◆荒木委員 共産党を代表して質問いたします。
委員長、スライドの許可をお願いいたします。
○山本副委員長 はい、許可します。
◆荒木委員 それでは、新たな劇場整備について伺ってまいります。
まず、新たな劇場整備検討委員会が年内に取りまとめを行った後、今後の検討スケジュールについて伺っていきたいと思います。
◎伊地知政策局長 よろしくお願いいたします。
新たな劇場整備検討委員会の提言につきましては、その内容を尊重して、市としての進め方をお示ししたいと考えております。ただ、具体的なスケジュールにつきましては現段階では決めておりませんが、できるだけ早期にと考えております。
◆荒木委員 改めて横浜市中期4か年計画を見たのです。この中には劇場整備については2021年までに事業化検討、事業推進となっています。この計画を読む限りでは整備という言葉はないのです。2021年までに整備検討するということまで行くのかどうか、この点、副市長に伺います。
◎小林副市長 横浜市中期4か年計画にはそのように書いてございますけれども、今局長が申し上げたとおり、答申、提言を受けてから、できるだけ早期に取りまとめていきたいと思っています。
◆荒木委員 その取りまとめの仕方も非常に疑問があるのです。何でそんなに急いでつくらなければいけないのか。そこが一番疑問です。その点について次から伺っていきたいと思います。
新たな劇場整備検討委員会でも意見が出されているので、この間、1回から4回までの新たな劇場整備検討委員会における報告書を読ませていただきました。その中で、第4回の新たな劇場整備検討委員会で整備の方向性・運営のあり方に示されている6つの論点の内容について、まず説明してください。
◎尾仲政策調整担当理事 整備の方向性・運営のあり方の論点でございますが、論点1といたしまして上演ジャンルをどう設定するのか、論点2といたしまして舞台芸術の実演団体の育成、活性化をどのように取り組むのか、論点3といたしましてアジアの拠点となるためにはどうしていくのか、論点4といたしまして自主事業と貸し館事業の組み合わせをどうしていくのか、論点5といたしまして公的支援(公的負担)についてどのように考えていくのか、論点6といたしまして運営主体のあり方をどう考えていくのか、以上の6点を挙げておるところでございます。
◆荒木委員 では、今の論点1、上演ジャンルの設定及び論点5、公的支援の考え方に記載されているリスクの内容についても示してください。
◎尾仲政策調整担当理事 今荒木委員の御指摘のリスクの、そもそもの考え方でございますが、重要な課題は何なのかということで解釈をさせていただき、お答えさせていただきたいと思います。
まず、論点1につきましては、バレエ、オペラなどの上演とそれ以外の舞台芸術のジャンルの上演をどう設定するのか、その際、高い芸術性をどう確保するのかということが重要な課題と思っております。また、論点5につきましては、芸術性の高さを維持しつつ、安定的な経営を持続させるために、国や民間企業からの支援、市からの公的負担などの財源をどう確保するのかが重要な課題と考えております。
◆荒木委員 このとおりだと思うのです。そういうことに対して市としてどのように今検討されているのか、伺います。
◎尾仲政策調整担当理事 今御答弁をさせていただきました論点1、論点5、いずれにいたしましても、高い芸術性をしっかり確保していくことと財源の確保の両立をどうしていくのかが共通のテーマだと考えております。その際、高い芸術性を確保することを何よりも大切にしなければいけないと考えておりまして、その上で、劇場としての収益力の向上ですとか多様な財源の確保については、引き続き検討していきたいと考えております。
◆荒木委員 今回、バレエ、オペラに限るのではないのですけれども、やはりそこに注目して資料を見せていただきました。2017年度の東京都と神奈川県とのバレエ、オペラの上演回数の比較している資料が示されています。その点を説明してください。
◎尾仲政策調整担当理事 2017年の、ぴあ総研の市場規模推計によりますと、バレエは東京都で302回、神奈川県で30回、オペラにつきましては東京都で190回、神奈川県で19回の上演となっております。
