大さん橋国際客船ターミナルの収支不足に責任をはたし、
全市を上げて対策を
白井議員:日本共産党を代表して、大さん橋国際客船ターミナルの収支状況について質問します。
大さん橋国際客船ターミナルは、251億円かけて2002年にリニューアルしました。本市が発行する市債176億円のうち、138億円を駐車場やCIQプラザの使用料で返済する「機能債」で賄っています。本市の包括外部監査人の2006年度監査報告では、「年間約5億1000万円の収入見込みが、実際は4年間で年間平均1億円にとどまったことは、収支計画に甘さがあったため」と指摘し、「今後も大幅な収支不足の状態は続く」と断じています。この報告は、事業収支計画を見直し、適切な予算措置を講ずる必要があるとしています。早急に新ターミナルの厳しい収支状況を、市民へ情報開示することを求めていますが、経過と実態について、市民への説明責任はどうなっているのかうかがいます。
中根港湾局長:引き続き厳しい収支状況の改善に取り組むことが、本市の責務と考えております。これまでもターミナル建設や施設使用料の改正時に、市会におきまして様々な議論をいただいてまいりました。今後もつきましても、運営状況の実態について施設管理者である指定管理者の事業報告書などをホームページ上に公開するとともに、その対応策につきまして適宜常任委員会に報告し、ご意見をいただいてまいりたいと考えております。
白井議員:リニューアル事業についてわが党は、過大見積りによる過大投資と批判しました。この事業を強行した市当局と、それを容認した議会の責任は大きいものと考えます。2002年第2回定例会の本会議での市長答弁では、収入見通しについてのわが党の質問に対し、「将来的には、周辺地域の開発や利便性の向上などによって集客力が高まり、増収が見込まれる」と楽観視され、収支計画を適切とされていました。また局長は、一昨年の決算審査のなかで、「収支不足は事実です。当初計画は下回っているが、今後ターミナルの活性化を図り、積極的に駐車施設などの増収対策に取り組むことによって、機能債を償還していく」と答弁され、事態の深刻さは認められませんでした。こういった甘い認識で、今日まで必要な手立てを機敏に講じなかったことは重大です。また、事態の深刻さを直視しないで、本当に事態の打開がはかられるのか大変疑問です。甘い認識を改め、現実を直視することが、なにより必要ですが、局長に伺います。
中根港湾局長:大さん橋の国際客船ターミナルは、国際的にも高い評価をいただいておりまして、平成15年以降日本一の客船の寄港数となっております。その経済効果は非常に大きく、また訪れる市民の方も年間約200万人と、憩いの場として、さらには新たな観光資源として、インナーハーバル賑わい創出に供しております。
しかしながら、ご指摘の通り、投資見込みの収入が確保できず、収支不足が生じていることは事実でございますので、引き続き様々な視点から改善策を検討し、港湾局一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
白井議員:2006年から指定管理者制度が導入され、事業者が管理運営するようになりました。この事業者の2006年度の収支報告書では、利用料金収入は2億2300万円でした。そして2007年度の収支計画を見ると、利用料金収入は約2億2700万円としています。前年度と比べわずか300万円の増収を見込んでいるだけです。事業者の方がよほど現実的な対応をされています。
市長は本年の予算議会で「客船入港の動向が安定し、CIQプラザの新たな使用が可能で、指定管理者の導入で駐車場の稼働率も上がっている」と述べられていました。楽観視している市長のいっていることと、現実的な対応の事業者の収支計画とは、あまりにも開きがありすぎます。
局長は、予算議会で今後の収入増を図ることについて「指定管理者と港湾局でプロジェクトチームをつくって増収策を検討中」と答えられています。検討の結果、どういう対策・手立てを打って、改善を図られたのかを教えてください。
中根港湾局長:これまでに実施した収支改善策ですが、駐車場につきましては、料金体系を見直したことによりまして平成18年度は約3500万円の増収を図りました。また、屋上冠水、雨水の利用なんですけれども、屋上冠水の利用や、これトイレなんかに利用しているんですけど、電気の節電など光熱費を節減したりしたところでございます。
プロジェクトチームは、本年度当初に設置し、検討を進めておりますが、広報・営業活動の強化に加えまして、ホールやCIQプラザの利用の促進、指定管理者による自主事業の拡大などが主なテーマとなっております。
いずれにいたしましても、本市と指定管理者が一体になって、引き続き着実に収支改善策に取り組んでまいります。
白井議員:南本牧埋立事業や都市整備局の上大岡再開発事業のような安易な市税投入は、避けなければなりません。そのためには、収支計画の見直しを行い、機能債の元利償還ができるレベルにまで指定管理者の利用料金収入計画が引き上がるようにしなければなりません。港湾局と指定管理者によるプロジェクトチームだけでなく、他の局区とも連携し、全市を上げて対策を講じることが急務です。またその内容は、議会にも示すべきですが、局長の見解を伺います。
中根港湾局長:先ほどもお答えいたしましたが、私どもも重要な課題として認識しております。機能債は、30年間をかけて返すという内容です。オープンからまだ5年です。あと25年、返すまであるわけです、計算上。そういうこともありますので、収支改善に向けまして、関係局などと調整をしながら進めてまいります。
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