河治委員:河治民夫です。日本共産党を代表し、質問します。
委員長、スライドの使用許可をお願いします。
遊佐副委員長:はい。
河治委員:最初は、分割開発の規制についてです。
都市計画法による開発許可の手引によれば、開発許可制度は、道路、公園、排水施設、給水施設等について一定の基準を設け、この基準に適合したものに限り開発行為を認めることで都市基盤の整備された良好な市街地の形成に誘導する制度です。
法では、3000平米以上の住宅開発は開発区域面積の6%以上の公園などの整備を義務づけています。しかし、様々な手法により分割開発になり、一連の広さの土地であるのに公園などが整備されない開発が間々あります。こうした分割開発による公園などの公的施設の未整備についての見解を伺います。
黒田建築局長:本市では、都市計画法による開発区域の定義に基づきまして、複数の隣接する開発区域及び造成区域において計画の内容や構造物または施工方法が一体的なものと捉えられる場合は一体の開発区域とすることとなっています。しかし、一体的な広さの土地であっても、開発区域から幹線道路に至るまでの周辺道路の要件や土地の形状、権利関係などの状況によって、開発できる区域の面積が制約されています。それらの制約を踏まえて計画された開発区域の規模に応じて必要な公共施設が設置されています。
河治委員:スライドを御覧ください。(資料を表示)私の地元旭区中希望が丘において2015年から2017年にかけて約9565平米の一連の土地が4回にわたり開発が行われたものです。スライド①は2929平米、④は2920平米です。いずれも3000平米未満で、公園等の設置を逃れています。4区画全体の6%は574平米です。単純計算で縦25メートル、横23メートル以上の公園等を設置すべきなのにありません。接続道路の幅員等により1区域3000平米未満の開発になったもので、開発業者には渡りに船です。本市も、一連の広さの土地の開発であっても開発申請を1年間ずらす等により分割の開発許可を認めています。これでは開発許可の手引の趣旨に反すると思いますが、見解を伺います。
黒田建築局長:開発許可制度は、開発区域の規模に応じて必要となる道路、公園、排水施設などの公共施設について一定の基準を設け、この基準に適合した開発行為を認めることによって都市基盤の整備された良好な市街地の形成を誘導しようとする制度でございます。周辺道路の要件などによりまして開発できる区域の面積が制約された場合でも、公共施設についてはその開発区域の規模に応じて適切に整備されます。このため、開発許可制度の趣旨に反しているとは考えておりません。
河治委員:結果として趣旨に反しない区域であったとしても、一連の土地が結果として何の施設もつくれないようなことになっているわけです。だから、開発許可の手引に沿ったまちづくりにするためには法整備の改善を国に求めることや本市の開発指導を改めるよう検討すべきと思いますが、どうでしょうか。
黒田建築局長:都市計画法では、開発の要件の一つとして、開発区域から幹線道路に至るまでの周辺道路の幅員に関する規定を定めています。例えば、住宅開発の場合は、バスの擦れ違いが可能となる6.5メートルの幅員が必要となります。しかし、本市においては、先ほどのスライドの例にもありましたが、狭小な道路も多いため、その道路幅員に応じて開発できる面積を制限して開発を認めています。それらの制限を踏まえて計画された開発区域の規模に応じて必要となる公共施設を法令に基づき適切に整備することとなりますので、法改正を求める必要はないと考えております。また、本市は法令の定めのとおり、しっかりと指導しております。
河治委員:安心できる安全なまちにするためにはやはり改善が必要だと私は思います。また、こういったことを国に求めていくべきだと思いますが、これは副市長に聞きたいと思います。
平原副市長:今局長が御答弁申し上げましたとおり、横浜市の山坂が多い、また狭小な道路が多いという状況の中で、その周辺道路幅員に応じて開発できる面積を逆に制限しているわけです。その制限した開発面積の中で必要な公共施設を整備させておりますので、局長が申し上げましたとおり、法改正を求める必要はないと私も考えております。
河治委員:業者が一連の開発を分割するということについてはやはり規制する方向を考えていってほしいと思います。
次は、急傾斜地や崖地の防災対策についてです。
急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するための措置を県が講じるとされています。県によれば、横浜市内に714か所の急傾斜地崩壊危険区域が指定されており、そのうち工事が完了したのは681か所、工事中が19か所で14か所が未着工とのことです。未着工の14か所の状況はどうなっているのか、伺います。
清田企画部防災担当部長:ただいま委員おっしゃられました急傾斜地崩壊対策事業と申しますのは、神奈川県が工事を行っております。現在、区域指定されている箇所は714ございまして、700か所で対策工事が行われている。委員がおっしゃったとおりでございますが、未着工箇所につきましては、神奈川県の予算に合わせまして順次事業が行われるという見込みでございます。
