議会での質問・討論(詳細)
2010年3月10日

【2010年度予算特別委員会】「環境創造局」 白井正子

白煙があがった磯子火力発電所の監視を強化せよ

白井議員:私は、日本共産党を代表して質問します。委員長にまずパネルを使用する許可をお願いしたいと思います。(どうぞ)ありがとうございます。
 それでははじめに、電源開発株式会社、これは火力発電所ですけれども、における大気汚染に関する指導についてです。
 国の石炭政策によって43年前に運転を開始した磯子の火力発電所を稼動している電源開発株式会社で、2008年末頃から火災や有毒ガス流出などの事故が連続発生しました。本市安全管理局は2009年5月に警告書を交付し、国は11月に指導票を発行して、環境創造局は市・県の合同会議に参加され、対応されていると聞いていますけれども、環境保全の担当局として、この事態をどう認識されているのか、また、どう関与されているのか、伺います。

荻島環境創造局長:よろしくお願いいたします。今回の硫酸製造装置における微量の硫黄酸化物が漏出するトラブルにつきましては、環境への影響が極めて少なかったというふうに認識しておりますが、公害防止の観点から再発防止のための事業者指導を行っております。なお、電源開発は石油コンビナート等災害防止法に基づく消防等への通報を行ったというふうに聞いております。

磯子火力発電所から出る白煙(1)白井議員:事業所がつくっているPRパンフレットによれば、この最新技術を用いた排ガスの処理装置によって大気汚染防止対策をとっているということで、そもそも通常の運転では煙突からは白い煙は出ない装置といわれています。雑誌の「週間東洋経済3月6日号」で、阿川尚之慶応大学教授が「改めて感心した。煙突から何も出ていない。煙の見えない煙突は船のマストのように格好がいい」と、現地に出向いた手記磯子火力発電所から出る白煙(2)で評価されているんです。このような装置ですが、近隣住民によれば何度か煙突から白い煙が確認されています。この写真なんですけれども(パネルを示す)、この白い煙の発生、これは運転の異常ではないかと思うんですけれども、目でみえる可視煙の内容は何なんでしょうか。

荻島環境創造局長:電源開発の排ガスにつきましては水分があまり含まれていないので、煙突から水蒸気が見えることはほとんどないというふうには考えておりますが、気温や湿度によっては水蒸気が冷えて白く見える場合があるというふうに考えております。

白井議員:水分を除去する装置がついているということなので、水分ではないのではないかと思うんですけれども、この原因究明が必要と思いますが、どうでしょうか。

荻島環境創造局長:石炭を完全燃焼させますと主に二酸化炭素と水になります。水はいま申し上げましたように、水蒸気として排出されますが、外気で冷却されることによりまして、細かな水滴が空気中に浮いている状態が白い煙のように見えるというふうに考えております。不完全燃焼等の場合は、すすなどのばい塵が黒い煙となって発生する可能性がありますけれども、ばい塵などデータを見ましても異常がないため、白く見えるのは水蒸気であるというふうに考えております。

白井議員:排ガス処理の工程にばい塵という有害物質の除去装置があるそうですけれども、「昨年8月からこの装置に異常があるまま稼動が続いている」といった関係者からの情報が私たちのところに寄せられております。この施設の排ガス中のばい塵について、本市の常時監視体制はどのようになっているのでしょうか。また、基準値に照らして監視結果はどうだったのか、伺います。

荻島環境創造局長:本市の監視センターでは、環境への負荷の多い大規模工場を対象にしまして、電話回線を利用しましたテレメーターシステムで事業所の排ガス濃度等を常時監視しております。電源開発につきましても、同様に常時監視をしており、その結果などから、ばい塵の排出基準を十分に下回っていることを確認しております。

白井議員:下回っていることを確認しているということなんですけれども、それでは運転の異常が発生した場合、事業所からの報告制度はどのようになっているのでしょうか。また、立ち入り検査はどのように行われるのか、伺います。

荻島環境創造局長:大気汚染防止法および横浜市生活環境の保全等に関する条例に基づきまして、ばい煙濃度の報告や立ち入り検査を必要に応じて実施しております。立ち入り時には、施設や設備の状態の確認、事業者が実施した測定データの検査、さらに施設のばい煙濃度等の測定を本市でも実施いたします。

白井議員:関係者からばい塵除去装置の異常があるという状況がありますので、運転日誌等稼働状況の報告を求めるべきと考えます。また、立ち入りをすべきと考えますが、どうでしょうか。

荻島環境創造局長:直近では、先月になりますが2月の12日に立ち入り検査を行いまして、施設の稼働状況や排ガスの性状を調査いたしました。また、定期的な報告徴集に加えまして、テレメーターによるリアルタイムでのばい煙の監視を行っており、特に異常などはみられておりませんので、現状でも十分であるというふうに考えております。ただし、故障等異常が発生した場合には、立ち入り検査や必要な書類等の報告徴集を行ってまいります。

白井議員:白く見える可視煙がばい塵であれば問題にもなりますので、注意を要する事業所として、踏み込んだ調査をお願いいたします。

火災にあった旧住友邸の再建と庭園整備の再開を早期に行い一般開放を

 続いて、仮称の旧住友邸庭園整備事業についてです。
 戸塚区にある国の重要文化財に指定された旧住友家俣野邸を、本市が公園事業として建物の復元修理工事と庭園整備工事をしていました。ちょうど1年まえの3月15日の未明に発生した不審火で、建物がほぼ全焼して、公園として公開されることを心待ちにしていた住民の方や本市の関係者にはおおきな痛手となったと聞いております。この1年間、公園整備の予算がついていながら工事はストップしたままですけれども、この間近隣住民にはどのような説明が行われていたのでしょうか。

