市政ニュース
2020年6月3日

やっぱりカジノはダメ 国からヒアリング

5月27日に、日本共産党横浜市議団が党南関東ブロック事務所、党県議団とともに取り組んだ国土交通省へのIRカジノに関したヒアリングで、様々なことが浮き彫りとなりました。その主なものを列挙します。

〇カジノ立地は住民合意が前提というが、必須とするのは公聴会の開催、議会の議決だけである。

公聴会は意見表明の場であり、現在誘致賛成を表明している議員は誰一人2019年4月の市議選で誘致賛成を公約に掲げていません。カジノについて民意を問わないまま、議席を得ているのです。議会の議決でもって住民合意を得たとは到底言えません。住民合意というならば住民投票は不可欠です。

〇基本方針に政治家との接触ルールを定めるとしていますが、政治家の介入自体を禁ずるとは断言していません。実効性は極めて疑問です。

〇カジノ施設での感染症対策は、整備計画を審査する基準の一つとして規定するというだけで、その中身については、言及を避けました。3密のビジネスモデルとの指摘に対しては、否定しませんでした。

〇カジノ業者の貸金業は禁じているが、800万円ぐらい以上を事前に預託する客には、その何倍もの貸し付けができること、何倍貸し出すかは事業者次第であることを明らかにしました。

〇カジノ事業者との契約更新をしない場合の自治体からの損害賠償支払い規定は「できる」規定であり自治体で決めること、先行する大阪府市はこの規定を盛り込んだ。

〇カジノ事業者が得た莫大な利益をどれだけ株主配当するかは事業者まかせ。適切な水準の配当は認められるとしています。

〇カジノ周辺の風俗店・貸金業出店規制については、区域整備計画の中に具体策を定めるとしている。

自治体が私有地の使途について、個別に規制をかけることは、横浜市は極めてハードルが高いと言っているように、その実現は容易でない。元町や山下町に風俗店等の進出の恐れ大です。

ヒアリングを受ける党市議団ら

ヒヤリングのやり取りの大要については下記の通りです。

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実施日:2020年5月27日  場所:衆院議員会館

参加者:あらき由美子市議、古谷やすひこ市議、みわ智恵美市議、北谷まり市議

畑野君枝衆院議員、上野たつや県議、木佐木ただまさ3区国政対策委員長、政務活動員2人他

対応:観光庁参事官室、カジノ管理委員会事務局

問→共産党からの問い合わせ 答→国の説明

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問)基本方針策定・公表時期は 遅れた理由は。

答)IR整備法の規定に基づいて、現在、カジノ管理委員会含めた関係行政機関の協議をしている最中です。いざ決定、公表ということになると、IR推進本部を経て、正式に決定公表という流れになります。現時点で、公表時期は未定です。

問)国の基本方針が策定されていないのに、横浜市はIR事業者と区域整備計画作成を進めているが、これはルール違反なのではないか。

答)おかしいか、おかしくないかという点では、コメントが難しいのですが、実際に大阪や和歌山、長崎などは「案」という整理でやっています。基本方針案をふまえて「案」という形で策定に進んでいます。国の基本方針案の案が取れた段階で、変更があれば反映しますということで進んでいるところも確かにあります。法律上は問題ないという理解です。

問)政治家の関与規制、感染症対策は盛り込むのか。

答)政治家の関与規制は、基本方針案の中で、国、自治体が公平性・透明性の確保を徹底すべきということを各処に書いています。今後、誘致に関心のある自治体のみなさんにおいては、事業者を選定していくなど具体的な手続きが始まる段階であり、また、カジノ管理委員会から、接触ルールの規定の必要性について指摘をいただいております。こういったことをふまえて、接触ルールについては、基本方針に盛り込むことを検討しています。感染症対策は、感染症対策を含めた安全の確保というのは、必要と考えています。IR区域、IR施設の安全の確保という点について、カジノ管理委員会より指摘を受けていて、基本方針の認定の審査基準にそうした規定を盛り込むことを、現在検討しているところです。

問)国民のIRへの理解は進んでいるとみているのか。反対世論が多数派である現状についての認識は。

答)カジノ設置という、IRの一部でありますが、設置に際して、依存症や治安の問題とか、様々な弊害を心配する声があることは承知をしています。
その上で、法律事項にもありますが、依存症については、入場回数制限、本人家族の申し出による利用制限など、色々な対策を講じることとしているところです。
治安については、IRを整備する事業者と自治体が、防犯カメラを設置するとか、警備員の配置などの防犯などの措置を講じることとされておりまして、この辺は、事例では、シンガポールのIRの事例をふまえての規定になっていますが、こういた対策を講じていくことで、依存症や治安への不安を払拭するよう努めていきたいと考えています。

