民間墓地の設置は住民合意の上で環境負荷のない方式で
私は、日本共産党を代表し、3件の議案に反対し、討論を行います。
はじめに、市第169号議案 横浜市墓地等の経営の許可等に関する条例の全部改正についてです。これは、墓地設置法人の財務基準の設定とともに、周辺住民との紛争が発生した場合の話し合いを義務化し、その期間の上限を定めることをおもな内容としています。
今回の改訂にあたって、最大の問題は、墓地に関する市民アンケート調査数値をつかって墓地必要数を算出し、それを根拠に墓地不足論を市民に導いていることです。1日に何度も墓地事業者から売り込みの電話が鳴り、ポストや新聞折り込みに霊園の広告が毎日のように入っているのは、墓地が売れず、困った業者が必死になって買い手をさがしているからです。民間墓地の需給関係は、完全な買い手市場であり、裏返せば、民間墓地は過剰状態にあるのです。
アンケート調査では、墓地取得を希望する回答は24.7%です。しかし、取得したい墓地として、民間墓地を希望する人は、墓地希望者全体の9%です。民間墓地希望者は全体の2%にも満たないのです。ですから、民間墓地は買い手市場となっているわけです。
周辺住民に対し、墓石の林立する墓地が近隣に立地するという住環境の激変を緩和するために、千葉市、さいたま市、相模原市など首都圏の自治体が、墓地と人家との間を100メートル、50メートル離すという規制を設けていますが、本市でもその実施を求めた我が党の質問に対して、市長は、「距離規制を設けることは実質的な墓地の供給規制につながる。今後増加していく墓地需要に応えられなくなる恐れがあるとして、距離規定設定は現実的ではない」とお答えになられました。
供給過剰傾向にある、しかも、市民が希望をしていない民間供給の墓地を規制することになんの不都合もないのに、距離規定を設けないのは、周辺住民の住環境保全より、事業者の事業展開を優先した態度ではないでしょうか。
今、行政がやるべきことは、市民が求めている市営墓地を、環境負荷のない方式で、整備・提供することです。
二つ目の反対の理由は、話し合いの義務化にともない、その期間を最大360日と、期限を設定したことです。
市長は、改定目的として、これまで周辺住民の方々と事業者で行っていた話し合いに、今後は本市が当初から積極的に関与するように改め、紛争の長期化を防ぎ、早期に解決するためとされていますが、360日を経過すれば、周辺住民の意向とは関係なく事業者は許可申請できるものです。これは結果論として、住民に泣き寝入りを強いることであり、反面、事業の利益を最大限保証するという、事業者優遇策そのものです。
今回の改定にあたり、局が実施した意見募集では、有期限化について、77%の方が住民の権利侵害だ、抜け道ができる、期間が短期になるのは納得できないとして反対しています。現行の条例で対応した2003年4月1日から2009年12月31日の紛争事例のうち、協議に要した期間は平均23か月で、最長5年超です。360日規定による調整打ち切りは、事業者を利するだけです。ですから、事業者側は、この意見募集に対して、静観を決め込むことができたわけです。
住民に犠牲を強いてまで、民間墓地提供を急ぐ理由は皆無です。今回の措置で、首都圏で事業機会を失った事業者が横浜になだれ込む危険が広がってしまいました。みどりの破壊も大変危惧されます。
今回の改定は、まったく正当な理由もなく、到底認められるものではありません。
市立保育所の民営化は財政難のツケを子どもたちに押し付けるもの
次に、市第170号議案は横浜市保育所条例の一部改正についてです。横浜市は、市立保育園を、保育ニーズの多様性などを理由に、2004年度から毎年4園ずつ、計24園まで民間移管してきました。保護者への説明と法人の準備期間をより確保するとして2010年度は移管は行われませんでしたが、2011年度から2013年度までの3年間は4園ずつ移管予定となっています。議案は、2012年4月に保土ヶ谷区の境木保育園、青葉区の千草台保育園、戸塚区の名瀬保育園、瀬谷区の宮沢保育園の4園を民間移管するとして、条例から削除しようというものです。
多様なニーズに応えるためといわれていますが、保護者や市民の要求は民間移管ではありません。本市が進めている民間移管はコスト削減の手段であり、市立保育園が地域で果たしている役割を放り投げ、財政難のツケを子ども達や保育士、保護者に押し付けようとするものです。
今回の4園の移管先法人の所在地は市内が1法人で、3園は市外です。それも遠方で、鳥取県、大阪府、北海道となっています。応募した19法人の内、市内は2法人のみでした。信頼関係があるので市内法人が望ましいと局長が答弁されているように、移管を受ける法人の数が市内には限られている現状で、全国から募集するのは無理があります。
移管を受けて運営しているある園では、園長は法人の会議に出席するため、毎月1回関西まで日帰り出張しているとのことです。北海道や九州までとなると大変なことです。園長は保育園にいてこそ、園長の仕事が果たせます。また、本市から園に支出されている保育運営費が、遠方への出張旅費や通信費に充てられるわけですが、本来子ども達の保育に使われるべき保育運営費がその分少なくなるわけで、この点でも問題です。
現在、国で検討されている子ども・子育て新システムは保育にかかる公の負担を減らす目的で進められており、こういう時だからこそ本市の責任で市立保育園を続けることが必要です。
住民合意ないまま東部方面線の相鉄東急直通線事業を進めるな
つづいて、市第186号議案は一般会計補正予算で、東部方面線の事業費として14億2700万円が計上されており、相鉄東急直通線の関連事業費として2億9000万円が含まれています。
我が党は、相鉄東急直通線事業について、環境影響評価や都市計画の手続きが進められるなかで、住民の懸念や不安をそのままに、一方的に事業をすすめることのないよう、これまで市長に要望してきたところです。昨年9月から10月に行われた都市計画素案地元説明会や11月に行われた都市計画素案公聴会では、同事業について軟弱地盤でのトンネル工事による地盤沈下や振動被害、温泉の枯渇、また用地補償などについて、多くの懸念や不安の声が出されました。私も港北区の綱島地区センターでの説明会には参加しましたが、この事業は沿線住民の理解と納得を得る段階には至っていないことを実感しました。
公共事業は関係住民の理解と協力があって初めて成り立つものです。本市が今やらなくてはならないことは、住民の合意を得ることです。東急側区間での住民合意なき計画前倒し執行となる補正予算計上は、あまりにも住民無視のやり方で、賛同できません。
以上で反対討論を終わります。