河治委員:本市には改善の必要な崖地が9800か所あり、中でも崖崩れで家屋に著しい損傷を受け、居住者の生命に著しい影響を及ぼすおそれから早急に対策を必要とするA崖が1364か所、崖崩れにより家屋の損傷や居住者の身体に影響を及ぼすおそれがあり対策を行う必要があるB崖が2172か所、ほかC崖2096か所、D崖3841か所と聞いています。新年度の計画では、A崖に対する防災対策15件、減災計画が25件とあります。毎年このペースで進めたとすれば35年を要します。
そこで、A崖1364か所の対策計画における完了年度は何年先と見込んでおられるのか、伺います。
黒田建築局長:崖地の改善は、基本的には所有者が行うべきものと考えております。そのため、ダイレクトメールを送付して、順次改善を促しているところでございます。しかし、改善については所有者の様々な事情が影響しますし、助成金を使わずに自費で改善される方もいらっしゃいますので、完了時期を見込むということは困難でございます。
河治委員:崖崩れが発生した場合に人家に著しい被害を及ぼす可能性がある崖地等が102か所あると聞きます。この区域の住民は、気象庁や県の土砂災害警戒情報が発令の場合、即避難しなければならないとされています。102か所の崖地等の防災・減災対策では崖地改善の対策はやらないとのことですがなぜか、説明してください。
黒田建築局長:先ほどの答弁と重複しますが、即時避難勧告対象区域102か所の改善については、やはり所有者の事情が影響しますので、工事計画を横浜市が策定するということは困難でございます。改善されるまでの間は、土砂災害警戒情報の発表と同時に避難勧告を発令し、避難体制を整備することによって市民の皆様の安全を確保しています。
河治委員:防災対策、減災対策は、いずれも予算件数に対し実施件数が低く、事業が進んでいません。民有地であり、事業者の理解、納得がなかなか得られないとのことですが、どのように広報啓発を行ってきたのか、伺います。
清田企画部防災担当部長:改善が必要な崖地の所有者の方に対しましては、ダイレクトメールを順次送付いたしまして、直接促しています。そのほか、市民の皆様に向け、市営地下鉄への広告、図書館を活用したパネル展示、自治会町内会への出前講座などを行い、広く事業の周知と崖地改善に向けた啓発を行っております。
河治委員:102か所の即時避難勧告対象区域のうち横浜市の市有地は何か所あるのか、対策はどう進んでいるのか、伺います。
清田企画部防災担当部長:平成29年度に現地調査の結果に基づきまして即時避難勧告対象区域を指定した際には、区域内で対策を要する崖地のうち、一部を市が所有しているものは9か所ございました。その後、各所管局で対策を行いまして、現在は4か所となっております。この4か所についても、対応を検討中と聞いております。
河治委員:市内の急傾斜地や即時避難勧告対象地域はほとんどが民有地であり、防災・減災対策の説明、説得の体制強化が求められます。また、民有地への指導のためにも本市所有地の改善を積極的に進めるべきだと思いますが、伺います。
黒田建築局長:土砂災害警戒区域等の指定に伴いまして、建築局から所管局に対して区域の周知を行っています。さらに、崖地現地調査の結果をもとに、所管する土地に対策が必要な崖地が含まれている場合は、改めてその旨を情報提供し、改善されるまでの間は適切な崖地の管理を行うよう要請しています。
河治委員:次は、ブロック塀の改善についてです。
2018年、大阪府北部地震により倒壊したブロックの下敷きで児童が死亡する事件があり、通学路上のブロック塀等の改善強化が求められています。本市の通学路上ブロック塀は2100件あり、そのうち改善は371件、改善率17.7%と聞きます。事業が遅れています。改善計画はどうなのか、伺います。
黒田建築局長:改善の状況といたしましては、令和元年度が123件、令和2年度は248件となっておりまして、年度ごとの改善件数は増えていますので、継続して働きかけを行ったことによる一定の効果は出ているものと考えています。しかし、まだ建築基準法の仕様に合致しないブロック塀等が多数存在いたしますので、引き続き改善に向けてしっかりと取り組んでいきます。
河治委員:啓発するために委託業者を通じ所有者に対し口頭や書類等の投函で働きかけているということを伺っています。しかし、改善は遅れています。進まないのはなぜでしょうか。
足立建築指導部長:所有者の方が現行の法に適合していないことを認識していましても、金銭的な課題がある、御高齢で対応が難しい、土留めのため建て替え時でないと改善が難しいなどの様々な事情により、改善に時間がかかっているものがあると考えております。
河治委員:本市は通学路上のブロック塀の所有者に継続指導や経過措置観察もしているということを聞きます。この努力は評価できるものです。しかし、事業の遅れは否めません。理解を得るためにも進めなければならないと思います。そうした点で、私は地域全体での話合いがブロック塀所有者の啓発につながるのではないかと思います。区役所や学校、町内会の力も借り、安心できるまちづくりの話合いを行い、協力を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