◆荒木委員 今の比較を見ただけでも、神奈川県ではオペラもバレエも回数が少ないことについて、どう認識されていますか。
◎尾仲政策調整担当理事 実演団体の皆様にお伺いをいたしますと、神奈川県内にはバレエ、オペラを主目的とした本格的な舞台芸術を上演できる施設が少ないことが原因であると聞いております。実演団体から選ばれる劇場につきましては、集客力も大切かと思いますが、設備などの性能ですとか使い勝手、あるいは周辺の宿泊施設といったような劇場のステータスなどが重要な要素と認識をしているところでございます。こういったことにつきましては、引き続きしっかり検討していきたいと考えております。
◆荒木委員 またちょっと調べました。つい先日、9月12日から22日、これは「ファウスト」をやっているのです。東京文化会館で3回、22日、県民ホールで1回、これはオペラです。「ファウスト」。それから、「オテロ」を9月14日から23日の間に、神奈川県民ホールが2回と東京文化会館2回ということで、これはチケットも、E席2万3000円、F席1万6000円と、オペラですから非常に高いです。運営されていた主催は日本舞台芸術振興会です。
まず、尾仲理事はどちらか見に行かれましたか。(笑声)
◎尾仲政策調整担当理事 「ファウスト」と「オテロ」、両方とも見に行きました。(「すばらしい」と呼ぶ者あり)
◆荒木委員 これは近くに来ているから、多分神奈川県民ホールのほうに行かれたと思うのですけれども、通常、同じ演目を近県でやるのは、県民ホールでこれだけチケットをさばくのは非常に苦労したというのを私も知り合いの方からお聞きしたのです。なぜかというと、東京文化会館は演目する団体からも非常にオファーが高くて、まずそっちでやりたい。プラスということになると、見たい人たちは先に東京文化会館のホールを知っていますから、私も行ったことがあるのですけれども、そっちで見たいというのが、会館とアクセスのよさで選ぶと思うのです。この点、非常に県民ホールが苦労したということはお聞きになっていますか。
◎尾仲政策調整担当理事 今回のオペラに限らず、同じ演目を東京と横浜で上演いたしますと、やはり東京にお客様が集中してしまう傾向はございます。そういう意味では、今、新たな劇場整備検討委員会の中でも、東京と両立というよりは横浜らしさでしっかりとやっていけることを考えるべきであるという御指摘もいただいております。
◆荒木委員 横浜らしさでやるとなると、母体があるかどうかということは決定的だと思うのです。新たな劇場整備検討委員会の報告を見ていても、これが非常に大変で、バレエ、オペラのチケット販売額から推計すると、これは第3回新たな劇場整備検討委員会報告書にあったのですけれども、市場規模を見ても、オペラは40億円程度で、バレエが40から50億円程度で、経年ではオペラの来日公演、海外からは減少している傾向なのです。だから、バレエが来日公演を多く占めているのですけれども、年ごとの増減の変化はあるものの全体的に横ばいということで、日本でオペラ、バレエをやる人たち自体もそんなに確保されていない状況で、横浜市が新たな運営をできるという確信は持っていらっしゃるのでしょうか。
◎尾仲政策調整担当理事 今委員から御指摘いただきました東京文化会館等々にも、実を言うとそれぞれ課題がございまして、現実的には諸外国と比べると高コスト構造になっております。そういう意味で、横浜が東京圏の中でどういう形でやっていけるのかというのは、そこには大きなチャンスは私はあると思っております。一方で、それをさばいていく、運営ということが課題であることも一方で認識をしておりまして、それにつきましては引き続きしっかりと検討していきたいと考えております。
