住民合意がない市バスの民間移譲は、白紙に戻して凍結を
河治議員:日本共産党を代表して質問いたします。
まず、民間移譲路線についてです。
市営バス路線で民間事業者と競合率が高く、採算性の低い路線について、民間事業者と協議し、移譲を進めてきたわけですが、今後神奈中への移譲路線・系統はどの路線か、路線名でお答えください。そして、その路線移譲によって不採算額はいくら減少するのか、お答えください。
池田交通局長:まず5系統、横浜駅西口から若葉台中央および鶴ヶ峰駅を経由いたしまして横浜動物園線、それから115系統の鶴ヶ峰駅からグリーンヒル上白根循環線、それから116系統の三ツ境駅から若葉台中央線の3つの路線を移譲する予定でございます。
この3つの路線の不採算額につきましては、16年度決算で試算しますと約1億5800万円となっております。
河治議員:若葉台団の地住民や自治会は、神奈中に移譲されたら減便などによりサービスが大きく後退するのでないかと懸念しています。移譲はどのような形で行われるのでしょうか。
池田交通局長:これまでに神奈川中央交通に移譲しました8路線の運行回数をみてみますと、4路線が現状維持、1路線が増便、3路線が減便となっております。運行回数につきましては、ご利用のお客様への負担を出来るだけないことを私どもとしては強く期待をしておりますが、移譲を受ける事業者が最終的に判断するものと考えておりまして、輸送力が過剰となる路線・系統につきましては、運行回数の見直しも想定をせざるを得ないものと思っています。
河治議員:結局は神奈中への丸投げで、現状のサービスを保証できない、できるのですか。
池田交通局長:ただいま答弁しましたとおり、移譲を受ける事業者が経営上の判断に基づいて決定をすべきものと考えております。
河治議員:この間、神奈中に移譲された南部方面の路線は、芹が谷から上大岡駅前行きは275便から230便に、上永谷駅前から上大岡駅前行きは70便から56便に、南高校から上大岡駅前行きは117便から77便に、そして上大岡駅前から東戸塚駅行きは117便から80便に減便されています。利用者からも「路線廃止や変更もひどい」「土日は便数が少なく、混雑している」「障がい者や子どもに冷たい」など、採算性重視によるサービスの低下の批判が多く聞かれます。
若葉台団地の住民も、同じようにサービス低下になるのではないかと、移譲に反対しています。交通局はどのような方法で説明し、理解を得ようとしているのですか。
池田交通局長:これまでの58路線の再編成につきましては、区役所あるいは地元の自治会とも調整しまして、説明会を開催させてきたところでございます。その中で、若葉台地区の路線移譲につきましても、緑公会堂で説明会を実施し、新聞折込、チラシ、および交通局ホームページで周知を図ってまいりました。今後、移譲につきましての具体的な内容の周知方法につきましては、これまでのやり方を踏まえながら、関係の自治会から現在要請がありますので、区役所と調整をしながら説明会を開催し、ご理解をいただけるよう、お願いをしてまいりたいと、こう考えております。
河治議員:若葉台団地では、7年前、神奈中が団地に隣接する上川井町に107台ものバスを収容する巨大車庫建設を、住民や自治会に何一つ説明もなく突如発表し、そして結果として撤退したわけですが、住民のことなど気にかけない会社として、「神奈中を信頼してない」という声が強いと聞いています。それなのに、なぜ移譲の相手が神奈中なのか、他の事業者に移譲する条件はなかったのか、伺います。
池田交通局長:今回の移譲の考え方としましては、若葉台地区は市バスのほか神奈川中央交通、相模鉄道、および東急バスが運行をいたしておる競合路線でございます。こういうところから、今回移譲する路線としましては、主に神奈川中央交通と競合をしておりまして、3路線を一括して運行していただくことで、需要に応じた運行が可能であると考えまして、神奈川中央交通にお願いをすることにしたものでございます。
河治議員:住民や利用者に対して、移譲について、どのように周知するのか、伺います。
池田交通局長:移譲の周知につきましては、定期券をご利用のお客様に配慮をさせていただきまして、バス社内、停留所に掲載をいたします交通局ニュースや局のホームページに出来る限り早くお知らせをしたいと考えております。もちろん、若葉台地区の方々にご説明をして、ご理解を賜ることが前提になると考えておりますけれども。また、若葉台営業所におきましては、これまでご利用いただいたお客様へのお礼と移譲のお知らせを掲示させていただきたい、こう考えております。
河治議員:ぜひ、そこに力を入れていただきたいと思います。
若葉台団地は神奈川県の住宅供給公社が開発したものですが、開発にあたり交通関係で県公社が拠出したバス交通網整備の施設があると聞いています。どのような施設で、その金額はいくらだったでしょうか。
