敬老パスアンケート・公平さ・客観性にかける
横浜市は「みんなで支える敬老パス(敬老特別乗車証)制度に関するアンケート」を実施しました。20歳以上の市民を対象に3万人を無作為抽出し、9月末に郵送、10月末に締め切り、選択欄の集計を11月中に、自由記入欄のまとめを今年末までに行う予定です。
事業費増加、利用者負担の“安さ”を強調
アンケートは、高齢者が増える一方税収は伸び悩むため、「事業運営が困難な見通し」とことさら財政面を強調。市民税非課税の利用者負担がひと月当たり267円であることを示し、いかに安く利用しているかを太字で強調しています。
料金については、「他よりも高率の割引」と大きな文字で強調し、路線バスを例にあげて、目的や役割の違う通勤定期と比較しています。
Q&Aでは、「バス事業者にもっと協力をお願いできないの?」との問いに、一般利用客数の減少が見込まれ、「厳しい状況」と事業者の代弁。
一方、高齢者の社会参加や健康福祉に役立っている敬老パスの役割にはほとんどふれず、利用者の声なども載せていません。
市は、敬老パスの利用者負担増などを盛り込んだ見直しを検討中で、来年10月から実施したいとしています。今回のアンケート結果を、敬老パス値上げの理由にしようとする狙いがうかがわれます。
敬老パス連絡会が抗議声明
「敬老パス負担増を考える連絡会」は10月27日、アンケートへの抗議声明を林文子市長あてに提出しました。声明では、敬老パス制度の意義や目的がほとんど説明されない一方的な内容で、公正・客観性にかけ、意図的・誘導的なものだと批判。声明発表の記者会見で鈴木久夫事務局長は、アンケートへの抗議とともに、今まで32000筆の敬老パス負担増ストップの署名を提出、11月22日(月)にも追加提出の予定であると述べました。
アンケート用紙の内容
(抜粋、「カギかっこ内」は現物どおり、「太字」は太字で明記されている箇所)
表紙部分(A4)
敬老パスの現状・・・高齢化で対象者が増加する一方、市税収入が伸び悩み、「このままでは、将来の事業運営が困難な見通しとなっています。」市の負担額と市税収入の推移のグラフ。
中面(A3)
◆70歳以上の高齢者が平成31年度までの10年間で1.5倍の見込み
◆敬老パスは日常的に週2、3日利用
◆利用者負担は年額平均4600円
「最も利用者の多い『非課税』の方の区分では、年間3200円、ひと月当たりでは267円です。ひと月にバス均一区間運賃210円の1.3回分で、1か月間のフリーパス券が利用できる計算です」
◆事業費は平成31年までの10年間で1.4倍。「市税の負担額は平成26年には100億円を突破し、平成31年の事業費は141億円に達する見込みです。」
◆料金設定は「他よりも効率の割引となっています」と他項目の部分より大きな字で記載。
「例えば路線バス分は、乗り放題の共通乗車証として、乗車単価135円で月間利用15回を積算基礎としています。(一般の通勤定期券は、単価210円、月間利用40回程度の想定)また、市内全社共通という設定は、他に例がありません」
◆敬老パスQ&A(4問答、省略)
アンケート(A4)
以下の問いに4~5の選択肢から選ぶ。
問1 この事業が多額の市税で賄われていることをご存知でしたか。
問2 現在の利用者負担の割合をどう思いますか。
問3 現行の利用者負担の区分の設定方法をどう思いますか。
問4 交付対象者の年齢設定をどう思いますか。
問5 制度を維持していくためには、どうすることがよいと思いますか。
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