平和や人権の尊重を市政運営の基調としたことについて
あらき議員:日本共産党を代表して質問いたします。委員長スライドの許可をお願いいたします。
まず、中期計画の策定に当たっての基本認識について市長に伺ってまいります。国民主権、恒久平和、基本的人権の尊重については、日本国憲法の根幹にあることです。中期計画原案では、平和や人権の尊重、市政運営の基調としていますが、市長の平和と人権尊重についての考えをまず伺います。
山中市長:ロシアのウクライナ侵略や我が国を取り巻く最近の国際情勢を鑑みますと、私たちが当然と考えてきた平和の尊さを再認識せざるを得ない時代になったと考えております。人権が尊重され、また平和な世界であることは何よりも重要であり、大前提であります。本市が直面する様々な課題に対して、SDGSの誰一人取り残さないという理念も視点に持ちつつ、今後も全局部署が平和と人権の尊重を基調に市政運営に取り組んでまいります。
あらき議員:その大事な日本国憲法の恒久平和を揺るがそうとしているのが今、岸田自民公明政権です。この間、自民・公明両党が敵基地攻撃能力の保有を合意。岸田首相が軍事費を5年間で43兆円にするよう指示、軍拡の財源として足らない部分は増税という方針を出しています。軍事費の財源として増税や社会保障費の大幅削減が加速する危険があることは明らかで、この道を進めば暮らしと経済の破壊の泥沼に落ち込むことになるとわが党は厳しく指摘をしています。政府方針がそういう状況のもとで、地方自治体は市民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすことが、ますます重要になってきていると考えます。市長の見解を伺います。
山中市長:市民の安全安心をお守りする基礎自治体の長としてしっかりと役割を果たして、自らの責務を果たしてまいります。
子育て応援を柱とし、中学3年生までの小児医療費を完全に無償にした市長の思いについて
あらき議員:その気持ちをぜひ持ち続けていただきたいと思います。市長は先の本会議で本格的な人口減少社会の到来や、地域の皆様と対話する中で実感した子育てに関するニーズを踏まえて、横浜の未来を担う人材である子どもたちを育むことこそが、今後の市政運営において重要であると考えました。そこで中期計画の核として基本戦略を掲げ、子育て支援を軸とする総合的な取り組みによって横浜の魅力を高め、選ばれる都市を目指していくとお答えになっています。そこで人に着目し子育て支援をしていくということについて、わが党としては大いに評価をしていますが、改めて市長の子育て支援にかける思いについて伺います。
山中市長:本格的な人口減少社会の到来や地域の皆様と対話をする中で感じた子育てに関するニーズを踏まえて、未来の横浜を担う人材である子どもたちを育むことこそが、今後の市政運営において重要だと考えました。子育て世代に住みたい、住み続けたいと思っていただけるよう直接的な支援に加えまして、コミュニティや生活環境づくりなど様々な政策を連携させながらしっかりと取り組んでまいります。
あらき議員:子育て世代の人口を増やすことによって税収が増えるという他都市の事例もあり、市長が子育て支援策に力を入れることはわが党としても一貫して求めてきたことです。そこで中期計画原案で小児医療費無料化を中学校3年生まで一部負担金と所得制限なしと拡充する施策が子育て世代の直接支援であり、市民からも喜ばれる施策だと考えます。横浜市は小児医療費無料化の対象を一挙に拡大したと報道したことで、神奈川県をはじめ川崎市で対象年齢の拡大、座間市、大和市では中学3年生まで所得制限なしで拡大、厚木市、海老名市、逗子市では、なんと高校3年生まで所得制限なしで拡大と、次々と報道されています。これらも来年度予算ということにはなっていますけれども、県内市町村で人口の一番多い横浜市が小児医療費を拡大することが、他都市への前進にもつながっていることについて、市長の見解を伺います。
山中市長:全国最大の人口を擁する基礎自治体である我が市の判断が、他都市の判断にも少なからず影響を与えることはあるかと思います。こうした自治体の小児医療費に関する各自治体の動きが将来的には統一した全国的な制度の実現につながることが望ましいと考えております。