◆荒木委員 いや、そこが甘いのです。2006年、これはちょっと古い資料なのですけれども、びわ湖ホールで自主制作したオペラがあったのです。プッチーニの「トゥーランドット」とリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」、2演目を3日間公演して、制作費は約1億9500万円かかったと言われています。オペラが大変なのは、制作費が2億円から3億円が普通だと言われています。入場料収入で賄われたのは二、三割にすぎず、あとは財団基金の切り崩しと県税からの補助金で賄われたという例だそうです。それ以外のオペラも上演している新国立劇場の収入規模を調べてみました。利用料収入で占める割合は33.6%、県民ホールで19.4%と半分以下が大半です。これはオペラばかりではないのですけれども、でも、やはりそういう点では、利用料収入で確保するのは相当厳しいということは現実として受けとめていらっしゃると思うのです。
一方、言いたいのは、海外では、では、どうしているかというと、ドイツは15%のチケット収入に対して85%が補助金、パリのオペラ座は収入の6割以上、国庫補助金あるいはスポンサーシップで賄う。やはり国が圧倒的には支援しているわけです。
先日市長も、国庫補助金に対して国からの補助については何とか確保するとおっしゃっています。でも、その数字だって明らかになっていない中で、本当にこういうやり方ができるという認識を持っていらっしゃるのか、理事に伺います。
◎尾仲政策調整担当理事 やはり特に委員御指摘のオペラ、それも創作オペラということになりますと、創作費全てがかかるものでございまして、それにつきましては、そうはいっても、いろいろなつくり方もございまして、最近は劇場同士で数社で、幾つかの劇場で折半をし合ってつくっているケースが非常にふえてきております。そういう意味では、各劇場が今、試行錯誤の中で、コストダウンを図りながら市民の皆さんにどう提供していこうかという工夫もなされているところは事実でございます。
一方で、国の補助制度もやはり時代的には大分、今のそれぞれの状況等、変化もしているところもございますので、国にもしっかり働きかけながら、また、民間の支援が入りやすい構造であるか否かということも、実際調べてみますと課題が多々ございますので、そういった点をしっかり整理しながら検討を深めていきたいと思っております。
◆荒木委員 いや、無理だと思います。だって、今のドイツとかフランスあたりでも、5割以上国庫補助なのです。だから、一自治体で負える規模ではないということだけは、ちゃんと認識したほうがいいです。本当にそれだけ入ってくるのなら私たちも本当に賛成しますよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
それから、バレエ、オペラを観たい、演じたいという点に関するニーズ調査の実施についてはいかがでしょうか。
◎尾仲政策調整担当理事 今回、新たな劇場整備検討委員会におきましては、検討に必要な調査ですとかデータ提供につきましては、委員の方からの御指導をいただきながら進めているところでございます。今委員御指摘のニーズにつきましては、文化芸術などに関する意識や動向、また、市場動向など取り巻く環境の把握、また、オペラ、バレエの実演団体のヒアリングなどを参考にしながら、ニーズについては検討しているところでございます。そういう意味では、委員御指摘のいわゆるニーズ調査は行ってはおりません。
◆荒木委員 そこまでバックデータが足りない中で整備を進めるというのは、やり過ぎです。
もう一つ指摘しておきたいのです。これは横浜市がつくった3回の新たな劇場整備検討委員会の資料なのですけれども、(資料を提示)ここでも若干参考資料が載っていて、鑑賞した文化芸術のジャンルで言うと、オペラが入っているのは上から5番目で25.2%、鑑賞しなかった理由は、関心がないから35.4%ということで、文化芸術に対しての関心度というのは余り高くないということも。一方で見えるところで、もっとすごいのは、文化芸術への関心を高めるためにはどうしたらいいかということで、無料で見られるコンサートや展覧会がふえる。やはり料金設定はすごく効くのです。だから、さっき言ったように2万3000円、1万6000円を見られるという方はごくごくわずかで、ヨーロッパだってその人たちの人数が減っているから、今、非常に苦戦しているという事実は御存じだと思うのです。この点はいかがでしょうか。