荻島環境創造局長:いま白井議員の方からご指摘のとおり、ちょうど昨年火事がありまして、その後現場につきましては、神奈川県警、戸塚消防署の実地検分後、現場の安全管理を確保するため、足場などの仮設具の解体、後片付けを行いました。また、被災を免れました重要文化財である母屋の一部、附属屋を雨や風から守るためにシートで覆うなど、養生を行いました。合わせまして、保安防犯対策としまして、建物の外周に高さ3メーターの更正版による仮囲いの設置、侵入防止用周回センサーでの24時間警備および1日1回の警備員による巡回警備を行っております。
 近隣の住民の方々には、火災が発生したことのお詫びと火災の状況説明を行っております。

白井議員:近くに長年住んでいる方から、速やかな開園に向け働きかけをという要望をいただいております。2010年度の予算の内容を説明して下さい。

荻島環境創造局長:22年度は、園地の下段部分の駐車場、園路などの整備および花木の植栽を予定しております。現在、文化庁等関係機関と事業の継続に向けての協議を行っておりますので、協議の状況を踏まえ、事業の執行に努めてまいりたいと思っております。

白井議員:文化庁の担当者の説明や、それから現地での本市の担当者からの説明では、重要文化財は昭和初期の建築様式の影響を受け、ハーフティンバー・スタイルと呼ばれる装飾を取り入れた建物だけでなく、宅地内の石垣や門塀・擁壁など、一体として指定されているとのことでした。公園の価値を高めるためには、焼失した建物を復元することが望ましいと考えます。復元に向けては、どういう課題があるのでしょうか。

荻島環境創造局長:被災を免れました母屋の一部は建具、附属屋などは現在も重要文化財であります。また、庭園部分も四季折々楽しめる豊かな樹林地に囲まれた価値あるものと考えております。文化庁など関係機関と協議を進めており、建物部分と庭園部分の貴重な財産を活用した整備ができるように、引き続き文化庁等に働きかけてまいります。

白井議員:焼失した建物については国との協議を進めているということですから待つとしても、庭園の整備工事は早いうちに再開して、住民要望に沿って富士山を展望しながら散策できる公園ということですから、一般に開放していただきたいと要望いたします。

みどりアップ計画の確実な実行のために必要な職員配置を

 続いて、みどりアップ計画における樹林地の保全についてです。
 今年度から市民が新たなみどり税の負担をして、みどりアップ計画が進められています。緑の減少に歯止めをかけるとして、緑地保全制度による地区指定の拡大と、それに伴う相続等の不測の事態の際の買取の準備が行われています。この5年間のみどりアップ計画での指定面積と買い取り計画面積の目標はいくらでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:よろしくお願いいたします。
 横浜みどりアップ計画新規拡充施策における21年度から5か年の指定予定面積は約1119ヘクタールで、買い取り予定面積は約151ヘクタールとなっております。

白井議員:それでは、2009年度の指定および買い取り面積の目標と達成見通しはどうでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:21年度の指定は51.6ヘクタールの予定に対し、これを上回る約85ヘクタールに向けて推進をしております。また、買い取りは約16ヘクタールの予定に対し、22年1月末現在で2.4ヘクタールに対応しておりますが、現在さらに買い取りの手続きを進めているところでございます。

白井議員:指定目標が51ヘクタールに対して見通しが85と進んでいるということなんですけれども、こんなに進んだ要因はどのようなことでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:主な理由といたしましては、樹林地所有者の方々への樹林地保存制度のピーアールや、意向調査により制度について理解が得られたこと、意向に基づき指定を進めたことによるものと考えております。また、相続等不測の事態における買い取り対応に横浜みどり税を安定的な財源として活用できることで、所有者のご理解とご協力が得やすくなっており、指定が進んだものと考えております。

白井議員:みどり税で進めやすくなったということだったんですけれども、仮にみどり税がなかったとすると、指定と買い取りはどの程度に留まっていたことになるのでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:横浜みどり税は、横浜みどりアップ計画新規拡充施策に5か年の事業実施に必要な財源として、市民のみなさまにお願いをしているものです。横浜みどり税を安定的な財源として活用できることで、指定等について所有者のみなさまのご理解とご協力が得られやすくなっていると思います。

白井議員:どの程度に留まっていたかという、なにかわかりやすい表現はないんでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:私どもといたしましては、このみどり税という安定的な財源を活用して、指定等について所有者のみなさまのご理解とご協力を得ていくということで、その理解と協力が非常に得られやすくなったという感覚でございます。

白井議員:感覚だけではなくって、市民はみどり税を負担しているわけですから、どれほど緑が守られたのか、何らかのかたちで明らかにすることが求められますけれども、どうでしょうか。

内藤みどりアップ推進担当理事:という意味で、先ほど申し上げましたように買い取り16ヘクタールの予定に対しては1月末現在で2.4ヘクタールで、さらに年度末に向けて買い取りの手続きを進めているというふうにご説明申し上げております。

白井議員:それでは、土地所有者へ意向調査が行われたと聞いてもいますし、地区指定の促進と、それから買い取りの対応するにはとにかくマンパワーが必要だと思われます。その目標達成にふさわしい職員の体制なのかどうかというところを、ちょっとお聞きしたいんですが。

荻島環境創造局長:みどりアップ計画新規拡充施策の目標達成に向けまして、みどりアップ推進担当理事のもと、みどりアップ推進部を設置するなど、これまでの執行体制を強化してまいりました。今後とも、事業の進捗状況に合わせまして、より効率的に事業を進めながら、必要に応じて体制の検討を行ってまいります。

白井議員:計画が確実に実行できるために、必要な職員配置についても、よろしくお願いいたします。以上です。


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