あらき議員:ぜひ子ども家庭庁をつくる政府与党が本当にその点まともにね、取り組んでくれるのか、もうここは期待が大です。けれども、やっぱり国が一律のルールを作って子育て支援に力を入れてほしいということは一致しています。そこで、今度は神奈川県が小学校6年生まで拡充するということが発表されたことにより本市への財政支援が増えることから、高校3年生まで広げることは可能だと考えますが、市長の見解伺います。
山中市長:県の補助金につきましてはご指摘の通りこの度小学生まで拡充されることになりました。一方で対象年齢や補助率の格差といった問題が依然として残っております。引き続き財源確保に取り組むとともに子育てしたいまち、世代を共に育むまちの実現に向けて、子育て支援策の検討を進めてまいります。
あらき議員:神奈川県に対しても横浜市の方からその助成の対象拡大ということをお願いしてるのは、この間ずっとやり続けて頂いているので、引き続き県との調整についてお願いしたいと思います。
出産費用ゼロに向けて「実態把握にむけた調査を行う必要がある」
あらき議員:次に政府方針として出産一時金が42万円から50万円と増額されることが報道されています。それを受けて市長の公約にもある出産費用ゼロ(基礎的費用)に向けて、出産一時金の増額については今回の中期計画原案ではどのように反映する考えなのか見解伺います。
山中市長:東京都の公的病院における出産費用の平均値が56万円以上となっておりますので、東京に近い横浜市においても出産育児一時金では賄うことができない、50万円で賄うことができない可能性がございます。
そのために本市として実態把握に向けた調査を行う必要があると考えておりますし、また従来より国に要望している出産育児一時金の地域加算制度の構築について今後も要望してまいります。
あらき議員:計画期間中になんとかこの実態調査も把握をしていただいて、出産一時金の加算についても検討していただきたいと思います。
財源の捻出は、不要不急の大型開発を見直して捻出を 「すべての事業について歳出改革進める」
あらき議員:次に財政ビジョンに掲げた必要な施策の推進と財政の健全性の維持を実現していくためには、政策の優先順位付けも必須です。そのため基本戦略への貢献度が強い策を優先して実行していくことと、行政運営の基本方針を踏まえた行政サービスの最適化、事業手法の創造転換をセットで進め、従来の横浜市民を支える財源もしっかり確保していくとしています。施策事業の優先順位付けや事業見直しについてはどのように判断し、いつ具体的に示すのか市長に伺います。
山中市長:今回の計画は事業や予算を固定せずに施策の方向性と指標を示し、施策の達成に最も効果的と考えられる事業を予算編成の中で追求していくスキームとしております。具体的な政策や事業の優先順位や見直しについては、今後、施策事業評価の結果なども踏まえまして、財源との整合性を取りながら予算編成の中で議論をし、総合的に判断をしてまいります。そしてその結果については、来年度の予算案の中で公表してまいります。
あらき議員:その施策事業評価をするっていうその結果については、市民に示されるのでしょうか。
山中市長:来年度の予算案の中で議会に報告をいたしますので、結果的に必然的に市民の皆様にも公表していく形になろうかと思います。
あらき議員:そこもしっかりしていただきたいと思います。将来の横浜市民を支える財源、これもしっかり確保していくとしています。若い世代を呼び込み定着するために子育て支援に力を入れる政策については、わが党も応援しています。そのための財源確保について何を優先し、何を削るかが問題です。わが党は大型開発などの後年度負担になるような施策こそ見直しの対象にすべきと考えています。市長の見解伺います。
山中市長:今後人口減少と高齢化の進展により収支不足が拡大する中では、中長期的な視点から持続的な財政運営が必要になります。このような観点を踏まえまして、大型開発事業に限らず全ての事業につきまして創造と転換を理念とした歳出改革や国費の獲得などを進め、必要な財源確保を戦略的に行っていかなければならないと考えております。
あらき議員:市長の公約にも次の世代に負担を押し付けない財政のバランスと書かれています。市債発行を増やすことは先ほど述べた通り将来負担を押し付けることになります。市長はバランスの取れた財政運営に取り組むとしていることから、この点は中期計画原案にどう反映されているのか伺います。
