議会での質問・討論(詳細)
2019年3月5日

■文化観光局(みわ智恵美)

◆みわ委員 港南区のみわ智恵美です。日本共産党を代表し、質問いたします。よろしくお願いします。

委員長、スライドの使用をお願いいたします。

○遊佐副委員長 はい。

◆みわ委員 新年度予算には新たな取り組みとして、三溪園アフターコンベンション海外誘客プロジェクトがあります。市としては大いに中区にある三溪園を横浜の魅力として活用するという方向が示されております。

そこで、その大前提である三溪園の文化的財産をきちんと保持していく取り組みについて伺います。

横浜市内にある国指定の重要文化財建造物は16あるとのことですが、三溪園に幾つの国指定重要文化財建造物があり、また、市指定の文化財は幾つあるでしょうか。

◎雨宮観光MICE振興部長 園内には17棟の歴史的建造物がございます。国指定の重要文化財は臨春閣など10棟の重要文化財がございます。市の指定の文化財に関しましては3棟ございます。

以上でございます。

◆みわ委員 大変な数の文化財で、製糸、生糸貿易で財をなした横浜の実業家である原三溪氏がつくられた個人の資産を現在管理運営しているのは市の外郭団体である三溪園保勝会ですが、三溪園保勝会を市の外郭団体として設立した考え方を伺います。

◎池戸文化観光局長 戦後の復興期でございますけれども、それまでの所有者であった原家から土地や建物を譲り受けまして、それらを保全活用して観光資源とするため、大規模な修繕や、その後の施設管理をする者が必要だということで設立したものでございます。オール横浜でこれを支援していこうと、昭和28年、市長を理事長、当時の市会の議長、副議長、横浜商工会議所会頭などを理事として財団法人三溪園保勝会を発足させた次第です。

◆みわ委員 三溪園保勝会の設立目的を伺います。

◎池戸文化観光局長 定款の中身になりますけれども、この団体の定款によりますと、「国民共有の文化遺産である重要文化財建造物等及び名勝庭園の保存・活用を通して、歴史及び文化の継承とその発展を図り、潤いある地域社会づくりに寄与するとともに、日本の文化を世界に発信することを目的とする」とあります。

◆みわ委員 先日の消防局審査で副市長から三溪園について、先人から引き継いだ大切な宝物である。しっかりと後世に残していかなければならないとの答弁もありました。まさに文化財としての価値を市民とともにしっかり引き継ぐ役割が横浜市にあると思います。三溪園には、ここに多くのボランティアの参加がありますが、ガイドボランティアと庭園ボランティアは、それぞれいつからどういう理由で導入されたのか、また、その登録数とその役割について伺います。

◎雨宮観光MICE振興部長 三溪園のボランティアでございますが、現在ガイドボランティアは約160名、庭園ボランティアは約40名の登録がございます。ガイドボランティアの役割でございますが、来園者の方に建物の成り立ちや原三溪にまつわる歴史などを御説明し、園にかかわる御理解を深めていただくためのものでございます。庭園ボランティアの皆さんにつきましては、草取りや落ち葉清掃など、手間のかかる作業を担っていただいております。庭園の維持管理に大変御貢献いただいていると考えております。ガイドボランティアにつきましては平成15年、2003年から、庭園ボランティアにつきましては平成24年、2012年からそれぞれ始まりました。

◆みわ委員 ボランティアですから無償だと思いますけれども、何か特典はありますか。

◎雨宮観光MICE振興部長 無償でございます。特典は特にございません。

◆みわ委員 本当に寒いときも、暑いときも、雨でも、ありがたい限りだと思いますが、こちらのスライドをごらんください。(資料を表示)これは旧矢箆原家の住宅です。この合掌づくりの建造物は現存する合掌づくりでは最大級と伺っております。スライドは建物内部の囲炉裏です。次のスライドは炉が切ってあり、毎日火がたかれていますので、次のスライドでわかるように、消火器や水バケツもすぐそばに配備されていました。次のスライドは、火災報知機です。次のスライドは、割られた薪が積み上げられていましたが、三溪園内の倒木や剪定で出た材木だとのことです。さまざまにこの建造物の管理そのものに人の配置が欠かせないことを実感いたしますが、旧矢箆原家住宅の管理はどのようにされているのでしょうか。

◎池戸文化観光局長 この旧矢箆原家の住宅でございますけれども、保勝会の職員と、それからボランティアによりまして囲炉裏の火の管理や、建造物について御案内を行っております。今、火ということがありましたけれども、カヤぶきの屋根は、ほかに環境創造局が持っているような古民家もそうなのですけれども、やはり火をたくことでカヤぶきの虫を駆除できるということで、使いながら保全をするということでやっております。今スライドにもありましたけれども、防火対策としては熱感知器や消火栓などの消防設備を設置して、万が一火災が発生した場合にもしっかりと備えております。