池田交通局長:若葉台地区のバス路線を開設するにあたりまして、バスターミナルとバス営業所の用地を開発公社が提供をいたしております。バスターミナルは県住宅供給公社が土地をそのまま所有し、バス営業所は交通局が公社から有償で取得をさせていただいております。公社の50年史によりますと、バスターミナルが1億2000万円、バスプールが2億円と記載をされております。
河治議員:県公社の拠出ということは、結局は分譲価格や家賃として住民負担になったものです。また、自治会や団地での発着する路線の開始のために、交通局や民間事業者と自治会では話し合い、協議をし、バス輸送の改善に取り組み、実現した三ツ境路線や青葉台路線の深夜バスの運行というのは全国的流れの先駆けになったものです。また、「のぞみに間に合う早朝バス」や低床バスの導入など、積極的に取り組んだと聞いています。こうしたことからも、移譲問題っていうのは住民合意が重要だと思うのですが、いかがでしょうか。
池田交通局長:今回の路線再編成につきまして、先生ご存知のとおり、市営バスを改善型公営企業として市から補助金を受けない経営の健全化を図るための避けて通れない課題であると考えておりまして、今回の路線の問題は、廃止ということではなく、他の事業者の方に運行を移譲するということで、地域の皆様におかけするご不便が最小限となるよう検討したものでございますので、ぜひご理解をいただけるよう、私どもとしては一生懸命若葉台地区の皆様方にご説明をさせていただきたいと、こう思っております。
河治議員:住民合意が担保されない移譲というのは、今からでも白紙に戻して、凍結すべきだというふうに思います。
労組幹部と職員による職務乗車証の不正使用は絶対許せない行為
続いて、次の質問に移ります。交通局の不祥事に関してです。
補助金の不正受給をはじめ、運転手のアルコール検出、サイドブレーキのかけ忘れなどによる事故、バス便の運休、売上金の窃盗事件、組合幹部らによる職務乗車証の不正使用など、次々と起きた交通局の不祥事、またかとの思いを通り越し、あきれている市民も多いと思います。こうした不祥事の再発防止に向けて、どのような対策をとってきたのか、改めてうかがいます。
池田交通局長:改善型公共事業のスタートを切る矢先に一連の不祥事が発覚しまして、憂慮する事態となり、議員の皆様方には大変ご心配をおかけいたしましたことを、この場をお借りいたしまして、深くお詫びを申し上げます。
再発防止策に向けての取り組みについてでございますけれども、なによりも、職員一人ひとりが市営交通を担っているというそういう自覚を持って行動をすることが、大切だと考えております。そこで、職員の意識を高めることができるよう、バス・地下鉄を経営するための経営理念を今年5月に定め、そのもとに職員の行動基準を明らかにしまして、全職員に浸透させる取り組みを行ってきました。また、一方では交通局としての自浄能力を発揮し、より透明性の高い経営を行うことができるよう、7月の機構改革で監察課を設置し、自らチェックするシステムを構築いたしました。さらに、職場で違法・不当な行為が行われていないかを、職員自らがチェックするあるいは自己診断する職場再点検を、現在行っているところでございます。
私自身もこのような取り組みの趣旨を理解してもらえるよう、全職員との直接の対話を進めてきたところでございます。これからもこのような趣旨を全職員に徹底し、職員同士が忌憚なく話し合える職場環境づくりを、全力をあげて実現できるよう取り組みを進めていきたいと考えております。
河治議員:労組幹部と職員による職務乗車証の不正使用など、絶対許せない行為だっていうふうに思います。なぜ起きたんでしょうか。
池田交通局長:これは先ほどからもご答弁申し上げていますように、基本的な交通局の気風といいますか、そういうものが身内の方にこうベクトルが向いていたと。その結果、お客様と、大事なお客様が一方で存在をして、そのお客様から料金をいただいていると、まあこういうことが基本的な交通局の理念として、充分語り合ってこられなかったんではないかと、こう思っております。
しかしながら、私、現場を回っていろいろ職員とお話をしてきましたけれども、市営交通、地下鉄を支えていこうという職員はたくさんおりまして、そういう職員のみなさんと力を合わせてこれからも交通局も、新しい交通局の出発に向けた取り組みができれば大変ありがたいと、こう思っております。
河治議員:非常に大事な視点だっていうふうに思います。
運転手による売上金の窃盗事件は衝撃的な数字が次々と明らかになりました。犯行の手口を知った職員も4割を越す。自主的経営を目指した改善とは名ばかりで、市民の信頼を裏切る結果になったんだと思います。
しかし、こうしたことを理由に、「民営化の議論を進めよう」との動きは、求められる体質改善と別問題であります。交通局の体質改善と同時に、市営バスは市民ニーズに対応した小型バス路線の整備や、また高齢化が進む中でまちづくりと連携した路線編成や福祉・環境対策の積極的な展開など、公営企業として機能・役割に一層責任もつべきだと主張し、質問を終わります。
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