山中市長:中長期の財政運営方針である財政ビジョンにおきまして、人口減少や高齢化などが進む中で、市民一人当たりの借入金残高を適切に管理して計画的に市債を発行していくことを掲げております。中期計画では財政ビジョンで掲げたベンチマークの達成に向けて、4年間の財政目標を設定しているところでございます。将来世代に過度な負担がかからないよう政策の推進と財政の健全性の両立に向けて取り組んでまいります。
あらき議員:そのベンチマーク必要なんですけどこれまでの歳出について市長は問題なかったと考えていらっしゃいますいか。
山中市長:これまでですね、先ほどの答弁でも申し上げましたが創造と転換が十分に進んでいなかったという印象は持っております。
あらき議員:やっぱり私たちも大型開発によって財政を硬直させて多額の市債発行で財政バランス崩してると思っています。ぜひそういう点での過去の事例をしっかりと踏まえていただいて、財政見通しを立ていただきたいと思います。
計画期間中の財政見通しと収支不足の対応とは書かれていますが、中期計画原案の計画期間中の財政見通しと収支不足の対応として、来年度以降の3か年で1000億円不足するとしています。この不足分どう解消するか具体的な事業が示されていませんが、どのように解消する考えなんでしょうか。
山中市長:来年度の予算編成の中で、施策事業評価制度を再構築して、予算編成と連動させる仕組みを整備し実践を進めてまいります。これらの仕組みを活用しながら、予算構造のスリム化を図ってまいります。合わせて戦略的な財源確保にも取り組んで、歳入歳出の両面で収支不足への対応を進めたいと考えています。
敬老パス75歳以上ゼロの実現など、計画にどう位置付けているのか
あらき議員:おっしゃることは本当に簡単ではないと思います。計画期間中の財政見通しで中学校給食の喫食率向上や供給体制の確保に向けた準備、小児医療費助成の制度拡充、敬老パスの75歳以上の無償化について現時点で想定されている事業費240億円を見込んでいるとしています。敬老パスの75歳以上の無償化は、この計画期間中に実施するということなのか、市長の見解を伺います。
山中市長:計画期間の4か年の中で、中期計画に掲げた指標の達成に向けて着実に進めたいと考えております。
あらき議員:敬老パスの無償化についても、やはりニースはあると思いますので、ぜひその点についてもしっかりと検討していただいて、計画期間中に達成することを要望します。
事業見直しに、市民サービス切り下げは行わないこと
そこで財源捻出するためなんですけれども、やはり国民健康保険料の引き上げ、これ連続行われています。それからごみ収集の有料化、市民利用施設の値上げなど市民の暮らしに直結する事業の見直しはしないようにこの点は強く求めておきます。
① 小学校の給食に比べて、デリバリーの残食率が多い原因について
あらき議員:そして、中期計画素案に対する市民意見、1979人・団体からあり、意見数としては4273ありましたが、その意見の傾向として、どういう内容が多かったのか伺います。
鈴木政策局長:全体の約4割が戦略1すべての子どもたちの未来を創るまちづくり、つまり子育てに関するものとなってございます。
あらき議員:出された意見4237のうち参考とさせていただくものが3235と一番多かったけれども、その中で多かった内容はどういうものか政策局長に伺います。
鈴木政策局長:中学校給食や敬老パス、こういった内容に関するものでございます。
あらき議員:そこで次に中学校給食実施について問題点について伺ってまいります。全員が食べられるということについて中期計画原案に明記されたのは、わが党も一貫して求めてきたことでもあり、大きな前進でだと思っています。いよいよ中学校給食が開始されるという市民の期待は大きいと考えます。実施方式について、デリバリー方式の実施についての市民からの意見としてはどういうものがあったのか政策局長に伺います。
鈴木政策局長:素案に対するパブリックコメントではデリバリー方式に賛同するという意見と一方で改善を求める意見などございました。