問)横浜市のアドバイザリー支援のEYは、この海外法人が横浜進出を公言しているIR事業者の監査法人となっている。公平公正に抵触していないのか。

答)個別の自治体に関してのコメントすることは差し控えたいですが、基本方針の中で書かせていただいているのは、都道府県等が民間事業者を選定するにあたって、応募者から提出された提案書類の審査の段階で、公平かつ公正な審査を行うため、有識者等による第三者委員会を設置するなど、適切な選定対策を構築する必要がありうると規定しています。こういった規定を通じて、各都道府県等で、選定の際に公平公正に選んで頂きたいと考えていますし、国の立場で言うと、区域整備計画を出していただいた段階で、認定申請を受けて、選定が公正・公平に行っているかどうか確認したいと考えています。

問)特定金融業務の預託金はどうなるのか 預託金額と貸付額。

答)IR整備法の中では、貸付対象というのは、本邦内に住居を有しない外国人と、日本人等については、お金を預けている方。その金額は、カジノ管理委員会規則で定める金額となっています。
この金額については、今、カジノ管理委員会で検討しています。これまで国会審議でご説明をしているのは、相当の勢力を有する者に貸付対象を限定するというコンセプトのもとに、一つとしては、シンガポールを参考にしていて、シンガポールでは、10万シンガポールドル、日本円に直すと800万円ということで、この金額を参考にしていこうと。貸付対象が相当の資力を有する者ですので、我が国の平均的な世帯の年間収入なども見ながら金額を決めていこうということを説明させていただいています。付け加えて、実際に、誰にいくら貸すのかということについては、カジノ事業者が、お客さんの返済能力、この人はいくら返せるのだろうというのを、事業者が調査をして事業者自身に限度額を決めてもらうと。それを超える貸付については、禁止しているというのがIR整備法では書かれているものです。
どうやって、調査をするのか、どうやって貸付限度額を設定するのかということは、単に事業者まかせではなくて、免許の申請時に、業務方向書という書類に、やり方を記載させて、それをカジノ管理委員会が審査をするという仕組みになっています。

問)第1章 意義 カジノの有害な影響の排除が適切に行われることを前提条件とするなら、有害な影響を数値化するよう誘致自治体にもとめるべきではないか。

答)有害な影響については、自治体と事業者が、それを排除する措置を講じることとしています。その具体的な内容、費用の見込みなどについては、区域整備計画の中に記載して申請してもらうことにしています。国においては、区域整備計画に記載された取り組みが、適切に実行されるのか、審査段階で確認させていただきます。
仮にそこが選ばれて開業しますよとなりますと、法律に規定がありますが、こうした弊害対策の取り組みの実施状況につきては、国が毎年度評価することになっています。その結果についても公表するとともに、IR事業を行う事業者の業務運営の改善に反映していくということになっています。

問)第2章 地域における十分な合意形成を図るための枠組みとして、首長、行政機関、公安委員会、住民、学識経験者などで構成される協議会の組織化を「できる」規定にした理由は、なぜ必置としなかったのか。
また、区域整備計画の作成に当たって公聴会の開催は、住民の合意形成の手立てとして必須としているが、不十分だ。住民投票の実施を検討しなかったのか。

答)地域の合意形成の場として、協議会以外に様々な方法が考えられるという観点で、地方公共団体の自主性を尊重する観点で、設置は任意としました。その上で、IR整備法にもとづいて、区域整備を申請する自治体において、地域の合意形成のための公聴会の開催、議会議決といった様々な措置を行うことが義務づけられています。このような取り組みを通じて、地域の皆様の理解を得られるように努めていただくことが重要だと考えています。
国の立場で申し上げると、区域整備計画を仮に出していただいた場合に、認定の審査を行う段階で、地域の合意形成の手続きが取られているのか、しっかり確認していきたいと思います。
横浜市は、コロナの影響で説明会が延期されていると承知しています。国としては、来年の1~7月の区域整備計画の認定申請の段階で、どのように合意形成をはかったのかを確認させていただくことになります。その段階でどんなものが出てくるのかによります。

問)横浜市は、市民に賛否を聞かないとしている。合意形成がされたという客観的な判断材料がないのではないか。

答)具体的な合意形成のあり方の確認方法ですが、法律上の手続きが、どういう方向でおこなわれて、そこでどういう経過があってというのは、国としてそこはきちんと確認しないといけないと思っています。国はどう把握するのかという点ですが、区域整備計画の提出にあたって、様々な書類を添付することが基本方針案上も定められています。そこに公聴会を開いたとか、そこでの議論の結果はこうでした、そこでいただいた意見を、横浜市として、区域整備計画にこう反映しましたということも含めて、詳しい添付書類をだしてもらって、国としてはそれを総合的に判断して、合意形成のあり方というのを審査していきたいと考えています。

