
教育振興基本計画―「学校が変わる」ことが必要では
宇佐美議員:日本共産党を代表し、今定例会に上程された議案に関連し質問します。
はじめに、市第108号議案 第5期横浜市教育振興基本計画の策定について、伺います。
この基本計画は、7つの柱と18の施策で構成され、2030年頃の未来を見据えて、横浜の教育が目指すべき姿を描いた「横浜教育ビジョン2030」のアクションプランと記されています。
今回、計画の素案に対してのパブリックコメントを、児童生徒の1人1台端末を使用して募集し、10歳代の子どもから9,522通、36,336件の意見が寄せられました。教育委員会が子どもたちの意見を聞く機会を設けたことは評価しています。
今、子どもたちを取り巻く状況は社会情勢の変化などから複雑化しています。そうしたなか、本市でも不登校の児童生徒は年々増え続け、約1万人となっています。今こそ、不登校について子どもも保護者も安心できる施策が求められていますが、そもそも不登校の児童生徒がここまで増えた根本原因をどう考えているのか、教育長に伺います。
下田教育長:不登校の児童生徒が増えた根本原因についてですが、子どもたちが不登校に至る背景や原因は様々だと考えています。学習に対する不安、教職員や友人との関係など学校生活に関わる要因。家庭環境や、心身の状況といった個別の事情が複雑に絡み合っております。さらにコロナ禍以降、保護者や児童生徒の意識が変化したことも影響していると受け止めております。
宇佐美議員:あわせて、その根本原因をどのように解消していくのか伺います。
下田教育長:原因がまた多種多様であることを踏まえ、子ども一人一人が安心して過ごし自分に合ったペースで学びに向かえるよう環境を整えることが大切であると考えます。より一層学校を安全な場にすることに加え、ハートフルセンターなど学校外の居場所、オンラインやバーチャル空間の充実と合わせて、AIドリル等の活用や関係機関との連携を図りながら一人一人のペースにも合った学び、そして支援の充実に取り組んでまいります。
宇佐美議員:NPOが行った当事者ニーズ全国調査では、子どもが「学校に行きづらいと思い始めたきっかけ」の上位は、いずれも学校に関係する要因でした。少なくない子どもが「学校が嫌い」と答え、36.9%の子どもと69.8%の保護者が「学校が変わってほしい」と要望しています。不登校への対策は、子どもが変わるのではなく、学校が変わる必要があるのではないでしょうか。
学校を子どもたちにとって居心地の良い場所にしていくためにも、教員の多忙化解消は欠かせません。しかし、本市が掲げる「月80時間の残業をしている教員をゼロにする」という目標は、掲げて以来一度も達成されていません。長時間労働と多忙化解消のため、教員1人当たりの授業コマ数を減らすべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
また、正規教員の定数増と採用枠拡大について、あらためて強く要望します。
下田教育長:教員1人あたりが担当する授業のコマ数は各学校の年間授業時数から算出をしており、各教科等の内容を学ぶために必要な時数として国が定めた標準授業時数に基づいているものです。今後も子どもの学びを保障するために必要な実数を確保するとともに、人的あるいはICTの活用を含めまして様々な手法で教職員の負担軽減にも取り組んでまいりたいと思います。以上ご答弁を申し上げました
「こども誰でも通園制度」―安全と質は守られるのか
宇佐美議員:市第 109 号議案 横浜市特定乳児等通園支援事業の運営の基準に関する条例の制定及び市第 112号 議案 横浜市特定乳児等通園支援事業の設置、運営等の基準に関する条例の一部改正について、伺います。この条例は、いわゆる『こども誰でも通園制度・誰通』です。本市では、2025年度から既に本格実施がされていますが、今回の議案は、全国の自治体で本格実施となること、法律に基づく新たな給付制度になることから条例の一部改正として議案となりました。
給付制度というのは、国が定めた価格、公定価格で運営する事業ということです。子ども1人、1時間あたりの単価は、0歳6か月が1,700円。1・2歳が1,400円となり、特別地域加算や保護者支援面談加算などが新設されました。
本市は、先にも述べましたが、全国に先駆けて、認可保育所のみで本格実施をしており、昨年4月から12月時点で、登録者数200人、延べ利用者人数は2,288人、延べ利用時間は、4,499時間、施設数は、今年1月時点で36か所となっています。