あらき議員:そのバランスはどういう感じだったか、印象で良いですけど答えていただけますか。
鈴木政策局長:賛同する意見が約30パーセント、改善等を求める意見が約60パーセントその他10パーセントそのような内訳でございます。
あらき議員:そこでスライドをご覧ください。
これ中学校給食の残食と小学校の給食の残数を調べていただいた表です。この表を見て中学校の給食の残食が多い理由として教育長、どういうことが考えられるでしょうか。
鯉渕教育長:小学校の給食では、盛り付ける際に児童自身が量の調整を行っておりますが、デリバリー方式では、個々に量の調整ができないため、残食が発生しやすくなっていると考えております。一方、ランチボックスに盛り付けられていることで成長期に必要な食事量をこのぐらいだということを理解して食べてもらうことも必要だと考えております。少しでも残食が減るよう、さらなる献立の工夫、食育の取り組みを行ってまいります。
あらき議員:注目していただきたいのは肉類、小学校が3パーセントに対して中学14パーセント、副菜の野菜類7パーセントに対して30パーセント、これだけ差が激しいというのは単なる今のお答えだけで私は納得いかないんですけど、それ以外に要因があるじゃないですか教育長。
鯉渕教育長:今申し上げた内容だと考えております。
あらき議員:私、昨日地元の中学校に行って食事の様子見てきました。ご飯とスープ類は温かい容器に入ってるので、上から触ってもあったかいですが、子ども達が取りに来る時については、おかずの部分は、冷たいまま来てますよね。ですから触っても冷たかったです。そうするとやっぱり肉類が油が固まって蓋を開けたらやっぱり固まったままなので、口の中に入れたらどういう状況になるかって、やっぱり少し冷たいんです。あの本当に冷たい訳じゃないんですよ、だけど口の中に入れたときに暖かさはなかったです。私、昨日見てきたんです。ですからやっぱりそういう点ではおかずが冷たいということに対して、生徒たちの要望もあって、アンケートの中でも温かさについて生徒からの要望が一番多かった。この点について改善できるでしょうかデリバリーで。
山中市長:私、毎日給食を食べておりますので、そういったことはないというふうなことを最初に申し上げておきます。それからどういう給食を行政として給食を提供する以上は、どの実施方式であっても、常に改善を図っていく必要があろうかと思います。ですので、今回の保護者様のご意見やアンケート結果で明らかになった諸課題を真摯に受け止めて更に改善を続けていきたいと考えております。繰り返しになりますが、私は毎日食べております。それは決して、いやいやながら食べてる訳ではなくて、毎日、今日の給食は何だろうと思ってワクワクしながら蓋を開けています。先程も給食を食べてまいりましたが、全く問題のない味だと思っております。ですので従来のハマ弁のイニシャルに導入した時の悪い印象を引きずっているのではないかと思いますので、行政としてもその辺を克服する戦略的な取り組みが必要だろうと思っております。
あらき議員:この残食数について調理員さんたちにもちょっとお聞きしたんです。それで小学校ではどうやってるかっていうと、各区単位で毎月の残食の量が分かるようにしているので、調理員や栄養士さんたちがそれを見て生徒の残さないように工夫をしていると聞いています。ですから小学校限りなく残食増えないように努力しています。それは学校調理方式だからこそできる対応なんです。生徒がおいしく食べられるようにするためにも学校調理方式のほうが優れているから、全国でもデリバリー方式から切り替えていると考えます。教育長どうでしょうか
鯉渕教育長:私どももこの残食のことは気にしております。ですので、できるだけ残食のないような工夫もしております。ただその一方で、栄養バランス、栄養基準が給食に求められているものがございますので、いろいろな食材を入れて、この給食を作っております。そうしたことの中で、確かに生徒さん達にとっては食べ慣れないようなものも入っているというような状況になってると思いますが、そうしたことについては、味の工夫、献立の工夫、また食育の推進を図って対応してまいりたいと考えております。
