脳血管医療センターの経営改革向けて市民が納得できる具体策を
関議員:日本共産党を代表し、質問いたします。
まず、脳血管医療センターの経営改革について伺います。
8月に、「市立病院の経営に係る基本的な課題の検討について」とする答申書が横浜市立病院経営委員会から局長に提出されました。
答申書に「脳血管医療センターは、当初から一般会計繰入金を28億円余投じても、毎年度9億円余の経常損失となる見込みであった」と指摘がありますが、改めて2009年度決算における一般会計繰入金と経常収支を伺います。
原病院経営局長:一般会計繰入金は約28億8000万円、経常収支は約11億7000万円の赤字となりました。
関議員:脳血管医療センターは、脳卒中の発生から早期リハビリを開始し、在宅復帰率が83%と高く、患者満足度も90%以上で、市民から高く評価されています。しかし、病床稼動率が低いことが経営上の問題点だと指摘されています。そこで、仮に300床ベースで病床稼働率を目いっぱいの93%とした場合、黒字になるのかどうか、伺います。
原病院経営局長:仮に、21年度決算での入院単価で試算しますと、入院収益は約8億5000万円の増収となりますが、21年度の経常赤字額約11億7000万円にはおよびません。
関議員:まあ、厳しいと思う話ですけれども、病床稼働率を上げるには、医師の確保が不可欠です。今も必要数30人に対して20人と聞いていますが、脳卒中の専門病院ということで、診療体制から合併症を抱えた患者の対応はできないということです。医師にとっても魅力のある病院にしないと黒字に改善されないと思いますけれども、その点での見解を伺います。
原病院経営局長:委員のおっしゃるとおりで、脳血管医療センターの経営改善のためには、医師にとって魅力のある病院にすることが必要であると考えています。
関議員:答申では、入院期間を短縮してできる余剰病床を脳血管疾患以外の地域の医療ニーズを満たすために活用することも必要としています。先の総合審査で、脳血管医療センターは高い紹介率、また搬送患者の多さ、専門病院としては地域から一定の信頼を受けているというふうに伺いましたけれども、地域ニーズにあった医療機能の改革で黒字は改善される見通しがあるのかどうか、そのあたりのところで、今後どのような改革を考えているのか、伺いたいと思います。
原病院経営局長:経営委員会の答申書の提言を踏まえまして、新たな医療機能を整備し、病床利用率と診療単価を上げることで経営改善に努めてまいりたいと考えております。
関議員:具体的に、こうこうこういうふうにすれば改善ができる、これからの検討のようですけれども、現在でこうするというのはないんでしょうか。
山本脳血管医療センター長:先ほども答弁させていただきましたけれども、当面、やはり患者数を増やすためにということで、特に急性期、やはり脳卒中ですから急性期を充実させないといけないと思います。そのために、やはりこのいまTPAとシステムありますけれども、それを踏まえた救急体制、救急と連絡を密にするということ。
それから、当面すぐできるということは、いま空いた病床をできるだけ、特に季節変動がありますので、それを今のような夏場を乗り切るには、比較的手術なんかにしても待ってできる手術ですよね、特にお年寄りが多いもんですから、私、脳神経外科が専門ですけれども。脊髄とか背骨の疾患だとか、腰の疾患ですね、そういうものを拡大しつつ、いまそういうことによって要するに患者の数を増やすということが最重要課題だというふうに、いま考えております。
関議員:ぜひ、市民が納得するような具体的な方策で、いまの経営の困難さを改善していけるんだというのを、ぜひ市民に示してほしいと思いますね。そういう意気込みが、ここでももっとばんばんと伝わってくるようなご答弁をお願いしたいんですけれども、なんとなく厳しい厳しいという感じできているように思うので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
