2018年1月30日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 あらき由美子
林文子市長は本日、2018年度横浜市予算案を発表しました。
一般会計の予算規模は1兆7,300億円で前年度比5%増の「積極予算」です。
今回の予算案で注目を集めたのは、国民健康保険事業の県との共同運営化にともなう保険料と、第7期の介護保険事業計画の介護保険料の行く末でした。国保料については、国保会計への法定外繰入を継続し、保険料引き上げを医療費伸び率の同率に抑制。介護保険料(基準額)では、当初案6600円が予算では6200円と引き上げが大きく圧縮されました。給食費が、食材費の値上げを理由に、4000円/月を4600円/月に値上げです。アベノミクスによる物価上昇が家計を直撃です。
対前年度比で3割も増額された施設整備費のうち、大型公共事業には、新市庁舎整備325億円、高速道路346億円、国際コンテナ戦略港湾など港湾整備に103億円、山下ふ頭再開発に62億円など大盤振る舞いです。
党市議団が取り上げ市民の声と運動のひろがりのなかで実現した市民要求は、認可保育所の新設を中心とした待機児童解消策、保育士処遇改善独自助成、「子ども食堂」実施団体立ち上げ費用助成、救急隊の増隊(国基準に到達)、感震ブレーカー設置推進事業、特別養護老人ホーム事業者公募600床、通院小児医療費助成中3拡大にむけた準備費計上、公衆トイレの整備加速などです。
林市長は「将来世代へ横浜をつなぐ取組が着実に実を結んでいる、街には多くの人が行き交い、活気と笑顔があふれている」と自画自賛です。市民生活の実態とあまりにもかけ離れた事態認識です。
医療や介護、子育て、地域振興、災害対策など、住民にとって最も身近な行政である地方自治体が「住民福祉の機関」として果たす役割はますます重要です。国には、地方自治体がその役割が発揮できるよう支援し、財源を保障することが求められています。しかし、安倍政権は、地方自治体を支援するどころか、地方財政の削減と大企業の儲け先づくりのために、行政サービス切り捨てと公共施設統廃合を迫り、政策誘導のための地方交付税制度まで改変するなど、地方自治を踏みにじる政策を進めています。その弊害が最も端的に現出し、市政のあり方が歪められているのが横浜市政です。党市議団は、安倍政権と正面から対決、市民にとって役に立つ横浜市政に近づけるよう全力を尽くします。予算案の特徴点を列挙します。
●子ども・子育て支援では、保育所等の新規整備数は2,795人枠です。その内、認可保育所整備は2,068人です。学童(放課後児童クラブ)は3か所新設、分割移転支援は27か所、41人以上クラブへの補助基準額が引き上げに。小児医療費助成(通院)は前年度同額100億円です。2019年4月からの助成対象中3拡大化にむけたシステム改修に約1億円を充てます。
●教育では、いじめ対策の強化として、スクールソーシャルワーカーの正規職員化(6人)、教職員の働き方改革として、小学校高学年での教科分担制の推進、理科支援員の配置(341校)、部活動指導員の配置(30人)。現在、小1、2で実施されている35人学級の拡大はありません。中学校での横浜型配達弁当(ハマ弁)には7.6億円投じ、うち、約2億円が価格引き下げ分です。中学校給食は検討費すらつけていません。
●福祉では、特別養護老人ホーム整備数は、着工280床、継続300床と例年並みですが、公募は600床と倍増です。介護サービス自己負担助成制度の拡充でグループホーム居住費助成額が最大5万5千円に。介護人材確保策として、条件付きながら住居借上支援事業を創設。障害者グループホーム整備は44か所新設し、総数790か所に。障害者スポーツ・文化施設が上大岡に新設されます。国保料、介護保険料の負担増を許さない世論を広げるために力を尽くします。
●中小企業・経済では、中小企業むけの制度融資枠は前年同額の1,400億円。MM21地区等への誘致企業への助成金は25億円、他方、商店街振興策は2.5 億円に留まる。横浜駅きた西口鶴屋地区で外国人向けの高層住宅ビル整備事業5.4億円など特区推進に総額8億円、観光・MICEの推進と客船の寄港促進策には20億円増の54億円をそれぞれ投じます
●市営など公的住宅整備費は前年度比22億円増の41億円です。しかし、市営住宅の新規建設はゼロ。国がスタートさせた新たな住宅セーフネット制度への対応に約1億円を充てて、入居者への家賃補助130戸など実施。
●通学路、踏切等の歩行者空間の整備に29億円計上、高速道路予算の8%にすぎず、生活道路優先への転換は待ったなし。
●地域における防災性向上を図るとして、防災拠点の資機材・備蓄食料の更新、耐震給水栓整備、災害用トイレ整備、要援護者支援策強化に約11億円振り向けます。引き続き、拡充を求めていきます。
●地球温暖化対策は総額71億円、温暖化対策統括本部予算は6.7億円で、ともに前年度並み。パリ協定をうけた地球温暖化対策実行計画の改定を行います。上瀬谷通信基地跡地への国際園芸博覧会の誘致推進に0.5億円計上、過大計画にならないよう市民チェックが必要です。
●職員定数は、前年度比で96人増です。救急隊4隊の増隊、児童虐待対応、保育所監査体制強化に充てます。民営化では、市立保育所3園の民間移管、4校の学校給食調理業務を民間委託します。
安倍政権が早期の憲法改悪の国会発議をねらい、福祉切り捨てなどの暴走を進める今日の情勢のもとで、安倍暴走政治に立ち向かう議会内外の共同を広げるとともに、予算審議を通じて、市民むけ施策の前進にむけて、積極的な提案を行い、予算組み替え提案をふくめ全力をあげる決意です。 以上