あらき議員:市長は中学校の保護者とも給食食べながら懇談したと新聞報道にもありました。そこでも小学校の給食をイメージしてギャップを感じる、おかずが冷たいということが新聞報道で書かれておりました。その要因を解決することがデリバリー方式でできると考えているのか、市長に伺います。
山中市長:これまでですね、味や献立などの改善が図られてきました。旧ハマ弁から現在の学校給食に至るまで、味や献立などの改善が図られてまいりました。ですので今後も、これはデリバリー型に限らずですけれども、行政として給食を届ける以上は、その改善をしていく必要があると考えております。またその改善を可能にするためのあらゆる努力は続けていきたいと考えております。
全員制の中学校給食については、デリバリー弁当方式の見直しを
② 事業者との契約が長期になれば、見直しが困難になる
あらき議員:デリバリー方式で、今後進めるにあたり、事業者とサウンディングを調査しています。そもそも全員喫食にするとしたら何年かかり、その費用は実際どのくらい見込まれるのか、土地の提供の可能性があるのか市長に伺います。
山中市長:今回の事業者へのサウンディング調査の結果ですが、デリバリー方式であれば、令和8年度から市有地を活用した工場の新設、および既存工場の活用などによって83000食という膨大な数になりますが、その供給体制を確保できることが改めて確認、確信できました。工場の新設には二か年程度必要になるということですので、令和5年度に事業者を決定していきたいと考えております。工場新設に向けた市有地の調整を進めるとともに、公募のスキームを検討してまいります。
あらき議員:費用の点はどうでしょうか。
山中市長:工場建設については、市内を1か所から2か所程度を使用できないか、現在候補地を選定して調整を進めている段階であります。公募スキームなどについては、これから具体的に検討を進めてまいりますので、具体的な費用についてもこれから精査をしてまいります。
あらき議員:10月に18社が参加した2回目のサウンディング調査で事業者からは契約期間は15年から30年と長期で、さらに土地は市からの貸与、施設の建設費に対しても助成をできればしてほしいという要望が出されたと聞いています。長期契約になるとデリバリーから見直しをすることは、ますますできなくなります。これから全員喫食の試行を始めるとしていますが、その段階で生徒職員の意見を聞く機会を設け、意見集約の結果次第では、デリバリー方式という方式自体の見直しを検討することは考えているのでしょうか。
山中市長:デリバリー方式がもう全て悪いという前提でご質問をされておりますが、どのような実施手法であってもより良い給食を提供していくということは、行政の責務であると考えております。
まず実行、実現可能性のあるデリバリー方式で、新たに1.2か所の工場新設が必要となりますので、事業者がその新たに投資を行うことになるその環境を作っていきたいと考えております。
あらき議員:契約期間については事業者と契約の際に毎年見直しについて協議するなど、また途中解除の規定を入れるなどを明記することも考えられると思いますがいかがでしょうか。
山中市長:いただいたご意見等も参考にしながら、契約のスキームを今後検討していきたいと考えております。
全員制の中学校給食については、デリバリー弁当方式の見直しを
③ デリバリーを固定せず、学校調理方式を原則に
あらき議員:市長がデリバリー方式で進めるとしたのは先ほどお答えいただいた政令市最多となる83000食の給食を、同時期に同じ内容、そして早期に提供できる実施可能性および市の財政状況など様々な角度から総合的に勘案して決定するべきものとお答えいただいています。全員で食べる給食を実現することがはっきりし、学校調理方式でも実現可能となれば同時期に一斉に実現できなくても市民は理解されると思います。そういう考えがないのか伺います。
山中市長:自校調理方式、それから小学校から中学校に送る親子方式、それから、兄弟方式ってあると思うんですけども、兄弟方式は、自校が可能な中学校で作ったものを他の中学校に配送する、兄弟ですね、その自校、親子、兄弟方式を全部考慮する、あるいはそれらのミックスであっても73校で実施が困難であります。この実施困難な73校に対しては別途給食センターが6か所程度必要になると推計しておりますが、6か所も土地が確保できる見通しは立っておりません。なお仮に自校方式や親子方式だけで実施をする場合は30年以上かかるというふうに予想しております。推計しております。全生徒に早期においしいものを食べていただけるのはデリバリー方式だけであると考えております。