地方公営企業法の全部適用で、現在でも病院事業管理者や病院長には様々な権限が付与されていると聞いています。答申も、独立法人化それ自体が経営改善をもたらすものではないとしていますが、独立行政法人化して権限を付与すると、いまの赤字が改善するという、そういう意見もみられるように思うんですけれども、本当に黒字が独立行政法人化による権限付与で黒字に改善されるものなのかどうか、そのあたりのところを伺いたいと思います。
原病院経営局長:経営委員会の答申では、独立行政法人化はそれ自体は経営改善をもたらすものではなく、現場に、委員もおっしゃられましたけれども、権限と責任を付与して、効率的な経営が行われた結果として、経営改善が期待できるということでございます。病院経営局といたしましても、独立行政法人化のみで黒字が必ず達成できるものとは考えておりません。
関議員:脳血管医療センターは、高い理念のもと、病院建設事業費として老健を含め380床の施設に294億円をかけて建設を行う一方、脳卒中は診療報酬上も特に高い評価をされているわけではなく、さらにリハビリなどにより入院日数も長くなるなど、当初の計画から赤字経営を前提としていたもので、設立の経緯等を踏まえた議論なしには抜本的な経営改革もないと考えます。設立に関しては市の責任でもあるので、市としてどのように考えているのか、大場副市長に伺います。
大場副市長:開院の当初からたいへん厳しい経営状況ということは、いろいろ想定をしておりました。その後、地域の医療機関の整備であるとか、医療技術の急速な進歩ということもございました。脳血管医療センターを取り巻く周辺環境も大きく変わってきたということがあります。また、加えて本市の財政状況も大変厳しくなってきたことも事実であります。
こういうことで、こういう状況の中で、脳血管医療センターの経営改善に向けて、今後経営委員会の答申をいただきましたので、これを十分踏まえつつ、地域医療ニーズに十分に対応できる医療機能の構築を目指して、全市的な視点で検討を進めていきたいというふうに考えております。
入職準備金制度などの導入で看護師確保を
関議員:次に、看護師の採用について伺います。
脳血管医療センターの看護師の不足状況、合わせて2009年度、2010年度の看護師の採用状況はどうだったのか、伺います。
原病院経営局長:22年9月1日現在で申し上げますと、現状の職員定数219人に対しまして、常勤換算で4.2人の不足が生じております。
また、21年度は29名の看護職員を採用いたしました。これに対しまして、22年度の採用数は9月までで20名となっています。このほかに、年度内の採用が内定しているものが現時点で3名あるなど、さらに一定程度の採用が見込まれております。
関議員:努力されているようですが、看護師確保が年々困難になっていると聞いています。看護配置基準7対1を維持するためには、看護師の採用について、専任の係長を配置するなど部署を強化する必要はないでしょうか。
原病院経営局長:看護職員の確保につきましては、局の人事課が中心となって取り組んでおり、人事課には看護職員の確保および育成を主たる業務とする担当係長を配置しております。また、担当係長のほかにも、看護師長としての豊富な経験を有する専任の確保、担当職員を複数配置するとともに、両病院の看護部とも密接に連携しながら進めているところでございます。こうした体制のさらなる充実の必要性については、今後確保状況を見極めながら検討してまいります。
関議員:ぜひお願いします。
市大付属病院で、引越し費用等にあてる20万円の入職準備金制度を89人分用意し、看護師確保に活用し、多く採用が決まっており、一定の効果がみられるようですが、市立病院でも検討する考えはないのか、伺います。
原病院経営局長:看護職員が就職先などを選ぶ理由は、給与その他の金銭上の理由だけではございません。看護職員としてのキャリアアップに向けた教育研修体制が充実していること、自分が将来進みたいと思っている専門分野に関して指導者がいる、また出産や子育てに関する支援制度が充実し、働き続けやすい環境が整っているなど、さまざまでございます。優秀な看護職員が集まり、存分に力を発揮できる環境を整えるために、これらのひとつひとつについて充実に努めるとともに、積極的な確保策を展開しているところでございますが、ご指摘の入職準備金制度についても、今後の確保状況を見極めながら検討していきたいと考えております。