◎尾仲政策調整担当理事 特に、やはりオペラにつきましては、お客様の高齢化ですとか、減少してきている。一方、バレエにつきましては、バレエ教室に通われている世帯の方もふえてきているということで、バレエとオペラというのは、若干いわゆるお客様の層、ニーズは分けて考える必要はあるかと思っております。
一方、オペラにつきましては、他の劇場ですと、やはり価格設定を少し下げて、そこについて公的負担をしている事例もございます。そういう意味ではバレエ、オペラを文化政策としてどういうふうに取り入れていくのかについては、もう少し新たな劇場整備検討委員会の中でも議論をしながら、今委員の御指摘の点については検討を深めていきたいと思っております。
◆荒木委員 そこが肝です。グランドオペラをやるのに対しては、出演者、スタッフがいかにいるか。これも多分御存じだと思うのです。指揮者が1名、合唱指揮が1名、これはオペラです。アシスタント1名、舞台総監督1名で、オーケストラ、もうこれもオーケストラの規模によっては200名ほどは普通ですよね。合唱団も100名規模、それから、マネジャーとか、いろいろな人たちを全部入れると五、六百はいるだろうと言われているのです。
だから、その人たちを抱えることが一定できなかったら当然コストも上がるし、収入では賄えないことは見えていると思うのです。その点のことについても検討されているのでしょうか。
◎尾仲政策調整担当理事 今、委員御指摘の英国ロイヤル・オペラの事例だと思います。英国ロイヤル・オペラの事例につきましては、実際私どもも検討いたしまして、やはり高コストになっている原因は人の問題と拘束期間の問題だと思います。実際はそれだけの、さっき委員のほうで御紹介をいただいた数を、実際はほぼ3週間ぐらい日本で拘束をしている。それにつきましては、それぞれの劇場で展開ができないとか、移動のコストがかかるとか、そういったようなことで、日本ならではの高コスト構造も出てきていることも検討でわかってきたところでございます。
そういう意味では、そういった点についても、コストを下げるというより効率的な形で市民の皆様にお見せすることも可能だと思っておりますので、そういったことも含めて、これからしっかり検討していきたいと思っております。
◆荒木委員 新国立劇場もそうだし、びわ湖ホールもそうですけれども、一定楽団を募集したりとか、あるいは、指揮者をする人だとか、メーンで動く人を採用していないとできないのです。自治体がやってはいけない一番のルールは、そういう専門家を財団に丸投げで、お金を出すことだけは横浜市、自治体側が口だけ出す、このやり方だと絶対うまくいかないのです。何でかといったら、提案している中身が自治体の職員はわからないからです。そういう職員はいらっしゃいますか、申しわけないけれども。(「頑張れ」と呼ぶ者あり、笑声)
◎尾仲政策調整担当理事 なかなか自治体の、行政の業務の中で、そういったところのスペシャリストは育ちにくい環境にあり、今の委員の御質問に関しては、正直申し上げますと、そういった職員は育っていないのが現状です。
◆荒木委員 そういう失敗例を聞いているはずですよ。だから、本格的にやろうと思ったら、演出する人、オファーしてくれる人、外国語に通達している人、そして、ヨーロッパのオペラでもバレエでも、どこがすばらしいレベルなのかがわかる人がいなかったら、絶対オファーできないのです。しかも、そのスペシャリストという人たちは、もう何年も前からオファーがかかっているのに、どこでやりたいと決めているのです。もう御存知のとおりです。
だったら、今から横浜市が箱物をつくればいいという話ではなくて、本当にそういう人材育成からスタートしないと、逆に言えば、箱物をつくっても魂入れずで回らないのです。そのことも考えたら、今やっていい話ではないと思います。順番が逆だと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。(「そうだ」「そうだ、そのとおりだ」「頑張れ」と呼ぶ者あり)
