級の雰囲気が落ちつき安心が広がります。また、インクルーシブ教育への可能性がうまれるなど、教育に新しい可能性をもたらすことになります。

請願はこうしたことを進めるために、国・県への働きかけ、市独自で国に先行した少人数学級の実現、教職員の未配置問題の解消、フリースクールなどの支援を求めるものであり、採択するべきものです。以上で討論を終わります。

本会議の発言全文


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