教員1年目で自ら命を絶った悲しい出来事
白井議員:日本共産党を代表して質問します。
教育委員会は教員の任命権者として、法に基づいた1年目の研修を実施しなければならないとされていますけれども、2009年度新規採用教員数と初任者研修対象者数は何人でしょうか。
伊藤教職員人事部長:平成21年度の新規採用教員数は901名で、うち805人は初任者研修の対象者でございます。
白井議員:本市が独自に2年目、3年目の研修も行っていて、3年で育成するとされているんですけれども、大勢の若い先生方が2年目3年目を目指して、多忙といわれる学校現場でさまざまな指導を受けながら、日々努力されていると思います。この新規採用教員の中で、離職して他の仕事についたりとか、病気などさまざまな理由があるかと思いますけれども、2009年度の途中で残念ながら離職されたのは何人でしょうか。
伊藤教職員人事部長:21年度中に退職した新採用の教員数が16名でございます。
白井議員:1年目で現場を離れた16人ということですけれども、このうちの1人の教員の両親から、私、事情を聞いております。1年目で自ら命を絶たれたというたいへんショッキングなお話で、たいへん力を落としておられます。この新任教員が亡くなったことに関わる教育委員会の事後の対応について、いくつか伺います。今後、マスコミ取材などで子どもたちが動揺して、取り返しの付かないことになるとして、議会で取り上げるべきではない、そっとしておくべきだという意見も聞いていますけれども、教育委員会の事後の対応について看過できないものがありますので、この場で明らかにすることとしたものです。
まず、教育委員会は学校からこの件についての報告書を受け取っていると思いますけれども、こういう悲惨な事故に至った直近の学校での勤務の状況については、どのように書かれていたのか、伺います。
山田教育長:よろしくお願いをいたします。それではお答えをさせていただきます。
まず、お答えを差し上げる前に、亡くなられたその先生のご遺族の方には、心よりお悔やみを申し上げます。また、本市にとっても、将来のある先生を失ったことについては、たいへん残念に思っております。
それでは、いまのご質問ですけれども、亡くなる前までは、無遅刻無欠席、非常にまじめな態度で勤務をされていたというふうに聞いておりますけれども、後期になって、年度の後半になって、ひとつは子どもたちはその先生の話をきちんと聞かない、当該先生を意識的に避けるなどの状況が徐々に多くなってきていたこと、あるいは学年主任や管理職等が助言指導を行ってきたけれども、なかなか、その改善は見られなかった、自己の悩みについて自ら相談することはできない、そういったような性格であったと。直前に、亡くなる直前に、全教職員を対象として行う次年度の人事異動に向けての面談を校長が実施したという報告を学校長から受けているところでございます。
ようやく事故半年後に事故調査委員会設置
白井議員:学校からの報告書が出ているということで、内容は伺ったんですけれども。学校現場ですから、教職員など学校関係者へ事情を聞くということはどのようにされたんでしょうか。
山田教育長:そのあと、調査委員会を設けて、その中で先生のご事情はヒアリングをさせていただいております。
白井議員:教育委員会は、報告書を受け取って学校へはどういう措置をしたのでしょうか。
山田教育長:まずは詳細な事実の確認、あるいはご遺族への対応、あるいはこどもたち、教職員へのケア等について、指示を出したところでございます。
白井議員:教育委員会として、この時点で、あとで調査委員会をしてヒアリングということはされたということなんですけれども、当初の時点で学校長からの報告の内容のみで判断して、関係者への事情聴取、当初はしなかったということ、ちょっと余りにも無責任と思うんです。この新任の教員が自ら訴えたかったことがあったはずです。教育委員会のこの初動の対応、間違いだったのではないかと思うんですが、所見いかがでしょうか。
山田教育長:当然ある意味急な不幸に接して、そういった意味でそれぞれの直近の状況については学校長他が教職員あるいは子どもたちの状況等々を、何もしなかったということではなくて、当然のことながら状況は聞いて把握をしているところでございます。
白井議員:状況聞いて把握しているということなんですけれども、学校では、子ども達、そして保護者、教職員にもこの件についてどういう報告をされたのでしょうか。