◎尾仲政策調整担当理事 まさに新たな劇場整備検討委員会の中でもソフトファーストという定義をいただきまして、人材育成ですとか、さまざまな次世代育成、いわゆる子供たちへの次世代育成を含めて、今の段階から始めることが大切だと言われておりまして、それは芸術あるなしに限らず、劇場あるなしに限らず、今の段階からさまざまなことをスタートするべきであるという御意見もいただいております。そういう意味では、今委員の御指摘のとおり、人材育成を含めて早い段階から、事業のスケジュール等々もございますけれども、そういった中でしっかりと検討していきたいと考えております。(「いや、それはだめだよ」と呼ぶ者あり)
◆荒木委員 本当に逆算して考えるとしたら、そっちが先です。だって、かけるものが決まってから、はい、ふたをあけましたという話ではなくて、もうやることが決まっていたら、何年も前からその人たちのスケジュールを、まず調整しながらやるのです。
そして、もっと言いたいのは、劇場をつくることの中身です。この箱物だって海外の有名なアーティストたちは、ここでやりたいと来るのです。これがあるから、この四面のステージがあるからここに来る。音響がすばらしいからここに来る。鶴見のサルビアホールの小ホールは、弦楽団の人たちの四重奏編成が物すごくオファーがかかっているのです。人数は少ないけれども、あそこでやると、もう演奏者たちは感動して、もう一回行きたいと言うのだそうです。そういう劇場をつくるということになれば、より時間をかけて、どういうコンテンツで、どういうレベルのものをつくるかということがわかっている人がやらなかったら無理です。
この点についても横浜市が本当にできる、答申の中でそれが入ってくると感じていらっしゃるのか、この点もう一回伺います。
◎尾仲政策調整担当理事 答申につきましては、まだあと1回、2回のしっかりとした議論をやりますので、まだ答申の状況は見えないところではございます。しかしながら、しっかりとした劇場をと検討させていただいておりますので、今の委員の御指摘も含めて、しっかりとまとめていきたいと考えております。(「焦り過ぎだよ」と呼ぶ者あり)
◆荒木委員 少なくとも整備には走ってはいけないと思います。考えていくのはいいです。だけれども、ほかの国でもそうです。コペンハーゲンのオペラハウス、ハンブルグのエルプフィルハーモニーなど、10年という月日をかけて市民的にも討議して、これが必要だとなってつくられたところは、コンサートホールもすごくうまく回るのです。でも今、横浜市の中で劇場整備、えっ、IRと一体、こんな話になっているのです。市長が自分がやりたいからとつくっていいものではありませんから、(笑声、「そうだ」と呼ぶ者あり)ぜひその点は厳しく指摘しておきます。
次に、統合型リゾートについて伺っていきます。
スライドをごらんください。(資料を表示)これは記者発表資料関連資料「『IRの実現に向けて』について」の中の、過去5年間の外国人宿泊者数の推移です。この横浜市の数値の出典は何か、伺います。
◎伊地知政策局長 過去5年間の外国人宿泊者数の推移の出典でございますが、観光庁が実施している宿泊旅行統計調査でございます。この調査は、官公庁が各地の宿泊施設に対しまして、外国人宿泊者数をアンケート調査して都道府県ごとにまとめたものでございます。本調査は都道府県ごとにまとめたものでございますが、横浜市の数値については官公庁に個別に集計を依頼いたしまして提供いただいたデータとなっております。
◆荒木委員 記者発表資料でこれは使われたのです。過去5年間の宿泊者数という、このデータなのですけれども、私も観光庁に確認しました。これは県、全国は、今おっしゃっているとおり、ちゃんとデータはあるのです。だけれども、市区町村別の統計の数値は実数を表章しているだけで、未回収分を推定した数値でないから、都道府県と一緒に数値化して比較して使ってはいけないというのが統計上の概念だそうです。ですから、このまま使うのはやめてほしいのです。
今後、説明会でこういう使い方はしないと明言していただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