党市議団として、3つ危惧している点があります。1つ目は、市町村が設備運営基準を条例化するにあたり、こども家庭庁が定めた設備運営基準に規定された人員配置や施設・面積の基準について、「そもそも国が定めた基準では不十分」と専門家から声があがっていることです。例えば、認可施設を活用する「余裕活用型」は、既存の保育体制の中での保育士のやりくりで事業をまわすことで、保育士の増員はしなくても良いとなっていますが、実際に毎日通っている園児と誰通の子どもを同室で保育をすれば、1時間毎に発生する子どもの入れ替わりのために保育士等の手が取られることになります。やはり、保育士の増員は不可欠だと考えます。
さらに、既存の認可施設ではない、ショッピングモールなどに併設されている、いわゆる「保育室」等で事業を実施する「一般型」では、事業を利用する乳幼児が3人以下なら、従事する職員が1人でも良いとされる特例が設けられています。そうであるならば少なくとも、この特例を許さないよう基準条例に明記する必要があると考えます。設備運営基準について本市の判断で国基準に上乗せすべきと考えますが、見解を伺います。
山中市長:設置運営基準について、本市の判断で国基準に上乗せすべきとのことですが、子ども誰でも通園制度の面積基準について本市では国基準を上乗せしまして、年齢にかかわらず一律に子ども1人当たり3.3平方メートルを求めております。また職員配置基準について施設によっては、少人数の子どもの受け入れを想定しておりますが、国基準では数人程度の受け入れであっても安全の確保等の観点から複数の職員配置を求めており、本市も国に準じております。
宇佐美議員:今1つは、様々な業種から広く事業者を募集することになれば、保育事業に初めて参入する事業者も申請するかもしれません。そうなれば、様々な問題が起きることも想定されます。そういった問題のある事業者を排除できるような監査体制を強化すべきだと考えるがどうか伺います。
山中市長:国の法令により原則として年度ごとに1回以上、実地で監査を行うこととされており、今後国から示される基準等を基に実施体制等について検討をしてまいります。適切に監査を実施し必要な指導等を行うことで、子どもたちが安全安心に過ごせる環境を確保いたします。
3つ目は、報酬体系の拡充です。現在の報酬単価は、安定した運営体制を確保するためには低すぎます。時間ごとに入れ替わることを考えると通常の保育と比べて、準備にも相当時間がかかり、負担が重くなることは、明らかです。安定した運営体制を確保するための報酬体系にするよう国に求めるべきと考えるが、市長の見解を伺います。
処遇改善を行い保育士の確保にもさらなる注力をお願いし、次の質問に移ります。
山中市長:全国一律の給付制度になることを踏まえて、国に対し引き続き利用に応じた単価のさらなる増額や、安定して保育士を配置するための補助制度の創設など制度のより一層の充実を要望してまいります。
ひきこもり支援―当事者の声を出発点に
宇佐美議員:次は、市第 110 号議案 横浜市青少年相談センター条例の全部廃止についてです。
横浜市青少年相談センター条例に基づいてこども青少年局が実施している横浜市青少年相談センターと健康福祉局のひきこもり支援課を統合し、新たに「横浜市ひきこもり総合支援・若者相談センター」とし、健康福祉局が所管するというのが、議案の趣旨です。統合したことにより期待される効果として、年齢による切れ目のない相談支援の実施。地域の関係機関への技術的支援及び人材育成支援等の強化と説明をされました。本市では、4年前の調査で、ひきこもり状態と推察される40歳以上の方が2万人。15歳から39歳までの方が1万3,000人と推計されているとして、様々な方法で啓発などを実施しているのを承知しています。推計3万3,000人といわれるひきこもり状態の方々を市長はどういう存在だととらえているのか伺います。
山中市長:引きこもり状態の方は本来一人の人間として豊かな主体性と大きな可能性を備えております。しかし周囲の環境や社会との関係づくりがうまくいかず、その力を十分に発揮できていない状況にあると考えております。お一人お一人の思いを丁寧に受け止めて、ご本人のペースを尊重しながら主体性を取り戻し、地域社会の一員として活躍ができるよう寄り添った支援を行います。
宇佐美議員:今年1月24日に2回目となる『横浜市子ども・若者実態調査』を実施し、多くの困難を抱える若者の声を集めて、支えようとしている市内の各施設の役割が見えてきました。今回、議案となっているセンターも重要な役割があることを再認識しました。それぞれの役割があるからこそ、どういった支援が必要か、そのためにどれくらいの人員体制が必要なのかを判断するために、をひきこもり状態にある3万3,000人の方々からのニーズ調査を実施していただきたいと、考えますが、見解を伺います。