黒田建築局長:平成30年度に通学路上のブロック塀等を調査した際には、地域のスクールゾーン対策協議会とも連携をし、安全確認を行っています。現在も学校等から相談を受け、個別に働きかけを行うなどの対応をしています。また、明らかに危険性が高い場合には、区の土木事務所と連携して、道路上にバリケードを設置する対応も行っています。今後も必要に応じて、地域の皆様や区役所、学校と連携をしながら改善に向けて取り組んでいきたいと思います。
河治委員:次は、住宅セーフティーネット事業についてです。
コロナ禍の中で雇用が奪われ、住まいに困窮する人も少なくありません。そうした人の支援に本事業は有効だと思います。
そこで、事業の内容を説明してください。
漆原住宅部長:住まいの確保にお困りの方の入居を拒まない賃貸住宅をセーフティーネット住宅として登録し、そのうち、所得が低い方が入居するなどの要件を満たす住宅のオーナーに対して、家賃及び家賃債務保証料の補助を行っております。
河治委員:予算戸数に対して補助金交付決定戸数があまりにも低い状況ですがなぜか、伺います。
漆原住宅部長:今年度は、大手不動産管理会社が管理する住宅の登録申請も見込んで予算戸数を480戸と想定していましたが、申請までに時間を要したため、補助金の交付決定戸数が伸び悩みました。
河治委員:私が聞き取りをするとき、オーナーさんの組織もなかなか大変だという話でした。ですので、こうしたオーナーさんの組織についても区役所やまた地域の人たちと話し合って進めることが必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
黒田建築局長:オーナーの理解を進めるためには、住宅を貸す際の不安を取り除くことが重要だと考えています。これまでも横浜市居住支援協議会を核といたしまして不動産事業者や福祉関係の団体などの多様な団体が連携して取り組んできましたが、さらにオーナーや入居者を支援する制度の検討も進めていきます。
河治委員:最後は、狭隘道路の改善事業についてです。
横浜市内には狭隘道路は1900キロメートルあると聞きます。緊急車両が通れない状況等の解決が求められます。建築局は505キロを整備促進してきていますが、これまでの実績と新年度の事業計画を伺います。
清田企画部防災担当部長:平成7年の事業開始から令和元年度末までの整備距離の実績は193.5キロメートルでございます。令和3年度は9.8キロメートルの整備を見込んでおります。
河治委員:これは促進しなければならない事業だと思うのですけれども、新年度予算は前年度比1億664万円が減額されています。理由はなぜですか。
清田企画部防災担当部長:令和3年度予算につきましては、令和元年度分の実績を踏まえまして、その実績に応じた予算額を計上しているところでございます。
河治委員:減っている理由を聞いています。
清田企画部防災担当部長:この狭隘道路拡幅事業でございますけれども、一般的には促進路線沿いでの建て替え等の機会を捉えて各敷地単位での整備ということになりますので、建築動向に非常に左右されるというものでございまして、その辺の実績なども見ながら令和3年度予算化をしているというところでございます。
河治委員:引き続きよろしくお願いします。
スライドを御覧ください。(資料を表示)これは建築局の狭隘道路拡幅整備事業のパンフレットからのものですが、今、旭区今宿町では路線型整備を進めていると聞いています。狭隘道路の拡幅整備事業及び路線型整備について説明してください。また、そのメリット、デメリットについても伺います。
清田企画部防災担当部長:先ほど御答弁いたしましたとおり、まず一般的には、促進路線沿いでの建て替え等の機会を捉えて各敷地単位で整備をしております。その整備した助成金によりまして、申請者が整備するか本市が整備するかのいずれかということになっております。一方で、路線型の整備でございますけれども、沿道の方々の合意の下に、交差点から交差点の間をスライドのように一体的に市が拡幅整備をするものでございます。これは個々の建て替えのタイミングを待たずに連続した整備が可能となります。一方で、関係権利者が多くなりますので、合意形成に時間がかかるという課題がございます。
河治委員:私は、地域の人たちが住みやすい安全なまちづくりで協議する、話合いをするというこの路線型整備の促進はコミュニティーの関係でもすごく大事なことだと思います。そこで、路線型整備の実績はどうか、過去5年間における年度ごとの整備状況を伺います。
清田企画部防災担当部長:平成27年度から令和元年度までの5年間でございますが、平成27年度が148メートル、令和28年度が245メートル、令和29年度が310メートル、令和元年度は114メートルでございます。
河治委員:本事業は、安全安心、住みやすいまちにするための事業の一つだと思います。さらに推進すべきですが、今後の取組はどうなっているのか、伺います。
黒田建築局長:狭隘道路が解消されることは緊急車両の通行が可能となるなど災害に強いまちになるとともに、歩行者の方が安全に通行することができ、住みやすいまちになることにつながる事業だと考えています。今後も、区役所や土木事務所等と連携をしながら、事業のPRやまちづくりコーディネーターの派遣などの支援により、路線型による拡幅整備を推進していきたいと思います。
河治委員:終わります。