◎伊地知政策局長 この資料の中で外国人宿泊者数の伸びがほかよりも低いということを見ていただくために、今回こういう形で出させていただいております。ほかの市町村との比較はなかなか難しいところがありますけれども、本市の外国人宿泊者数の増加傾向であるとか、あるいは、全国的な増加傾向を比較するという上では有用なデータだとは思っております。
◆荒木委員 統計学上、間違いだというものを一緒に並べて使ってはいけないと言っているのですから、これは絶対にやめてください。
それから、記者発表資料「『IRの実現に向けて』について」の中の、もう一つ、「地方自治体の増収効果」のデータの根拠、このスライドについても数字が出されています。特に問題なのは、財政の改善への貢献という、この820億円から1200億円、市長がこの言葉は何回も発していらっしゃいました。この数字も根拠はないと私たちは言い続けています。バックデータを出されない中で、この数字がひとり歩きされては困ります。説明会で使わないようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎伊地知政策局長 この「地方自治体の増収効果」のデータでございますが、昨年度、調査に御協力いただいた事業者の皆様に再度、情報提供をお願いいたしまして、政令などの新しい情報を踏まえて数値などの精度を高めていただいたものと考えております。これらの数値につきましては、その算定根拠等について、委託先である監査法人とともに、我々が事業者にヒアリングなどを行いまして、根拠に基づいて出されたものであるということは確認をさせていただいております。
また、法人市民税、固定資産税、都市計画税につきましては、事業者から提出されました数値をもとに、監査法人が整理いたしまして、所定の税率で算定しておりますので、算定根拠は前からお話をしているように事業者の経営の重要なデータということでお示しはできませんが、数値としては一定の確認はできているものと考えております。
◆荒木委員 不明確や不正確な数字を使うと、それがひとり歩きをします。しかも、説明会で市長がやるとなったら、相当その現場は紛糾すると思います。ですから、正しい数字を使ってきちんと説明できるように、これは改めていただきたいということを強く言っておきます。
18区の説明会の際、賛否に関するアンケートを行わない理由について伺います。
◎伊地知政策局長 現段階におきましては、まずは日本型IRについて正確に知っていただくことが優先すべきだと考えております。今後実施する説明会を初めといたしまして、さまざまな広報手段において横浜の現状や課題、そしてIRの制度やイメージ、経済的・社会的効果、世界水準のカジノ規制の内容、治安や依存症の対策についてしっかりと御説明していくことが必要だと考えております。
◆荒木委員 過去4回行ったアンケートでも、IRについて理解できたか、できないかというアンケートのとり方でした。あれはおかしいと思います。私も書くのにすごく苦労しました。だって、わかっているのだもの、私たちは。だから、そういう点では、賛成、反対か、あるいは、IRについての事業効果だとかが質問する項目。だって、おかしいと思います、誘導しているのだから。
やはりそこはちゃんと、説明会という以上は賛成、反対も聞くべきだと思うのです。改めて伺います。
◎伊地知政策局長 現在は、まだ日本型IRについて賛否をお聞きする段階ではなくて、まずは日本型IRについてしっかりと知っていただくことが必要だと考えております。先ほども申しましたけれども、まずは横浜市が抱えている現状や課題、あるいは、IRの制度、カジノ規制の内容、そういうものをしっかりとお伝えしていくことが、まず大事だと思っております。
一方で、IR整備法において、IRの実施に関しましては地域住民や議会など地域の関係者の御理解が必要という観点から、民意を反映する仕組みが規定されているということもございますので、こうしたことから、IR整備法の趣旨を踏まえて、民意への反映方法などにつきましては引き続き検討してまいります。
◆荒木委員 そんなことはもう検討しなくてもいいです。