山中市長:引きこもり状態にある方の生活状態や課題を把握し、今後の引きこもり支援策に生かすことを目的に5年に一度実態調査を行っております。調査結果を踏まえて地域の相談機関と連携をしながら、引きこもり支援策の充実を目指します。
高齢者福祉―「公の役割」を後退させないで
宇佐美議員:次は、市第 114 号議案 横浜市老人福祉施設条例の一部改正について伺います。
この議案は、泉区に在る新橋ホームで実施している通所介護と居宅介護支援事業を廃止するというものです。
2021年の4月にコロナ禍で通所介護を閉鎖。現在、利用者はいません。コロナ禍で、通所介護を利用していた方々は、近隣の民間の事業所へ移転していただきましたがコロナ終息とされて以降戻ることなく、通所介護を閉鎖してしまいました。民間の事業所はコロナ禍でも大変な苦労をして、受け入れを続けていました。公が行っている事業所が真っ先に閉鎖とは、大問題です。
居宅介護支援については、2024年にケアマネージャーや介護職の賃金を上げる等が含まれる介護報酬改定が行われたことにより、ケアマネを採用することが難しくなり、法人全体で確保できず休止し現在利用者は、居ません。ケアマネの採用が困難なのは、どの施設でも同じではないでしょうか。むしろ民間は、しっかり採用して、処遇を改善しているなかで事業を継続しているのです。民間の企業努力に甘えて、本市が公の役割を投げ捨てていいのでしょうか。福祉の分野は、製造業や販売業と違い利益があがる業態ではありません。高齢者福祉保健計画等を定めている本市は、利益が上がりづらい事業だからこそ公的責任をもつために通所介護と居宅介護支援の廃止はするべきではないと考えますが、市長の見解伺います。
山中市長:通所介護と居宅介護支援を継続すべきとのことですが、新橋ホームは指定管理者制度で運営されておりますが、指定管理料はなく民間事業所と同様に介護報酬を運営の原資としております。人材確保が困難な中、運営の効率化を進めるため、通所介護等を廃止し特別養護老人ホーム等の運営に人員を注力いたします。なお現在通所介護等の利用者はおらず、近隣事務所の定員に余裕があることから市民の方の利用に影響はないものと考えております。
宇佐美議員:いま、ケアマネを確保することがいかに大変なのか、介護現場の実態を本市は、よく理解しているのでは、ありませんか。介護現場おけるケアマネの採用の難しい実態を国に伝えて、本市としても、改善をするべきと考えますが、市長の認識を伺います。
山中市長:ケアマネージャーの人材確保は大変厳しい状況にあると認識しております。このため処遇の改善や業務負担の軽減について国へ要望を行っております。本市としてもケアマネージャーの業務と役割の理解の促進に向けた市民向けリーフレットの活用や、ICT等を活用した業務の支援など人材の確保につながる働きやすい環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
市営住宅―住まいは人権
宇佐美議員:最後は、市第 116 号議案 横浜市営住宅条例の一部改正についてです。
神奈川区のこまどり、及びサン・三ツ沢を廃止するという議案です。それぞれ借り上げ型の高齢者向け住宅でしたが、期間満了などとなることから、オーナーが代わる、オーナーが売却するなどの理由で廃止されます。
2018年に示された『市営住宅の再生に関する基本的な考え』のなかで「重層的な住宅セーフティーネットを構築する中で、その核となる市営住宅に対するニーズは減少しないと見込まれるため、今後20年程度は、住宅確保が困難な高齢者世帯を中心に対応しながら、現在の戸数を維持します」と記されていますが、今回廃止される2棟、合計33戸分の戸数が減らされたまま、少なくなったままとなっているということは、「維持」とは言えません。今、長引く物価高の影響で住宅を必要としている方が、増えてしまうのではないかと危惧しています。住まいは人権です。住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台です。安心して暮らせる住まいの提供は、公の責任です。このような観点から私たちは、市営住宅の新規建設を求め続けて居ますが、公の仕事として、少なくとも借り上げ型に関して減らすべきではないと考えるが、市長の認識を伺い質問を終わります。
山中市長:契約期間の終了に伴い再契約を、オーナーに働きかけているものの賃貸不動産が活性化しており、オーナーが期待している将来の家賃と見合わないことなどから、再契約が出来ない場合があります。引き続き社会情勢を的確にとらえながら、市民の皆さまの住宅セーフティネットの確保に努めてまいります。



不登校1万人時代「学校が変わる」教育へ 市民...
2026.1.28■議案関連質問宇佐美さやか議員
物価高から市民の暮らしを守れ 市独自の対策...