◆みわ委員 次のスライドは、松風閣への道です。このスライドは、かつての松風閣、ちょっと見えにくいですが、こちらのスライドは、奥にあるのが現在の松風閣展望台、現在立ち入り禁止です。関東大震災で倒壊した前の松風閣はどういう建物でしたでしょうか、また、今の展望台はいつから立ち入り禁止でしょうか。

◎雨宮観光MICE振興部長 松風閣につきまして、どういう建物かといいますと、原家の別荘でございました。

◆みわ委員 こちらのスライドは松風閣への上り口です。意匠が凝らされていて、まず建てられた別荘、そういうものに対する先人の思いが伝わりますが、いつから立ち入り禁止だったかを伺います。

◎雨宮観光MICE振興部長 平成29年秋より立ち入りを禁止しております。

◆みわ委員 2年近く入れなかったのは問題です。改修はありますか。

◎雨宮観光MICE振興部長 現在、松風閣の補修工事の準備をしているところでございます。早々に工事を終えて、終わり次第、4月を予定しておりますが、4月からまた一般公開を再開する予定でございます。

◆みわ委員 わかりました。大規模改修がこれから行われるということで、三溪園は庭そのものも国指定の名勝となっていますから、建造物と庭とを管理することは大変な専門的人材の配備が必要と考えます。職別の人の配置について伺います。

◎雨宮観光MICE振興部長 職別の人材の配置でございますが、保勝会に所属する学芸員が1名おります。美術品の収集保存を行うとともに、展示や催事の企画運営などを行っています。また、庭園の技術職でございますが、これは5名おります。整備計画の策定や国などとの調整を行うとともに、松の手入れや技術を必要とする維持管理を行っております。

なお、懸案の建築の技術職につきましては、平成31年度の採用に向けて現在募集をしているところでございます。

◆みわ委員 庭園の管理が5名と言われましたが、正規は何名でしょうか。

◎雨宮観光MICE振興部長 正規職員は3人でございます。臨時職員が1人おります。

◆みわ委員 次のスライドは、大規模改修に入っております臨春閣、三溪園保勝会が昨年末、珠玉の数寄屋、30年ぶりの大修理へと記者発表していますが、なぜ整備にこれから取り組むことになったのか、伺います。

◎池戸文化観光局長 三溪園保勝会では、平成27年度に重要文化財建造物保存修理事業計画書を取りまとめております。その後、国などとの調整が整ったことを受け、平成30年度から着手しております。15年以上の期間が必要になってまいりますが、やはり全国的に歴史的建造物の修繕需要が非常に高くなっております。工事を行うことができる専門家や現場管理職が不足していく中で、長期にはわたりますけれども、進めていこうと考えています。また、耐震対策も内部の状態を詳細に把握した上で建物ごとに検討していきます。ということで、なぜ今かというと、やはり計画的に非常に重要な価値のある三溪園の修繕を進めていこうという考えで、今一定の計画、それから、一定の工事期間を持って進めていくと考えています。

◆みわ委員 本来はもっと早く改修が行われなければならなかったのではないでしょうか。建築職の長年の不在、これが原因ではないでしょうか、いかがですか。

◎雨宮観光MICE振興部長 建築職だけの問題ではなくて、やはり重要文化財ですので国等の指導、あと、先ほど局長も申し上げましたけれども、専門の建築技師の方、これは国指定の方を派遣することになっておりましたが、日本全国での順番待ちというところもありまして、この時期になったと考えております。

◆みわ委員 昨年末、文化観光局所管の外郭団体の協約マネジメントサイクルに基づく評価結果が出されております。2014年、三溪園に対しては引き続き経営の向上に取り組む団体としましたが、結果は外国人入園者の増は達成、一方で過去9年間で最高の入園者になったにもかかわらず、目標に達しなかったとして入園者数の増は未達成です。全体としては経営向上に関する努力が認められるとの評価です。本当は改修が必要であったのに、市が決めた経営の評価期間である3年を待ったのではないのでしょうか。

◎池戸文化観光局長 先ほども御答弁させていただきましたけれども、やはり三溪園は非常に多くの建造物があります。それから、ものによっては移築してつくってきた庭園ということもありまして、設計図がないものとか、いろいろな建物をやはり計画的に修繕をしていくと考える中で、先ほど申し上げたような事業計画書をつくって、そこから国と調整をして、技術者も確保しなくてはいけないという中で進めてきているということで、決してその3年を待ったということではございません。

◆みわ委員 2015年に出された経営向上委員会の答申には、施設の計画的な修繕には収支の改善が不可欠なため収益の向上に向けた企画力の強化や固定費の削減について検討するとの意見が出されております。これは評価期間の3年後の結果を待つという意味ではないのでしょうか。

◎池戸文化観光局長 繰り返しの御答弁になりますけれども、そういう認識で待ったとかということではなくて、計画自体は我々の中で順序立ててつくって、そして着手して、国のほうにもきちんと調整をして、国の予算もしっかりととりながら、技術者も確保してやっていこうという考えの中で進めているものでございます。

◆みわ委員 赤字体質では修繕に手がかけられないというような考え方ではないということですけれども、この出されたものによると、収益改善がなければということが注目されていると読めました。