国の具体的な方針が今後示されます、政省令でまた。事業者との契約期間が長期にわたること、事業者のリスクのとり方など、市にとってマイナスの部分が出てくると思うのです。絶対、税収がふえるだけではありませんから。そういうときがわかった時点で市民に対して、では、説明会をする考えがあるか。これは副市長に伺います。
◎小林副市長 今後策定する実施協定の中で有効期間を定めていくことになりますけれども、IR事業を安定的に継続していくためには、その有効期間がある程度長期間となると想定をしております。また、IR整備法ではIR区域は事業者が一体で整備し、運営されるものとされておりますので、事業の運営に関しましては、第一義的には事業者が責任を負うことになります。具体的には、IR事業者の事業不振によるものにかかわらず継続が困難となった場合にどういう措置をとるか、どうした措置をとるか、相手に求めるかということについては実施協定に定めることになります。
今後、国から新たな情報が示されたときや、実施方針、区域整備計画の策定、これから私どもが検討を進めていく節目節目で、そういうリスクのときにどういう対応をとるか、あるいは、こういうふうなリスクが考えられますといったことについては、具体的に市民の皆様に明らかにしていきたいと思っています。
◆荒木委員 アメリカ資本の怖さというのは、本当にいろいろ海外でも言われているわけです。すぐに裁判になります。だから、そういう点でも危険性があるということがわかった時点では、横浜市の税金だって、それが逆に使われることになりかねないわけです。違約金を払えとか。そういうことをちゃんと説明するべきだと思いますし、そういうことが前提だというのも、今度の説明会にはぜひ盛り込んでほしいと思います。
最後に、根岸住宅地区計画について、跡地利用のことで伺います。
今、この当地区のまちづくりを進めるに当たっての課題と対応について伺います。
◎松村基地担当理事 本地区は民有地と国有地がモザイク状に分布しておりまして、返還後は更地で引き渡されることが想定されるため、個々に土地活用ができない状況でございます。そこで、道路、公園、上下水道などの都市基盤を整備するとともに、個々の土地を再配置しながら宅地造成するといった地区レベルのまちづくりを進めます。あわせて良好な景観形成が維持できるよう、新たなまちづくりのルールも策定してまいります。
◆荒木委員 心配しているのは、以前ここで崖崩落事故が起きました。崖下で大変な被害が起きたときに私も現場に行っていました。今後このような事故が起きないようにするために、特に民有地での崖対策をどういうふうに進めていくのか、伺います。
◎松村基地担当理事 斜面につきましては、地区境界の位置ですとか土地所有者の状況、土質、傾斜、擁壁の設置状況などを踏まえまして、地区内外に分けて対応策を検討してまいります。地区内につきましては、大規模な盛り土を避けて雨水排水を適切に行うなど、土砂災害の防止に努めるとともに、横浜市建築基準条例を遵守した土地利用を行います。地区外につきましては、ほとんどが民有地ですので、引き続き急傾斜地法や土砂災害防止法による対応を進めてまいります。
◆荒木委員 ぜひ県と協調しながら進めていただきたいと思います。
返還の方向性は決まっていますが、その時期が早まるよう働きかけを強めるべきだと思います。この点どうしていくのか、伺います。
◎小林副市長 米軍施設の返還については市民共通の念願でございまして、これまでも市政の重要課題として、市民の皆様、市会の皆様と御一緒に市内米軍施設の早期の全面返還を国に求めてまいりましたので、これを基本原則に、引き続き機会を捉えて働きかけを行ってまいります。
◆荒木委員 根岸住宅地区跡地利用基本計画基本的考え方が示されています。(資料を提示)その後、これから基本計画案を作成して市民意見を募集する流れになるのですけれども、やはり今、こういう基本計画案を作成しながら基本的な考え方を示しているわけで、3区またがっているので、それぞれで連合町内会長や町内会の方には説明と言っています。でも、全市的に考えたら、少なくともその3区の市民の皆さんに説明する機会を設けていただきたいと思います。
以上です。
議会での質問・討論(詳細)
2019年10月8日