あらき議員:いや他の自治体では様々な工夫をしてやってる訳ですよ。横浜市教育委員会もここまでね実施できる学校数を調べて、73校で困難とおっしゃいましたけれども、やりようによっては2校から1校に行くというやり方もできるはずなんです。喫食数からすると。ですから、やり方を考えれば、発想の転換ですよまさに。柔軟な発想でやれば、できないはハードルは私たちは越えられるっていうのが、他都市の事例です。是非検討していただきたいです。
全員制の中学校給食については、デリバリー弁当方式の見直しを
④デリバリーでは、アレルギー対応などが困難
あらき議員:全員喫食を実現することとして心配なのは、アレルギーのある生徒の対応です。デリバリー対応で本当に対応は可能なのか、また宗教上、肉など食べられない生徒もいますが、その生徒たちを一人も取り残さない方法が可能なのか伺います。
山中市長:まずは中学校給食の原則利用を実現することを最優先に検討いたします。また卵、乳、小麦などいわゆるアレルゲンに対しては、小学校の給食と同様にアレルギー除去食の提供を行うなど、一人一人に寄り添った対応を検討してまいります。
あらき議員:小学校の調理方式で胡麻などの除去も行ってるところもあると聞きます。それどうしてできるかっていうと、調理員の加配があってできると聞いています。デリバリー方式でこのような丁寧な対応できるのでしょうか。
山中市長:先ほど申し上げた通り、主要アレルゲンに関しては、アレルギー除去食の検討の提供の検討してまいりますし、その他、様々な配慮をできる余地があるのかっていうことを鋭意検討してまいります。
あらき議員:学校調理方式で実施することで地元の事業者に工事が回り仕事が増えていく、そして雇用も増えるこういう点からもデリバリー方式より、より経済的な効果が大きいと考えます。どうでしょうか。
山中市長:学校で調理する自校方式や、あるいは親子方式、兄弟方式ですけれども、それらを全部加えても、敷地が狭いので約半数の73校で実施困難です。色々な他都市との比較はございますけれども、他都市と必ず同じ条件でできるわけではありませんので、各都市ごとの実情に合わせた検討方式を、同時期に同じ内容で、そしてより早期に実施する必要があろうかと思います。
先程申し上げた通り自校や親子だけで進めようとすれば、実現に30年以上はかかるという、かなりな数字が出ます。またデリバリー方式で新たに1、2か所市内に工場を新設した場合、周辺地域での雇用が生まれるなど地域の活性化につながる可能性はあるかと思います。
また、サウンディング調査におきましては、災害時の支援や食育セミナーの実施、それらの工場で、災害時の支援や食育セミナーの実施など地域貢献につながるアイデア等もいただいておりますので、工法スキームを検討する際の参考にしてまいりたいと思います。
あらき議員:いや災害時の支援だったら自校調理方式の方が絶対いいんですよ。そこは市長違いますよ。それから他都市の事例でも、財政の面から今の段階でデリバリー方式を決めなくても、まだ学校調理方式の余地はあるんですから、ぜひ再検討していただきたいです。そして何よりも生徒が喜ぶ給食、全員で食べる中学校給食は、生徒が喜ばれる給食であることを私たちは望んでいるので、この点については、再検討を求めておきます。
住民自治の確立に向け、各区に「区民協議会」など仕組みづくりを
あらき議員:次に市長の公約にある市民参加、住民自治の確立についてです。山中市長が1年前に誕生したきっかけは、IRカジノ誘致を止めること、コロナ感染を抑えることなどその政策に期待して投票した市民だと考えます。山中市長が選挙公約で掲げた13の主要施策の中で、市民参加、住民自治を確立とありますが、その考えは今回の中期計画原案に具体的にどのように示されているんでしょうか。
山中市長:今回の計画では、計画全体に貫く基本姿勢といたしまして、地域コミュニティの強化および協同共創の視点を掲げ、市民の皆様と共に地域の地域課題の解決を図っていくこととしております。具体的な取り組みは政策9の施策、自治会町内会の運営支援、あるいは行政運営3の住民自治の充実と協同共創による地域の更なる活性化として盛り込んでございます。