第3章 IR施設の在り方 

問)IR施設としてカジノ施設、国際会議場、展示場、魅力増進施設、送客施設、宿泊施設を要件として規定し、エンタメ施設を必置としなかった理由は。

答)IRの整備の目的、目指すべき方向性は3点ありまして、一点目は世界で勝ち抜くMICEビジネスの確立、これまでにないMICE施設を整備して、大型の国際会議などを誘致しようという点です。2点目は、滞在型観光モデルの確立ということで、家族で楽しめる長期滞在などの多様なニーズに対応する点です。3点目に世界に向けた日本の魅力発信という点です。滞在期間中に日本各地を訪れて、自然文化等を楽しんでいただくという3点です。その上で、エンターテイメント施設は、法律上は、IRの中核施設ではなく、複合施設として位置づけています。できる規定です。マストではないよねと。ただ、国内外から幅広い観光客を惹きつけるような施設として設置することができるという観点で、設置できるとしたものです。

問)宿泊施設を利用者の需要の高度化及び多様化に対応したものとは何か。

答)IRというのは、そもそも世界中から観光客が集まる施設で、そのお客様の需要等に対応したものでなくてはならないと思います。当時の法律制定過程において、我が国の宿泊施設では、一部屋当たりの客室面積が、諸外国とくらべても小さいという点があって、世界中から訪れる観光客が、宿泊施設に求める世界水準の面積に達していないという現状がありました。
それから、国内外を含めた富裕層の皆様の来訪を促進するという観点から、スイートルーム等の客室をまとまった頻度で整備する必要があるという観点です。

問)カジノ施設 典型的な3密施設であることについての所感と、解消措置はどうするのか。

答)カジノ施設内は3密になりうるというのは、ありうることだと思っています。感染症対策を行う必要があるという場合には、まず、カジノ事業者で、厚生労働省や自治体などの専門的な機関の知見をふまえながら、疫学的科学的な対策をしっかりやっていくということが大事になってくると思いますが、詳細なあり方については、現在検討中です。

問)IR区域全体の清浄な風俗環境保持というならば、区域内でのカジノ広告は解禁できないのではないか。

答)カジノ事業またはカジノ施設に関する広告は、IR整備法160条各項で、厳しい規制を設けています。広告物の設置については、原則として、IR区域外ではできないという規制を設けています。
その上で、IR区域内の広告物であったとして、その内容についてさらに規制があります。160条の3項に善良の風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある説明表記は禁止されています。
IR区域内では広告が許可されている理由としては、IR内にはカジノがあることを前提に来訪しているということがあります。

第3章 IR事業の在り方 

問)カジノ施設周辺において貸付機能を有するATM等設置を禁じているが、「周辺」とはどこまでか。新規与信機能を有する貸金業の端末設置を禁ずるIR区域内とどうちがうのか。

答)カジノ施設周辺とはどこまでかという点ですが、具体的なもの、IR区域内の施設配置図ですとか、区域整備計画を見て、個別に判断されるものと考えています。
カジノ客がお金が無くなって、すぐにお金が借りられることがないように、ATMを周辺に設置することを規制しています。カジノ施設とそれ以外は、厳密に分けることにしています。未成年者や暴力団員などどこから入ってはいけないかという明確な区分規制です。

問)カジノ施設の入り口近辺は、ATM設置が禁止されるという理解で良いのか。

答)カジノの入り口というのは、本人確認区画というエリアです。それもカジノ施設の一部に含まれます。その他のカジノ付帯区画も合わせてカジノ施設としています。周辺というのは、その外という意味になるはずです。ただ、法でATN設置を規制できるのはカジノ施設内ということではあります。なので、カジノ施設から一歩出たところにATM設置ができないのかと言われたら、できることになります。
しかし、貸付機能を有する、例えば貸金業から借りられるようなATMというのは、カジノ施設周辺に設置することはやめましょうというのが謳われています。さらにIR施設の中は、新しく与信機能を付与するような貸金業の端末、例えば「無人君」のようなものは止めましょうというのがこの発想です。

問)貸付機能を有しないATMとは何か。

答)例えば、カスタマイズして、貸付機能を有しないようにしたATM機器というのを念頭においています。

問)また、IR事業者に保障している適正な水準の配当等の利益配分について目安・基準は示さないのか。

答)そもそもIR事業と言うのは、民間の資金を活用した、民設民営の事業です。そういった事業の出資者に対して、適切な水準の配当を行うということは、認められるということで、基本方針案でもそういった規制を書かせていただいています。区域整備計画の申請の際に、内容をしっかり把握していきたいと思います。

