レシ活再開より給食費軽減に臨時交付金を
白井議員:日本共産党を代表して、市第 57 号議案(令和4年度横浜市一般会計補正予算(第5号)について、市長に質問いたします。
今回の補正は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充により9月に創設された「電力・ガス・食品等価格高騰重点地方交付金分」として、本市に配分された約50億円を活用し、年度内に実施でき、事業の連続性があるとして、スマホアプリに限定して、レシ活バリューの1月1日からの再開に30億円など総額35億円という多額の予算を物価高騰に悩む市民・事業者に割くものです。残りの活用可能額、約15億円は、12月補正案で使途が示されています。これまで私たちは、この事業自体には懐疑的でしたが、コロナ禍、物価高から市民生活や事業者の生業を守るため各種施策と一括して補正予算として計上されていたため、異を唱えませんでした。今回は単体であることから、これまでの事業展開の中で明らかとなった問題点をストレートに指摘し、対案を示しますから、市長よろしくお願いします。
一部の市民しか恩恵をうけられないで良いのか
白井議員:コロナ禍に伴うエネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた市民や事業者の支援に資する事業に充当可能な臨時交付金を活用して実施するからには、第一に有効性が問われます。数値的な効果は、これまで実施したレシ活バリューでのレシートの想定枚数より実績が上回ったことをもって、効果があるとして、再開するとしています。もともと、還元を期待した市民がいつもよりも多く買い物をしたのか、それともいつもの買い物に還元されるならお得と感じて申請したのか定かではなく、市内経済に寄与したかどうかは検証する仕組みではありません。消費喚起を期待する事業であり、委託事業者に、3月末までを期限として利用実績データの提出を求めていますが、現時点では提出されておらず、結論は出ていませんがレシートからわかる購入先として把握しているのは、枚数で最も多かったのは小売店舗、金額で多かったのは、スーパーマーケット、ドラッグストア、小売店舗の順と聞いています。最も求められるのは小規模事業者への支援ですが、結果的に体力のある事業者への支援となっています。これでは、中小企業振興基本条例から見て、役に立っておらず、予算が有効につかわれたことになりません。
第二に、公平性の観点が問われます。今回の補正は、還元額は、スマホ申請が30億円、郵送申請は2億円で、スマホでの申請には、1月1日からの新たなお買い物のレシートも対象になりますが、郵送での申請については、12月31日までで締め切りで、1月以降のレシートは使えず、スマホアプリを使用できるかできないかで、還元額の不公平に加えて新たな不公平が生じます。スマホアプリを使わない人から見ると到底納得できないものです。
また、電話で次のような声がよせられました。「レシ活に腹が立っている。区役所に行って、ほしい資料を探していたら、レシ活のパンフレットが目に留まり手に取って見ていたら、職員から、非是やってみてください、1万8000円戻ってきたんですよと勧められた。ほとんどの市民は情報が遅くなるか、知らないままで、関係者が有利となる早い者勝ちの制度だ」と。確認はできていませんが、情報に最も近い職業の方が多く利用したという風説も聞こえています。
レシ活バリューは申請が必要で、今回の補正はこれまでの利用者を含めて50万人を想定ですから、これまでの利用者34万5000人が再利用すると、新規には15万人でしかなく、市民の2割にも達しません。40年ぶりの急激な物価高騰となっている時に、家計がより苦しくなった市民は377万市民のほとんどのはずです。早い者勝ちをあおるようなやり方は公共の施策・事業としてふさわしくありません。
更に、次のような声も聞いています。「保険証など本人確認書類を求めて指定口座にキャッシュバックするレシ活の方法は、還付金詐欺に似ている。これほど、高齢者に対して市役所職員や年金事務所職員を語り還付金が受け取れるとだます還付金詐欺への注意喚起が行われている時に、横浜市がレシ活を実施するとは、あまりにも紛らわしいのでやめてほしい」と。
そこで、伺います。市内の中小・小規模事業者の売上増を確認できず、市民目線では、郵送分がなく、より不公平感を助長する早い者勝ちのレシ活をこの時期に再開する理由は何なのでしょうか。市民に説明ができますか伺います
山中市長:レシ活を再開する理由ですが、レシ活バリューが終了した10月下旬以降も原材料価格・物価高騰が続いており、多くの市民の皆様から早期の事業再開を求める声をいただいております。限られた財源の中で支援策を検討した結果、レシ活バリューアプリ版を追加実施し、市内事業者の利用促進による横浜経済の振興と市民生活の安定を図ることといたしました。
使うなら小学校給食費負担軽減に
白井議員:国が物価高騰対策として緊急性のあるものに税を使うのであれば再配分になりますが、臨時交付金は、その殆どを国債を財源としており、将来世代の負担増加につながる性質のもので、国全体で、将来財源の先食いとなるものです。将来世代につけを回すような性質のお金をレシ活バリューに使うことを市会の大会派そろって求めていることにたいして違和感を禁じえません。使うのであれば、将来世代を現時点で直接支援するものが望ましいと考えます。
学校給食費については、今年6月の文部科学省通知において、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充により創設される「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用し、学校給食等の保護者負担の軽減に向けた取組を進めるものとされており、本市は、6月補正で、臨時交付金を活用し、4.6%の物価高騰を想定した3月までの給食食材費の値上がり分を小・中学生の保護者に求めないための5億2800万円の予算を付けています。全国の他の自治体では、臨時交付金を活用して、食材費値上がり分を保護者に求めないだけでなく、今年度の給食費自体を無償にし、来年度以降も無償を続けることを表明したところがあります。その目的は、急速な少子高齢化の進展に伴う人口減少に歯止めをかけるための、次世代を担う子育て世帯を地域で支える仕組みづくりの一環として行われています。
そもそも、憲法で義務教育は無償と定め、学校教育法で学校給食は食育であるとしており、学校給食は国の責任で無償恒久的に無償とすべきものです。
困窮問題に取り組む某NPO法人によれば、大幅な物価上昇により、生活に困窮している子育て家庭の半数が、食費の節約を強いられて、子どもの心身の成長に悪影響が出ていると感じているとの調査結果を昨日発表しました。アンケートは1846世帯で、一日の平均的な食事回数が2回との回答は子どもで13%、保護者で47%。とくに母子家庭での深刻な実態が示されました。学校給食の意義が改めて明らかになっています。
本市では、小学校給食の食材費として保護者が月4600円負担している17万人分は、月8億円で、今から事務が可能と思われる、1月2月3月分なら、24億円です。小学校給食の給食費相当額の補助であれば、国が交付金の活用として示している推奨事業メニューであり、次世代を直接支援するもので、確実に有効性があり、公平性があり、すでに行っている臨時交付金活用事業の拡充であり、事務が煩雑でなく、臨時交付金の使途としてふさわしいものではないでしょうか。次期中期計画原案でも基本戦略に子育て支援・次世代育成を掲げており、その本気度を示すためにもふさわしいものです。横浜市が行えば、全国に影響を与えます。
臨時交付金を小学校給食費負担軽減に使うお考えはないか、伺って終わります。
山中市長:臨時交付金を小学校給食費の負担軽減に使うべきとのことですが、小学校給食費は原則保護者負担としている中6月補正において保護者負担を増やすことのないよう物価高騰対策を実施いたしました。引き続き物価の推移と子育て世帯を含む市民生活への影響について注視をしていきます。