次のスライドは、重要文化財、聴秋閣、次は聴秋閣の裏手から見たところ、次も重要文化財の春草廬、私のような素人がどこからカメラを向けても絵になる、これが三溪園の魅力です。次のスライドは梅園、梅見の会が開かれておりました。次は、旧燈明寺三重塔への上り道、次は雑草がきれいに取り除かれた急傾斜地、次は岐阜県の国指定天然記念物、淡墨桜の種子から育てられた苗から育った桜の木、このように国が名勝として指定した庭園ですから高度な技術が求められる庭の管理ですが、造園職、先ほど正規が3名というお話で、私には正規が1名と先日伺っておりました。臨時職は4名、合わせて5名と聞きましたけれども、こういう人数の配置で十分にできると考えていらっしゃるのでしょうか。

◎池戸文化観光局長 先ほどボランティアのお話もさせていただきましたけれども、三溪園自体は17万5000平米という非常に大きなところでございます。ただ、委員もおっしゃったように庭園自体が文化財ということで、実はその庭園の管理なども、やはり国宝級のものをそれなりのきちんと管理ができる人に、例えばはさみを入れてもらわなければいけないというような修景するべきところもある中で、ボランティアの方に周辺をやっていただきながら、やはり専門の方にきちんと風景になるところをやってもらうと、その辺の役割分担をしながら、ここの保全を進めております。

ですので、本当に今の人数だけでできるのかということについては、日常管理と、それから、その後の大規模修繕にかかわるところ、庭園も同じでございますけれども、その辺は連携をしながらやっていきたいと思っております。

◆みわ委員 私は20年ほど前に造園職の方が6名ほどいらっしゃったのを覚えております。先ほどの協約マネジメントサイクルで取り組み結果の検証に、庭園ボランティアを大変評価し、その上で、名勝指定されているため整備を行うにはより高い知識や専門性が求められるためボランティア活動ができない領域もあり、財団との意見合わせやボランティアの作業熟度の向上に向け研修等を実施する必要を感じたとしています。手弁当で無償の庭園ボランティアに本当にここまで頼るしかないのか、市の姿勢が問われていると思うのですが、副市長、いかがでしょうか。

◎荒木田副市長 先ほど局長が御答弁申し上げたとおり、やはりプロの手が必要なところ、専門的技術、知見が必要なところはきちんと専門職を充ててまいりたいと思っておりますが、三溪園は、私どもが人手不足でどうしてもボランティアというよりも、三溪園を愛してやまないという自発的な方がいるのも事実でございます。御案内の方もそうですし、庭園管理の方もそうでございます。また、庭園を管理する技術を学んでいる学生さんもなかなか研修の場がなくて、こういった場でぜひ技術を磨きたいということでお越しになっているところもございます。あらゆる人の力をかりて、しっかり維持管理してまいりたいと思っております。

◆みわ委員 赤字体質の改善と重要文化財の修理にかかる費用、これについて経営マネジメントのところでは一緒にして評価が進められていたと思いますが、別次元で取り組むことが必要と考えます。この点について、赤字体質の改善、それから重要文化財の修理などにかかる費用、この点については別に考えるべきということについての見解を伺います。

◎池戸文化観光局長 大規模修繕については、大切な重要文化財が先ほど申し上げたように10棟もあるという中で計画的に修繕をしていこうと思います。それと、一方、これだけすばらしい横浜市の財産をより多くの人に知っていただき、見ていただく、そういう機会はぜひ我々としても進めていきたいと思っていますし、それがまさに経営の改善にもつながると考えております。これは別次元というよりは表と裏だと私は考えておりまして、必ずしも切り離すわけではないですけれども、やはり経営改善というのは、より多くの人にここに来ていただくということに我々のほうとしてはとにかく注力をしていきたいと考えております。来年度の予算の中でも、インバウンドの皆さんによりこの三溪園の中で満足度の高い体験をしていただけるような、そのような政策も展開してまいりたいと思っております。

◆みわ委員 最後に副市長に伺いますけれども、三溪園の魅力が保たれるように、修繕や整備が十分に行われ、文化的資産を将来にわたって良好な状態で残していく、この市としての役割について改めて伺います。

◎荒木田副市長 三溪園は横浜市にとっても、日本国にとっても本当にかけがえのない財産だと認識をしております。これがきちんと良好に保たれ、また多くの人に魅力を感じていただけるように、しっかり修繕、また、PRをしてまいりたいと思っております。

◆みわ委員 市が財政的にもふさわしい支援を行うことが三溪園を横浜の魅力として活用する大前提だと考えております。人の配置が十分でないなどがあり、ボランティア頼みでの無理な開館時間の長時間化や施設に負荷をかけるような取り組みは、宝物である三溪園の価値を下げるものとなりますので、これについては厳に慎むべきということを改めて申し上げておきたいと思います。

横浜美術館の開館時間延長、そして、市内宿泊者への取り組みについては常任委員会で質問させていただきます。

以上です。


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