日本共産党を代表し、議第3号議案 特別自治市制度の早期実現を求める意見書の提出について反対の立場から討論します。
意見書には、現行の指定都市制度は65年前に暫定的に導入されたものであり、人口減少や少子・高齢化、社会資本の老朽化などの課題や圏域全体の活性化・発展の牽引役として指定都市が求められる役割に十分に対応できる制度になっていない。と最初に書かれていますが、指定都市制度であるがゆえに、人口減少社会や少子・高齢化、社会資本の老朽化の課題や役割に十分に対応できないとしている認識そのものは間違っています。
人口減少や少子・高齢化、社会資本の老朽化の課題は全国的な問題であり、それこそ国が各自治体の現状をしっかりととらえて、そのために必要な財源措置や必要な施策を実施することこそが、一番の解決策です。指定都市制度であるから、対応できないということに結びつけることは、あまりにも短絡的すぎます。
また、意見書には、特別自治市は、市民サービスの向上はもとより、圏域の発展や国際競争力を強化するとともに、その効果を国内に広げ持続可能な地域社会の実現を図るものである。ともしています。
市民サービスの向上という点からすれば、財政規模の小さな一般市町村でも当たり前に実施している中学校給食実施は、政令市でもトップの財政規模を誇る本市にもかかわらず、今年になってやっとスタートしたという状況で、全国20ある政令市の中で横浜市以外は全て実施していました。他にも、政令市では3番目に高い国民健康保険料や8番目に高い介護保険料、そして他都市にはない超過課税であるみどり税など、自治体として市民への負担を求めています。これこそ、市民サービスの向上とはいえない実態であり、現状でも改善できることです。
現在新型コロナの影響を受けている中で、地方自治体の在り方が問われています。特にこの新型コロナ感染症対策については、感染症法により都道府県の役割として、基本方針に即した施策実施に関する計画(予防計画)の策定、各地域での検体の検査の実施、各地域での感染情報の収集と、厚生労働大臣への報告、感染者への入院勧告などが明記されています。
この法に基づいて、神奈川県は高齢者施設での定期的なPCR検査の実施や感染者の受け入れ施設の確保などを行い、横浜市とも連携をしてきています。これらの点から、今回のコロナ対策において、都道府県がいかに広域的に機能しているか、市民は知ることになりました。現在、高齢者のワクチン接種の完了時期を7月末に早められたことで、市はその計画を軌道修正するだけでもてんてこ舞いになっています。市の保健所が一か所しかないため、ワクチン接種予約ができない方に対してのきめ細やかな対応は実際にできないことも明らかになりました。このままでは、ワクチン接種を希望していても取り残されてしまう方が出てしまうのではないかと危惧します。市民に身近な行政区の機能強化は、現状の制度でもできる問題です。今でもできることをなぜ実施しないのでしょうか。
このような現状にありながら、いま特別自治市に変更しても政令市が感染症対策などは法を超えて独自に行えるという国からの保証はありません。
今、市民が求めていることは、一刻も早く新型コロナを収束に向けて、国や地方自治体が一致団結して対策に取り組むことであり特別自治市の実現を求めているわけではありません。よって、この意見書を提出することについては、賛成できないことを主張し討論を終わります。