◆宇佐美委員 日本共産党を代表し、質問します。よろしくお願いいたします。
まず、飲料水の備蓄についてです。
ここ数年と言いましょうか、ここ数カ月の間にも大規模な自然災害が日本各地で起こり、とうとい命が奪われました。風水害だけでなく大地震が起きたところでは、水道管の破裂や、北海道では全道停電によりポンプが稼働せず、高層の建築物では水が蛇口まで来ないとかトイレが流せないとか、お風呂にも入れないというようなことが起こりました。改めて飲料水、水の備蓄について考えさせられた方も多いかと思います。
局として、水の備蓄についての啓発はどのようにされているのか伺います。
◎吉野給水サービス担当部長 広報よこはまや検針のお知らせの通信欄を活用したPR活動、地域の防災訓練や区民まつりへの参加、鉄道車内広告でのPRなど、市民の皆様に飲料水の備蓄の大切さをお伝えする取り組みを行っています。また、水道局の横浜水缶につきましては、配送料無料などの特典つき販売といった取り組みも行っており、市連会や区連会でも御案内をさせていただいております。
◆宇佐美委員 私も議員になってから水道局担当でずっといさせていただいて、横浜水缶のことも知りまして、私も備蓄をしたところです。
皮肉なことに、各地での災害を見るにつけ、避難に必要なものや水の確保などのことを考え、そのときに備蓄をするということが一番多いきっかけになっていますし、訓練のときに備蓄の必要性を認識して、備蓄する方もいらっしゃると思いますが、もともと訓練に参加される方は意識の高い方で、ふだんから備蓄していると思いますが、問題は、訓練に参加できない、しない方々には働きかけしなくてもいいとお考えですか、伺います。
◎吉野給水サービス担当部長 啓発でございますが、先ほどお伝えしました全戸配布の広報よこはま、それから検針のお知らせも全戸配布してございます。このようなものを活用した取り組みに加えまして、今年度、新たに日本郵便のかもめ~るを活用した備蓄促進のはがき配送を行いました。これは、水道局の飲料水備蓄を促すメッセージと協賛企業のPRをはがきに掲載し、協賛企業の費用負担により配送するものです。55社から協賛をいただき、約5万枚のはがきを地域の皆様にお送りすることができました。今後もさまざまな方法で、訓練に出られない方にも飲料水の備蓄促進の働きかけをしてまいります。
◆宇佐美委員 いろいろな工夫をしていらっしゃると思いますが、災害時には行政はすぐに動けないこと、1日1人3リットル、最低でも3日分の9リットルの水が必要だということを広く知らせることが大事になってきますが、いざ備蓄をしたとして、どこに保存したらよいのか悩むところです。どこにどのように保存すればいいのか、局として踏み込んだ対策を示す必要があると思いますがどうか、伺います。
◎山隈水道局長 現在、水道局では、備蓄専用のスペースが確保できない、そういった場合などのためにローリングストックによる備蓄方法を災害時給水マップの裏面などで御案内をしております。しかし、各御家庭によりまして、備蓄スペースの状況はさまざまでございますので、各御家庭の事情に合わせて考えていただきたいと思っております。水道局が具体的に、なお踏み込んだ対策を示すのはなかなか難しいと考えております。
◆宇佐美委員 それぞれの住宅事情もありますし、ひとり暮らしですと、3畳間という住まいの方もいらっしゃいますので、なかなか工夫するのは大変だと思うのですが、分散して保存するか、使いながら常に新しいものを--ローリングストックと教えていただきました--保存することをお勧めしているということですが、水を運ぶ訓練などは地域から呼ばれなくても参加していくなどしていただきたいと思います。ぜひこれから啓発に関してさらに工夫していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
次に、個人福祉減免制度について伺います。
まず、個人福祉減免制度はどういう制度ですか、伺います。
◎山隈水道局長 個人福祉減免制度でございますが、福祉行政の一環として、健康福祉局等の依頼に基づき、身体障害者等一定の要件を満たす方の水道料金、下水道使用料の基本料金を減免する制度でございます。なお、減免した水道料金については、一般会計から全額繰り入れを受けております。
◆宇佐美委員 大変すぐれた制度であり、今後も続けていただきたい制度であることがわかりました。
それでは、現在、減免制度を受けている方の件数を伺います。
◎吉野給水サービス担当部長 平成29年度の減免の登録件数を申し上げますと、身体障害者世帯や要介護4、5世帯、ひとり親家庭等医療助成世帯等で合計8万6439件となっております。
◆宇佐美委員 では、この制度を利用された方の利用資格がなくなった場合や、御本人が亡くなられた場合の減免の見直しや資格の取り消しはどのように行われているのか、伺います。