あらき議員:大都市横浜であるからこそ各区によっても市民のニーズは違っています。だからこそ各区の独自性を活かしながら市民一人ひとりの暮らしがどうなっているのかを掴むのは、直接市民とやって状況を把握するのが一番だと考えます。今年の5月から8月までに18区の区民と子育てをテーマに対話する機会を作られましたけれども、そこで市民との対話をしてみて、どのような感想をもたれたか伺います。
山中市長:市長と語ろうにおきましては、お会いした皆様からですね、自分たちの活動を多くの方々に知っていただき、新たな担い手の確保につなげていこうと努力されていること、また地域のつながりを守るために力を尽くされていること、そういったことなどをはじめ、本当に多くの貴重なご意見をいただいたと思っています。こうした地域に根差した活動こそが横浜の力の源泉であり、今後も不可欠であるということを改めて実感いたしました。今後も引き続き積極的に地域に出向きまして、市民の皆様と対話を重ねることにより、現場主義を実践してまいります。
あらき議員:その市民との対話の機会をもっとつくっていただきたいと思います。市民の皆様の声を聞くために、区民が主体となって参加し協議できる区民協議会を作り、そこで集約された意見を市長が尊重して市政に生かす、こういう仕組みが今こそ必要だと考えますが、この点についての見解を伺います。
山中市長:私として市民の皆様の声をお聞きして信頼関係を構築することが重要であると考えております。そのため市長と語ろう、あるいは地区連合町内会長の皆様との意見交換会、その他、個々の意見交換会などを現場で行っております。更に新たにデジタルプラットフォームの実証実験を行うなど様々な方法により、これまでにない方法で、市民の皆様の声をお聞きする取り組みを導入したいと考えております。今後も市民の皆様の多種多様なご意見を、様々な手段や方法でお聞きして、市政に反映をしてまいります。
あらき議員:今お答えいただいたスタンスだとすると、先ほどの中期計画の素案の時にデリバリーに対する意見は、賛成30パ-セント、それに対する参考意見で反対だと、あるいは見直しをしてほしいという意見は6割ということでしたよね。ですからそういう点でいうとできるできないじゃなくて、やっぱり市民の意見を尊重してどういうふうにその施策にデリバリー方式ではない方式を切り替えるかっていうことも、私は市長の役割だと思うんですけどいかがですか。
山中市長:デリバリー方式が悪いという前提で先生お話をされておりますが、どのような方式であれ改善は必要でございます。私としてその給食の提供方式に限らずですね、あらゆる市政課題に関して、市民の皆様のご意見をお聞きする、それは従来やっている広聴、あるいはお電話をいただく、あるいは私が現場に出向いてお話をさせて頂く公聴、会議、そういったものを含めですね、色々な手段を作って様々な意見を聞いていきたいと考えております。
あらき議員:中期計画素案に対するパブリックコメントもこれだけ市民の皆さんが関心を寄せていただいたことは過去にない数字です。だからこそ市長に対する期待も大きいですから、やっぱりそこには市民の意見を傾けることが大事で、私たちはデリバリーを悪いものだと一回も言ってはいませんので、そこは誤解をしないでいただきたいと思います。
ジェンダー平等社会を横浜から
山中市長の“女性管理職の登用を加速する”意気込みについて
あらき議員:次にジェンダーについてです。政策12にジェンダー平等の推進が掲げられています。男女共同参画に関する市民意識調査では、日常生活で「女らしさ/男らしさ」や「女性/男性の役割」などを言われたり、期待されたりした経験がある人は全体の6割を超え、そのうち6割が不便や生きづらさを感じているとしています。選択的夫婦別姓制度については、関心も高まっており、横浜市の調査では、「夫婦は戸籍上、別々の姓を名乗っても構わない」という考え方に「賛成」「どちらかといえば賛成」が6割を超えているとしています。私自身、議員候補になって以来、旧姓の荒木を使って活動しています。
