市民の暮らしを支えることに予算の充てよ
宇佐美:日本共産党の宇佐美さやかです。党を代表し、2017年度横浜市一般会計予算等の組替え動議の趣旨説明をいたします。
まず、組替えを求める理由と組替えの基本方針を申し上げます。
安倍政権は、国際競争力強化の名のもと、地方自治体に、大企業のもうけのための大型開発と規制緩和を押し付ける一方、住民の福祉とくらしの破壊、学校・保育所など公共施設の廃止・集約化、自治体窓口業務と公共施設運営の民営化をすすめ、地域経済の低迷に拍車をかける政策を強行しています。
いま、地方自治体が優先して取り組むべき仕事は、安倍自公政権が進める国策に追随することではなく、住民のくらし向きの実態を直視し、住民要求にそった施策を整え、実施することではないでしょうか。しかし、林市長は「国が推進する1億総活躍社会の実現などの取り組みと緊密に連携」と国との一体を強調されています。
横浜市政がアベノミクスの地方版となっているのは明らかです。この視点から編成された予算案であり、山積する市民要求の確実な実現には程遠いものであり、編成替えが必要です。その基本方針は、不要又は不急の大型公共事業や、特定企業を利する市街地整備事業などを凍結・中止し、その財源を市民生活の安心・安全のための施策に振り向けるとともに、市債発行額を減額し、次世代負担を軽減します。また、海外視察、カジノ誘致のための調査などの施策については、市民理解が得られているとはいえないので、凍結・中止します。
次に、組替の内容についてです。
中学校給食の実施は、子どもの健やかな成長を願う、多くの保護者のみなさんから長年要望されている、要求です。共働きの家庭が増えたことや、お弁当を作る時間も取れないWワーク、トリプルワークなどで、何とか家計を支えている保護者のみなさんを応援するものでもあります。
20政令市の中で未だに、実施の検討すらしていないのは、ついに本市だけとなりました。栄養バランスのとれた、温かい食事をみんなで食べることこそが、一番の食育だと考えます。
本市で、起こった原発事故による避難生徒に対するいじめ問題が、今も、解決できずにいますが、何よりもいじめが学級で起きたとき、早期発見、早期対応ができる環境をつくるためには、少人数学級の実施が必要です。一人ひとりの子どもの学びや生活に向き合える教師の時間を確保することが求められています。全学年実施をめざし、新年度は、小学校3年生まで、35人学級を実施します。
そして、お財布の心配をせずに、病院へ行くことができるように、通院の小児医療費助成を、中学3年生まで拡大します。
困難を抱える家庭への支援予算として、就学援助認定基準を2013年度時点に戻し、さらに拡充します。加えて、低所得世帯向けの高校・大学育英資金制度を創設し、本当に学びたい若者と保護者を応援します。
子ども食堂への直接支援など、子どもの貧困対策費の増額で、貧困の連鎖を断ち切る施策を推進します。
特別養護老人ホームの待機者が3,800人、入所まで1年以上も待つとのことです。そこで、100人定員、ショートステイ20人規模の特別養護老人ホームを4か所追加建設し、待機者を減らします。
大地震や大災害時に、いち早く避難を呼びかける同報系防災行政無線を、2か年で4,000か所設置します。
長年建設してこなかった、市営住宅を市有地で新規建設し、市民が毎日利用する、生活道路・歩道の整備、通学路の整備と道路関係の橋梁・トンネルの耐震化・老朽化対策予算と学校施設の営繕費用をそれぞれ上積みし、市民、児童・生徒の安心・安全を確保します。
以上の14施策・事業に229億円を充当します。
その財源は、以下述べる事業を中止または、縮小し捻出します。
高速横浜環状道路北西線・南線各整備事業、南本牧ふ頭MC-4建設事業、横浜駅きた西口鶴屋地区市街地再開発事業、みなとみらい21地区の新たなMICE施設整備事業を全て凍結します。そして、新市庁舎整備事業、IR等検討費、大都市制度関係経費、中学校昼食推進事業、費用弁償・海外視察費等を全額カットします。
あわせて、子安小学校移転整備用地の賃借料等を減額します。ここから捻出できる金額は、約263億円です。
未来の横浜市民への負担を軽減し、今が良ければ良いという予算ではなく、身の丈にあった予算にし、これからの未来を生きる若者たち、子どもたちへの投資にこそ税金を使うようにしていくべきと考え、2017年度予算案の編成替えを求めるものです。
以上、組替え動議の趣旨説明を終わります。
◎組替動議はこちら(PDF)をご覧ください。