技術習得に時間を要する水道特有の技術職員を新しい技術職採用試験の継続で確保を
宇佐美議員: 日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いいたします。
まずはじめに水道技術職職員の採用について伺います。
2016年度に行った2017年度の職員採用試験から水道技術職採用試験というものを新たに設けたと聞きました。この試験を始めた理由を教えてください。
栗谷総務部長:水道事業は安定的に水を供給するための水運用や、浄水処理など習得に時間を要する高度な水道特有の技術や経験によって支えられています。近年、ベテラン職員の多くが退職したことにより、長期にわたり技術継承の担い手となる人材を確保する必要がありました。このようなことから水道局で採用を行い、長期的な視点で水道技術者を育成していくことを目的に新たに水道技術職の採用を開始したものです。
宇佐美議員:水道技術職採用試験の内容はどういった内容ですか。
栗谷総務部長:本市職員採用試験の高校卒程度の試験区分に新たに水道技術職区分を設けて募集、選考を実施しております。第一次試験は一般教養と専門科目の筆記試験を行いますが、専門科目につきましては、土木・機械・電気の3分野から1つを選択して解答します。第二次試験は面接を行い、最終合格者を決定するという形になってございます。
宇佐美議員:その水道技術採用試験の実績はどうだったのか伺います。
栗谷総務部長:(H)28年度は28人から受験申し込みがありまして、この内21人が実際に受験いたしました。この内16人が第一次試験に合格し10人が最終合格しております。
宇佐美議員:先ほどおっしゃっていたように、ベテラン職員が続々と退職をしています。技術継承のためにもこの水道技術職職員の採用は今後も、私は継続していくべきと考えていますが見解を伺います。
山隈水道局長:(H)24年度から(H)28年度までの5年間で約250人の技術職が定年退職をいたしました。こうした中で、今後長期にわたって水道特有の技術、ノウハウを確実に継承する役割を担う人材を確保するために、当面の間は採用を続けていきたいと考えております。
宇佐美議員:私はずっと、この若手の職員を採用するようにと申し入れをしてきました。予算要望でも何度も出してきました。少し話が前後しますが、2017年度に採用された10人の職員は現在どこに配置されているのか伺います。
栗谷総務部長:(H)29年度に採用した10人ですが、現場における業務を早期に経験させるため、給配水管の維持管理などを行う水道事務所に8人、そして水運用を行う配水管理課に2人を配置いたしました。
宇佐美議員:採用された皆さんは現在直接市民の声が聞こえる職場に配置され、先輩から技術を教わっているそうですが、概ね今後10年で3か所、職場を経験させるとして異動すると聞きました。異動のサイクルの考え方を伺います。
山隈水道局長:水道水を安定供給するためには、浄水・配水・給水の技術各部門が連携する必要があります。このため採用後10年程度の育成期におきまして、水道特有の職域である、この3部門を経験させることによって各部門の基礎を早い段階で認識させ、そして自分が携わる仕事が前後の業務にどう影響するのか、など水道を支える技術を総合的に考えることができる職員を育成するために、10年で3か所という考え方を取っています。
宇佐美議員:どんな仕事もそうだと思うのですけれども、本当に技術を身につけるということは短期間では難しいのではないかと考えます。ある水道局の職員さんが水道の技術は1年やそこらで覚えることはできない、1つの所で5年から7年でやっと一人前になれると教えてくださいました。概ね10年で関連している職場とはいえ、すぐに異動となると教わる方が、現場の状況を少しわかったくらいで次の職場へ行くことになると思うのです。そして指導する方も日常業務をこなしながらになるため、負担になるのではないかと想像できます。もっと長く同じ職場にいられるようにしていただいて、これからの横浜市水道局をしっかり担える職員に育てていただきたいと要望し次の質問に移ります。
累積資金残額が大幅に増加している中での水道料金体系の見直しは慎重に
宇佐美議員:次に中期経営計画の累積資金残額の見直しについて伺います。2016年度の決算によると累積資金残額は204億8000万円となっていますが、中期経営計画で計上した2016年度の累積資金残額はいくらだったのか、伺います。
天下谷経営部長:中期経営計画の財政収支計画で計上した(H)28年度末の累積資金残額は150億円となっています。
宇佐美議員:約55億円の増額になったわけですが、この増額の要因は何か伺います。
天下谷経営部長:中期経営計画は(H)27年度決算以前に策定されており、資金収支が(H)27年度決算で28億円、(H)28年度決算で27億円、予算に比べてそれぞれ改善し、2か年で55億円、計画を上回りました。この要因は主に収入面では水道料金収入に減少の鈍化が見られ(H)27年度に4億円、(H)28年度に9億円計画を上回った一方、支出面では人件費・動力費・修繕費などの維持管理費が2か年で61億円減少したほか、一部の建設改良工事が先送りになったことなどです。
宇佐美議員:この累積資金、今後どのようにするお考えなのか伺います。