世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2022」を公表し、日本の総合スコアは0.650、順位は146か国中116位でした。前回と比べて、スコア、順位ともに、ほぼ横ばいとなっており、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果としています。
日本がこのようにジェンダー・ギャップがいまだに先進国の中で遅れている要因として、経済と政治の分野での指数が低いことが指摘されています。
横浜市は、経済の分野では、市内企業の女性管理職割合は上昇傾向にありますが、依然として低い状況で、女性管理職登用に向けた取組を実施している企業は約3割であり、企業への働きかけが必要としています。今回の中期計画原案では、女性管理職の登用を加速するとして、民間の市内企業課長級以上を今年度4月1日現在18.7%から30%に引き上げるとしています。また、本市女性管理職の登用について、第5次男女共同参画推進計画では、今年の4月1日時点で課長職は18.9%、係長職24.9%を30%に目指すとしています。これは2年前よりどちらも1ポイント上がっています。この計画については、ぜひ実現してほしいと思いますが、市長のジェンダーに対する意気込みを伺います。
山中市長:誰もが性別にかかわらず自分らしく多様な生き方を選択できる社会を実現していくために大都市横浜が率先して取り組まなければいけないと考えています。そのために中期計画には、誰もが働きやすい職場環境や社会環境づくり、女性の活躍推進、多様な性のあり方への支援と理解の促進など政策として掲げました。ジェンダー平等をより一層推進してまいります。
あらき議員:市政の政策形成に多様な視点を取り入れるため、市の附属機関に横浜版クオータ制を導入し、附属機関委員への女性の参画を促進するとしています。女性割合40%未満の附属機関数を36機関から30機関に減らすという計画になっています。この目標についても、早く達成してほしいと考えますが、市長の意気込みを伺います。
山中市長:市政の政策や施策の方針の決定にあたっては、多様な視点や意思が公平公正に反映されることが重要であると考えております。現状では女性の専門家が少ない分野があり、女性割合40パーセント以上の目標を達成できていない付属機関はございます。実情に応じた目標を段階的に設定することで、着実に取り組みを進めてまいります。
あらき議員:これがなかなか進まない理由っていうのは、その付属機関自体に女性の対応される資格のある人が少ないということも聞いています。この点についても、やはり今の男女平等、ジェンダー平等という推進の点からもそれぞれの付属機関においても、そういう資格を持った人たちが増えない限りは進まないと思います。この点についても、強く働きかけをしていただくと同時に、やはりそういう土壌を作っていくことこそが必要だと思います。そういう点でも横浜市が発信していくことは非常に重要だと思いますが、市長いかがでしょうか。
山中市長:まず土壌を作っていくっていうことは、今ソフトなインフラ面ですね、そういったことを作っていくことが重要だと思います。そしてその取り組みをきちんと発信していくっていうことは、極めて横浜らしい取り組みだと思いますので、いただいたご意見きちんと進めていきたいと思います。
あらき議員:ぜひ発信をしていただきたいと思います。女性の社会進出を応援する意味でも、また男性の働き方を見直す点でも、この計画はとても重要だと思います。まさに横浜市のM字曲線※が少し変わってきました。ただ、まだまだ出産、子育て世帯はどうしてもM字曲線が下がる年代が多いです。しかも最近では、企業主導型保育園で急に子どもたちが預けられないということで、パニックになった保護者からの相談も私たち団に相次ぎました。そういう点では、働き方と同時に、子育て支援の分野でも国がきちんと支えていくことがない限り、女性の進出にはまだまだハードルが高いと思います。と同時に男性が子育てについても一緒にやって当たり前という感覚、そうじゃなくて一緒にやるのが普通なんです。そういう発信をぜひ市長の方から発信をしていただきたいということを改めて申し上げまして、質問を終えます。
※M字曲線(カーブ)…女性の年齢階級別労働力率の世代による特徴を表すもの 内閣府男女共同参画局HPより