2019年10月16日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 荒木由美子
2019年第3回定例会は、9月3日から開催され、3日目の本会議(9月20日)での市長提出議案等の議決と9月26日からの決算特別委員会の審査を経て、本日の本会議での決算諸議案の採択ですべての日程を終了。林文子市長の突然のカジノ誘致宣言に対して、各党・各会派がどういう態度で臨むか多くの市民が注目する市議会でした。党市議団は、カジノ誘致推進にむけて計上された補正予算をはじめとした反市民的な施策・政策には、真っ向から論戦に挑み、問題点を浮き彫りにし、解決の方向を示しました。カジノ関連予算は立憲・国民フォーラムと日本共産党、無所属5人は反対、自公の賛成多数で可決。
市長提出議案への関連質問には河治民夫議員、一般質問にはみわ智恵美議員が立ち、9月20日の反対討論は北谷まり議員が担い、カジノ誘致宣言の撤回、住民投票と市長選の実施を市長に迫りました。後半戦の決算特別委員会は、総合審査には古谷靖彦議員、各局決算の審査には9人の議員が分担して、市政の監視役と市民と市政との橋渡し役を果たすべく尽力。決算討論は河治議員が行い、総合審査に加えて、カジノ誘致にむけて下準備してきた市税の使い道の誤りを徹底批判。15号台風の被災事業者支援として54億円の補正予算案の本会議質問は古谷議員が行い、補助枠の拡大と民間住戸の対象化を要求。党市議団は9月20日に市長に15号台風の被災者への支援を求める申し入れを実施。これに先立ち、13日には被災した金沢産業団地を視察。
1、 本会議での主な質問(議案関連質問、一般質問)
議案関連質問では、市長選で「カジノ誘致の是非」を問わず、カジノ誘致に反対する市民の声が大きいことを承知のうえで、市長が誘致宣言を行ったことは、市民をだまし打ちにし、市民を愚弄するやり方だと糾弾。カジノは刑法で固く禁止されている賭博であり、「賭博行為は、国民を怠惰させ、暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」との最高裁の判例を示し、どんなに財源確保のためだとしても、非道徳的なものへ行政が踏み切ることは間違いだと主張し、市長の認識をただしました。IR事業者は、市に、地下鉄や高速道路などの交通インフラ整備を要求。党市議団の試算では、地下鉄と臨港幹線道路の延伸で6百億円など総額1千億円超に。誘致宣言の記者会見ではふれず、市にとって都合の悪いことを意図的に外したのではないかと市長に迫りました。市長は、「住民合意の形成は、公聴会の実施、議会の議決など規定がある、交通インフラは今後の調査を踏まえ、明確化していく」、賭博であるカジノについて「個人の嗜好という部分でもあり、公営ギャンブルやパチンコなどは、全面的に悪いとは思っていない」と答弁。
一般質問では、カジノ誘致宣言、敬老パス制度の継続、中学校給食の実施、日韓関係の改善に向けた自治体外交を取り上げました。林市長は、カジノ誘致について「(やる・やらないの)方向性を決める際は、市民・議会の意向を踏まえる」とした選挙公約を反故にしました。日本共産党は、市民にすればだまし討ちであり、公約違反だと指摘。市長選時に「カジノは白紙」といった市長の公約を信じて一票を投じた市民に顔向けできるのかと厳しく批判。試算では横浜のカジノ売り上げは約4500億円、日本人客の割合を8割にした場合、約3600億円もの円資金が海外のカジノ事業者の手に毎年渡ることになると指摘。IRの本質は、金融機関等を通して本来日本の経済に回っている資金が、賭博場で外国資本によって回収されてしまうことであり、地域経済の振興どころか、逆に地域経済を縮小させることを直視すべきだと市長の認識をただし、カジノ誘致宣言の撤回を迫りました。市長は、日本型IRは、「カジノ売り上げの30%が国と自治体に納付されて、これ以外に施設の魅力向上への再投資も義務付されており、利益の多くが国内還元される」と強弁。(本会議の質問と答弁は、団ホームページに掲載しています。)
2、決算特別委員会(総合、局別審査)では対決とともに市民要望実現に全力!
総合審査では、市長の台風15号への対応の遅れ・不手際とカジノ誘致の反市民性を告発し、ハマ弁固執からの転換を迫る。
1)市民からの要請、願いに応えて・・・局別審査では
学童保育政策拡充、加齢性難聴者の補装具費補助、市営住宅増設、環状道路南線での脱硝装置設置、市管理の準用河川改修促進、市営バス停の改善、港湾地区でのトイレ増・改修とバス増便、消防職員の執務環境改善、中外製薬研究所整備に伴う浸水拡大防止策、綱島駅前再開発での図書館新設、公園トイレ設置、パートナーシップ宣誓制度の円滑な運用、多文化共生事業の充実、シーサイドラインの安全運行など市民から寄せられた様々な要望の実現を局長、副市長に迫り、多くの前向きな答弁を引き出しました。
2)大型開発批判、誤った公共事業政策と行政運営の中止と転換を求めて
高すぎる環状道路北西線トンネル工事費は確実に減額を、国家戦略特区ビルと東高島駅北地区再開発への法外な補助金は削減を、MM21地区の豪華ホテル事業者への誘致補助金は凍結を、カジノ誘致のための山下ふ頭開発計画は中止に、横浜武道館開設では市民利用の優先保証を、オペラ・バレエに特化した劇場建設は拙速すぎる、賑わい中心の上瀬谷通信基地跡地利用計画は見直しを、ハマ弁ではなく中学校給食を、水道料の値上げにつながる水道料金体系の見直しはストップを。
党市議団は、この議会でとり上げた市民要求について、引き続き議会内外で取り組み、実現を目指します。そしてなにより横浜の将来に重大な禍根をもたらすカジノの立地を許さないたたかいに総力をあげることを改めて誓うものです。