天下谷経営部長:累積資金残額は、利益剰余金などの内部に留保された資金ですが、一般的な使い道は企業の設備投資にあたる建設改良の財源として、浄水場や配水地などの基幹施設の整備や給配水管の更新、耐震化に充てるなどに活用していきます。
宇佐美議員:管路の耐震・更新や再整備のためにその資金を使うということですが、中期経営計画の最終年度である2019年度の累積資金額は32億円となっています。2016年度の決算を受けて2019年度末の累積資金額はもっと多くなると思われますがどうですか。
天下谷経営部長:(H)28年度決算の累積資金残額から見ますと、仮に(H)29年度以降が計画通りの収支となった場合には、(H)31年度末の累積資金残額は計画よりも55億円上回ることになります。
宇佐美議員:2019年度末の累積資金額は2017年度予算を踏まえて2018年度と2019年度を中期経営計画どおりとして試算すると95億円になります。そうすると資金面の窮屈さは中期経営計画で試算していた状況より、確実に好転していると言えるのではないかと思われます。そうであるならば中期経営計画中の職員定数の削減、見直せるのではないかと考えますがどうですか。
山隈水道局長:累積資金残額は一時的には好転しているものの、料金収入の減少が続いておりまして、一方で施設の更新、耐震化の需要が増大の一途をたどるなど、経営環境は今後も厳しさを増していくものと考えています。こうした中で持続可能な経営基盤を築いていくため、引き続きより効率的な執行体制を追求していく必要があると考えております。具体的には定数削減ありきということではなくて、集約化・委託化・ ICT 化などによりまして効率的な執行体制を作って、そこに必要な人員を配置していくという考え方で進めてまいります。
宇佐美議員:事業の効率化ばかりを追求しているように聞こえるのです。効率化ばかりを進めていると足元が崩れ兼ねないと思うのです。災害時、大規模事故発生時、先ほどのカビ臭の対応についても、多くの職員の知識と人手が必要です。委託している企業さんだけを信頼していますというのは、いかがなものかと危惧しております。 また水道料金体系のあり方の検討スケジュールですが2018年度に検討委員会を設置し検討していくと伺いました。この検討スケジュール、見直してはいかがでしょうか。
山隈水道局長:水道事業の根幹であります水道料金収入は、(H)13年度をピークに減少傾向が続いておりまして、一方で先ほど申し上げました通り施設や管路の更新、耐震化、待ったなしの状況となっております。さらに(H)31年度をピークに本市でも人口減少が予測されておりまして、そうなりますと事業環境の厳しさは加速度的に増してくるということが予想されます。こうした状況の中、将来にしっかり備えるという意味からも料金体系のあり方について、早い段階で検討しておく必要があると考えております。
宇佐美議員:中期経営計画が水道料金体系を変えたいが為に、厳しいお財布の中身でカツカツで何とか頑張っていることを強調して、市民の皆さんが職員の定数を減らしてまで、まだそんなに苦しいなら料金値上げされても文句言えないわねと、思わせたいかのように見えてくるのです。水道料金の値上げにつながる料金体系の見直しは、慎重の上にも慎重であるべきと強く要望し次の質問に移ります。
横浜市水道事業への国庫補助予算額の確保に力を尽くせ
宇佐美議員:最後に国庫補助金について伺います。水道事業は自治体が責任をもって運営していくことが決まりで、横浜のような大都市は施設の規模も取水・給水・配水などの基幹(施設)、管路の更新には膨大な費用が必要となります。水道局として厚生労働省に要望していた当初予算は3億5000万円でしたが、決算額は2億2200万円と減額されました。なぜ当初の予算通りに補助金が確保できなかったのでしょうか、伺います。
平本施設部長:本市では毎年、国の基準を増やす全ての事業について、補助金及び交付金を要望しております。(H)28年度については先ほど先生が述べましたように3億5000万円の要望に対しまして、補助金額は2億2000万円でございました。厚生労働省からは(H)28年度予算では水道施設の耐震化、老朽化対策等を推進するための予算を確保はできたものの、予算額と全国の水道事業体からの要望額に乖離があり、厳しい財政状況であったと聞いております。
宇佐美議員:横浜の水道局の思いと国の思いが違うようで、横浜のような大都市では管路更新、補助金はなかなか対象としてもらえないということですが、横浜の管路更新も補助の対象となるように国に働きかけをしているのかどうか、伺います。
山隈水道局長:水道局では老朽管路や浄水場等の更新事業などのための財政措置の拡充につきまして、一つには大都市水道事業者事業管理者会議、それから公益社団法人日本水道協会、そして地方公営企業連絡協議会これらのメンバーとして毎年国等に対して要望しております。今後とも様々な機会を捉え関係機関に対して要望を行って、さらなる補助金の確保に努めてまいります。
宇佐美議員:私も毎年予算要望でお願いしているのですが、厚生労働省の予算が少ないために水道事業に充てられる予算も僅かで、県に下りてきた予算も当然少ないために局の皆さんも何とか国から予算をもらうと頑張っているのは理解しております。国への要望を諦めずに引き続き出し続けて市民への安心安全で良質な水道水を提供し続けるため、私も一緒に知恵を出し合っていきたいと思います。