山田教育長:亡くなられた2日後には教職員に、そして3日後には学校長が子どもたち全員に対し、亡くなられたということを説明するとともに、保護者に対しては訃報のお知らせを出したところでございます。また、1週間後には当該クラスの保護者会を開きまして、学校長他が亡くなられた後の子どもの様子ですとか、あるいはそのケアの状況、そういったところの説明を行ったところでございます。
白井議員:この件について先ほど、調査委員会をつくってヒアリングしたということは伺ったんですけれども、教育委員会の内部での事故調査委員会、立ち上げることが決められたわけですけれども、この目的、そしていつごろ決めたのかというところ、お願いいたします。
山田教育長:この件に関しては、ご遺族のご要望を受けて、事実関係の把握、あるいはその経緯を調査をし、教育長に報告をするということを目的として、医師や弁護士などの外部委員を加えたメンバーによる事故調査委員会を5月に設置をしたところでございます。
白井議員:ご遺族の要望を受けて5月設置ということなんですけれども、私、経過の中で、お話うかがってきたんですけれども、調査委員会、設置しますということは、3月の時点で決まったということなんですね。年度末にやっと調査するよということが決められたわけですけれども。両親から伺ったところですけれども、当初教育委員会と学校が、学校での面談と、それから亡くなったことの関連について、何らか両親へ伝えたと聞いていますけれども、どなたがどのように伝えたのか、その内容を聞かせていただきたいんです。
山田教育長:この悲しい事故が起こったのは昨年でございますけども、今年の2月に校長、副校長、そして教育委員会の職員が、ご遺族を訪問しまして、少し遠方でございますので、訪問しまして、弔問と改めて亡くなる前の状況等についてご報告を差し上げたところでございます。
教育委員会には何の落ち度もないのか
白井議員:両親は、面談とそれから亡くなったことが何らか関係しているのではないかと疑問を当初持たれたわけなんです。先ほど遠方に行かれてご報告をされたということなんですけれども、その報告の中で両親がたいへん力を落とされたのは、面談は何の落ち度もないと教育委員会としては判断していると、亡くなったことと面談は何の因果関係はないと。このように教育委員会から話を聞いたというふうに私に相談があったわけなんです。何を根拠に因果関係がないと判断されたのかというところ、たいへん疑問なんですけれども、学校からの報告だけで判断して、当初はどうだったかということ、教育委員会の中で自らの調査はしないでの判断だったんでしょうか。
山田教育長:私も当時の担当者に確認をいたしました。その担当者がそのご遺族の方とお話を申し上げた中身というのが、校長の、先ほど面談をしたというふうに冒頭申し上げましたけれども、その面談が亡くなられたことの直接の原因であるかどうかということはわからないというふうに申し上げたというふうに聞いております。
白井議員:そういうふうに聞かれたということで、私も両親から聞いたというところ、いまお話ししたので、私、直接聞いたということではないんですけれどもね。その調査をしないで、両親にそのように伝えたということは軽率だったのではないかと思うんですね。全てが本人の都合にされたわけで、その原因は本人にある、これで両親が納得されるわけはなかったんです。調査がされないのですから。わからなかったということで、そのようにお話があったんですけれども、教育委員会自らがその事実関係の把握に努めなかったことは、怠慢だと思うんです。そして、また事実関係の把握をする以前に、亡くなったことと面談は何の因果関係もないと両親に伝えたということ、これは私聞いた段階ですけれどもね、それは教育委員会の落ち度だと思うんです。この点、反省すべきと思うんですけれども、いかがしょうか。
山田教育長:先ほど申し上げましたように、直接の原因は何であるかはわからないというふうにご両親には申し上げているところでございます。そのあと、先ほど申し上げましたように、ご遺族のご要望受けて、学校での様子などについて、さらに詳細な状況を知らせてくれというふうなお話ございましたので、先ほど申し上げましたように、教育委員会としては事故調査委員会を設置したということでございます。
白井議員:3月の事故調査委員会設置に至るまでの間、少しさかのぼりますけれども、2月に、先ほどお話ありました教育委員会として、担当者が自宅を訪問されました。それまでに両親が学校側に求めていた要望があったわけですけれども、どういう内容でしょうか。また、その対処を教育委員会はどうしていたのか、伺います。