◎吉野給水サービス担当部長 減免資格の喪失時につきましては、御本人、御家族の方から速やかに水道局へ申告していただくこととしております。また、それ以外に、毎年1回、水道局が使用している減免対象者リストを健康福祉局、こども青少年局に送付しまして、資格の確認を依頼しております。両局は、11月1日を基準日として、各役所に対して実際の確認作業を依頼しています。区役所のほうでは約合計8万件以上の減免対象者になりますが、これにつきまして確認作業を行い、1月末までにその結果を水道局に返す流れとなっております。
◆宇佐美委員 丁寧に説明していただいてありがとうございます。でも、申告待ちということなので、何らかの形で利用資格がなくなっても申告がない場合、次の年の資格確認時まで減免は継続されたままになります。なぜ次の年の資格確認時としているのか、理由を伺います。
◎吉野給水サービス担当部長 減免につきましては、年に1回の確認ということで、今、進めさせていただいております。
◎山隈水道局長 基本的には、資格がなくなった時点で、御本人様、あるいは御家族様から届け出をいただくというのが基本でございます。それを補う形として、年に1回、確認をさせていただいているということでございます。
◆宇佐美委員 申告が基本ということですが、1年に1回の確認では不十分ではないでしょうか。何らかの改善が必要と思いますがどうか、伺います。
◎山隈水道局長 先ほども申しましたように、基本は資格がなくなった時点でお申し出をいただくということでございます。ただ、御指摘のように、御自分で申告をお忘れになる方等々もいらっしゃいますので、1年に一遍確認をしているということでございます。今、1年に1回で不十分ではないかということでございますが、我々としては、やはり御本人様から申し出ていただくことが基本だと考えています。なので、これからは、御本人様から申し出がなかった場合でも、区役所において、減免を受けている事由がなくなった等々の手続をされることがあります。少なくとも、その情報がきちんと我々のほうに来るように、そういうところの連携はしっかりと深めていきたいと考えております。
◆宇佐美委員 ぜひ他局、区役所との連携を図っていただきたいと思います。あわせて、2008年度をもって廃止された保育所などの社会福祉施設、医療施設、幼稚園への減免制度の復活も要望し、次の質問に移ります。
最後に、西谷浄水場の再整備について伺います。
西谷浄水場の再整備の検討はいつからされ、当初の計画はどういう計画だったのか、事業費もあわせて伺います。
◎渡邉西谷浄水場再整備担当部長兼計画課長 平成23年度から水源水質に適した浄水処理方法の検討を開始いたしまして、平成24年度から平成26年度にかけて、外部有識者で構成する検討会を実施いたしました。これらの検討を踏まえまして、平成28年度に当初の計画を策定いたしました。この計画では、喫緊の課題であるろ過池の耐震化とカビ臭に対応するための粒状活性炭処理施設の導入のみを事業内容としており、事業費は約250億円と試算していました。
◆宇佐美委員 当初はろ過池の耐震化と粒状活性炭処理施設の整備が目的だったということですが、その後、当初の計画とは別の検討案が出されました。新たな検討案はどういう計画で、事業費は幾らと見積もったのか、伺います。
◎渡邉西谷浄水場再整備担当部長兼計画課長 まず、平成29年度予算を議論する中で、給水の安定性やコストにすぐれました自然流下形である西谷浄水場の能力を最大限発揮させるために、相模湖系水利権水量の全量処理を早期に実現する方針に変更いたしました。これに伴いまして、西谷浄水場の再整備範囲をろ過池と粒状活性炭処理施設から、浄水場全体に拡大して、検討を行いました。この検討の過程で、浄水処理施設を5メートル程度かさ上げするB案が浮上いたしました。この案は最終的に採用いたしませんでしたが、場内の配水池に水を送るためのポンプを廃止できる可能性があったため、検討を行ったものでございます。このB案は、当初の計画と整備範囲が全く異なるものでございまして、事業費は約817億円と試算していました。
◆宇佐美委員 説明ありがとうございます。1年の検討期間があり、最終的に出された案は、当初の案に整備する範囲を広げた計画となりました。この計画の事業費は幾らになりますか。
◎渡邉西谷浄水場再整備担当部長兼計画課長 今御説明申し上げましたとおり、相模湖系統の水利権水量の全量処理を早期に実現することといたしまして、再整備範囲を浄水場全体に広げて検討を行いました。この検討では、当初計画していた事業費に加えまして、全量処理に向けた処理能力、処理性能の増強、既存の浄水場を稼働させながら施工するための費用、くいや土どめ構造物など詳細な検討の結果、新たに必要となった費用など、西谷浄水場再整備事業にかかわる全体の費用を積み上げました結果、事業費は約681億円となりました。
◆宇佐美委員 なぜこんなに計画が変わり、コストもはね上がるのか。コストがはね上がることは、最終的に水道料金となって市民負担としてはね返ってきます。当初の計画は、耐震化と粒状活性炭処理施設の整備だけだったはずです。この再整備が本当に必要なのかとちょっと疑いたくなります。この再整備の検討を始めるために、局の中ではどのような体制で検討されたのか、伺います。