第4章 実施方針 

問)自治体が策定する実施方針は、地域の合意形成を図っていく上での基礎となる構想と位置付けているが、策定にあたって、住民の声を聴取する機会を設けるべきではないか。

答)法律の事項になりますが、実施方針の策定にあたっては、協議会または立地市町村および公安委員会の協議や同意を求めることができるということです。その上で、法に定められた手続き以外に、都道府県等において、実施方針を策定する時に、住民の皆さまの声を聴取するような機会を設けることについては、それぞれの都道府県等で判断することだと考えています。

問)認定の申請期間  コロナ禍により見直しはないのか。

答)来年の1月から7月を区域整備計画の認定審査の期間としているところです。その上で、最近、コロナウイルスの影響が広がる中で、観光庁の方でIR検討中の自治体に対して、準備状況の影響はどうかと随時確認しているところです。緊急事態宣言後にも確認をしましたが、現段階において、来年1~7月までの認定申請を準備する状況に変わりがないということを確認しています。引き続き、各自治体の状況を伺いながら対応していきます。各自治体から延期などの意向があれば、検討していきます。

問)評価審査基準 (3)評価基準 ウの(エ)地域における十分な合意形成というならば、議会の合意だけでは足りない、住民投票は不可避ではないか。

答)区域整備計画の認定申請においては、法で定められた手続き以外については、各自治体の判断で行っていくものと考えています。区域整備計画の認定申請の中で、国としてはチェックをさせていただきたいと思います。

問)実施協定 市長及び議会の判断により認定を更新しない場合の補償は、更新の実質的な強要とならないのか。この規定はあまりにも事業者優遇ではないか。

答)実施協定自体は、自治体とIR事業者との間で交わしていただくものです。補償規定を設けることは義務ではありません。自治体の皆様が考えることだと思います。

問)区域整備計画の認定の有効期間を超えた期間設定の容認と、整備法10条⓵カジノの有効期間は10年⓶1尾年経過後の有効期間は5年という規定は整合性がとれていないがどうか。10条の骨抜きではないか。

答)整備法10条の規定は、区域整備計画の認定が仮に認定されたとして、計画に書いてあることが、しっかりと実行されているのかというのを確認する上で、10年、5年、5年という更新期間を置いているところです。実施協定というのは、事業者と都道府県等の間で、リスクについて話し合った書類です。例えば、地震が起きたときにどっちがリスクを負うのかなどです。大阪の場合は、事業者と長期間の約束期間を設けましたが、これは法律事項とは別です。申請書類として行う性格の進捗を確認するというものです。実施協定の内容をどういうふうに決めるのかというのは、法律上の義務はありません。自治体と事業者の関係で決まっていくものと理解しています。

問)国が横浜の計画を認定した場合、認定の有効期間は、法に照らせば10年となる。しかし、横浜市が事業者と交わした実行計画である協定の期間を35年とか40年とかという長期で結ぶことは、国が認めたものを超えているわけで、法律の規定を無視するものと理解できるがどうか。

答)10年というのは、区域整備計画のことです。区域整備計画というのは、こういう開発をしていくというような計画の許可期間です。実施協定というのはそういうものではなくて、実際に進めていく際の何かあったときのリスク分担をするもので、違うものです。

6章 性風俗特殊営業規制について

問)IR区域の周辺地域でも規制を適切に講ずることを求めているが、現行の法体系ではその実効性は極めて乏しいと言わざるを得ない。特別法は必要ではないか。

答)有害影響の排除について、基本方針案の中にありますが、区域整備計画に排除についての考えやどのくらいお金をかけるのかなど具体的な策を書いて出してもらうことになっています。法の23条です。国としては、その内容を審査します。審査の評価については未定ですが、複数の自治体からでてきる計画を見比べて、良いところ悪いところが見え、優劣がつくと考えています。

問)学校での啓発活動、青少年の保護育成についての施策に関してもっと踏み込んだ対策を打ち出すべきではないか。

答)国に提出された区域整備計画を審査させていただきます。その中でどんな対策を打つのかなど見ていくことになります。

問)横浜市民と周辺市の住民については厳しい入場制限が必要ではないか。

答)カジノ規制の仕組みは、青少年の健全育成のためには、20歳未満の規制というのがあります。暴力団員等も中に入れません。依存症対策の観点からは、入場規制を設けていて、7日間に3回までと、28日間に10回までというのを一律に課しています。本人、家族の申請による規制も可能になっています。

以上


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