山田教育長:ご遺族からお話がございましたのは、より詳細な学校での様子等々について、調査をして、知らせていただきたいというふうなお話がありました。先ほど調査委員会の中で、私、報告は受けておりますけれども、さまざまな要因がからんでおります。ご本人の性格も含めて、先ほど申し上げましたように、弁護士とかお医者さんとかそういったような専門家の方もメンバーの中に入ってございますので、いろんな方面からいろんな情報を多方面にわたって分析をしていただいて、さまざまな要因の中でこういったような悲しい事故になったということを聞いております。
白井議員:当初からご両親が学校側に求めていたのは、学校での面談の内容を教育委員会へ、きちんと伝えてほしいということだったんです。伝えてあったということなんですけれども、2か月たっても教育委員会から連絡がなかったために、学校と教育委員会に不信感をつのらせたということなんです。それで、いたたまれない思いで、3月に当時の田村教育長に調査をしてほしいということを申し出られました。私も同席をいたしました。教育委員会が事故調査委員会の立ち上げを決めたのは、両親からの要請なんでしょうか。
山田教育長:一義的にはご両親からのご要望受けて、設置をしたものでございます。
事故直前の面談がきっかけになった可能性も
白井議員:ようやく重い腰を上げたという印象を持たざるを得ないんです。それで、今回、事故調査報告書をご両親受け取ったということで、読ませていただきました。次のようなまとめになっていました。「4月から、真面目に仕事に取り組み、よく努力していた。学級経営に問題が出始め、助言・指導を繰り返し行っていた。内面では悩み、疲労の蓄積もあったのではないか。亡くなったのは、面談前後の変化から類推して、面談がきっかけとなったと推測される。しかし、複合的な要因があったと考えられる」と、このままではありませんけれども、こういった内容です。当初面談との因果関係はなかったと、両親から聞いた話ですけれども、そういうふうに説明を受け、今回事故調査委員会が出した報告は「面談がきっかけとなったと推測される、複合的な要因があったと考えられる」ということも加えてはあるんですけれども、中身が違うものが出まして、教育長から両親へこれまでの対応について謝罪をすべきと思うんですが、どうでしょうか。
山田教育長:先ほどから申し上げましたように、非常にこの件については、私としても非常に残念に思っておりますけれども、この中で、先生もいまおっしゃられましたように、結論から申し上げますと、さまざま子どもの状況、学級の状況、あるいはご本人の性格、あるいはそのドクターの診断によるある意味少し病気というふうなことも含めて、さまざまな要因がからんで、結果として複合的な要因がさまざまからんで、こういったような事故になったというふうなことで位置付けられておりますので、必ずしも校長がこのことによってすべての責任があると、あるいは原因だったということでは、私としては、とらえてございません。
新任教師の相談体制強化、学校現場の多忙の根本的解決に尽力を
白井議員:もちろん、私もそう思います。
それで、この新任教員が、追い詰められながら自ら訴えたかったことを汲み取ることが必要と思います。新任教員の育成にあたっては、学校現場で全ての新任教員がおかれているさまざまな負担やストレスの過大さに対して、教育委員会として打つべき手、とるべきサポート体制があるはずと思うんです。どのように充実するのか、伺います。
山田教育長:新任者のサポート体制のお話でございますけれども、まず校内では初任者に指導教員による定期的な指導・助言を行っておりますほか、人材育成組織でございますメンタルチームを設置をいたしまして、不安や悩みを話し合えるシステムを充実をさせております。また、校外では事業改善支援センター、俗にマープというふうにいっておりますけども、において、授業づくり講座あるいはよろず相談というかたちで開催をさせていただきまして、相談等の体制を整えているところでございます。また、メンタルヘルスにつきましては、健康相談室等での相談を行うなど、充実に進めているところでございますけれども、引き続きそういったことで努力をしていきたいというに考えております。
白井議員:相談体制ももちろん必要と思うんですけれども、ぜひ学校現場の多忙の根本的解決にも力を注いでいただきたいと思います。そして、今回、追いかけられて悩みながら亡くなった事実を、教育委員会の中だけでなく、私たち市民も共有して、若い先生を育てるサポート体制を充実させることにつなげたいという思いです。昨日、今年度の教員採用試験合格者、発表されました。今回の件、しっかりくみ取って、育成をよろしくお願いいたします。