◎山隈水道局長 西谷浄水場の再整備につきましては、平成23年度から検討を始めております。その検討の初期段階でございますが、このときは局の技術部門を統括いたします計画課という課を中心に、浄水課や西谷浄水場などの関連課が連携しながら検討を進めました。その後、翌年の平成24年度から平成26年度にかけましては、外部有識者で構成をする西谷浄水場浄水処理方法検討会という外部の委員会で検討を行いました。これが検討の初期段階でございまして、その後、その検討会の報告に沿って、平成28年度に当初の計画を策定しました。それが先ほど委員がおっしゃった250億円というものでございますが、それをさらに、相模湖系水利権水量の全量処理の早期実現に方針を変更して、その後は、今度は水道技術管理者をトップとする局横断的な検討組織を立ち上げて、検討を進めてきました。それは今も検討を進めております。
◆宇佐美委員 当初は西谷浄水場の再整備のみを担当するところはなかったという考え方でよろしいですか。
◎山隈水道局長 そうした専門の部署は設けておりません。浄水場の再整備となりますと、これは水道局全体にかかわる大きな大事業でございますので、専門のところが全部抱えてやるということではなくて、どこかを中心に局全体が連携をしてやるということになろうかと思います。
◆宇佐美委員 私は専門のところがあったほうがよかったのではないかと思っているのですが、この再整備計画の当初の計画自体、熟慮が足りなかったのではないかと考えますが、どうですか。
◎山隈水道局長 当初の計画は、先ほど言いましたように平成23年度から検討を始めておりますけれども、当時は、水道料金収入の大幅な減少が今後も続くと、そのように見込んでおる中で、まずは、喫緊の課題であるろ過池の耐震化とカビ臭の発生に対応するための粒状活性炭施設の導入を行おうということで、この2施設に整備対象を限定したということであります。計画の熟慮が足りなかったのではないかというお話でございますが、熟慮が足りなかったというよりも、経営状況を踏まえた当時の判断であったと思います。
◆宇佐美委員 そのときとは経営状況が違うということですが、この計画がころころと変わるのは、職員定数を減らしてきたことで技術継承がうまくいっていなかったことが背景にあるのではないかと思いますが、どうですか。
◎山隈水道局長 御指摘のとおり、水道料金収入がこの間ずっと減ってきておりますので、それらに対応するために、業務の効率化を図りながら職員定数を減らして、そして、効率的な執行体制を構築してきました。しかし、これは公営企業として時代の変化に対応していくために必要な取り組みであったと考えております。一方、そういう中でも、技術継承については局独自の人材育成制度をつくりまして、しっかりと進めてきたと思っております。技術継承が今後の経営課題の一つであるという認識は持っておりますが、現時点で、あるいはこれまで技術継承がうまくいっていなかったとは考えてはおりません。
◆宇佐美委員 この計画の考え方自体、つくるにしても、やはり経験とかが必要だったと思うのです。1日の水需要は夏場と冬場でも違いますし、原水の質でも、薬の量も違います。これは経験が物を言います。この再整備計画は今後20年にも及ぶ工事になりますが、この長い期間にさらに水需要が減っていくことは、本市も人口減少とともに予測をされています。局として、恐らく初めて水量を減らしていくことに取り組まなければならない時代になりました。こういった長期的な計画と実行には、やはり技術者の育成を実行するための体制が必要だったのではないかと思います。
私は、以前から技術継承のために職員をふやして育ててほしいということを要望し続けてきました。水道局も先ほどおっしゃっていましたが、技術継承について真剣に検討され、局独自に採用することを始めましたが、やはり今後の水需要の推移や管路等の維持管理には相当な経験とノウハウがなければできないと考えます。今後、水道技術職の採用をふやし、次の世代にしっかり継承していくべきと考えますが、見解を伺います。
◎山隈水道局長 御指摘の水道技術職員につきましては、ベテラン職員が多く退職していく中で、生涯水道局に勤務をして、長期にわたって水道特有の技術、ノウハウを確実に継承する役割を担える人材として、水道局としても大変期待をしております。今後も、積極的な採用を継続していきたいと考えております。
◆宇佐美委員 冒頭にも申し上げましたが、自然災害や大地震が続いています。この応急復旧等に携わるにしても、やはり先ほども局長おっしゃっていましたけれども、経験が必要です。本当に、私は、人口減少が決して悪いこととは思っていないのです。でも、今後の水需要を予測するにしても、これからの人口減少とともに、水の量を減らしていくダウンサイジング等々をしていくにしても、知識と経験が本当に必要です。市民に必要なライフラインである水を守ることと職員の技術継承は切っても切れない関係にあります。技術継承に今後も本当に真剣に取り組んでいただきたいと要望し、私の質問を終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2018年10月17日